December 4, 2023
【前日の為替概況】ドル円、反落 米ISM製造業景況指数が予想を下回る
1日のニューヨーク外国為替市場でドル円は反落。
終値は146.82円と前営業日NY終値(148.20円)と比べて1円38銭程度のドル安水準となった。
11月米ISM製造業景況指数が46.7と予想の47.6を下回ったことが伝わると、円買い・ドル売りが先行。
米長期金利の指標となる米10年債利回りが4.1956%前後と9月1日以来、3カ月ぶりの低水準を付けたことも相場の重しとなり、3時30分過ぎに一時146.66円と9月12日以来の安値を更新した。
なお、パウエル米連邦準備理事会(FRB)議長は講演で「金融緩和の時期を推測するのは時期尚早」と述べ、早期の利下げ転換を織り込む市場をけん制。
「適切だと判断すればさらに金融政策を引き締める用意がある」と従来通りの発言を繰り返した。
当初はドル買いで反応し、147.84円付近まで下げ渋る場面もあったが、戻りは鈍かった。
市場では「警戒していたほどタカ派ではなかった」との見方があったほか、「来年、米消費や生産が減速する」と述べたことが材料視されたようだ。
「米国で利上げ局面が終了したとの見方は根強く、ドルの戻りを売りたい向きは多い」との指摘もあった。
ユーロドルは小幅ながら3日続落。
終値は1.0884ドルと前営業日NY終値(1.0888ドル)と比べて0.0004ドル程度のユーロ安水準だった。
今週発表されたユーロ圏インフレ指標が予想を下回ったことを受けて、この日も欧州のインフレ鈍化を意識したユーロ売りが先行した。
ビルロワドガロー仏中銀総裁が「現時点では利下げを検討する用意はないが、2024年に利下げの問題を検討する可能性がある」「何らかの衝撃がない限り、利上げはもはや完了した」などと発言すると、欧州中央銀行(ECB)の利下げ転換が意識されて、ユーロ売りが加速した。
1時過ぎには一時1.0829ドルと日通し安値を更新した。
ただ、売り一巡後は買い戻しが優勢となり、4時前には1.0893ドル付近まで下げ渋った。
パウエルFRB議長が市場の早期利下げ観測をけん制しながらも、現行の金融政策を「十分に引き締め的」と表現し、「米消費や生産が減速する」との見通しを示したことでドル売りが進んだ。
ユーロ円は5日続落。
終値は159.75円と前営業日NY終値(161.37円)と比べて1円62銭程度のユーロ安水準。
欧州のインフレ鈍化を意識したユーロ売りが出たほか、仏中銀総裁の発言をきっかけにECBの利下げ転換が意識されるとユーロ売りが優勢となった。
5時前には一時159.65円と11月3日以来の安値を更新した。
【本日の東京為替見通し】ドル円、米長期金利の低下で下値模索の動きが続くか
米長期金利の低下基調が続いており、ドル円は下方向への警戒感は続くと想定される。
11月の米債券のリターンは1980年代以来最高を記録したと報じられた。
11月の米債券市場には、雇用の伸び鈍化と消費者物価指数(CPI)の鈍化が追い風となり、パウエル米連邦準備制度理事会(FRB)議長やウォラーFRB理事のハト派的発言が相場上昇に拍車をかけた。
この米長期金利の低下が12月も続くかどうかは米経済とインフレの減速および米金融当局の金利見通しの変化に関わるが、12月スタートの先週末は米10年債利回りが一時4.1956%前後と約3カ月ぶりの低水準を付けた。
先週末、パウエルFRB議長は「金融緩和の時期を推測するのは時期尚早」と述べ、早期の利下げ転換を織り込む市場をけん制し、「適切だと判断すればさらに金融政策を引き締める用意がある」とも強調した一方で、現行の金融政策を「十分に引き締め的」との見解を示した。
シカゴ・マーカンタイル取引所(CME)グループがFF金利先物の動向に基づき算出する「フェドウオッチ」によると、来年3月の米連邦公開市場委員会(FOMC)で利下げ実施の確率は6割超まで上昇している。
日銀の金融政策正常化期待は高まっておらず、円に買い材料は乏しいままだが、足もとでは米国が利上げ終了から利下げに向かうとの観測が高まっていることでドルの重い動きが続いており、ドル円は一段と調整売りに押される可能性がある。
本日は東京市場だけではなく、海外市場でも注目度の高い経済指標の発表は予定されておらず、ドル円は米長期金利や株価の動向を睨んだ動きが予想される。
米感謝祭前のドル円の下落局面では米商品先物取引委員会(CFTC)が発表した円ショートが13万249枚と約6年ぶりの大きい水準になっていることが話題になったが、CFTCが先週末に発表した11月28日時点の円ショートは10万9237枚とそれほど大きく縮小しているとは言えない。
ドル円は9月11日以来の145円台が視野に入っており、145円の大台を維持できるかどうかにも注目したい。
【本日の重要指標】 ※時刻表示は日本時間
<国内>
○08:50 ◇ 11月マネタリーベース
<海外>
○16:00 ◇ 10月独貿易収支(予想:172億ユーロの黒字)
○16:00 ◎ 11月トルコ消費者物価指数(CPI、予想:前月比3.90%/前年比63.00%)
○16:30 ◎ 11月スイスCPI(予想:前月比横ばい)
○17:45 ◎ デギンドス欧州中央銀行(ECB)副総裁、講演
○20:30 ◎ ディングラ英中銀金融政策委員会(MPC)委員、講演
○23:00 ◎ ラガルドECB総裁、講演
○24:00 ◎ 10月米製造業新規受注(予想:前月比▲2.6%)
※「予想」は特に記載のない限り市場予想平均を表す。▲はマイナス。
※重要度、高は☆、中は◎、低◇とする。
※指標などの発表予定・時刻は予告なく変更になる場合がありますので、ご了承ください。
【前日までの要人発言】
1日09:39 ホークスビーNZ中銀副総裁
「コアインフレの高止まりが不確実性をもたらしており、政策を誤る余地はほとんどない」
「インフレ期待は高まり始めており、中銀は真剣に受け止める必要がある」
2日00:09 グールズビー米シカゴ連銀総裁
「インフレは我々の望み通りに低下している」
「インフレ率は2%に向け順調に進んでいる」
2日00:37 ビルロワドガロー仏中銀総裁
「現時点では利下げを検討する用意はないが、2024年に利下げの問題を検討する可能性がある」
「何らかの衝撃がない限り、利上げはもはや完了した」
「ディスインフレのプロセスが予想以上に速い」
2日01:02 パウエル米連邦準備理事会(FRB)議長
「金融緩和の時期を推測するのは時期尚早」
「FOMCは慎重姿勢、リスクはより均衡している」
「政策金利は景気抑制的な領域に深く入った」
「適切であれば追加引き締めの用意がある」
「インフレ率は依然として目標を大きく上回っているが、正しい方向に進んでいる」
「今年の成長率の上昇には驚いた」
「今すべき正しいことは慎重に行動すること」
※時間は日本時間
〔日足一目均衡表分析〕
<ドル円=一目均衡表の主要指標がすべて売り示唆>
大陰線引け。
一目均衡表・転換線や90日移動平均線が位置する148円付近から下振れ、9月12日以来の安値146.66円まで下落が進んだ。
一目・雲を下抜け、一目均衡表の主要指標はすべて売り示唆へ転換している。
9月11日安値145.91円などを目先のめどに下値を探る動きが続くか。
レジスタンス1 147.30(5日移動平均線)
前日終値 146.82
サポート1 145.91(9/11安値)
サポート2 145.59(ピボット・サポート2)
<ユーロドル=21日線割れ水準で下げ渋る>
下影極小陰線引け。
11月17日以来の安値1.0829ドルまで売りが先行した。
しかし上昇中の21日移動平均線を割り込んだ同水準では下げ渋り、1.0884ドルで週の取引を終えた。
週明け1.0849ドルへ切り上がった21日線を割り込む場面もありそう。
ただ先週末の安値付近は下げ渋りのポイントになるか。
戻り局面では一目均衡表・転換線1.0923ドルが重しになるとみる。
レジスタンス1 1.0923(日足一目均衡表・転換線)
前日終値 1.0884
サポート1 1.0829(12/1安値)
<ユーロ円=雲意識した軟調推移を予想>
大陰線引け。
一目均衡表・基準線161.00円付近で下げ渋りきれず下落が進んだ。
11月3日以来の160円割れとなった。
週明けも下値を探る動きが続き、11月2日以来の安値圏で推移。
159円前後で推移する90日移動平均線付近で下げ渋り、まだ上昇の期待を残す一目・基準線を追うような反発も期待したいところ。
だが、低下中の転換線161.60円が抵抗となりそう。
一目・雲の上限158.00円を意識した軟調な推移か。
レジスタンス1 160.60(11/30安値)
前日終値 159.75
サポート1 158.93(10/30高値)
<豪ドル円=転換線を割り込むも、やがて基準線が支えに>
下影小陽線引け。
97.70円まで下落が先行したものの、97.69円に位置していた一目均衡表・転換線を目前に反発した。
しかし、週明けは97.81円へ切り上がった転換線を割り込む動き。
同線は今週中に頭打ちとなる公算で強い動きを期待しにくい部分もある。
ただ、現水準96.66円からの上昇が見込まれる一目均衡表・基準線は今後しっかりしたサポートになってくるだろう。
レジスタンス1 98.38(11/28高値)
前日終値 98.01
サポート1 97.24(11/30安値)
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