本日の東京為替見通し(為替/FXニュース):ドル円、155円KOの攻防戦に注目 円買い介入の可能性には要警戒(2024年4月17日)

マーケットレポート

April 17, 2024

【前日の為替概況】ドル円154.79円まで上昇、パウエルFRB議長が利下げ時期の後退を示唆

16日のニューヨーク外国為替市場でドル円は続伸。
終値は154.72円と前営業日NY終値(154.28円)と比べて44銭程度のドル高水準だった。
ジェファーソン米連邦準備理事会(FRB)副議長が「物価上昇圧力が根強く続いた場合は、より長期間の高金利維持が正当化される」などと発言すると、米長期金利の上昇とともにドル買いが先行。
22時30分前に一時154.77円まで値を上げた。

ただ、大量のノックアウトオプションが観測されている155.00円がレジスタンスとして意識されると失速。
22時30分過ぎには一時154.04円と日通し安値を更新した。
市場では「これまで152円が防衛ラインと見られていたが、今回154円台に上昇しても円買い介入が実施されないことから、防衛ラインが155円まで引き上げられているのではないか」との見方も広がっている。

もっとも、売りの勢いはすぐに後退し持ち直した。
パウエルFRB議長がインフレについて「最近のデータはさらなる進展が見られないことを示している」「確信を得るまでにはさらに時間がかかる可能性が高い」と述べ、利下げの時期が後ろ倒しになることを示唆するとドル買いが強まり、2時30分過ぎには154.79円と1990年6月以来約34年ぶりの高値を更新した。

ユーロドルは小幅ながら5日続落。
終値は1.0619ドルと前営業日NY終値(1.0624ドル)と比べて0.0005ドル程度のユーロ安水準だった。
4月独ZEW景況感指数が予想を上回ったことを受けてユーロ買い・ドル売りが先行すると一時1.0654ドルと日通し高値を付けたものの、買い一巡後は徐々に上値を切り下げる展開に。
米長期金利の上昇に伴うユーロ売り・ドル買いが出たほか、パウエルFRB議長の発言が相場の重しとなり、2時30分過ぎには1.0601ドルと昨年11月2日以来の安値を更新した。

ただ、そのあとは1.0600ドルに観測される買いオーダーに下値を支えられて、1.0635ドル付近まで下げ渋る場面があった。

ユーロ円は続伸。
終値は164.29円と前営業日NY終値(163.91円)と比べて38銭程度のユーロ高水準。
独経済指標の上振れをきっかけに買いが先行すると164.68円と日通し高値を付けたものの、ドル円が下落したタイミングで163.94円付近まで下押しした。
そのあとは164円台前半でのもみ合いに終始した。

【本日の東京為替見通し】ドル円、155円KOの攻防戦に注目 円買い介入の可能性には要警戒

本日の東京外国為替市場のドル円は、155円のノックアウト・オプションの攻防戦に注目
また、同水準を巡る本邦通貨当局のドル売り・円買い介入の可能性に警戒する展開か。

本日からワシントンでG20財務大臣・中央銀行総裁会議が開催され、合わせて日米韓財務相会談も予定されており、円買い介入の司令塔である鈴木財務相と神田財務官が不在となる。
しかしながら、155円が本邦通貨当局の防衛ラインならば、円買い介入が断行される可能性があるため、警戒しておきたい。

神田財務官は、円買い介入の大義名分として、投機的な円売りとボラティリティー抑制を挙げている。
2022年秋の円買い介入に対して、イエレン米財務長官は「ボラティリティーを滑らかにするスムージングが目的であれば、理解できる」との認識を示していた。
ボラティリティーの拡大を示すボリンジャー・バンド+2σは、本日154.55円付近に位置している。

ドル円は、1990年以来34年ぶりの高値を更新し続けている。
そういったなか米商品先物取引委員会(CFTC)のデータでは、ヘッジファンドなど投機筋によるネットの円売り越しは162151枚(x1250万円=約2兆円)と、2007年6月26日以来(188077枚)17年ぶりの高水準だ。
当時の円・キャリートレードの残高は約23兆円だった。

2007年6月当時のドル円は124.14円を高値に反落して、2011年の変動相場制移行後の安値75.32円まで下落していった。
背景には、米国のサブプライムローンの崩壊、リーマンショック、東日本大震災などが挙げられる。

一方で現状のドル高・円安は、米連邦公開市場委員会(FOMC)による利下げ開始時期の先送り観測と日銀のゼロ金利という緩和的環境の長期化観測という日米金融政策のファンダメンタルズが背景にある。

しかしながら、ヘッジファンドなど投機筋による円売りもあることで、本邦通貨当局がドル売り・円買い介入に乗り出す可能性には警戒しておきたい。

IMM通貨先物の投機的な円売り持ちポジション(約2兆円)は、投機筋の全体のポジションの氷山の一角に過ぎない。
しかしながら、2022年秋の3回の円買い介入金額(9兆1880億円)に比べると、「勝つ介入」を目指しているらしい神田財務官に分があるように思える。
なお一部資料によれば、円・キャリートレードの残高は2月末時点で約11.5兆円となっている。

一部の市場筋は、神田財務官が介入に踏み切る「神田ライン」は、過去28日間の安値から10円上昇した水準(本日は156.49円=146.49円+10円)付近ではないか、と推測している。
また、ドル円の上昇チャネルの上限は、本日156.54円に位置している。

【本日の重要指標】 ※時刻表示は日本時間

<国内>
○08:50 ◎ 3月貿易統計(通関ベース、予想:季節調整前2999億円の黒字、季節調整済3025億円の赤字)

<海外>
○07:45 ◎ 1-3月期ニュージーランド(NZ)消費者物価指数(CPI、予想:前期比0.6%/前年比4.0%)
○15:00 ◎ 3月英CPI(予想:前月比0.4%/前年比3.1%)
○15:00 ◎ 3月英CPIコア指数(予想:前年比4.1%)
○15:00 ◇ 3月英小売物価指数(RPI、予想:前月比0.4%/前年比4.2%)
○16:00 ◇ 2月トルコ経常収支(予想:37.0億ドルの赤字)
○17:00 ◎ 3月南アフリカCPI(予想:前月比0.9%/前年比5.4%)
○18:00 ☆ 3月ユーロ圏消費者物価指数(HICP)改定値(予想:前年比2.4%)
○18:00 ☆ 3月ユーロ圏HICPコア改定値(予想:前年比2.9%)
○18:00 ◎ チポローネ欧州中央銀行(ECB)専務理事、講演
○20:00 ◇ 2月南アフリカ小売売上高(予想:前年同月比▲1.6%)
○20:00 ◇ MBA住宅ローン申請指数
○21:05 ◎ グリーン英中銀金融政策委員会(MPC)委員、講演
○21:30 ◇ 2月対カナダ証券投資
○23:30 ◇ EIA週間在庫統計
○24:00 ◎ デコス・スペイン中銀総裁、講演
○18日00:45 ◎ シュナーベルECB専務理事、講演
○18日01:00 ◎ ベイリー英中銀(BOE)総裁、講演
○18日02:00 ◎ 米財務省、20年債入札
○18日03:00 ◎ 米地区連銀経済報告(ベージュブック)
○18日03:00 ◎ ハスケル英MPC委員、講演
○18日03:00 ◎ ラガルドECB総裁、講演
○18日05:00 ◎ 2月対米証券投資動向
○20カ国・地域(G20)財務相・中央銀行総裁会議(ワシントン、18日まで)
○インド(ヒンドゥー教ラーマ神生誕日)、休場

※重要度、高は☆、中は◎、低◇とする。
※指標などの発表予定・時刻は予告なく変更になる場合がありますので、ご了承ください。

>本日発表予定のその他の経済指標についてはこちら

【前日までの要人発言】

16日08:59 鈴木財務相
「(為替相場について)しっかり注視していく」
「必要に応じて対応していく」
「G20で為替を明示的に取り上げた議題は設定されていない」

16日09:18 デイリー米サンフランシスコ連銀総裁
「インフレデータに驚くべき点はない」
「 不必要な緊急性に対して警告を発する」
「過度に強い、あるいは弱い政策対応に対して注意を促す」
「インフレ目標達成の確信が持てるまで政策対応を控えるべき」

16日10:00 林官房長官
「為替市場の動向を注視しつつ万全の対応を行いたい」
「為替介入について具体的見解を言うことは差し控える」

16日15:25 習近平・中国国家主席
(北京でのショルツ独首相との会談で)
「中国とドイツはウィンウィン協力の大きな可能性を秘めている」
「互恵協力はリスクではなく、安定した二国間関係を保証するもの」
「両国は保護主義を警戒し、生産能力の問題を客観的に検討すべき」

16日17:12 レーン・フィンランド中銀総裁
「インフレ(低下)の後退がなければ6月利下げ」
「6月の評価でインフレが目標に向かって収束していることが確認されれば、利下げする可能性がある」
「これは、地政学やエネルギー価格などでさらなる後退が起こらないことを前提としている」
「今後の金利決定により、政策が必要な限り十分に制限的なものとなることが保証される」

16日16:19 ロンバルデリ次期(英中銀、BOE)副総裁
「欧州の金利は米国よりも先に低下する公算が大きい」

16日22:07 ジェファーソンFRB副議長
「インフレ長期化なら高金利の維持も長期化へ」
「金利据え置きでもインフレ低下を予想」

16日22:08 イエレン米財務長官
「米国のインフレはピークから大幅に低下した、ただしまだやることがある」

16日22:53 ラガルド欧州中央銀行(ECB)総裁
「大きなサプライズがない限り、ECBは近く利下げするだろう」
「ECBは原油価格を注意深く監視」
「2%のインフレへの道は険しいだろう。金利低下は直線的ではない」
「ディスインフレのプロセスはECBの想定通り推移」
「利下げの道をあらかじめ約束しているわけではない」
「まだ大きな不確実性が存在する」
「ECBは慎重になる必要があり、我々の見解を確認するためにデータを検討する必要がある」
「ECBは為替レートをターゲットにしていない」

17日01:51 ビルロワドガロー仏中銀総裁
「大きな衝撃がない限り、ECBは6月6日に利下げするだろう」
「地政学リスクがコアインフレに影響を与える場合、ECBは調整する可能性がある」
「中東情勢を注意深く監視する」
「利下げペースはデータによって決定される」
「2024年、2025年には追加利下げが必要になるだろう」

17日02:09 ベイリー英中銀(BOE)総裁
「世界経済に関して非常に心強い兆しがある」
「英国は完全雇用」

17日02:19 バーキン米リッチモンド連銀総裁
「利下げの決定に時間をかけるのは賢明」
「経済は過熱していないが、もし過熱しているなら対処可能」

17日02:28 マックレム・カナダ銀行(BOC)総裁
「インフレに関して引き続き正しい方向に進んでいる」
「コアインフレの低下は物価圧力緩和を示唆」

17日02:32 パウエル米連邦準備理事会(FRB)議長
「労働市場は引き続き非常に堅調」
「過去1年の米国経済は本当に非常に好調だった」
「最近のデータはインフレに関してさらなる進展が見られないことを示している」
「米労働市場はより良いバランスに向かいつつある」
「賃金圧力は徐々に緩和し続ける」
「確信を得るまでにはさらに時間がかかる可能性が高い」
「政策の実行にさらに時間がかかるのは適切」

※時間は日本時間

>本日の要人発言をリアルタイムで確認するならこちら

〔日足一目均衡表分析〕

<ドル円=4/12高値を支持に押し目買いスタンス>

ドル円0417

パラメータ0417

陽線引け。
転換線は基準線を上回り、遅行スパンは実線を上回り、雲の上で引けていることで、三役好転の強い買いシグナルが点灯中。
2手連続陽線で転換線を上回って引けており続伸の可能性が示唆されている。

本日は12日の高値を支持に押し目買いスタンスで臨み、同水準を下抜けた場合は手仕舞い。

レジスタンス2 156.98(1990/5/11高値)
レジスタンス1 155.87(1990/6/25高値)
前日終値 154.72
サポート1 153.39(4/12高値)
サポート2 152.80(日足一目均衡表・転換線)

>ドル円のリアルタイムチャートはこちら

<ユーロドル=転換線を抵抗に戻り売りスタンス>

ユーロドル0417

パラメータ0417

小陰線引け。
転換線は基準線を下回り、遅行スパンは実線を下回り、雲の下で引けていることで、三役逆転の強い売りシグナルが点灯している。
6手連続陰線で転換線を下回って引けており続落の可能性が示唆されている。

本日は転換線を抵抗に戻り売りスタンスで臨み、同線を上抜けた場合は手仕舞い。

レジスタンス1 1.0743(日足一目均衡表・転換線)
前日終値 1.0619
サポート1 1.0517(2023/11/1安値)

>ユーロドルのリアルタイムチャートはこちら

<ポンド円=横ばいの転換線を支持に押し目買いスタンス>

ポンド円0417

パラメータ0417

陽線引け。
転換線は基準線を上回り、遅行スパンは実線を上回り、雲の上で引けていることで、三役好転の強い買いシグナルが点灯中。
2手連続陽線で転換線を上回って引けており続伸の可能性が示唆されている。

本日は横ばいの転換線を支持に押し目買いスタンスで臨み、同線を下抜けた場合は手仕舞い。

レジスタンス1 193.54(3/20高値)
前日終値 192.26
サポート1 191.49(日足一目均衡表・転換線)

>ポンド円のリアルタイムチャートはこちら

<NZドル円=上昇中の転換線を抵抗に戻り売りスタンス>

nzドル円0417

パラメータ0417

小陰線引け。
転換線は基準線を上回り、遅行スパンは実線を上回り、雲の下で引けているものの、買いシグナルが優勢な展開となっている。
しかし、抱き線で反落して転換線を下回って引けており続落の可能性が示唆されている。

本日は上昇中の転換線を抵抗に戻り売りスタンスで臨み、同線を上抜けた場合は手仕舞い。

レジスタンス1 91.45(日足一目均衡表・転換線)
前日終値 90.98
サポート1 90.11(4/1安値)

>NZドル円のリアルタイムチャートはこちら

OANDA CFD

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DZH Finacial Research

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会社名:株式会社DZHフィナンシャルリサーチ
所在地:東京都中央区明石町8番1号 聖路加タワー32階
商号等:【金融商品取引業者】投資助言業/【登録番号】関東財務局長(金商)907号


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