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本日の東京為替見通し(為替/FXニュース):「第1の力」としての2月輸入物価指数に要注目か(2024年3月12日)

マーケットレポート

March 12, 2024

【前日の為替概況】ドル円、欧州市場の安値146.49円から147.15円付近まで反発

11日のニューヨーク外国為替市場でドル円は小幅ながら5日続落。
終値は146.95円と前営業日NY終値(147.06円)と比べて11銭程度のドル安水準だった。
日銀が上場投資信託(ETF)買い入れを見送ったことを受けて、欧州時間に日経平均先物の下落とともに一時146.49円まで売られた影響が残った。

ただ、NY市場に限れば下値の堅さが目立った。
前週末の安値146.49円や一目均衡表雲の上限146.12円がサポートとして意識されると買い戻しが優勢に。
米長期金利の指標となる米10年債利回りが上昇に転じたことも相場の支援材料となり、24時前に147.15円付近まで値を上げた。
もっとも、週明け早朝取引で付けた日通し高値147.16円を上抜けることは出来なかった。

ユーロドルは小幅続落。
終値は1.0926ドルと前営業日NY終値(1.0939ドル)と比べて0.0013ドル程度のユーロ安水準だった。
米長期金利の上昇をきっかけにユーロ売り・ドル買いが先行すると、前週末の安値1.0921ドルを下抜けて一時1.0915ドルまで値を下げた。
ただ、売り一巡後はじりじりと下値を切り上げ、1.0930ドル付近まで下げ渋った。
明日12日の2月米消費者物価指数(CPI)の発表を前にポジションを傾けにくい面もあった。

ユーロ円は5日続落。
終値は160.55円と前営業日NY終値(160.86円)と比べて31銭程度のユーロ安水準。
日銀の早期政策修正観測が高まる中、日経平均先物の下落に伴う円買い・ユーロ売りが入ると、欧州時間に一時160.22円と2月8日以来約1カ月ぶりの安値を付けた。
ナイト・セッションの日経平均先物は大証終値比440円安の3万8090円まで下落する場面があった。

ただ、そのあとはドル円とユーロドルの値動きの影響を同時に受けたため、相場は方向感に乏しい展開となった。

代表的な暗号資産(仮想通貨)であるビットコインは堅調。
対ドルで一時7万2880ドル前後、対円で1068万円台と史上最高値を更新した。
英規制当局が機関投資家向けの仮想通貨の上場投資証券(ETN)の上場を許可したことが買いを誘った。
かつてビットコインをはじめとする暗号資産に懐疑的だったトランプ前大統領が「大統領としてビットコインやその他の仮想通貨を取り締まらない」との意向を示したことも好感された。

【本日の東京為替見通し】「第1の力」としての2月輸入物価指数に要注目か

本日の東京外国為替市場のドル円は、日本2月の輸入物価指数を見極めた後は、今夜発表される米2月消費者物価指数(CPI)を控えて動きづらい展開が予想される。
すなわち、本日は、日米の物価指数の発表という債券版の「スーパー・チューズデー」となるため、サプライズには警戒しておきたい。

8時50分に発表される2月の企業物価指数では、「第1の力」としての輸入物価指数に要注目となる。
輸入物価指数(円ベース)は、2022年7月に前月比+2.8%、前年比+49.2%のピーク(※前年比)を記録して以来、2024年1月は前月比+0.2%、前年比-0.2%まで低下してきている。

植田日銀総裁は、物価を押し上げる主役が「第1の力」から「第2の力」に徐々にバトンタッチし、賃金と物価の好循環が強まっていく姿をメインシナリオと考えている。
「第1の力」である輸入物価上昇の価格転嫁が収まり、「第2の力」である賃金が上昇して物価の緩やかな上昇に繋がるメカニズムは、明日13日の春闘の集中回答、15日の春闘の第1次集計結果で可能性が高まることが見込まれている。
連合は、組合側の要求した賃上げ率の平均が昨年同時期を上回る5.85%だったと発表している。

今夜発表される米2月消費者物価指数(CPI)は、前月比+0.4%、前年比3.1%と予想されており、1月の前月比+0.3%から伸び率上昇、前年比+3.1%とは伸び率は変わらずと見込まれている。
1月のCPIはコア指数が前月比+0.4%と想定外の強い数字だったことで、CPIショックが市場を攪乱させた。
2月のCPIでは、1月の数字が一時的な攪乱だったのか否かを確認することになる。
1月分のCPIでは、住宅関連を除いたサービスのスーパーコアの前月比は+0.85%だった。

パウエルFRB議長は、先週の上院での議会証言で、インフレ率が目標の2%に向けて低下しているとの「確信が強まるのを待っている」とした上で、その確信が得られた「今からそう遠くない(Not Far)時点で、利下げを開始するのが適切になる」と発言した。

先週末に発表された米2月の雇用統計では、非農業部門雇用者数は前月比27.5万人増だったものの、過去2カ月分が16.7万人下方修正された。
そして、失業率は3.9%へ上昇し、平均時給は前月比+0.1%、前年比+4.3%と予想や1月の上昇幅を下回っていた。

2月のCPIと雇用統計をあわせて、来週の19-20日の米連邦公開市場委員会(FOMC)で、利下げ時期を協議することになる。
スワップ市場では6月からの利下げ開始がほぼ確実視されており、今後1年間で各0.25%、計4回(1.00%)の政策金利引き下げが見込まれている。

【本日の重要指標】 ※時刻表示は日本時間

<国内>
○08:50 ◇ 2月企業物価指数(予想:前月比0.1%/前年比0.5%)
○08:50 ◇ 1-3月期法人企業景気予測調査

<海外>
○09:30 ◇ 2月豪NAB企業景況感指数
○16:00 ◎ 2月独消費者物価指数(CPI)改定値(予想:前月比0.4%/前年比2.5%)
○16:00 ◎ 2月英雇用統計(失業率/失業保険申請件数推移)
○16:00 ◎ 11-1月英失業率(ILO方式、予想:3.8%)
○16:00 ◇ 1月トルコ鉱工業生産
○16:00 ◇ 1月トルコ経常収支(予想:28.0億ドルの赤字)
○20:00 ◎ マン英中銀金融政策委員会(MPC)委員、講演
○21:00 ◎ 1月インド鉱工業生産(予想:前年同月比4.1%)
○21:00 ◎ 2月インド消費者物価指数(CPI、予想:前年比5.02%)
○21:00 ◎ 2月ブラジルIBGE消費者物価指数(IPCA、予想:前年同月比4.44%)
○21:00 ◇ 1月メキシコ鉱工業生産(季調済、予想:前月比0.5%)
○21:30 ☆ 2月米消費者物価指数(CPI、予想:前月比0.4%/前年比3.1%)
     ☆ エネルギーと食品を除くコア指数(予想:前月比0.3%/前年比3.7%)
○13日02:00 ◎ 米財務省、10年債入札
○13日03:00 ◎ 2月米月次財政収支(予想:2990億ドルの赤字)

※重要度、高は☆、中は◎、低◇とする。
※指標などの発表予定・時刻は予告なく変更になる場合がありますので、ご了承ください。

>本日発表予定のその他の経済指標についてはこちら

【前日までの要人発言】

11日09:17 駐豪中国大使
「豪州産ワインに対する関税の再検討が順調に進んでいる」

11日18:37 カジミール・スロバキア中銀総裁
「現時点での利下げは時期尚早」
「利下げへの自信は6月にしか出てこない」
「インフレの減速は依然として不透明」

11日22:18 マクルーフ・アイルランド中銀総裁
「政策スタンスを徐々に変えることが調整の最善の方法」

12日03:31 マン英中銀金融政策委員会(MPC)委員
「サービスインフレに関する中銀の予測は強気のようだ」
「インフレが2%の目標と一致するまでには長い道のりがある」

※時間は日本時間

>本日の要人発言をリアルタイムで確認するならこちら

〔日足一目均衡表分析〕

<ドル円=3/8の高値を抵抗に戻り売りスタンス>

ドル円0312

パラメータ0312

陰線引け。
転換線は基準線を下回り、遅行スパンは実線を下回り、雲の上で引けているものの、売りシグナルが優勢な展開となっている。
5手連続陰線で転換線を下回って引けており続落の可能性が示唆されている。
本日は8日の高値を抵抗に戻り売りスタンスで臨み、同水準を上抜けた場合は手仕舞い。

レジスタンス2 148.61(日足一目均衡表・転換線)
レジスタンス1 148.12(3/8高値)
前日終値 146.95
サポート1 146.13(日足一目均衡表・雲の上限)
サポート2 144.96(日足一目均衡表・雲の下限)

>ドル円のリアルタイムチャートはこちら

<ユーロドル=雲の下限を支持に押し目買いスタンス>

ユーロドル0312

パラメータ0312

陰線引け。
転換線は基準線を上回り、遅行スパンは実線を上回り、雲の中で引けているものの、買いシグナルが優勢な展開となっている。
5手連続陽線の後に2手連続陰線で反落したものの、依然として転換線1.0889ドルを上回って引けており反発の可能性が示唆されている。

本日は雲の下限を支持に押し目買いスタンスで臨み、同水準を下抜けた場合は手仕舞い。

レジスタンス1 1.1046(1/2高値)
前日終値 1.0926
サポート1 1.0849(日足一目均衡表・雲の下限)

>ユーロドルのリアルタイムチャートはこちら

<ユーロ円=転換線を抵抗に戻り売りスタンス>

ユーロ円0312

パラメータ0312

陰線引け。
転換線は基準線を上回り、遅行スパンは実線を上回り、雲の上で推移していることで、三役好転の強い買いシグナルが点灯している。
しかし、5手連続陰線で転換線を下回って引けており続落の可能性が示唆されている。

本日は転換線を抵抗に戻り売りスタンスで臨み、同線を上抜けた場合は手仕舞い。

レジスタンス1 161.87(日足一目均衡表・転換線)
前日終値 160.55
サポート1 159.00(日足一目均衡表・雲の上限)

>ユーロ円のリアルタイムチャートはこちら

<豪ドル円=基準線を抵抗に戻り売りスタンス>

豪ドル円0312

パラメータ0312

陰線引け。
転換線は基準線を下回っているものの、遅行スパンは実線を上回り、雲の上で引けていることで、買いシグナルが優勢な展開となっている。
しかし、3手連続陰線で転換線を下回って引けており続落の可能性が示唆されている。

本日は基準線を抵抗に戻り売りスタンスで臨み、同線を上抜けた場合は手仕舞い。

レジスタンス1 97.67(日足一目均衡表・基準線)
前日終値 97.18
サポート1 96.65(日足一目均衡表・雲の上限)

>豪ドル円のリアルタイムチャートはこちら

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