本日の東京為替見通し(為替/FXニュース):ドル円は底堅い動きか、FRB要人の利下げ慎重見通しが支えに(2024年5月21日)

マーケットレポート

May 21, 2024

【前日の為替概況】ドル円、3日続伸 米10年債利回り4.45%台まで上昇

20日のニューヨーク外国為替市場でドル円は3日続伸。
終値は156.26円と前営業日NY終値(155.65円)と比べて61銭程度のドル高水準だった。
このところ米連邦準備理事会(FRB)高官らが早期利下げに慎重な見方を示す中、米長期金利の指標である米10年債利回りが4.45%台まで上昇すると円売り・ドル買いが優勢となった。
政府・日銀による為替介入への警戒が後退していることも相場の支援材料となり、5時前には一時156.30円と日通し高値を更新した。

なお、米連邦公開市場委員会(FOMC)で投票権を有するボスティック米アトランタ連銀総裁は「インフレ目標の2%に到達すると確信できるまでまだ時間がかかる」と述べたほか、デイリー米サンフランシスコ連銀総裁は「インフレ率が2%に向けて低下していることをまだ確信せず」などと発言。
また、ジェファーソンFRB副議長は「4月のインフレ指標は鈍化したものの、インフレが目標の2%に持続的に回帰しつつあるとは断言できない」と述べた。

ユーロドルは小反落。
終値は1.0857ドルと前営業日NY終値(1.0869ドル)と比べて0.0012ドル程度のユーロ安水準だった。
欧州中央銀行(ECB)が6月にも利下げに動くとの見方が強まる中、米長期金利の上昇に伴うユーロ売り・ドル買いが先行。
21時30分過ぎに一時1.0854ドルと日通し安値を付けた。
前週末の安値1.0836ドルがいったんはサポートとして意識されると2時30分前に1.0871ドル付近まで下げ渋ったものの、戻りは鈍かった。

ユーロ円は3日続伸。
終値は169.65円と前営業日NY終値(169.17円)と比べて48銭程度のユーロ高水準。
ドル円の上昇につれた買いが優勢になると、4時前に一時169.78円と日通し高値を更新した。

【本日の東京為替見通し】ドル円は底堅い動きか、FRB要人の利下げ慎重見通しが支えに

本日のドル円相場は引き続き底堅い動きになりそうだ。
今月に入り米国で最も注目された2つの経済指標(4月雇用統計と同月消費者物価指数(CPI))がそれぞれ弱い結果となり、市場では今年2回の利下げ期待が高まった。
しかしながら、CPI発表後の15日以後も、米連邦準備理事会(FRB)高官からは、利下げに対して慎重な見方が相次いでいる。
先週は、ウィリアムズ米ニューヨーク連銀総裁、ボウマンFRB理事、バーキン米リッチモンド連銀総裁、メスター米クリーブランド連銀総裁など今年の米連邦公開市場委員会(FOMC)で投票権を有するメンバーに、グールズビー米シカゴ連銀総裁などが利下げへの慎重姿勢を示した。
そして、昨日相次いで行われたFRB高官の講演でも下記のように、利下げに対しての慎重発言が出ている。

・ボスティック米アトランタ連銀総裁「インフレ目標の2%に到達すると確信できるまで、まだ時間がかかる」
・バーFRB副議長「第1四半期のインフレには失望、金融緩和に必要な確信をもたらさなかった」
・ジェファーソンFRB副議長「ディスインフレの進展鈍化が長期にわたるかどうかを判断するには時期尚早」
・デイリー米サンフランシスコ連銀総裁「インフレがどのような方向に向かうかを判断するには時期尚早」

このように、すべてのFRB高官からここ最近は口裏を合わせたかのように、インフレの継続的な低下に懐疑的な声が続いている。
依然として9月での利下げ予想は6割を超えているが、今後のデータを精査するまで利下げを過大に期待するリスクは高く、ドル相場も大きく崩れにくいと思われる。

また、ドル買いだけではなく、円売り要因が多いこともドル円を支えている。
昨日、本邦10年債利回りは2013年以来の水準まで上昇したが、市場では過度に日銀が利上げを出来る状況ではないと認識している。
ここ最近の本邦の経済データが弱く、消費が低迷している中での利上げは副作用が大きい。
また、与党自民党にとっても、週末に行われた小田原市長選で現職市長が大敗するなど、支持率の低下に歯止めがかからない。
今後の選挙を控え、国民の支持を得にくい利上げなどを積極的に推し進めるのも難しいだろう。

なお、本日も本邦だけではなく米国からも主だった経済指標の発表予定がないことで、ドル円が大きくレンジを広げるのは難しそうだ。

円以外の通貨ではオセアニア通貨の値動きに注目したい。
昨日NZドル円は95.62円まで強含み2007年以来の高値を更新。
豪ドル円も104.57円までじり高となり、4月29日付けた2013年以来の高値に近づいた。
本日は5月6-7日に開かれた豪準備銀行(RBA)理事会の議事要旨が公開され、明日はNZ準備銀行(RBNZ)の金融政策委員会(MPC)が政策金利を発表する。
両中銀の政策スタンスに変化があれば、オセアニア通貨はともにボラタイルな値動きになりそうだ。

【本日の重要指標】 ※時刻表示は日本時間

<国内>
特になし

<海外>
○08:00 ◎ ボスティック米アトランタ連銀総裁、講演
○09:30 ◇ 5月豪ウエストパック消費者信頼感指数
○10:30 ◎ 5月豪準備銀行(RBA)理事会議事要旨
○15:00 ◇ 4月独生産者物価指数(PPI、予想:前月比0.3%)
○17:00 ◎ ラガルド欧州中央銀行(ECB)総裁、イエレン米財務長官、リントナー独財務相、講演
○17:00 ◇ 3月ユーロ圏経常収支(季節調整済)
○18:00 ◇ 3月ユーロ圏建設支出
○18:00 ◇ 3月ユーロ圏貿易収支(予想:季節調整済200億ユーロの黒字/季節調整前なし)
○21:30 ◎ 4月カナダ消費者物価指数(CPI、予想:前月比0.6%/前年比2.7%)
○22:00 ◎ バーキン米リッチモンド連銀総裁、あいさつ
○22:00 ◎ ウォラー米連邦準備理事会(FRB)理事、討議に参加
○22:05 ◎ ウィリアムズ米ニューヨーク連銀総裁、あいさつ
○22日00:45 ◎ バー米連邦準備理事会(FRB)副議長、講演
○22日02:00 ◎ ベイリー英中銀(BOE)総裁、講演

※「予想」は特に記載のない限り市場予想平均を表す。▲はマイナス。
※重要度、高は☆、中は◎、低◇とする。
※指標などの発表予定・時刻は予告なく変更になる場合がありますので、ご了承ください。

>本日発表予定のその他の経済指標についてはこちら

【前日までの要人発言】

20日16:22 カザークス・ラトビア中銀総裁
「6月の欧州中央銀行(ECB)理事会で利下げが開始される見込み」

20日19:38 テデーン・リクスバンク(スウェーデン中銀)総裁
「インフレ率が中銀目標に近づいていることから、スウェーデンは金融政策と経済にとって新たな局面を迎えている」

20日19:40 ブロードベントBOE副総裁
「政策がある時点でこれまでより制約的ではなくなるという予想通りに今後も状況が進展すれば、夏の間に政策金利が引き下げられる可能性がある」

20日20:41 ボスティック米アトランタ連銀総裁
「インフレ目標の2%に到達すると確信できるまで、まだ時間がかかる」
「企業の価格決定力は弱まりつつある」
「今年のこれまでのデータはでこぼこだった」
「我々の現状の金融政策は抑制的」

20日22:05 バー米連邦準備理事会(FRB)副議長
「第1四半期のインフレには失望、金融緩和に必要な確信をもたらさなかった」
「インフレと雇用の責務の両方に対するリスクに警戒」

20日23:59 ジェファーソン米連邦準備理事会(FRB)副議長
「政策金利は制限的な領域にある」
「今年後半には個人消費の伸びが鈍化すると予想」
「ディスインフレの進展鈍化が長期にわたるかどうかを判断するには時期尚早」
「4月のインフレ指標が改善したことは心強い」
「インフレは依然としてしぶとい」

21日01:54 デイリー米サンフランシスコ連銀総裁
「インフレ率が2%に向けて低下していることをまだ確信せず」
「インフレは改善すると予想されるが、急速ではない」

21日03:17 メスター米クリーブランド連銀総裁
「金融政策は制限的」
「4月CPIは良いニュースだったが、インフレがどのような方向に向かうかを判断するには時期尚早」
「インフレ率が持続的に2%に向かうかどうかを判断するには、インフレに関するより多くの証拠を集める必要」

※時間は日本時間

>本日の要人発言をリアルタイムで確認するならこちら

〔日足一目均衡表分析〕

<ドル円=14日高値を抜いて戻り鈍いイメージ払しょくしたい>

ドル円0521

パラメータ0521

陽線引け。
一時156.30円と15日以来、4営業日ぶりに156円台を回復した。
NY終値も156.26円と、一目均衡表・基準線156.02円を上回っている。

目先の重しとみられていた基準線がサポートに転じるか見定める局面。
一目・転換線が現水準155.17円から今後緩やかながら切り下がる可能性を残している点はやや不安だが、目先の上値の節目である14日高値156.74円を上抜けて勢いづき、戻りが鈍いイメージを払しょくできるか注視したい。

レジスタンス1 156.74(5/14高値)
前日終値 156.26
サポート1 155.69(5日移動平均線)
サポート2 155.25(5/17安値)

>ドル円のリアルタイムチャートはこちら

<ユーロドル=5日線を下回る水準で下げ渋りのポイント模索>

ユーロドル0521

パラメータ0521

上影小陰線引け。
1.0884ドルを上値に押し戻され、5日移動平均線1.0859ドルを割り込んでNYを引けた。
本日1.0867ドル前後へ切り上がった5日線を下回る水準で下げ渋りのポイントを模索する展開か。
今後の上昇が見込まれる一目均衡表・転換線1.0810ドル前後や一目・雲の上限1.0791ドルあたりがめどとなりそうだ。

レジスタンス1 1.0895(5/16高値、ピボット・レジスタンス2)
前日終値 1.0857
サポート1 1.0791(日足一目均衡表・雲の上限)

>ユーロドルのリアルタイムチャートはこちら

<ポンド円=年初来高値を視野に入れたじり高の展開>

ポンド円0521

パラメータ0521

陽線引け。
一時198.64円と、4月29日につけた年初来高値200.55円を視野に入れたじり高の展開だった。
下押しがあっても本日197.64円前後に位置する5日移動平均線付近にとどめ、上値を取りにいく流れが続くか。
押し目が深くなっても、昨日安値197.39円や先週末安値196.80円、上昇中の一目均衡表・転換線196.24円といったサポートが順次控えている。

レジスタンス1 199.45(ピボット・レジスタンス2)
前日終値 198.56
サポート1 197.64(5日移動平均線)

>ポンド円のリアルタイムチャートはこちら

<NZドル円=2007年以来の高値圏で底堅さ維持>

NZドル円0521

パラメータ0521

下影小陰線引け。
一時95.62円と、先週末に続き2007年以来の高値を更新した。
高値警戒感もあって95.07円まで下押す場面もあったが下げ渋り、底堅さを示す下ひげが長めの足型を形成している。
95.24円前後へ切り上がった5日移動平均線付近で下押しを軽く挟む可能性はあるものの、上向きの流れを維持できるだろう。

レジスタンス1 95.91(ピボット・レジスタンス2)
前日終値 95.39
サポート1 94.89(5/16-20上昇幅の半値押し)

>NZドル円のリアルタイムチャートはこちら

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