本日の東京為替見通し(為替/FXニュース):日銀正副総裁の発言で6月日銀金融政策決定会合を見極める展開か(2024年5月27日)

マーケットレポート

May 27, 2024

【前日の為替概況】米期待インフレ率下方修正でドル安 対円156.82円、対ユーロ1.0858ドル

24日のニューヨーク外国為替市場でユーロドルは5営業日ぶりに反発。
終値は1.0847ドルと前営業日NY終値(1.0815ドル)と比べて0.0032ドル程度のユーロ高水準だった。
5月米ミシガン大学消費者態度指数確報値は予想を上回ったものの、消費者の期待インフレ率が予想を下回り、速報値から下方修正されたため全般ドル売りが先行した。
米長期金利の指標である米10年債利回りが低下に転じたこともユーロ買い・ドル売りを促し、1時30分前に1.0858ドルと日通し高値を更新した。
市場では「米国と英国の3連休を控えた週末とあって、ポジション調整目的のユーロ買い・ドル売りが入った」との声も聞かれた。

ナーゲル独連銀総裁はこの日、「欧州中央銀行(ECB)はおそらく6月に利下げする可能性がある」としながらも、追加利下げについては「9月まで待たなければならないだろう」などと発言。
「ECBが6月に利下げに踏み切っても、その後の利下げペースは緩やかなものにとどまる」との見方もユーロを下支えした。

ドル円は小幅ながら3日続伸。
終値は156.99円と前営業日NY終値(156.93円)と比べて6銭程度のドル高水準だった。
米ミシガン大学が発表した消費者の期待インフレ率が予想を下回るとじり安の展開となった。
1時30分過ぎに一時156.82円と日通し安値を更新した。

なお、神田財務官は先進7カ国(G7)財務相・中央銀行総裁会議に出席後、記者団に対して「為替、過度な変動があれば適切な行動をとる」と話したものの、イエレン米財務長官が「為替介入はめったに使用されない手段であるべき」との見解を繰り返す中、円買い・ドル売りでの反応は鈍かった。

もっとも、米国の3連休を控えた週末とあって大きな方向感は出なかった。
今日の高値は東京時間に付けた157.15円で値幅は33銭程度だった。

ユーロ円は上昇。
終値は170.23円と前営業日NY終値(169.73円)と比べて50銭程度のユーロ高水準。
ユーロドルの上昇につれた円売り・ユーロ買いが出たほか、米国株相場の上昇を背景にリスク・オンの円売りが出ると一時170.50円と4月29日以来約1カ月ぶりの高値を付けた。
その後の下押しも170.17円付近にとどまった。

【本日の東京為替見通し】日銀正副総裁の発言で6月日銀金融政策決定会合を見極める展開か

本日の東京外国為替市場のドル円は、植田日銀総裁と内田日銀副総裁の発言から6月の日銀金融政策決定会合での追加金融引締めの有無を見極める展開が予想される。

4月26日の日銀金融政策決定会合の後の記者会見で、植田日銀総裁が、現時点ではいまの円安が基調的な物価上昇率に大きな影響を与えているわけではないとしたうえで、今後、円安が物価の動きに影響を及ぼすことになれば金融政策による対応を検討する考えを示したことが、円安容認と受け取られ、4月29日にドル円は160.17円まで上昇した。

本邦通貨当局は、4月29日に2回(159円付近と157円付近)、5月2日早朝に157円付近でドル売り・円買い介入を実施したと見なされている。
そして、5月7日に植田日銀総裁は岸田首相と会談を行った後、「経済・物価に潜在的に大きな影響を与え得るものなので、最近の円安については日本銀行の政策上十分注視をしていくことを確認した」と語った。

5月13日、日銀は国債の買い入れオペ(公開市場操作)で、償還までの期間が5年超10年以下の買い入れ額を前回より500億円減額して、約4250億円とした。
10年国債利回りは、5月22日に1%台に乗せ、24日はさらに1.005%と12年ぶりの高水準に達している。
また、23日には、日本銀行の定例の国債買い入れオペで、応札額が買い入れ予定額に届かない「札割れ」が起きている。

市場では、6月13-14日の日銀金融政策決定会合で、円安対策のために、0.25%の追加利上げと現状6兆円程度の毎月の長期国債買入れの減額、撤廃への警戒感が高まっており、本日の植田日銀総裁と内田日銀副総裁の発言には要警戒となる。

先週末に開催されたG-7財務相・中央銀行総裁会議での為替に関する声明文では、為替市場の過度な変動は経済の安定に悪影響を与えるとした過去の合意が再確認され、「明確なコミュニケーションを通じて負の波及効果を抑えるよう努める」などとも記された。

イエレン米財務長官は、「介入は稀であるべきで、実施には事前の伝達(コミュニケーション)が適切だと考える。
そして介入するのであれば、主に為替市場のボラティリティーへの対応であるべきだ。
介入は決して日常的に用いられるような手段ではない」と述べた。

そして、神田財務官は、米国を含め各国当局と緊密に連絡を取り合っていると述べ、介入が稀であることが望ましいのは言うまでもないが、必要な場合には適切に対応すると強調した。
過去3回の円買い介入は157円以上で実施されたと見なされており、G-7会議の後での本邦通貨当局の対応にも警戒しておきたい。

【本日の重要指標】 ※時刻表示は日本時間

<国内>
○09:05 ◎ 植田和男日銀総裁、あいさつ
○11:05 ◎ 内田眞一日銀副総裁、講演
○14:00 ◇ 3月景気動向指数改定値

<海外>
○12:40 ◎ ブイチッチ・クロアチア中銀総裁、講演
○17:00 ◎ 5月独Ifo企業景況感指数(予想:90.5)
○20:00 ◎ レーン欧州中央銀行(ECB)専務理事兼チーフ・エコノミスト、講演
○28日00:30 ◎ ホルツマン・オーストリア中銀総裁、講演
○英国(スプリング・バンク・ホリデー)、米国(メモリアルデー)、休場

※重要度、高は☆、中は◎、低◇とする。
※指標などの発表予定・時刻は予告なく変更になる場合がありますので、ご了承ください。

>本日発表予定のその他の経済指標についてはこちら

【前日までの要人発言】

24日10:48 シルクNZ準備銀行(中央銀行、RBNZ)総裁補
「短期的なインフレリスクを懸念している」
「中銀は国内インフレの強さを過小評価したため、モデルを調整した」
「必要であれば金利を引き上げる用意がある」

24日11:07 ホークスビーRBNZ総裁補佐
「短期的なインフレリスクは上昇傾向にあるが、中期的なインフレは目標に回帰していると確信している」
「国内のインフレ圧力や期待を注視しながら、単一のデータポイントが金利引き上げを引き起こすことはないだろう」
「金利引き下げは短期的な議論には含まれていない」

24日17:24 ビルロワドガロー仏中銀総裁
「6月の欧州中央銀行(ECB)理事会に向けて、1-3月期の賃金データを重視すべきではない」

24日18:08 シュナーベルECB専務理事
「いくつかのインフレ要因に粘着性が見られる」
「金利を巡りハイペース過ぎる動きに警戒」
「6月の欧州中央銀行(ECB)理事会での利下げ開始を見込む」
「速過ぎる利下げペースは望ましくない」

24日18:56 ナーゲル独連銀総裁
「6月利下げの可能性でまとまりつつある」
「今後数カ月で賃金の伸びは減速するだろう」
「1-3月期の独経済は予想より良好だった」
「ECBはおそらく6月に利下げする可能性」
「インフレのトレンドは下落傾向にある」
「コア、ヘッドラインインフレはともに減速中」
「次の動きは9月まで待たなければならないだろう」

25日00:53 神田財務官
「為替市場の変動には引き続き注意が必要」
「無秩序な為替の動きは経済に悪影響を与える」
「(為替)過度な変動があれば適切な行動をとる」
「介入がまれであることが望ましいのはいうまでもない」

※時間は日本時間

>本日の要人発言をリアルタイムで確認するならこちら

〔日足一目均衡表分析〕

<ドル円=転換線を支持に押し目買いスタンス>

ドル円0527

パラメータ0527

小陽線引け。
転換線は基準線を下回っているものの、遅行スパンは実線を上回り、雲の上で引けていることで、買いシグナルが優勢な展開。
3手連続陽線で依然として転換線を上回って引けており続伸の可能性が示唆されている。

本日は転換線を支持に押し目買いスタンスで臨み、同線を下抜けた場合は手仕舞い。

レジスタンス2 160.17(4/29高値)
レジスタンス1 157.99(5/1高値)
前日終値 156.99
サポート1 155.40(日足一目均衡表・転換線)
サポート2 154.55(5/8安値)

>ドル円のリアルタイムチャートはこちら

<ユーロドル=3/21高値を抵抗に戻り売りスタンス>

ユーロドル0527

パラメータ0527

陽線引け。
転換線は基準線を上回り、遅行スパンは実線を上回り、雲の上で引けていることで、三役好転の強い買いシグナルが点灯している。
しかし、4手連続陰線の後の抱き線で反発したものの、転換線1.0850ドルを下回って推移しており反落の可能性が示唆されている。

本日は転換線1.0850ドルを念頭に置き、3月21日の高値を抵抗に戻り売りスタンスで臨み、同水準を上抜けた場合は手仕舞い。

レジスタンス1 1.0943(3/21高値)
前日終値 1.0847
サポート1 1.0760(日足一目均衡表・基準線)

>ユーロドルのリアルタイムチャートはこちら

<ポンド円=5/24安値を支持に押し目買いスタンス>

ポンド円0527

パラメータ0527

陽線引け。
転換線は基準線を上回り、遅行スパンは実線を上回り、雲の上で引けていることで、三役好転の強い買いシグナルが点灯している。
抱き線で切り返して転換線を上回って引けており続伸の可能性が示唆されている。

本日は24日の安値を支持に押し目買いスタンスで臨み、同水準を下抜けた場合は手仕舞い。

レジスタンス1 200.55(4/29高値)
前日終値 199.88
サポート1 199.07(5/24安値)

>ポンド円のリアルタイムチャートはこちら

<NZドル円=転換線を支持に押し目買いスタンス>

NZドル円0527

パラメータ0527

陽線引け。
転換線は基準線を上回り、遅行スパンは実線を上回り、雲の上で引けていることで、三役好転の強い買いシグナルが点灯している。
3手連続陽線で転換線を上回って引けており続伸の可能性が示唆されている。

本日は転換線支持に押し目買いスタンスで臨み、同線を下抜けた場合は手仕舞い。

レジスタンス1 96.83(ピボット・ターニングポイント)
前日終値 96.10
サポート1 95.16(日足一目均衡表・転換線)

>NZドル円のリアルタイムチャートはこちら

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