本日の東京為替見通し(為替/FXニュース):介入効果で円安は一時休止も、月末ゴトー日需要でドルは底堅いか(2024年4月30日)

マーケットレポート

April 30, 2024

【前日の為替概況】ドル円、4日ぶり反落 本邦当局が為替介入との見方

29日のニューヨーク外国為替市場でドル円は4営業日ぶりに反落。
終値は156.35円と前営業日NY終値(158.33円)と比べて1円98銭程度のドル安水準だった。
アジア市場では一時160.17円と1990年4月以来34年ぶりの高値を付けたものの、日本時間夕刻には154.54円まで急落した。
市場では「政府・日銀が急激な円安を阻止するため、為替介入に踏み切った」との観測が浮上した。
なお、米ウォール・ストリート・ジャーナル(WSJ)紙は「為替介入があったようだ」と報じた。

NY市場に入っても政府・日銀による為替介入への警戒感は根強く、23時30分前に一時156.89円付近まで値を戻したあとは155.10円付近まで一転下落した。
ただ、日通し安値である154.54円を下抜けることは出来ず、引けにかけては156円台前半まで値を戻している。
市場関係者からは「イエレン米財務長官は先週、為替介入をけん制しており、そのお膝元であるNY市場での覆面介入はやりづらいのではないか」との声も聞かれた。

ユーロ円は7日ぶりに反落。
終値は167.60円と前営業日NY終値(169.31円)と比べて1円71銭程度のユーロ安水準。
アジア市場では一時171.56円と1999年のユーロ導入以来の高値を更新したものの、日本時間夕刻には165.66円まで急落。
NY市場に入るとじりじりと下値を切り上げて、1時過ぎに167.98円付近まで下げ渋ったものの、2時前には166.38円付近まで再び値を下げた。
ただ、引けにかけては167円台半ばまで下げ幅を縮めた。
総じて、ドル円につれた動きとなった。

ユーロドルは反発。
終値は1.0721ドルと前営業日NY終値(1.0693ドル)と比べて0.0028ドル程度のユーロ高水準だった。
欧州中央銀行(ECB)の利下げ開始時期が近づいているとの見方が一段と強まる中、4月独消費者物価指数(CPI)速報値が予想を下回ったことが伝わると一時1.0690ドル付近まで値を下げた。

ただ、週明け早朝取引で付けた日通し安値1.0687ドルが目先サポートとして働くと買い戻しが優勢に。
米長期金利の指標となる米10年債利回りが4.60%台まで低下したことも相場の支援材料となり、2時過ぎには1.0730ドル付近まで持ち直した。

【本日の東京為替見通し】介入効果で円安は一時休止も、月末ゴトー日需要でドルは底堅いか

本日のドル円相場は上値が限られるか
昨日の動きを見ると、160円台から数円下がった時点で、短期筋のドルロングは切れ、それ以後は介入玉がないとドル円は自律的に反発する相場となった。
そして、その反発に合わせて強引に介入玉が、ドルを売る値動きになった。

介入効果の影響で数日から数週間程度は、26日や昨日のような急速なドル円の上昇(円安)は見込めないだろう。
しかしながら、日米間の金融政策や景況感の差異が急速に縮小するとも考えられないことで、緩やかなかながらもドル円の上昇を予想する声は多い。
また、先週25日にイエレン米財務長官の発言「為替介入は市場が過度のボラティリティで無秩序な、非常にまれかつ例外的な状況(very rare and exceptional circumstances)にのみ行われるべきだ」との言葉にあるように、米国が介入への否定的な見解を示していることで、ドル円を押し下げるような介入を期待する声も少ない。

本日は東京市場が休場明けとなることもあり、仮に昨日のように157円台よりも上にドル買い・円売りに市場が動意づいた場合には、円買い介入を行う確率が高い。
ただし、本日はゴールデンウイーク週の月末・5・10日(ゴトー日)ということで、ドル買い・円売り需要が多くなる可能性もあり、下値もそれなりに支えられるだろう。

なお、市場は為替介入に目が集まっているが、本日から明日にかけて米連邦公開市場委員会(FOMC)が行われる。
先週発表された3月米個人消費支出(PCE)価格指数(デフレーター)とコアデフレーターがともに予想比で上振れたように、多くの米国の3月インフレ指標は予想を上回る結果となった。
米連邦準備理事会(FRB)の利下げ観測が急速に後退していることもあり、FOMCに向けてファンダメンタルズに沿ったドル買いを待ち構えている市場参加者が多いことも念頭に置いておきたい。

なお、アジア時間では円相場が主役となるだろうが、豪州から3月小売売上高が発表され、中国からは4月の製造業購買担当者景気指数(PMI)が発表されることで、豪ドルの動きにも注目したい。

【本日の重要指標】 ※時刻表示は日本時間

<国内>
○08:30 ◎ 3月完全失業率(予想:2.5%)
○08:30 ◎ 3月有効求人倍率(予想:1.26倍)
○08:50 ◎ 3月鉱工業生産速報(予想:前月比3.3%/前年比▲6.3%)
○08:50 ◇ 3月商業販売統計速報(小売業販売額、予想:前年比2.2%)
○14:00 ◇ 3月新設住宅着工戸数(予想:前年比▲7.4%)
○19:00 ◇ 外国為替平衡操作の実施状況(介入実績)

<海外>
○10:00 ◇ 4月ANZ企業信頼感
○10:30 ◎ 3月豪小売売上高(予想:前月比0.2%)
○10:30 ◎ 4月中国製造業購買担当者景気指数(PMI、予想:50.3)
○10:45 ◎ 4月Caixin中国製造業PMI(予想:51.0)
○14:30 ◎ 1-3月期仏国内総生産(GDP)速報値(予想:前期比0.1%)
○14:30 ◇ 3月仏消費支出(予想:前月比0.2%)
○15:00 ◇ 3月独輸入物価指数(予想:前月比0.2%/前年比▲3.8%)
○15:00 ◎ 3月独小売売上高(予想:前月比1.4%/前年比▲0.7%)
○15:45 ◇ 4月仏消費者物価指数(CPI)速報値(予想:前月比0.5%/前年比2.2%)
○15:45 ◇ 4月仏卸売物価指数(PPI)
○16:00 ◇ 4月スイスKOF景気先行指数(予想:102.0)
○16:00 ◇ 3月トルコ貿易収支(予想:75.0億ドルの赤字)
○16:55 ◎ 4月独雇用統計(予想:失業率5.9%/失業者数変化0.80万人)
○17:00 ☆ 1-3月期独GDP速報値(季節調整済、予想:前期比0.1%/前年同期比▲0.2%)
○17:00 ☆ 1-3月期独GDP速報値(季節調整前、予想:前年同期比▲0.8%)
○17:30 ◇ 3月英消費者信用残高(予想:15億ポンド)
○17:30 ◇ 3月英マネーサプライM4
○18:00 ☆ 4月ユーロ圏消費者物価指数(HICP)速報値(予想:前年比2.4%)
○18:00 ☆ 4月ユーロ圏HICPコア速報値(予想:前年比2.6%)
○18:00 ☆ 1-3月期ユーロ圏GDP速報値(予想:前期比0.2%/前年比0.2%)
○21:00 ◎ 3月南アフリカ貿易収支(予想:150億ランド黒字)
○21:00 ◎ 1-3月期メキシコGDP速報値(予想:前期比0.1%/前年比2.1%)
○21:30 ☆ 2月カナダGDP(予想:前月比0.3%/前年比1.1%)
○21:30 ☆ 1-3月期米雇用コスト指数(予想:前期比1.0%)
○22:00 ◇ 2月米住宅価格指数(予想:前月比0.2%)
○22:00 ◎ 2月米ケース・シラー住宅価格指数(予想:前年比6.7%)
○22:45 ◎ 4月米シカゴ購買部協会景気指数(予想:45.0)
○23:00 ◎ 4月米消費者信頼感指数(予想:104.0)
○米連邦公開市場委員会(FOMC)1日目

※「予想」は特に記載のない限り市場予想平均を表す。▲はマイナス。
※重要度、高は☆、中は◎、低◇とする。
※指標などの発表予定・時刻は予告なく変更になる場合がありますので、ご了承ください。

>本日発表予定のその他の経済指標についてはこちら

【前日までの要人発言】

29日14:32 神田財務官
「(為替介入観測について)今はノーコメント」

29日18:19
「為替介入の有無について申し上げることはない」
「5月末に介入実績を通例通り発表する」
「今起こっている状況、投機による激しい異常ともいえる変動が国民経済に与える影響看過しがたい」
「必要に応じて適切な対応をする」
「水準については特定のレートを念頭に置いているわけではない」
「介入かどうか申し上げないが、やる場合は24時間365日いつでも」
「為替水準の評価はコメント差し控える」

30日02:04 クノット・オランダ中銀総裁
「利下げ開始時期については6月が現実的だ」
「原油価格の上昇はまだ抑えられている」
「6月会合以降の金融政策の見通しを語るのは時期尚早」
「ECBの経済見通しから外れなければ、6月以降も利下げを続けることが可能」

30日04:27 デギンドス欧州中央銀行(ECB)副総裁
「インフレに関して正しい方向に進んでいる」
「賃金上昇率は鈍化の兆しを示している」
「2025年に2%の物価目標は達成されると見込むが、大きなリスクがある」

※時間は日本時間

>本日の要人発言をリアルタイムで確認するならこちら

〔日足一目均衡表分析〕

<ドル円=トレンド追うなら基準線付近を拾いたいところ>

ドル円0430

パラメータ0430

陰線引け。
一時160.17円と1990年4月以来、34年ぶりの高値まで上振れた。
その後は本邦当局の為替介入と思われる動きで154.54円まで押し下げられる荒っぽい動きだった。

介入とされる動きが背景だけにテクニカルな分析は難しいところ。
トレンドを追うなら一目均衡表・基準線155.49円や、昨日安値154.54円などをめどに買い拾いたい。
それでも160円手前では再度の介入を警戒し、買い上げを手控えるべきとみる。

レジスタンス2 159.50(ピボット・レジスタンス1)
レジスタンス1 157.36(4/29レンジ半値水準)
前日終値 156.35
サポート1 155.49(日足一目均衡表・基準線)

>ドル円のリアルタイムチャートはこちら

<ユーロドル=転換線など位置する1.06ドル台は底堅そう>

ユーロドル0430

パラメータ0430

上影陽線引け。
26日に1.0674ドルを安値として下げ渋り、底堅さを示す下ひげをともなう足型を形成した。
その後は1.0680ドル前後で上昇傾向の一目均衡表・転換線を上回る水準で推移。
転換線や26日安値が位置する1.06ドル台での底堅さを背景に、目先の重しとなる21日移動平均線(本日1.0726ドル前後)の上抜けを試す展開とみる。

レジスタンス1 1.0791(3/8-4/16下落幅の半値戻し)
前日終値 1.0721
サポート1 1.0667(ピボット・サポート2)

>ユーロドルのリアルタイムチャートはこちら

<ユーロ円=転換線の動きは、下値で買い拾うべきこと示唆>

ユーロ円0430

パラメータ0430

陰線引け。
1999年のユーロ導入以来の高値を171.56円まで更新後、165.66円まで押し下げられた。
為替介入絡みと思われる荒っぽい動きで判断が難しい。
上昇が続く見込みの一目均衡表・転換線167.29円に沿ったトレンドを追うなら買い拾うべきところとなる。
昨日安値付近まで再度下振れる展開を想定しつつ、下値で買いを入れたい。

レジスタンス1 168.61(4/29レンジ半値水準)
前日終値 167.60
サポート1 165.66(4/29安値)

>ユーロ円のリアルタイムチャートはこちら

<豪ドル円=上値を試すにしても荒い動き挟みながらか>

豪ドル円0430

パラメータ0430

陰線引け。
一時104.94円と、2013年以来の105円台回復に迫った。
しかし他の円絡みの通貨ペア同様に大きく押し戻され、101.38円まで下振れた。
上向きのトレンドが崩れたとまだ確信できないが、高値警戒感が拭えない状態が続く。
上値を試すにしても、102.22円前後で推移する5日移動平均線を割り込んで下振れる荒っぽい動きを挟みながらとなりそうだ。

レジスタンス1 103.58(4/29レンジ61.8%水準)
前日終値 102.66
サポート1 101.36(日足一目均衡表・転換線および基準線)

>豪ドル円のリアルタイムチャートはこちら

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