【前日の為替概況】ユーロドル、1.0820ドル台まで上伸 ドル円は3日続伸
14日のニューヨーク外国為替市場でユーロドルは続伸。
終値は1.0819ドルと前営業日NY終値(1.0790ドル)と比べて0.0029ドル程度のユーロ高水準だった。
米労働省が発表した4月米卸売物価指数(PPI)が前月比で予想を上回ると米長期金利の上昇とともにドル買いが先行し、一時1.0768ドルと日通し安値を付けた。
ただ、同時に3月分の数値が下方修正されたこともあり、米金利の上昇とドル高は一時的なものにとどまった。
米長期金利が低下に転じると一転ドル売りが優勢となり、24時前に一時1.0826ドルと日通し高値を更新した。
なお、パウエル米連邦準備理事会(FRB)議長は「ここ数カ月インフレ沈静化に進展がなかったことを踏まえ、当局は忍耐強くあるべきで、政策金利を引き続き高水準に維持する必要がある」「FRBが再利上げを迫られる可能性は低い」と改めて表明した。
ドル円は3日続伸。
終値は156.42円と前営業日NY終値(156.22円)と比べて20銭程度のドル高水準だった。
米PPIの上振れをきっかけに円売り・ドル買いが先行すると21時30分過ぎに一時156.74円と日通し高値を付けたものの、すぐに失速した。
一時は4.52%台まで上昇した米10年債利回りが4.44%台まで低下したことも相場の重しとなり、22時30分前には156.23円付近まで下押しした。
市場では「4月米PPIは予想を上回ったものの、3月分が下方修正されたため、物価の上振れへの過度な警戒が薄れた」との指摘があった。
もっとも、オセアニア時間に付けた日通し安値156.14円が目先サポートとして働くと下げ渋った。
「イエレン米財務長官から為替介入をけん制するコメントが再び出たことで、日米金利差を背景にした円売り・ドル買いが出やすい」との声も聞かれた。
ユーロ円は7日続伸。
終値は169.25円と前営業日NY終値(168.56円)と比べて69銭程度のユーロ高水準。
イエレン米財務長官の発言で為替介入への警戒が後退する中、ユーロドルの上昇につれた買いが入った。
1時前に一時169.36円と本日高値を更新した。
そのあとも169円台前半での推移が続いた。
【本日の東京為替見通し】ビッグイベント目前、ただしゴトー日の仲値には注意
本日のドル円相場は、4月米消費者物価指数(CPI)を前に様子見ムードとなりやすく、引き続き限られた値幅の中での動きを迫られそうだ。
ただ、円を買う材料に乏しい状況が続いている点を踏まえ、方向としては上サイドが意識されやすいとみる。
昨日ドル円は約2週間ぶり高値を付けたとはいえ、足元の動きを振り返ると、とても「投機的な動き」とは言えない。
値幅と時間で振り返ると、3日安値(151.86円)から14日高値(156.74円)までの値幅は5円弱、日数は7営業日。
それに対し、4月29日に今年最初の介入とされた時の直近の動きは、前営業日26日の17時頃から当日の10時半過ぎの僅か18時間弱で5円を超える円安であった。
13日にイエレン米財務長官が為替介入をけん制する発言をしていることもあり、市場ではさらなる円買い介入に踏み切る公算は小さいとの見方が強いことも、円売りの流れに拍車をかけている。
また、日銀が追加利上げを行う状況ではないことも、日米金利差を背景とする円売り・ドル買いを後押ししている。
前週発表された3月の賃金統計では物価変動を加味した実質賃金も過去最長の24カ月連続のマイナスとなった。
需給面では、仲値は引き続き注目したい。
今週は月・火いずれも仲値公示に向けてドルが買われており、本日はゴトー(5・10)日ということで仲値に向けて動き出しがあるか注目したい。
そのほか材料面では、NY市場で複数の米指標が発表予定となっており、その中でも4月CPIに関心が集まっている。
仲値を通過すると、材料がなければ、ビッグイベント前ということで様子見ムードが漂うことも考えられる。
テクニカル面では、13日に直近高安(4月29日高値160.17円-5月3日安値151.86円)の半値戻し(156.02円)を達成したことで、直近高安の61.8%戻し(157.00円)が視野に入っている状況である。
なお、オーストラリアでは1-3月期四半期賃金指数が発表予定。
市場予想は前回と変わらず前期比+0.9%となっている。
昨日、豪政府は予算案を発表し、インフレ見通しについては今年中に豪準備銀行(RBA)の目標レンジ(2-3%)に戻る可能性があるとした。
これはRBAの予測より12カ月早いものだ。
直近の消費者物価指数(CPI)が予想を上回る伸びとなった事で一部では追加利上げ観測も浮上していたが、予想よりも弱い内容となった場合はそうしたタカ派的見方は息をひそめることとなり、豪ドルの重しとなる可能性がある。
市場での金利見通しが交錯するなか、神経質な展開が予想されるため注意したい。
【本日の重要指標】 ※時刻表示は日本時間
<国内>
特になし
<海外>
○10:30 ◎ 1-3月期豪賃金指数(予想:前期比0.9%)
○15:00 ◎ 4月スウェーデン消費者物価指数(CPI、予想:前月比0.4%/前年比4.0%)
コア指数(予想:前月比0.4%/前年比2.4%)
○15:45 ◇ 4月仏CPI改定値(予想:前月比0.5%/前年比2.2%)
○17:00 ◎ レーン・フィンランド中銀総裁、講演
○17:00 ◎ ミュラー・エストニア中銀総裁、講演
○18:00 ☆ 1-3月期ユーロ圏域内総生産(GDP)改定値(予想:前期比0.3%/前年比0.4%)
○18:00 ◎ 3月ユーロ圏鉱工業生産(予想:前月比0.5%/前年比▲1.2%)
○18:00 ◎ ビルロワドガロー仏中銀総裁、講演
○19:20 ◎ マクルーフ・アイルランド中銀総裁、講演
○20:00 ◇ 3月南アフリカ小売売上高(予想:前年同月比0.4%)
○20:00 ◇ MBA住宅ローン申請指数
○21:15 ◇ 4月カナダ住宅着工件数(予想:23.80万件)
○21:30 ◇ 3月カナダ製造業出荷(予想:前月比▲2.8%)
○21:30 ☆ 4月米CPI(予想:前月比0.4%/前年比3.4%)
☆ エネルギーと食品を除くコア指数(予想:前月比0.3%/前年比3.6%)
○21:30 ☆ 4月米小売売上高(予想:前月比0.4%/自動車を除く前月比0.2%)
○21:30 ◎ 5月米ニューヨーク連銀製造業景気指数(予想:▲10.0)
○23:00 ◎ 5月全米ホームビルダー協会(NAHB)住宅市場指数(予想:51)
○23:00 ◇ 3月米企業在庫(予想:前月比▲0.1%)
○23:00 ◎ バー米連邦準備理事会(FRB)副議長、議会証言
○23:30 ◇ EIA週間在庫統計
○16日01:00 ◎ カシュカリ米ミネアポリス連銀総裁、講演
○16日04:20 ◎ ボウマンFRB理事、講演
○16日05:00 ◎ 3月対米証券投資動向
○香港、韓国(釈迦誕生日)、休場
※重要度、高は☆、中は◎、低◇とする。
※指標などの発表予定・時刻は予告なく変更になる場合がありますので、ご了承ください。
【前日までの要人発言】
14日08:44 国際通貨基金(IMF)理事会声明
「日本の短期政策金利の更なる引き上げは、データに依存し、緩やかなペースで進められるべき」
「日本の長年にわたる柔軟な為替レート制度へのコミットメントは、ショックを吸収し、物価安定に焦点を当てた金融政策を支援する」
14日09:50 鈴木財務相
「金融政策の具体的な内容を申し上げる立場にない」
「国債金利は様々な要因を背景に市場で決定される」
「金利上昇による経済財政への影響は様々に考えられる」
「為替相場はファンダメンタルズを反映し安定的に推移することが重要」
14日16:57 ピル英中銀金融政策委員会(MPC)委員兼チーフエコノミスト
「英国のインフレ率は、インフレ目標2%に向けて順調に低下している」
「インフレ目標2%への到達を確実にするには、まだやるべきことがある」
「エネルギー価格の上昇などの影響は低減しつつある」
「雇用市場、賃金上昇率、サービス価格などを注視していく」
「景気抑制的な姿勢を維持しつつ、利下げは可能」
「利下げは夏に検討される公算大」
「問題は、いつ、どのようにして抑制的な措置を終わらせるかである」
「リスクは、抑制的な措置が早急に終了すること」
「インフレの持続性には、安閑としていられない」
14日23:14 パウエル米連邦準備理事会(FRB)議長
「労働市場は2019年のパンデミック以前とほぼ同じくらい逼迫」
「労働市場は非常に堅調だが、より良いバランスに戻りつつある」
「労働市場は徐々に冷え込む兆しが見られる」
「第1四半期はインフレに関してさらなる進展が見られなかった。忍耐が必要であることが分かった」
「PPIは過熱気味とは言わないが強弱混在」
「政策金利を現状維持する可能性が高い」
「次の行動が利上げになる可能性は低いと考える」
「インフレが持続するかどうかは分からない」
「インフレ低下の自信得るまでにより時間がかかりそうだ」
「労働者の需要はかなり大幅に冷え込んでいる」
「米国の財政政策は持続不可能な方向に進んでいる」
14日23:26 クノット・オランダ中銀総裁
「インフレ率が目標に戻るとの確信がますます高まっている」
「6月は初回利下げの好機かもしれない」
※時間は日本時間
〔日足一目均衡表分析〕
<ドル円=155.90円台まで上昇の基準線が支持に>
陽線引け。
156円後半まで上昇後は上げ幅を縮めるも、3日続伸となった。
4月29日から5月3日までの下落幅の半値の上で推移し、目先は61.8%戻しの157円を目指す展開を想定。
同水準を超えていくと、1日高値157.99円が視野に入る。
下サイドは、155.90円台まで上昇してきた日足一目・基準線が支持か。
レジスタンス2 157.99(5/1高値)
レジスタンス1 157.00(4/29-5/3レンジの下値から61.8%戻し)
前日終値 156.42
サポート1 155.93(日足一目均衡表・基準線)
サポート2 155.17(5/9安値)
<ユーロドル=一目・転換線は1.0770ドル台まで上昇>
再び1.08ドル台に乗せ、3日高値を超えて1.08ドル前半で日足一目・雲に迫った。
一目・転換線は1.0770ドル台まで水準を切り上げ、基準線を上回った。
雲の上限1.0838ドルをクリアに超えていくと、上昇力が強まりそうだ。
本日は転換線から10日安値辺りを支持帯とし、押し目買いスタンス。
一目・雲超えで1.0880ドル台の4月9日高値を目指す展開を期待したい。
レジスタンス1 1.0885(4/9高値)
前日終値 1.0819
サポート1 1.0760(5/10安値)
<ユーロ円=調整に注意しながらも上値余地を探る展開か>
上下に長いヒゲを作った4月29日以来の169円台乗せ、この日の高値圏で引けて7日続伸となった。
先週から着実に下値を切り上げてきており、地合いの強さがうかがえる。
下向きの調整に注意しながらも、上値余地を探る展開は継続か。
168円半ばの14日安値辺りまでの下押しは想定しながら、買いスタンスで臨みたい。
レジスタンス1 170.47(ピボット・ターニングポイント)
前日終値 169.25
サポート1 168.47(5/14安値)
<豪ドル円=4/29以来の104円台回復が目前に>
陽線引け。
103円前半で下げ渋り、103.70円まで強含んだ。
4月29日以来の104円台回復が目前であり、大台に乗せてくるようだと同日つけた年初来高値104.94円が視野に入ってくる。
本日は買いスタンスで臨み、まずは昨日安値圏が支持水準として働くかを見極めたい。
13日安値を割り込むようだと一旦手仕舞い。
レジスタンス1 104.46(ピボット・ターニングポイント)
前日終値 103.66
サポート1 102.61(5/13安値)
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