April 1, 2024
【前日の為替概況】ドル円151.18円まで弱含み、パウエルFRB議長「利下げを急ぐ必要はない」
29日のニューヨーク外国為替市場でドル円は小反落。
終値は151.35円と前営業日NY終値(151.38円)と比べて3銭程度のドル安水準だった。
米商務省が発表した2月米個人消費支出(PCE)価格指数(デフレーター)は前年比2.5%、変動が激しい食品とエネルギーを除くコアデフレーターは前年比2.8%と市場予想通りの結果となった。
ただ、3月中旬に発表された2月米消費者物価指数(CPI)や2月米卸売物価指数(PPI)が予想より強い内容だったことから、米連邦準備理事会(FRB)が重視する米PCEデフレーターの上振れを警戒する向きは多く、結果公表後はドル売りで反応。
23時30分前に一時151.18円と日通し安値を付ける場面があった。
もっとも、前日の安値151.15円や27日の安値151.03円が目先サポートとして働くとじりじりと下値を切り上げる展開に。
パウエルFRB議長がサンフランシスコ連銀で開催されたイベントで「本日のPCEデフレーターは我々の予想とほぼ一致した」としながらも、「利下げを急ぐ必要はない」との考えを改めて強調したことも相場を下支えした。
ユーロドルはほぼ横ばい。
終値は1.0790ドルと前営業日NY終値(1.0789ドル)と比べて0.0001ドル程度のユーロ高水準だった。
米インフレ指標発表後に一時1.0805ドルまで買われたものの、パウエルFRB議長の発言が伝わると1.0787ドル付近まで下押しした。
ただ、本日は聖金曜日の祝日(グッドフライデー)で欧州やカナダが休場、米国も株式・債券・商品市場が休場だったことから市場参加者が激減。
商いは低調だった。
ユーロ円は3営業日ぶりに小反発。
終値は163.30円と前営業日NY終値(163.27円)と比べて3銭程度のユーロ高水準。
グッドフライデーで海外市場がほぼ休場となったことから、市場参加者が少なく、相場の値動きは限られた。
【本日の東京為替見通し】ドル円、3月日銀短観を見極めつつ円買い介入には引き続き要警戒か
本日の東京外国為替市場のドル円は、3月調査の日銀短観を見極めた後は、引き続き本邦通貨当局のドル売り・円買い介入の可能性に警戒する展開が予想される。
8時50分に発表される3月調査の日銀短観では、大企業製造業業況判断指数(DI)は10と予想されており、前回発表値の12からの低下が見込まれている。
大企業製造業DIの低下は、日銀の緩和的な金融環境の継続を裏付けることで、数値次第では円売り材料視される可能性に警戒しておきたい。
ドル円は、先週、1990年以来の高値となる151.97円まで上昇した後、三者会合(財務省・日銀・金融庁)が開催され、神田財務官が為替介入について「常に準備はできている」と述べたことで、円買い介入への警戒感が高まっている。
2022年9月22日のドル売り・円買い介入の前も、9月7日に144.99円まで上昇した後の9月8日に三者会合が開催され、神田財務官が「(為替介入などの対応は)スタンバイな状態だ」と警告していた。
さらに、日銀が大規模緩和の見直しを決定した後の円安の動きは「反対方向という意味で強い違和感を持っている」とも述べている。
おそらく、145円台に乗せた場合には円買い介入を行うことが話し合われ、22日の145円台乗せでの円買い介入となったことが推測できるため、今回も152円台に乗せた場合の円買い介入の可能性には警戒しておきたい。
神田財務官は、投機的な円売りやボラティリティーの上昇を円買い介入の大義名分にしていた。
現状のドル円のボラティリティーを示唆するボリンジャー・バンド+2σは153.16円付近なので警戒水準ではないが、3月26日時点の投機筋の円売りポジションを示唆するIMM円売り持ち高は129106枚となっている。
また、ドル円が150円台での円安基調が続いた場合、輸入物価上昇の価格転嫁による物価上昇圧力「第1の力」が再浮上する可能性が高まることで、インフレへの警戒感が台頭する。
植田日銀総裁は、物価を押し上げる主役が「第1の力」から「第2の力」に徐々にバトンタッチし、賃金と物価の好循環が強まっていく姿をメインシナリオと考えており、「第1の力」が再浮上することは、追加利上げの可能性を高めることになる。
3月の日銀金融政策決定会合の後、植田日銀総裁は「基調的物価上昇率がもう少し上昇すれば、短期金利の水準の引き上げにつながる」と述べていた。
すなわち、円安による輸入インフレへの懸念が高まれば、先日から市場で話題になっている「日銀の追加利上げ10月、7月観測」が現実味を帯びることになる。
【本日の重要指標】 ※時刻表示は日本時間
<国内>
○08:50 ☆ 日銀・企業短期経済観測調査(短観、3月調査)
☆ 大企業製造業の業況判断指数(DI、予想:10)
◎ 大企業非製造業の業況判断指数(DI、予想:33)
◎ 大企業製造業DI・6月見込み(予想:11)
◎ 大企業非製造業DI・6月見込み(予想:30)
◎ 大企業全産業設備投資計画(前年度比、予想:9.2%)
<海外>
○10:45 ◎ 3月Caixin中国製造業購買担当者景気指数(PMI、予想:51.0)
○16:00 ◇ 3月トルコ製造業PMI
○22:45 ◎ 3月米製造業PMI改定値(予想:52.5)
○23:00 ☆ 3月米サプライマネジメント協会(ISM)製造業景気指数(予想:48.5)
○23:00 ◇ 2月米建設支出(予想:前月比0.5%)
○24:00 ◇ 3月メキシコ製造業PMI
○ニュージーランド、オーストラリア、香港、ドイツ、スイス、フランス、英国、スウェーデン、ノルウェー、ポーランド(以上、イースターマンデー)、南アフリカ(ファミリーデー)、休場
○欧州・英国は3月31日から夏時間に移行済み
※重要度、高は☆、中は◎、低◇とする。
※指標などの発表予定・時刻は予告なく変更になる場合がありますので、ご了承ください。
【前日までの要人発言】
29日09:43 鈴木財務相
「為替の過度な変動は望ましくない」
「足元での為替相場の動向への具体的な見解は控える」
「(為替について)ファンダメンタルズに沿っていない部分ある」
「(円安について)過度な変動があればあらゆる手段を排除せず、適切に対応」
「為替の水準が問題なのではなく、動きや変化に注目」
「(円安で)防衛ラインがあるわけではない」
29日15:34 神田財務官
「行き過ぎた行動に対してあらゆる手段を排除せずに適切に対応」
「為替市場の動向を高い緊張感を持って注視」
30日00:29 パウエル米連邦準備理事会(FRB)議長
「本日のPCEレポートは我々の予想とほぼ一致」
「経済は強い、早急に利下げする必要はない」
「FRBは利下げ決定について慎重になる可能性、今後も慎重になるだろう」
「昨年と同様、さらなる良好なインフレデータが必要」
「利下げの前にもっと自信を持ちたい」
「インフレが低下しなければ金利を維持することも可能」
「FRBは予想以上の景気悪化に対応できる」
「経済に悪影響を与えることなくインフレを緩和する機会がある」
「FRBの仕事は終わっていない。我々の目標はインフレ率2%」
「FRBのインフレと雇用の責務に対するリスクは現在よりバランスがとれている」
「金利がパンデミック以前の非常に低い水準に戻る可能性は低いだろう」
「長期的に金利がどこに落ち着くかを言うのは早すぎる」
※時間は日本時間
〔日足一目均衡表分析〕
<ドル円=3/21安値を支持に押し目買いスタンス>
小陰線引け。
転換線は基準線を上回り、遅行スパンは実線を上回り、雲の上で引けていることで、三役好転の強い買いシグナルが点灯中。
孕み線で反落したものの、依然として転換線を上回って引けており反発の可能性が示唆されている。
本日は転換線151.12円を念頭に置き、3月21日の安値を支持に押し目買いスタンスで臨み、同水準を下抜けた場合は手仕舞い。
レジスタンス2 152.30(1990/7/6高値)
レジスタンス1 151.97(3/27高値=年初来高値)
前日終値 151.35
サポート1 150.27(3/21安値)
サポート2 149.23(日足一目均衡表・基準線)
<ユーロドル=転換線を抵抗に戻り売りスタンス>
小陽線引け。
転換線は基準線を下回り、遅行スパンは実線を下回り、雲の下で引けていることで、三役逆転の強い売りシグナルが点灯している。
孕み線で切り返したものの転換線を下回って引けており反落の可能性が示唆されている。
本日は転換線を抵抗に戻り売りスタンスで臨み、同線を上抜けた場合は手仕舞い。
レジスタンス1 1.0856(日足一目均衡表・転換線)
前日終値 1.0790
サポート1 1.0695(2/14安値=年初来安値)
<ポンド円=上昇中の転換線を抵抗に戻り売りスタンス>
陰線引け。
転換線は基準線を上回り、遅行スパンは実線を上回り、雲の上で引けていることで、三役好転の強い買いシグナルが点灯している。
しかし、3手連続陰線で転換線を下回って引けており続落の可能性が示唆されている。
本日は上昇中の転換線を抵抗に戻り売りスタンスで臨み、同線を上抜けた場合は手仕舞い。
レジスタンス1 191.94(日足一目均衡表・転換線)
前日終値 191.03
サポート1 190.35(3/25安値)
<NZドル円=横ばいの転換線を抵抗に戻り売りスタンス>
小陽線引け。
転換線は基準線を下回り、遅行スパンは実線を下回り、雲の下で引けていることで、三役逆転の強い売りシグナルが点灯している。
孕み線で反発したものの転換線を下回って引けており反落の可能性が示唆されている。
本日は横ばいの転換線を抵抗に戻り売りスタンスで臨み、同線を上抜けた場合は手仕舞い。
レジスタンス1 91.19(日足一目均衡表・転換線)
前日終値 90.46
サポート1 89.26(2/1安値)
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DZH Finacial Research
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