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本日の東京為替見通し(為替/FXニュース):ドル円、上値トライは一旦休止か オセアニア・欧州等は実質月末に(2024年3月28日)

マーケットレポート

March 28, 2024

【前日の為替概況】ドル円、1990年7月以来の高値更新後に反落

27日のニューヨーク外国為替市場でドル円は反落。
終値は151.33円と前営業日NY終値(151.56円)と比べて23銭程度のドル安水準だった。
田村直樹日銀審議委員の発言がハト派的と受け止められたことをきっかけに、東京市場では一時151.97円と1990年7月以来約33年8カ月ぶりの高値を付けた。

ただ、これを受けて財務省・金融庁・日銀による3者会合が開催されると、政府・日銀による為替介入への警戒感が高まり一転下落した。
神田財務官が「過度な為替変動に対してあらゆる手段を排除せずに適切な対応をとる」「(介入の可能性について)文字通りあらゆる手段を排除しない」と述べたことも相場の重しとなり、20時30分過ぎには一時151.03円と日通し安値を更新した。

もっとも、そのあとは次第に値動きが鈍った。
本日は重要な米経済指標の発表などもなく、米長期金利の動向などを眺めて151円台前半から半ばでの狭いレンジ取引に終始した。
29日の2月米PCEデフレーターなど、注目度の高いインフレ指数の発表を控えて様子見ムードも広がった。

ユーロドルは小幅続落。
終値は1.0828ドルと前営業日NY終値(1.0831ドル)と比べて0.0003ドル程度のユーロ安水準だった。
月末・期末が近づく中、対欧州通貨中心にドル買いが先行すると一時1.0811ドルと日通し安値を付けたものの、イースター(復活祭)の連休を前に積極的な売買は手控えられたため下値も限定的だった。
今日一日の値幅は0.0028ドル程度と小さかった。

ユーロ円は3営業日ぶりに反落。
終値は163.75円と前営業日NY終値(164.16円)と比べて41銭程度のユーロ安水準。
アジア時間に一時164.42円と本日高値を付けたものの、21時過ぎには為替介入への警戒感から163.44円の本日安値まで一転下落した。
ただ、そのあとは163円台後半で値動きが細った。
ドル円と似た動きとなった。

【本日の東京為替見通し】ドル円、上値トライは一旦休止か オセアニア・欧州等は実質月末に

本日のドル円は151円を中心に神経質な動きになりそうだ。
昨日は1990年以来の高値を更新したが、152円にあるオプションの防戦売りのうわさなどで大台超えには失敗。
しかしながら、日銀内でタカ派とされる田村日銀審議委員と植田日銀総裁が相次いで「緩和的な金融環境が続く」と発言していることで、ドル円は本日も一定の底堅さを保てるだろう。

また、データ的にも2月消費者物価指数(CPI)の基調インフレが低下傾向にあることは円安要因。
植田総裁は「月次の家計のマインド指標は賃上げの期待もあり緩やかに改善」と述べたものの、3月時点での調査でも、物価上昇を上回る賃上げとの回答が2割程度しかなかった。
早急な家計マインドの改善は難しく、そうなると追加利上げの可能性も高まりづらい。

日銀は先週の政策決定会合で17年ぶりの利上げを行った。
その後21日にスイス中銀が利下げし、スイスフランは急落。
日銀の利上げにもかかわらず、円はフラン同様に低金利のキャリートレードに利用される通貨という位置付けから脱することが出来ないことも円安のトレンドとして残る。

もっとも本日に関しては、東京市場で再び152円を狙いに行くのも難しいか。
円売り要因が豊富にあり、この数日は日経新聞も円安についての記事を全面に出して掲載している。
しかしながら市場からは、同新聞に為替の記事が出た時はトレンドが一旦終了する前兆との声も聞かれる。
新聞に記載されるころは、市場のポジションが傾き過ぎていることが多いからだ。
22日から151円を割り込めずにいるが、大台割れとなれば円ショートの調整が入ってもおかしくない。

市場の方向感が出にくい要因としては、イースター休暇を控えていること。
明日はオセアニア市場(豪・NZ)、アジア市場(香港、シンガポール)、欧州の主要市場(独・仏・英・スイスほか)が休場、米国も債券や株式などは休場であり、明日の為替市場はほぼ日・中・米のみでの取引となる。

休場を前にし、欧米の月末・期末・年度末の特殊玉が一日前倒しで本日の市場に持ち込まれる可能性が高い。
また、明日は本邦全国CPIの先行指標となる3月東京都区部CPIや、米国時間には米連邦準備理事会(FRB)が最も注目しているインフレ指標でもある、2月個人消費(PCE)デフレーターの発表が予定されてもおり、日米以外の投資家は連休前にポジション調整も入りやすく、ニュース等にとらわれずに市場が上下することになりそうだ。

【本日の重要指標】 ※時刻表示は日本時間

<国内>
○08:50 ◇ 対外対内証券売買契約等の状況(週次・報告機関ベース)
○08:50 ◇ 日銀金融政策決定会合における主な意見(3月18-19日分)

<海外>
○07:00 ◎ ウォラー米連邦準備理事会(FRB)理事、講演
○09:00 ◇ 3月ANZ企業信頼感
○09:30 ◎ 2月豪小売売上高(予想:前月比0.4%)
○16:00 ◎ 2月独小売売上高(予想:前月比0.3%/前年比▲0.8%)
○16:00 ☆ 10-12月期英国内総生産(GDP)改定値(予想:前期比▲0.3%/前年比▲0.2%)
○16:00 ◇ 10-12月期英経常収支(予想:214億ポンドの赤字)
○17:00 ◇ 3月スイスKOF景気先行指数(予想:102.0)
○17:55 ◎ 3月独雇用統計(予想:失業率5.9%/失業者数変化1.00万人)
○18:00 ◎ パネッタ伊中銀総裁、講演
○18:30 ◇ 2月南アフリカ卸売物価指数(PPI、予想:前月比0.9%/前年比4.9%)
○21:00 ◎ 2月南アフリカ貿易収支(予想:86億ランド黒字)
○21:30 ☆ 1月カナダGDP(予想:前月比0.4%/前年比0.8%)
○21:30 ☆ 10-12月期米国内総生産(GDP)確定値(予想:前期比年率3.2%)
○21:30 ◎ 10-12月期米個人消費(確定値、予想:前期比年率3.0%)
○21:30 ◎ 10-12月期米コアPCE(確定値、予想:前期比年率2.1%)
○21:30 ◎ 前週分の米新規失業保険申請件数/失業保険継続受給者数(予想:21.2万件/181.5万人)
○22:45 ◎ 3月米シカゴ購買部協会景気指数(予想:46.0)
○23:00 ◎ 2月米住宅販売保留指数(仮契約住宅販売指数、予想:前月比1.5%/前年比なし)
○23:00 ◎ 3月米消費者態度指数(ミシガン大調べ、確報値、予想:76.5)
○29日02:30 ◎ ビルロワドガロー仏中銀総裁、講演
○米債券市場は短縮取引(聖金曜日の前営業日)
○ノルウェー、メキシコ(聖木曜日)、休場

※重要度、高は☆、中は◎、低◇とする。
※指標などの発表予定・時刻は予告なく変更になる場合がありますので、ご了承ください。

>本日発表予定のその他の経済指標についてはこちら

【前日までの要人発言】

27日10:10 田村日銀審議委員
「政策正常化の一歩を踏み出したが、副作用残る状況が続く」
「当面緩和的な金融環境が継続する」
「国債買い入れの継続は能動的ではなく、不連続を避けるため」

27日14:18
「為替の経済への影響、主体によってさまざま」
「為替、具体的にコメントすることは差し控えたい」
「経済のファンダメンタルズに沿って安定的に推移が望ましい」
「経済や物価の情勢を踏まえて適切な金融政策運営に努めていきたい」
「為替相場、互いの国のファンダメンタルズや見通しを総合的に反映したものが現在の相場」
「短期金利、経済・物価情勢点検して物価目標の観点から適切な水準に設定していくことに尽きる」
「米国のように1年間で5%利上げということになるとは考えていない」
「どこまで上げていくか、確たることは現時点では言えない」
「経済状況が悪化する場合、必要があればマイナス金利やYCCを含めて適切な金融政策を行っていく」

27日11:00 植田日銀総裁
「実質賃金の伸び率は次第にプラスに転化」
「月次の家計のマインド指標は賃上げの期待もあり緩やかに改善」

27日13:42
「為替相場の動きにコメントすることは控える」
「為替は経済、物価に重要な影響を与える」
「(円安について)経済への影響を十分注視」
「現時点の経済・物価見通し前提にすると当面、緩和的な金融環境続く」
「短期金利を中心に金融緩和を継続することが重要」
「長期金利が上昇する場合は機動的に買い入れオペ実施」
「短期金利が0-0.1%は緩和的な水準、物価目標達成に至る可能性は高い」
「経済物価情勢が悪化すれば、あらゆる手段の利用は排除しない」
「いずれどこかで国債保有は減額していく」

27日12:14 鈴木財務相
「(円相場について)高い緊張感をもって見ている」
「行き過ぎた動きにあらゆる手段を排除せず断固たる措置」
「外国為替の安定確保のために万全の対応をする」
「金融政策の具体的な運営は日銀にゆだねられている」

27日14:48 カザークス・ラトビア中銀総裁
「慎重かつ段階的に金利を引き下げる」
「6月利下げとの市場の見方に反対せず」

27日15:27 神田財務官
「為替について声明を出す予定ない」

27日18:49
「円安の背景に投機的な動きがあることは明らか」
「3者会合では過度な変動が望ましくないことを確認」
「(過度な為替変動に対して)あらゆる手段を排除せずに適切な対応をとる」
「(介入の可能性について)文字通りあらゆる手段を排除しない」
「ドル円、2週間で4%はなだらかものとは到底言えない」

27日16:16 林官房長官
「(為替市場の動向)しっかり注視」
「(円安に)万全の対応取る」

27日19:40 チポローネECB専務理事
「ユーロ圏賃金指標は、利下げを正当化」
「インフレ率が適切なタイミングで目標に到達するという確信が強まるにつれて、政策金利を調整する根拠も強まる」

※時間は日本時間

>本日の要人発言をリアルタイムで確認するならこちら

〔日足一目均衡表分析〕

<ドル円=1990年以来の高値更新で達成感でたか見極め>

ドル円3.28

パラメータ3.28

陰線引け。
目先の上値めど2022年高値を2銭だけ上回り、1990年7月以来の水準となる151.97円をつけた。
ただしその後は伸び悩み151円前半まで反落する場面があった。

152円台乗せには失敗したものの、高値更新で達成感が出たのかを見極める展開に。
先週末以降に下げ止まっている151円を割り込むようであれば、昨年11月高値とのダブルトップが徐々に意識されそうだ。

レジスタンス2 152.80(ピボット・ターニングポイント)
レジスタンス1 152.30(1990/7/6高値)
前日終値 151.33
サポート1 150.44(日足一目均衡表・転換線)

>ドル円のリアルタイムチャートはこちら

<ユーロドル=1.08ドル台まで上げてきた雲の下限を念頭に>

ユーロドル3.28

パラメータ3.28

小陰線引け。
1.0830ドル台の200日移動平均線辺りで頭を抑えられ、1.08ドル前半で弱含んだ。
2手連続の陰線引け。

日足一目均衡表・雲の中で伸び悩むなか、本日から1.0803ドルまで上昇してきた一目・雲の下限やほぼ同水準に位置する22・25日安値を念頭に置いた取引となるだろう。
雲を割り込むようだと、強い売りシグナルとされる三役逆転が点灯する可能性が高まり、下値警戒感が一層強まりそうだ。

レジスタンス1 1.0889(日足一目均衡表・基準線)
前日終値 1.0828
サポート1 1.0762(2/19・20安値)

>ユーロドルのリアルタイムチャートはこちら

<ポンド円=一目・転換線は191円半ばまで上昇>

ポンド円3.28

パラメータ3.28

陰線引け。
週前半の高値の手前191円半ばで抑えられ190円半ばまで売り押された。
もっとも週初の安値には届かず切り返すと、191円台を回復して引けている。

日足一目・転換線が昨日高値と同水準の191.54円まで上昇。
3手ぶりの陰線ではあったものの190円台の底堅さも確かめており、転換線辺りをしっかり上抜けていければ上値余地を広げることができそうだ。

レジスタンス1 192.24(3/22高値)
前日終値 191.16
サポート1 190.35(3/25安値)

>ポンド円のリアルタイムチャートはこちら

<NZドル円=雲の下限が切り上がり、下値を意識した動きに>

NZドル円3.28

パラメータ3.28

陰線引け。
91円前半の21日移動平均線の手前で伸び悩むも、90.61円の90日線には支えられた。
3手ぶりの陰線引け。

日足一目・雲の中で方向感を探る展開が続いている。
雲の下限が本日は90.57円、明日以降は90.60円台に切り上がってくるため、下値を意識した動きとなるか。
雲の下で推移し始めるようだと、2月初旬以来の89円台が視野に入ってくる。

レジスタンス1 91.36(日足一目均衡表・転換線)
前日終値 90.80
サポート1 89.77(2/5安値)

>NZドル円のリアルタイムチャートはこちら

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