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本日の東京為替見通し(為替/FXニュース):ドル円、介入に絡んだ神経質な動きが続くか(2024年5月2日)

マーケットレポート

May 2, 2024

【前日の為替概況】ドル円、大幅反落 FOMCがQTペース減速決定、本邦当局の介入観測も

1日のニューヨーク外国為替市場でドル円は大幅に反落。
終値は154.57円と前営業日NY終値(157.80円)と比べて3円23銭程度のドル安水準だった。
米連邦準備理事会(FRB)は今日まで開いた米連邦公開市場委員会(FOMC)で市場予想通りFFレートの誘導目標を5.25-5.50%に据え置くことを決めたと発表。
声明では「ここ数カ月、物価上昇率2%の目標達成に向けて進展していない」と指摘し、利下げの開始時期が遅くなる可能性を示唆した。
一方、国債の保有額を圧縮する量的引き締め(QT)のペースを6月から減速することを決め、「国債保有残高の圧縮ペース上限額を月600億ドルから250億ドルにする」とした。
市場の一部では「QTの上限を300億ドルにする」との見方があっただけに、結果公表後は米金利低下とドル売りにつながった。

また、パウエルFRB議長はFOMC後の会見で「インフレは依然として高すぎる」「利下げの確信を得るには想定より時間かかる見通し」としながらも、「次の行動が利上げになる可能性は低い」と話し、市場で警戒されていた利上げの可能性を否定。
米金利がさらに低下したことで全般ドル売りが加速すると、一時157.01円まで値を下げた。

米金利が低下幅を縮めると157.59円付近まで下げ渋る場面もあったが、5時過ぎから断続的に円買い・ドル売りのフローが観測されると一転急落した。
市場では「政府・日銀が急激な円安を阻止するため、為替介入に踏み切った」との見方が強まり、節目の157円や156円、155円、154円を次々と下抜けて一時153.04円まで大幅に値を下げた。

ユーロドルは反発。
終値は1.0712ドルと前営業日NY終値(1.0666ドル)と比べて0.0046ドル程度のユーロ高水準だった。
この日発表の4月ADP全米雇用報告は予想を上回ったものの、4月米ISM製造業景況指数や3月米雇用動態調査(JOLTS)求人件数が予想より弱い内容となったことを受けて全般ドル売りが先行した。
FOMCの結果やパウエルFRB議長の会見を受けて米金利が低下するとドル売りが加速し、一時1.0733ドルと日通し高値を付けた。

ユーロ円は急反落。
終値は165.58円と前営業日NY終値(168.22円)と比べて2円64銭程度のユーロ安水準。
FOMC結果公表後は168円台半ばで推移していたものの、5時過ぎから急速に円高が進むと164.09円の安値まで一気に4円超急落した。

【本日の東京為替見通し】ドル円、介入に絡んだ神経質な動きが続くか

昨日の米連邦公開市場委員会(FOMC)では金利の据え置きが決定され、声明の内容はおおむね予想通りとなった。
パウエル米連邦準備理事会(FRB)議長が次の動きが利上げとなる可能性は低いと述べたことで、FRBがタカ派姿勢に転じるとの懸念が和らぎ全般ドル売りに傾いたものの、米長期金利の低下も一時的にとどまり、ドル高地合いに大きな変化はない。
依然として日米金利差は縮小しないとの見方からドル高・円安の流れは続きそうで、日本当局の円買い介入も絡み、ドル円は神経質な動きが予想される。

これからも米利下げ時期を探る相場展開が続くと想定されるが、FOMCを通過し市場の視線は明日の米雇用統計に向けられている。
4月の非農業部門雇用者数は大幅増となった3月を下回る予想も全体としては改めて雇用情勢の強さが示される可能性が高い。
昨日に発表された、雇用統計の前哨戦とされる4月ADP全米雇用報告は19.2万人増と予想を上回る結果となった。
足もとでは世界で米経済の強さが目立っており、ドルの支えとなっている。
米経済の高成長は生産性の高い伸びが大きな要因とされており、今後も生産性によるGDPの押上げ効果が続くかどうかが注目される。

市場では日本当局の円買い介入はドル円に「絶好の買い場」を提供するだけとの見方が強い。
ドル円はNY引け後に155円台を回復している。
一連の好循環を背景に、秋に本格的な利上げに踏み切るというのが日本政府・日銀のシナリオだったが、先週末に日銀の金融政策イベントを通過し円売りが加速している。
景気後退のリスクを取って追加利上げに踏み切るか、それとも効果が薄いとされる介入程度で済まし円の一段安を眺めるしかないのか、日銀は早くも難しい選択を迫られる可能性がある。

【本日の重要指標】 ※時刻表示は日本時間

<国内>
○08:50 ◇ 4月マネタリーベース
○08:50 ☆ 3月18-19日分の日銀金融政策決定会合議事要旨
○14:00 ◇ 4月消費動向調査(消費者態度指数 一般世帯、予想:39.8)

<海外>
○10:30 ◎ 3月豪住宅建設許可件数(予想:前月比3.0%)
○10:30 ◇ 3月豪貿易収支(予想:73.00億豪ドルの黒字)
○15:30 ◎ 4月スイス消費者物価指数(CPI、予想:前月比0.1%)
○15:30 ◇ 3月スイス小売売上高
○16:00 ◇ 4月トルコ製造業購買担当者景気指数(PMI)
○16:30 ◇ 4月スイス製造業PMI(予想:45.5)
○16:50 ◎ 4月仏製造業PMI改定値(予想:44.9)
○16:55 ◎ 4月独製造業PMI改定値(予想:42.2)
○17:00 ◎ 4月ユーロ圏製造業PMI改定値(予想:45.6)
○17:30 ◎ 1-3月期香港域内総生産(GDP)速報値(予想:前期比0.9%/前年同期比0.9%)
○20:30 ◇ 4月米企業の人員削減数(チャレンジャー・グレイ・アンド・クリスマス社調べ)
○21:30 ◇ 3月カナダ貿易収支(予想:15.0億カナダドルの黒字)
○21:30 ◎ 3月米貿易収支(予想:691億ドルの赤字)
○21:30 ◇ 1-3月期米非農業部門労働生産性・速報値(予想:前期比0.8%)
○21:30 ◇ 1-3月期米単位労働コスト・速報値(予想:前期比3.3%)
○21:30 ◎ 前週分の米新規失業保険申請件数/失業保険継続受給者数(予想:21.2万件/179.7万人)
○23:00 ◎ 3月米製造業新規受注(予想:前月比1.6%)
○24:00 ◇ 4月メキシコ製造業PMI
○中国(労働節)、休場

※「予想」は特に記載のない限り市場予想平均を表す。▲はマイナス。
※重要度、高は☆、中は◎、低◇とする。
※指標などの発表予定・時刻は予告なく変更になる場合がありますので、ご了承ください。

>本日発表予定のその他の経済指標についてはこちら

【前日までの要人発言】

1日10:12 ホークスビーNZ準備銀行(RBNZ)副総裁
「労働報告は雇用不安のリスクを示している」
「世界的な高インフレは金融安定の重要なリスクであり続ける」
「景気は概ね予想通りに推移 」
「本日の経済指標(1-3月期NZ雇用統計)は、労働市場の冷え込みの傾向を裏付けるものであった」

2日03:00 米連邦公開市場委員会(FOMC)声明
「最近の指標は経済活動が堅調なペースで拡大していることを示している」
「雇用の伸びは引き続き力強く、失業率は依然低い」
「インフレ率はこの1年で緩和したが、依然高止まりしている」
「ここ数カ月間、委員会の2%のインフレ目標に向けてさらなる進展は見られていない」
「委員会は雇用最大化と長期的な2%のインフレ率の達成を目指す」
「委員会は、雇用とインフレの目標達成に対するリスクが過去1年間でバランスが改善されたと判断」
「経済の見通しは不確実で、委員会はインフレのリスクを引き続き大いに注視している」
「FF金利の目標誘導レンジのあらゆる調整を検討するに当たり、委員会は今後もたらされるデータ、変化する見通し、リスクのバランスを慎重に評価する」
「委員会はインフレ率が持続的に2%に向かっているとの確信がさらに強まるまで、目標誘導レンジの引き下げが適切になるとは予想していない」
「さらに、以前発表された計画で説明されている通り、委員会は保有する米国債およびエージェンシーローン担保証券の削減を続ける」
「委員会は6月から、債券の月間償還上限を600億ドルから250億ドルに引き下げることで、保有証券の減少ペースを鈍化させる」
「委員会はエージェンシーローン担保証券の毎月の償還上限を350億ドルに維持し、この上限を超える元本支払いを再投資する」
「委員会はインフレ率を2%の目標に戻すことに強く取り組む」
「金融政策の適切な姿勢を評価するに当たり、委員会は今後もたらされる経済見通しに関する情報の意味を引き続き監視する」
「もしも委員会の目標の達成を妨げる可能性があるリスクが生じた場合、委員会は金融政策の姿勢を適切に調整する準備がある」
「委員会の評価は、労働市場の状況、インフレ圧力、インフレ期待、金融と世界の動向を含む幅広い情報を考慮する」
「今回の金融政策決定は全会一致」

2日03:36 パウエル米連邦準備理事会(FRB)議長
「インフレは依然として高すぎる。2%の目標に戻すことに尽力」
「経済は目標に向かって大きく前進した」
「インフレはさらなる進展の欠如を示唆」
「インフレは顕著に緩和したが、依然として目標の2%を上回っている」
「労働市場は依然として比較的逼迫しているが、バランスは改善している」
「FRBは会合ごとに意思決定を継続する」
「FRBがインフレ率の低下に自信を持てるようになるまでには、これまでの予想よりも時間がかかる可能性が高い」
「短期的なインフレ期待が高まっている」
「利下げの確信を得るには想定より時間かかる見通し」
「金融政策は時間とともに十分に抑制的になっていく」
「金利がピークにあるかどうかはデータ次第」
「堅調な労働市場それ自体はインフレの問題を引き起こすことはない」
「次の行動が利上げになる可能性は低い」
「成長もしくはインフレでスタグフレーション想定せず」

※時間は日本時間

>本日の要人発言をリアルタイムで確認するならこちら

〔日足一目均衡表分析〕

<ドル円=いったん割り込んだ21日線を回復>

ドル円0502

パラメータ0502

下影大陰線引け。
一時153.04円と、4月15日以来の153円割れをうかがう水準へ下振れた。

目先の支えとなることが期待された一目均衡表・転換線や、一目・基準線も下抜けている。
154.34円前後で上昇中の21日移動平均線も割り込んだが、同線を回復してNYを引けた。
荒っぽい動意で安定しにくいが、21日線付近の底堅さを背景に、基準線155.49円の上抜けから転換線156.61円の回復を目指す展開が想定できる。

レジスタンス2 157.99(5/1高値)
レジスタンス1 156.61(日足一目均衡表・転換線)
前日終値 154.57
サポート1 153.04(5/1安値)

>ドル円のリアルタイムチャートはこちら

<ユーロドル=転換線は抵抗にならず上昇>

ユーロドル0502

パラメータ0502

陽線引け。
上昇傾向の一目均衡表・転換線は強い抵抗にならず一時1.0733ドルと、4月30日高値1.0735ドルからの下落幅をほぼ帳消しにした。
一目均衡表・基準線1.0743ドルの上抜けを意識した動きとなったもののやや押し返され、1.07ドル前半で低下中の21日移動平均線を下回ってNYの取引を終えている。
基準線や21日線付近で戻りを鈍らせそうだが、転換線1.0689ドルが支え。
同線前後の底堅さを支援に上値を試す展開を予想する。

レジスタンス1 1.0799(200日移動平均線)
前日終値 1.0712
サポート1 1.0650(5/1安値)

>ユーロドルのリアルタイムチャートはこちら

<ユーロ円=基準線などが反発局面の抵抗となるか>

ユーロ円0502

パラメータ0502

下影大陰線引け。
一時164.09円と4月19日以来の安値水準へ下振れた。
ただ、165.30円台で上昇中の21日移動平均線を上回ってNYを引けている。
下げ渋り、底堅さを示す長めの下ひげをともなう足型を形成した。
戻りを想定するが、現水準からしばらく横ばいが想定される一目均衡表・基準線166.92円や同・転換線167.83円が反発局面の抵抗となりそう。

レジスタンス1 167.83(日足一目均衡表・転換線)
前日終値 165.58
サポート1 165.35(21日移動平均線)

>ユーロ円のリアルタイムチャートはこちら

<豪ドル円=転換線うかがう戻りを期待>

豪ドル円0502

パラメータ0502

下影大陰線引け。
一時99.94円と、100円の節目を割り込む大幅安となった。
しかし100.30円台で上昇中の21日移動平均線を下回る同水準から大幅に反発。
本日早朝には101円台を回復している。
目先の抵抗となりそうな一目均衡表・転換線102.04円をうかがう戻りが見込める。

レジスタンス1 102.04(日足一目均衡表・転換線)
前日終値 100.81
サポート1 100.39(21日移動平均線)

>豪ドル円のリアルタイムチャートはこちら

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