本日の東京為替見通し(為替/FXニュース):ドル円、米指標に一喜一憂も日銀金融緩和継続期待から下値限定か(2024年2月16日)

マーケットレポート

February 16, 2024

【前日の為替概況】ユーロドル、続伸 ECB総裁が利下げを急がないよう警告

15日のニューヨーク外国為替市場でユーロドルは続伸。
終値は1.0772ドルと前営業日NY終値(1.0727ドル)と比べて0.0045ドル程度のユーロ高水準となった。
ラガルド欧州中央銀行(ECB)総裁が欧州議会で「賃金の上昇がこれまで以上に重要なインフレ要因になっている」「インフレ率が2%へ向かっている証拠はまだ不十分」「インフレが上昇する可能性が残されているため、早急な決断は避けたい」と述べ、利下げを急がないよう警告するとユーロを買い戻す動きが先行した。
NYの取引時間帯に入り、1月米小売売上高や同月米鉱工業生産が予想を下回ったこと伝わると全般ドル売りが加速。
0時30分前には一時1.0785ドルと日通し高値を付けた。

ただ、一時は4.18%台まで低下した米10年債利回りが4.25%台まで上昇すると伸び悩んだ。
2時前には1.0755ドル付近まで下押しする場面があった。

なお、主要通貨に対するドルの値動きを示すドルインデックスは一時104.18と日通し安値を付けたものの、そのあとは104.45付近まで下げ渋った。

ドル円は続落。
終値は149.93円と前営業日NY終値(150.58円)と比べて65銭程度のドル安水準だった。
米小売指標の下振れをきっかけに円買い・ドル売りが先行すると、22時30分過ぎに一時149.57円と日通し安値を付けた。

ただ、日米金融政策の方向性の違いに着目した円売り・ドル買いは出やすく、下押しは限定的だった。
2月米NY連銀製造業景気指数や前週分の米新規失業保険申請件数などが予想よりも強い内容となったことも相場を下支えした。
米長期金利が低下幅を縮めたことも買い戻しを促し、1時30分過ぎには150.25円付近まで下げ渋った。

ユーロ円はほぼ横ばい。終値は161.52円と前営業日NY終値(161.53円)と比べて1銭程度のユーロ安水準。
欧州市場序盤には160.92円まで値を下げたものの、売り一巡後は買い戻しが優勢に。
フランスやドイツの株価指数が史上最高値を更新するなど、欧州株相場が底堅く推移すると、リスク・オンの円売り・ユーロ買いが出た。
ナイト・セッションの日経平均先物が大証終値比450円高の3万8590円まで上昇したことも買いを促し、一時161.65円と日通し高値を更新した。

【本日の東京為替見通し】ドル円、米指標に一喜一憂も日銀金融緩和継続期待から下値限定か

本日の東京為替市場では、週末とあって様子見ムードが高まるなか、日経平均株価や時間外の米長期金利の動向を睨みながらの展開が想定される。

昨日のNY市場では1月米小売売上高は前月比0.8%減と昨年3月以来10カ月ぶりの大幅な落ち込みとなったが、冬の悪天候が影響した可能性があるほか、季節的なテクニカル要因があるとして一時的な現象に過ぎないとの見方が出ている。
また、同時に発表された1月米輸入物価指数や前週分の新規失業保険申請件数などは強い結果となり、ドルは下落して反応した後にすぐに反発するなど、米指標に対して敏感に反応している。
本日も1月米卸売物価指数(PPI)や2月米消費者態度指数(ミシガン大調べ、速報値)など重要指標が予定されるため、東京市場では様子見姿勢が強まる可能性はあるだろう。

ただ、ドル円に関しては下サイドでの買い意欲は依然として旺盛である。
その背景としては、内田日銀副総裁が8日に緩和的な金融緩和を維持する姿勢を示して以降、日銀の金融政策修正への思惑が一段と低下していることが挙げられる。
また、昨日には10-12月期実質国内総生産(GDP)速報値が予想外のマイナス成長となり、事実上のリセッション入りとなったため、「日銀が政策を早期に修正するのに一段と慎重にならざるを得ないのでは」との声が聞かれている。

なお、直近のシカゴ・マーカンタイル取引所(CME)グループがFF金利先物の動向に基づき算出する「フェドウオッチ」では、3月米連邦公開市場委員会(FOMC)でのFF金利誘導目標5.25-50%の据え置きは依然としてほぼ確実視されている。
また、5月FOMCでのFF金利誘導目標の据え置き確率は61%前後と前日からほぼ変わっていない。

本日は8時50分に対外対内証券売買契約等の状況、13時30分に12月第三次産業活動指数が予定されているが、いずれも相場を動意づけるには材料に乏しく、基本的には株価や米金利、そして本邦実需勢のフローに左右される展開となるだろう。
特に、昨日は輸出企業の売りが目立っていたとされており、本日も上値を抑える要因となるかどうかに注目したい。

【本日の重要指標】 ※時刻表示は日本時間

<国内>
○08:50 ◇ 対外対内証券売買契約等の状況(週次・報告機関ベース)
○13:30 ◇ 12月第三次産業活動指数(予想:前月比0.2%)

<海外>
○09:00 ◎ ボスティック米アトランタ連銀総裁、講演
○16:00 ◇ 1月独卸売物価指数(WPI)
○16:00 ◎ 1月英小売売上高(自動車燃料含む、予想:前月比1.5%/前年比▲1.4%)
○16:00 ◎ 1月英小売売上高(自動車燃料除く、予想:前月比1.7%/前年比▲1.6%)
○16:30 ◇ 10-12月期スイス鉱工業生産
○16:45 ◇ 1月仏消費者物価指数(CPI)改定値(予想:前月比▲0.2%/前年比3.1%)
○17:45 ◎ シュナーベル欧州中央銀行(ECB)専務理事、講演
○19:30 ◎ ロシア中銀、政策金利発表(予想:16.00%で据え置き)
○22:00 ◎ バーキン米リッチモンド連銀総裁、講演
○22:30 ◇ 12月カナダ卸売売上高(予想:前月比0.8%)
○22:30 ◇ 12月対カナダ証券投資
○22:30 ◎ 1月米卸売物価指数(PPI、予想:前月比0.1%/前年比0.6%)
    ◎  食品とエネルギーを除くコア指数(予想:前月比0.1%/前年比1.6%)
○22:30 ◎ 1月米住宅着工件数(予想:145.8万件、前月比▲0.2%)
     ◎    建設許可件数(予想:151.4万件、前月比1.4%)
○23:10 ◎ バー米連邦準備理事会(FRB)副議長(銀行監督担当)、講演
○24:00 ◎ 2月米消費者態度指数(ミシガン大調べ、速報値、予想:80.0)
○17日02:10 ◎ デイリー米サンフランシスコ連銀総裁、講演
○17日04:40 ◎ ピル英中銀金融政策委員会(MPC)委員兼チーフエコノミスト、講演
○中国(旧正月)、休場

※「予想」は特に記載のない限り市場予想平均を表す。▲はマイナス。
※重要度、高は☆、中は◎、低◇とする。
※指標などの発表予定・時刻は予告なく変更になる場合がありますので、ご了承ください。

【前日までの要人発言】

15日10:43 新藤経済財政・再生相
「日銀は個人消費含め様々な指標や先行きリスク含め総合的に政策を判断」
「名目GDPでドイツが上回った、さらなる構造改革が一刻も早く必要」
「為替の円安やドイツの物価上昇率の高さも要因」
「金融政策の具体的手法は日銀にゆだねられるもの」
「政府としては密接な連携のなかで賃金上昇を伴う物価目標の達成へ適切な金融政策を期待」

15日17:08 ラガルドECB総裁
「欧州中央銀行(ECB)はインフレ率が2%に向かうとの確信が必要」
「データは、引き続き、低調な経済活動を示唆している」
「ECBはデータ依存のアプローチを継続する」
「2024年を通じて、ディスインフレが緩やかに続く見通し」
「インフレを左右する要因として、賃金の重要性が増している」
「インフレが2%に向かいつつあることを示す追加データが必要」
「インフレが再び上昇に向かうというリスクを負いたくない」
「インフレ率が2%へ向かっている証拠はまだ不十分」
「欧州中央銀行(ECB)は、早急な決断は避けたい」
「インフレが上昇する可能性が残されているため、早急な決断は避けたい」
「ECBの拙速な決定は望ましくない」

15日18:31 デコス・スペイン中銀総裁
「インフレは、2025年から2026年にかけて2%程度へ低下する見通し」
「次の金融政策の決定は、利下げになる見通し」

15日20:59 ナーゲル独連銀総裁
「早過ぎる利下げは、遅過ぎるより悪いことを歴史が示唆」

15日22:45 グリーン英中銀(BOE)金融政策委員会(MPC)委員
「英国の賃金成長は正しい方向に進んでいる」
「インフレ率は一時的に2%まで下がると予想している」
「インフレが2%に達したとしても、もし再び上昇すれば勝利宣言はできない」

15日23:22 ブレイナード米国家経済会議(NEC)委員長
「米国経済は客観的に見てとても良い」
「パンデミックの時に価格を引き上げた食料品店や小売業者が、価格を下げるときに来ている」
「米国経済は英国や日本と同じ道をたどらず、景気後退の予測を覆すだろう」

16日00:12 マン英中銀(BOE)金融政策委員会(MPC)委員
「賃金上昇は緩やかになっているが、CPI目標には高すぎる」
「サービスインフレは鈍化しているが道のりは長い」

16日02:10 シクルーナ・マルタ中銀総裁(ECB政策委員会メンバー)
「インフレ率が低下すれば、3月の利下げもあり得る」

16日03:19 ウォラー米連邦準備理事会(FRB)理事
「ドルが準備通貨としての地位を失うとは思わない」
「ドルは中国の脅威に耐えるべき」
*事前原稿では金利について言及なし

16日03:57 オアNZ準備銀行(RBNZ)総裁
「中期的な焦点を当てたインフレ目標への柔軟なアプローチが引き続き適切」
「コアインフレ率を1-3%の目標に合わせることが、インフレ率を中間点の2%に戻す上で重要な部分となる」

※時間は日本時間

〔日足一目均衡表分析〕

<ドル円=5日線の上昇をともない戻すことできるか注視>

ドル円=5日線の上昇をともない戻すことできるか注視

パラメータ2.16

下影陰線引け。
高値圏でポジション調整の動きが先行し、一時149.57円まで下落した。
150円前後で推移していた5日移動平均線を下回ってNYを引けている。

目先のすう勢を示す5日線は本日150.12円前後へ切り上がって推移。
同線へ追随するように戻りを試すことができるか注視したい。
下値を探る場面があっても、上昇傾向が続く見込みの一目均衡表・転換線149.26円が支えになるとみる。

レジスタンス1 150.58(2/15高値)
前日終値 149.93
サポート1 149.26(日足一目均衡表・転換線)
サポート2 148.80(1/19高値)

<ユーロドル=転換線の低下再開を回避したい>

ユーロドル=転換線の低下再開を回避したい

パラメータ2.16

陽線引け。
1.0751ドルへ低下した一目均衡表・転換線を上抜け、1.0785ドルまで上昇した。
上抜けた転換線はしばらく現水準で横ばいとなる公算。
時間をかけすぎずにレンジを切り上げ、転換線の低下再開を回避したいところ。
転換線付近の底堅さを背景とした戻り基調を確認する面といえる。

レジスタンス1 1.0841(日足一目均衡表・基準線)
前日終値 1.0772
サポート1 1.0695(2/14安値)

<ポンド円=転換線近辺の底堅さ背景に上値試す展開想定>

ポンド円=転換線近辺の底堅さ背景に上値試す展開想定

パラメータ2.16

下影小陰線引け。
13日につけた2015年8月以来の高値190.08円を天井とした調整が188.02円まで進んだ。
週初12日以来の188円割れは目前で回避。
189円付近へ戻した。
上昇が続く見込みの一目均衡表・転換線188.13円近辺の底堅さも期待でき、再び高値更新を目指し上値を試す展開を想定する。

レジスタンス1 189.42(ピボット・レジスタンス1)
前日終値 188.91
サポート1 188.02(2/15安値)

<NZドル円=下値の切り上がり好感できる>

NZドル円=下値の切り上がり好感できる

パラメータ2.16

極小陰線引け。
気迷いを示す足型を形成している。
調整も進みやすい高値圏だが、長めの下ひげをともなう足型を形成して下値を切り上げている状態は好感できる。
一目均衡表・転換線もやがて切り上がりサポートを固めてきそう。
底堅い動きが続くとみる。

レジスタンス1 91.87(2/9高値=年初来高値)
前日終値 91.56
サポート1 91.06(2/13安値)

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