本日の東京為替見通し(為替/FXニュース):3月CPIを見極め、155円KOの攻防・円買い介入への警戒感は維持(2024年4月19日)

マーケットレポート

April 19, 2024

【前日の為替概況】米10年債利回り4.65%台でドル高 対円154.68円、対ユーロ1.0642ドル

18日のニューヨーク外国為替市場でドル円は反発。
終値は154.64円と前営業日NY終値(154.39円)と比べて25銭程度のドル高水準だった。
4月米フィラデルフィア連銀製造業景気指数が予想を大きく上回ったことが伝わると全般ドル買いが先行。
米長期金利の指標となる米10年債利回りが4.65%台まで上昇したことも相場の支援材料となり、154.68円と日通し高値を更新した。
ウィリアムズ米ニューヨーク連銀総裁が「利下げの緊急性は感じていない」「利上げは私の基本的な予想ではないが、データが要求するなら米連邦準備理事会(FRB)は利上げするだろう」と述べたこともドル買いを誘った。

また、米連邦公開市場委員会(FOMC)で投票権を有するボスティック米アトランタ連銀総裁は「米国のインフレは高すぎる」「2%へのインフレ低下の道のりは緩慢で険しい」「年末に近づくまで利下げに踏み切ることは適切ではない」などと話した。

ただ、政府・日銀による為替介入への警戒感が高まる中、前日の高値154.73円が目先レジスタンスとして意識されると上昇は一服した。
市場では「16日に付けた34年ぶりの高値154.79円や大量のノックアウトオプションが観測されている155.00円がレジスタンスとして意識される」との声も聞かれた。

ユーロドルは反落。
終値は1.0643ドルと前営業日NY終値(1.0673ドル)と比べて0.0030ドル程度のユーロ安水準だった。
欧州中央銀行(ECB)が6月にも利下げに動くとの見方が強まる一方、FRBによる利下げ開始は想定より後にずれるとの観測が高まっており、欧米の金利差拡大への思惑からユーロ売り・ドル買いが出やすかった。
3時30分過ぎには一時1.0642ドルと日通し安値を更新した。

ユーロ円は4営業日ぶりに反落。
終値は164.59円と前営業日NY終値(164.77円)と比べて18銭程度のユーロ安水準。
ドル円とユーロドルの値動きの影響を同時に受けたため、相場は方向感が出なかった。
23時過ぎには164.55円付近まで下押ししたものの、0時30分前には164.86円付近まで持ち直した。
ただ、そのあとは164.52円付近まで再び弱含んだ。

【本日の東京為替見通し】3月CPIを見極め、155円KOの攻防・円買い介入への警戒感は維持

本日の東京外国為替市場のドル円は、まずは3月コア消費者物価指数(CPI)を見極めたい
その後は、155円にあると言われているノックアウト・オプションの攻防戦や本邦通貨当局のドル売り・円買い介入の可能性に警戒する展開が予想される。

8時30分に発表される日本の3月コアCPIは前年比+2.6%と、2月+2.8%から伸び率低下が予想されている。
3月CPI(生鮮食料品・エネルギー除く)も前年比+3.0%で、2月+3.2%から減速が見込みだ。

市場予想通りに日本のインフレ率の伸び率が鈍化していた場合、ゼロ金利政策の長期化観測が高まりそうだ。
そうなると、米連邦公開市場委員会(FOMC)の利下げ時期先送り観測と合わせてドル買い・円売り要因となるため、155円のノックアウト・オプションへの買い仕掛けに要警戒となる。

ワシントンで日米韓財務相会合、G7財務相・中央銀行総裁会議、G20財務相・中央銀行総裁会議が開催されたが、ドル高是正の緊急性が乏しいとされたためドル円は154円台後半まで反発した。

イエレン米財務長官は、自国通貨の急激な下落を巡る日本と韓国両財務相の懸念に留意する姿勢を示したに留まった。
同財務長官はかつて、為替レートの水準に影響を及ぼすことでなく、ボラティリティーを滑らかにするスムージングが目的であれば、為替介入は理解できる、との認識を示していた。
しかしながら、今回は介入を容認するような発言はなかった。

鈴木財務相は、米財務長官の受け止めについて「よく聞いてもらえたと思う」と述べ、神田財務官は「アメリカとは毎日のように話している。
そこで意思疎通ができている」とは述べている。

今後は2022年10月の再現、すなわち同年10月12-13日にG20会議が開催された後、同月21日と24日には覆面介入が行われたことで、円買い介入の可能性には注意を高めておきたい。

直近のイベントをまとめると、日米韓財務相会合では「最近の急速な円安およびウォン安に関する日韓の深刻な懸念を認識しつつ、既存のG20コミットメントに沿って、外為市場の動向に関して引き続き緊密に協議する」との声明が出された。

G7会議では、ドル高が進行する為替市場の動きを巡り、「為替レートの過度の変動や無秩序な動きは、経済・金融の安定に悪影響を与え得る」などとした2017年5月の声明が再確認された。
神田財務官は、「日本の主張も踏まえて為替を含む過去のG7における政策対応に関するコミットメントが再確認された」と述べた。

G20会議では、米国の金利が高いことでドル高が進み新興国の債務が膨らむことへの懸念が出たものの、為替そのものについては議論にはならなかった。
鈴木財務相は、為替はG20の議題にはなかったので発言はしなかったと述べている。

また、植田日銀総裁がG20後の記者会見で、円安による輸入物価の上昇が基調的な物価上昇率に影響を与える可能性に言及。
「無視できない大きさの影響が発生した場合には金融政策の変更もあり得る」と語っており、来週の日銀金融政策決定会合への警戒感を強めた。

【本日の重要指標】 ※時刻表示は日本時間

<国内>
○08:30 ☆ 3月全国消費者物価指数(CPI、生鮮食品を除く総合、予想:前年比2.6%)
○08:30 ☆ 3月全国CPI(生鮮食料品・エネルギー除く、予想:前年比3.0%)

<海外>
○15:00 ◇ 3月独生産者物価指数(PPI、予想:前月比0.1%)
○15:00 ◎ 3月英小売売上高(自動車燃料含む、予想:前月比0.3%/前年比1.0%)
○15:00 ◎ 3月英小売売上高(自動車燃料除く、予想:前月比0.3%/前年比0.9%)
○23:15 ◎ ラムスデン英中銀(BOE)副総裁、講演
○23:30 ◎ グールズビー米シカゴ連銀総裁、質疑応答
○20日01:30 ◎ マン英中銀金融政策委員会(MPC)委員、講演
○20日04:00 ◎ ナーゲル独連銀総裁、講演
○国際通貨金融委員会(IMFC、ワシントン)

※重要度、高は☆、中は◎、低◇とする。
※指標などの発表予定・時刻は予告なく変更になる場合がありますので、ご了承ください。

>本日発表予定のその他の経済指標についてはこちら

【前日までの要人発言】

18日07:15 メスター米クリーブランド連銀総裁
「今年のインフレ率、想定よりやや高い」
「インフレ率が2%への持続的な道筋の上にあると言えるまで、さらなる情報必要」
「インフレ率は低下するとなお予想」
「労働市場は力強く、経済成長は堅調」
「インフレ率が2%へと低下しない場合、金利を現行水準より長期的に据え置く可能性」
「政策緩和を急ぐ必要はないが、ある時点で緩和を開始する」
「労働市場が悪化すれば、利下げの可能性」

18日08:36 ボウマン米連邦準備理事会(FRB)理事
「インフレ進行は鈍化、おそらく停滞している」
「金融政策が制限的か時間が経過すれば分かる」
「米経済は堅調、個人消費の強さは雇用の継続的な拡大に繋がっている」

18日08:48 主要7カ国(G7)財務相・中銀総裁会議声明
「世界経済は複数のショックへの耐性示したが、成長見通しは引き続き過去の平均を下回っている」
「中央銀行、物価安定の達成に引き続き強くコミット」
「ロシアのウクライナ侵攻や中東情勢に起因する大きな地政学リスク、通商や供給網・商品価格に影響する可能性」
「凍結ロシア資産からの収入をウクライナ支援に活用するとのEU提案を歓迎」
「ガザ危機を懸念」
「イランの兵器調達・製造能力を低下させるため緊密に協調」
「 域内情勢がエスカレートすれば経済にリスク、安定呼び(予備)かけ」

18日10:35 野口日銀審議委員
「中銀はバランスシート縮小させることなく政策金利の引き上げ遂行可能」
「賃金から物価への波及はまだ十分ではない」
「基調的な物価上昇率もまだ2%に達していない」
「3月会合の決定、ゼロ近傍の政策金利の下での国債買入れ継続という枠組みへの移行」
「3月決定への反対、現段階ではマイナス金利下での国債買 入れ継続の方がより適切と考えた」
「今後も緩和的な金融政策の継続を通じ、労働需給の適切なバランス保ち続けることが必須」
「物価2%実現、26年になれば相当確度高まっているとは思う」
「利上げと国債減額、順番をどうするかはこれからの議論」
「追加利上げのタイミング、私自身はかなりゆっくりになるというのがメインシナリオ」
「追加利上げは、経済状況次第で柔軟に考え方は変えたい」
「円安が長引くといろんな影響でてくる可能性ある」
「為替自体に金融政策で対応することはあり得ない」
「円安が好循環に影響するなら見極めていかなければいけない」

18日11:17 神田財務官
「為替を含む過去のコミットメントをG7共同声明で再確認」
「為替の過度な変動や無秩序な動きは経済金融に悪影響」
「為替の具体的な水準についてはコメントしない」
「G7声明、日本の主張を踏まえて為替のコミットメントを再確認」
「為替について鈴木財務相から話をすることはなかった」
「為替はG7の議題ではなかったが、財務官レベルで毎日のように意思疎通」

18日16:15 デギンドス欧州中央銀行(ECB)副総裁
「現在のインフレ(低下)傾向は利下げを許容するかもしれない」
「インフレが持続的に目標に収束しつつあるという確信がさらに高まるのであれば、制限的政策を緩和するのが適切」

18日21:20 ナーゲル独連銀総裁
「今年、ドイツのインフレ率が数カ月小幅に回復する可能性は否定できない」

18日21:27 クノット・オランダ中銀総裁
「高金利がインフレを助長しているとは思わない」
「利下げに対する市場の価格設定に違和感はない」

18日22:14 カザークス・ラトビア中銀総裁
「金利水準はピークにある」
「6月利下げの可能性は非常に高い」

18日22:16 ゲオルギエバ国際通貨基金(IMF)専務理事
「IMFは今年米国で利下げの条件が整ったと見ている」

18日22:36 ウィリアムズ米ニューヨーク連銀総裁
「利下げの緊急性は感じていない」
「経済は好調」
「FF金利は経済をそれほど減速させていない」
「最終的には金利を下げる必要があるだろう」
「利下げは経済活動によって決まる」
「利上げは私の基本的な予想ではない」
「データが利上げを要求するなら、FRBは利上げするだろう」

18日23:30 ホルツマン・オーストリア中銀総裁
「ECBメンバーの大多数が6月利下げを望む可能性」
「FRBが躊躇すればECBの利下げ余地が制限される」
「FRBが利下げしなければ、ECBは今年3-4回の利下げは見込めない」

19日00:08 グリーン英中銀金融政策委員会(MPC)委員
「サービスインフレと賃金も上昇」
「英国のインフレがさらに持続しているといういくつかの兆候がある」
「利下げが差し迫っているとは思わない」
「英労働市場は緩和しているが、依然としてかなり逼迫」
「インフレ率は今後数カ月以内に目標に回帰すると予想しているが、その水準にとどまるとは予想していない」

19日00:14 レーン・フィンランド銀行(中央銀行)総裁
「インフレ率はECBの2%目標に向かって収束しつつある」
「ECBの金利は現在進行中のディスインフレプロセスに大きく貢献しているが、現在の水準を長期間維持する必要性はもはやないと考える」
「インフレ率が持続的に2%の目標に収束し続けると確信できれば、6月に利下げを開始することが適切」

19日01:10 ボスティック米アトランタ連銀総裁
「景気後退(リセッション)は予想せず」
「依然として2%の軌道。ただ遅くてでこぼこな道」
「米国のインフレは高すぎる」
「年末まで利下げは出来ないだろう」

19日07:08
「今年は1回の利下げを予想」
「経済が減速しているものの、その減速ペースは緩やか」
「賃金上昇率はインフレ率を上回っている」
「インフレ抑制に向けた進展とともに、経済成長が続いていることは喜ばしい」

19日02:33 イランのアブドラヒアン外相
「イスラエルによる武力行使や主権侵害があった場合、イランはイスラエルにその行動を後悔させるために断固とした適切な対応を取る」

19日03:41 鈴木財務相
「為替市場に関しては日米、日米韓で緊密な意思疎通を行う」
「金利差だけで為替の水準は決まらない」
「為替はG20の議題になかったので発言はしなかった」

19日03:57 植田和男日銀総裁
「米国の実体経済は引き続き強い」
「米経済は為替レートなどを通じて日本経済、物価に影響を与える」

19日 05:37カシュカリ米ミネアポリス連銀総裁
「インフレ率が2%に戻れば利下げは可能」
「インフレが確実に低下するまで忍耐が必要」
「利下げはいくらでも待つことが可能」
「利下げを2025年まで待つ可能性もある」

※時間は日本時間

>本日の要人発言をリアルタイムで確認するならこちら

〔日足一目均衡表分析〕

<ドル円=4/18安値を支持に押し目買いスタンス>

ドル円0419

パラメータ0419

陽線引け。
転換線は基準線を上回り、遅行スパンは実線を上回り、雲の上で引けていることで、三役好転の強い買いシグナルが点灯中。
孕み線で切り返して転換線を上回って引けており続伸の可能性が示唆されている。

本日は18日の安値を支持に押し目買いスタンスで臨み、同水準を下抜けた場合は手仕舞い。

レジスタンス2 156.98(1990/5/11高値)
レジスタンス1 155.87(1990/6/25高値)
前日終値 154.64
サポート1 153.96(4/18安値)
サポート2 153.18(日足一目均衡表・転換線)

>ドル円のリアルタイムチャートはこちら

<ユーロドル=横ばいの転換線を抵抗に戻り売りスタンス>

ユーロドル0419

パラメータ0419

陰線引け。
転換線は基準線を下回り、遅行スパンは実線を下回り、雲の下で引けていることで、三役逆転の強い売りシグナルが点灯中。
孕み線で反落して転換線を下回って引けており続落の可能性が示唆されている。

本日は横ばいの転換線を抵抗に戻り売りスタンスで臨み、同線を上抜けた場合は手仕舞い。

レジスタンス1 1.0743(日足一目均衡表・転換線)
前日終値 1.0643
サポート1 1.0601(4/16安値)

>ユーロドルのリアルタイムチャートはこちら

<ポンド円=横ばいの転換線を支持に押し目買いスタンス>

ポンド円0419

パラメータ0419

小陽線引け。
転換線は基準線を上回り、遅行スパンは実線を上回り、雲の上で引けていることで、三役好転の強い買いシグナルが点灯中。
4手連続陽線で転換線を上回って引けており続伸の可能性が示唆されている。

本日は横ばいの転換線を支持に押し目買いスタンスで臨み、同線を下抜けた場合は手仕舞い。

レジスタンス1 193.54(3/20高値)
前日終値 192.32
サポート1 191.49(日足一目均衡表・転換線)

>ポンド円のリアルタイムチャートはこちら

<NZドル円=4/10の高値を抵抗に戻り売りスタンス>

nzドル円0419

パラメータ0419

小陰線引け。
転換線は基準線を上回り、遅行スパンは実線を上回り、雲の中で引けているものの、買いシグナルが優勢な展開となっている。
しかし、孕み線で反落して転換線を下回って引けており続落の可能性が示唆されている。

本日は転換線91.45円を念頭に置き、上抜けた場合は10日の高値92.37円までの上値余地があるものの、戻り売りスタンスで臨み、同水準を上抜けた場合は手仕舞い。

レジスタンス1 92.37(4/10高値)
前日終値 91.27
サポート1 90.11(4/1安値)

>NZドル円のリアルタイムチャートはこちら

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