September 4, 2023
【前日の為替概況】ドル円、米8月雇用統計を受けて144.45円まで下落後146.29円まで反発
1日のニューヨーク外国為替市場でドル円は反発。
終値は146.22円と前営業日NY終値(145.54円)と比べて68銭程度のドル高水準だった。
米労働省が発表した8月米雇用統計では非農業部門雇用者数が18.7万人増と予想の17.0万人増を上回ったものの、6・7月分の数値が下方修正された。
また、失業率は3.8%と予想以上に悪化し、昨年2月以来の高水準を記録。
平均時給は前月比0.2%/前年比4.3%といずれも予想を下回った。
米労働市場の過熱感の緩和が示されると、米連邦準備理事会(FRB)による追加利上げ観測が一段と後退し、米金利の低下とともにドル売りが先行した。
22時前には一時144.45円と日通し安値を付けた。
ただ、売り一巡後は買い戻しが優勢に。
8月米製造業PMI改定値や8月米ISM製造業景況指数、7月米建設支出が軒並み予想より強い内容だったことが分かると米金利の上昇とともに一転ドル買いが広がった。
前日の高値146.25円を上抜けて、1時過ぎに146.29円まで上値を伸ばした。
なお、米長期金利の指標である米10年債利回りは雇用統計後に付けた4.05%台から4.19%台まで急上昇した。
メスター米クリーブランド連銀総裁が「インフレは一定の進展があるものの、依然として高すぎる」「失業率は3.8%と依然として低い」と発言したことも米金利の上昇につながった。
ユーロドルは続落。
終値は1.0780ドルと前営業日NY終値(1.0843ドル)と比べて0.0063ドル程度のユーロ安水準だった。
低調な米雇用統計を受けて、FRBによる現在の利上げサイクルが終了するとの観測が高まると全般ドル売りが先行。
21時30分過ぎに一時1.0882ドルと本日高値を更新した。
ただ、その後発表の米経済指標が軒並み予想を上回ると、米金利の上昇とともに一転ドル買いが優勢に。
5時前には1.0772ドルと本日安値を付けた。
ユーロ円も続落したが、下値は堅かった。
終値は157.58円と前営業日NY終値(157.82円)と比べて24銭程度のユーロ安水準。
しばらくは157円台後半でのもみ合いが続いていたが、米雇用統計の結果を受けてドル円が下落するとユーロ円にも売りが波及。
22時前に一時157.06円と日通し安値を付けた。
ただ、ドル円が上昇するとユーロ円にも買い戻しが入り、157.91円付近まで持ち直す場面があった。
【本日の東京為替見通し】ドル円、NY市場休場のため動きづらい展開か
本日の東京外国為替市場のドル円は、重要な経済指標や要人発言の予定はなく、今夜のニューヨーク市場がレーバーデーで休場となることで動きづらい展開が予想される。
ドル円は、昨年9月22日の本邦通貨当局による第1弾ドル売り・円買い介入が実施された145円台を上回り、10月24日の第3弾円買い介入が実施された147円台まで上昇している。
しかし、これまでの所は、本邦通貨当局は口先介入に留まっているため、円買い介入の実施水準は、昨年10月21日に第2弾の円買い介入が実施された150円台まで引き上げられているのかもしれない。
鈴木財務相は、先週1日の閣議後の記者会見で、円安が進んでいる為替相場について「市場で決定されるものだが急激な変動は望ましくない。
今後も動きを注視したい」と述べ、これまで通りの円安牽制発言に留まった。
今週は、19-20日の米連邦公開市場委員会(FOMC)での利上げの有無の判断材料になる地区連銀経済報告(ベージュブック)が発表される。
パウエルFRB議長は、ジャクソンホール講演で、「FRBは経済指標に基づき、次の金利の道筋を決定する。
追加利上げか据え置きか、慎重に決定する。
新たに入手するデータや進展する見通しとリスクを見極めつつ、今後の会合で政策を慎重に進めていく位置につけている」と述べ、経済指標次第の金融政策運営を行う姿勢を強調した。
FRBがインフレ指標として注視している7月のPCE総合価格指数は前年比+3.3%と、6月の同比+3.0%から伸び率が上昇していたため、利上げの可能性を高めている。
8月の失業率は3.8%と、7月の3.5%から上昇していたため、据え置きの可能性を高めたものの、労働参加率が2020年2月以来の高水準となる62.8%まで上昇していたことが要因となっている。
8月の非農業部門雇用者数は、前月比18.7万人の増加となり利上げ要因だが、7月と6月が11万人下方修正され、直近3カ月の平均が+14.9万人となっていることは、据え置き要因となるのかもしれない。
また、平均時給は労働参加率が62.8%まで上昇したことで、賃上げ圧力が緩やかに後退している可能性を示唆している。
【本日の重要指標】 ※時刻表示は日本時間
<国内>
○08:50 ◇ 8月マネタリーベース
<海外>
○15:00 ◇ 7月独貿易収支(予想:184億ユーロの黒字)
○16:00 ◎ 8月トルコ消費者物価指数(CPI、予想:前月比7.00%/前年比55.90%)
○16:00 ◎ 4-6月期スイス国内総生産(GDP、予想:前期比0.1%/前年比0.5%)
○米国、カナダ(レーバーデー)、休場
※重要度、高は☆、中は◎、低◇とする。
※指標などの発表予定・時刻は予告なく変更になる場合がありますので、ご了承ください。
【前日までの要人発言】
1日15:57 ビルロワドガロー仏中銀総裁
「我々は、ターミナルレート(利上げの最終到達点)に接近している」
「我々は、インフレ率を2%以下に抑える見込み」
「利下げにはまだ遠い道のり」
1日19:14 ウンシュ・ベルギー中銀総裁
「我々は、ターミナルレート(利上げの最終到達点)の水準に到達していない」
1日19:20 ピル英中銀金融政策委員会(MPC)委員兼チーフエコノミスト
「我々を安心させるようなコア・インフレ率の下降はまだ見られない」
「英中銀は、インフレの持続性ダイナミズムの定着に特に注意する必要がある」
1日22:52 メスター米クリーブランド連銀総裁
「インフレは一定の進展があるものの、依然として高すぎる」
「失業率は3.8%と依然として低い」
「FRBの主な議論は、政策をどの程度強化する必要があるのか、どれ程の期間継続する必要があるのかということ」
「今後の政策決定はデータに基づく」
「FRBは金利政策を設定する際にリスクバランスを取る必要」
※時間は日本時間
〔日足一目均衡表分析〕
<ドル円=8/31安値を支持に押し目買いスタンス>
下影陽線引け。
転換線は基準線を上回り、遅行スパンは実線を上回り、雲の上で引けていることで、三役好転の強い買いシグナルが点灯している。
孕み線で切り返して転換線を上回って引けており続伸の可能性が示唆されている。
本日は、転換線145.91円を念頭に置き、8月31日の安値を支持に押し目買いスタンスで臨み、同水準を下抜けた場合は手仕舞い。
レジスタンス2 148.40(2022/11/4高値)
レジスタンス1 147.37(8/29高値)
前日終値 146.22
サポート1 145.35(8/31安値)
サポート2 144.04(日足一目均衡表・基準線)
<ユーロドル=転換線を抵抗に戻り売りスタンス>
陰線引け。
転換線は基準線を下回り、遅行スパンは実線を下回り、雲の下で引けていることで、三役逆転の強い売りシグナルが点灯中。
2手連続陰線で転換線を下回って引けており続落の可能性が示唆されている。
本日は、転換線を抵抗に戻り売りスタンスで臨み、同線を上抜けた場合は手仕舞い。
レジスタンス1 1.0856(日足一目均衡表・転換線)
前日終値 1.0780
サポート1 1.0667(6/6安値)
<ポンド円=転換線を抵抗に戻り売りスタンス>
陰線引け。
転換線は基準線を上回り、遅行スパンは実線を上回り、雲の上で引けていることで、三役好転の強い買いシグナルが点灯中。
しかし、2手連続陰線で反落して転換線を下回って引けており続落の可能性が示唆されている。
本日は、転換線を抵抗に戻り売りスタンスで臨み、同線を上抜けた場合は手仕舞い。
レジスタンス1 184.71(日足一目均衡表・転換線)
前日終値 184.10
サポート1 183.61(日足一目均衡表・基準線)
<NZドル円=8/21安値を支持に押し目買いスタンス>
陽線引け。
転換線は基準線を下回り、遅行スパンは実線を下回り、雲の上で引けたものの、雲の中へ入りつつあるため、売りシグナルが優勢な展開となっている。
しかし、転換線を上回って引けており続伸の可能性が示唆されている。
本日は、転換線86.84円や雲の上限87.02円を念頭に置き、8月21日の安値を支持に押し目買いスタンスで臨み、同水準を下抜けた場合は手仕舞い。
レジスタンス1 87.53(8/30高値)
前日終値 86.95
サポート1 85.80(8/21安値)
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DZH Finacial Research
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