May 29, 2024
【前日の為替概況】ドル円156.59円から157.20円まで上昇、米10年債利回りが4.55%へ上昇
28日のニューヨーク外国為替市場でドル円は反発。
終値は157.17円と前営業日NY終値(156.88円)と比べて29銭程度のドル高水準だった。
米長期金利の指標である米10年債利回りが4.44%台まで低下すると円買い・ドル売りが先行。
22時30分前に一時156.59円と日通し安値を付けた。
ただ、5月米消費者信頼感指数が102.0と予想の95.9を上回ったことが分かると買い戻しが優勢に。
この日実施された米2年債と5年債の入札が低調な結果だったことが伝わると、米10年債利回りが4.55%台まで一転上昇。
全般ドル買いが活発化し、5時30分過ぎには一時157.20円と日通し高値を更新した。
ユーロドルはほぼ横ばい。
終値は1.0857ドルと前営業日NY終値(1.0859ドル)と比べて0.0002ドル程度のユーロ安水準だった。
米長期金利の低下に伴うユーロ買い・ドル売りが先行すると一時1.0889ドルと日通し高値を付けたものの、16日の高値1.0895ドルがレジスタンスとして意識されると失速。
良好な米経済指標や低調な米国債入札をきっかけに米長期金利が上昇に転じたことも相場の重しとなり、4時前に一時1.0855ドルとオセアニア時間に付けた日通し安値に面合わせした。
ただ、下押しも限定的だった。
クノット・オランダ中銀総裁が「政策金利はゆっくりと、しかし徐々に、より緩和的な水準へと移行するだろう」と述べたことで、「欧州中央銀行(ECB)による利下げが緩やかなペースにとどまる」との見方が強まったことも相場を下支えした。
ユーロ円は3日続伸。
終値は170.63円と前営業日NY終値(170.34円)と比べて29銭程度のユーロ高水準。
22時30分過ぎに一時170.31円付近まで下押ししたものの、オセアニア時間に付けた日通し安値170.28円が目先サポートとして働くと買い戻しが優勢に。
「ECBによる利下げが緩やかなペースにとどまる」との見方が強まったことも相場の支援材料となり、2時30分過ぎには一時170.80円と4月29日以来約1カ月ぶりの高値を付けた。
【本日の東京為替見通し】ドル円は安達日銀審議委員発言、豪ドルは豪4月CPIに要注目か
本日の東京外国為替市場のドル円は、米10年債利回りの上昇を受けて底堅い展開が予想されるものの、本邦通貨当局によるドル売り・円買い介入の警戒水準である157円台に乗せていることで警戒しておきたい。
本邦通貨当局は、4月29日にドル円が160.17円まで上昇した後、159円台で第1弾の円買い介入、157円台に戻した局面で第2弾の円買い介入、そして、5月2日の早朝5時頃の157円台で第3弾の円買い介入を断行したと見なされている。
おそらく、160円という絶対防衛圏の手前の157円~159円を死守している可能性があることで、本日の157円台への対応には警戒しておきたい。
神田財務官は、5月24日に「日本から為替について投機的な動きによる過度な変動には引き続き注意が必要であることを伝えた」ことを明らかにしていた。
米国を含め各国当局と緊密に連絡を取り合っていると述べ、介入が稀であることが望ましいのは言うまでもないとした上で必要な場合には適切に対応すると強調していた。
本日の注目材料は、10時30分からの安達日銀審議委員の発言や4月豪消費者物価指数(CPI)となる。
10時30分からリフレ派の安達日銀審議委員が金融経済懇談会に出席する。
6月の日銀金融政策決定会合に向けて、植田日銀総裁や内田日銀副総裁のような金融政策正常化に積極的な姿勢を示した場合、利上げや国債買入オペの減額の可能性が高まることで、ドル円の上値を抑える要因となる。
10時30分に発表される4月豪CPIは前年比+3.4%と予想されており、3月の同比+3.5%からはインフレの伸び率鈍化が見込まれている。
リスクシナリオは、予想に反してインフレ加速の傾向が示された場合であり、豪準備銀行(RBA)理事会の利下げ期待が後退して、豪ドルの買い戻しにつながることになる。
5月6-7日開催分のRBA理事会議事要旨では「インフレリスクが高まっていることを踏まえ、利上げを検討していた」ことが明らかになっている。
昨日は、10年クライメート・トランジション利付国債の入札での最高落札利回りが1.040%となり、現物市場の新発10年債利回りを上回る弱めの結果となったことは、円高要因となった。
しかし、2%の物価安定目標の実現を目指す日銀が公表した4月の「基調的なインフレ率を捕捉するための指標」は、3指標とも前年比伸び率2%を下回った。
輸入価格上昇の価格転嫁の影響が剥落し続ける中で、基調的なインフレ指標は一段と伸びが鈍化した。
5月27日、植田日銀総裁と内田日銀副総裁は、6月13-14日の金融政策決定会合で追加利上げの可能性を示唆し、新発10年債利回りは1.03%台まで上昇したものの、日銀が算出する基調的なインフレ指標は鈍化していることが判明し、円安要因となっている。
植田日銀総裁は「インフレ予想をゼロ%から押し上げることには成功した」と述べ、内田日銀副総裁は「過去25年間の金融政策運営におけるデフレとゼロ金利政策との闘いの終焉が視野に入った」と述べていた。
【本日の重要指標】 ※時刻表示は日本時間
<国内>
○10:30 ◇ 安達誠司日銀審議委員、あいさつ
○14:00 ◇ 5月消費動向調査(消費者態度指数 一般世帯、予想:39.2)
<海外>
○10:00 ◇ 5月ANZ企業信頼感
○10:30 ◎ 4月豪消費者物価指数(CPI、予想:前年比3.4%)
○15:00 ◇ 6月独消費者信頼感指数(Gfk調査、予想:▲22.5)
○15:45 ◇ 5月仏消費者信頼感指数(予想:91)
○16:00 ◎ ビルロワ・フランス中銀総裁、講演
○20:00 ◇ MBA住宅ローン申請指数
○21:00 ◎ 5月独CPI速報値(予想:前月比0.2%/前年比2.4%)
○23:00 ◎ 5月米リッチモンド連銀製造業景気指数(予想:▲6)
○30日02:00 ◎ 米財務省、7年債入札
○30日02:45 ◎ ウィリアムズ米ニューヨーク連銀総裁、討議に参加
○30日03:00 ◎ 米地区連銀経済報告(ベージュブック)
○南アフリカ(総選挙)、休場
※重要度、高は☆、中は◎、低◇とする。
※指標などの発表予定・時刻は予告なく変更になる場合がありますので、ご了承ください。
【前日までの要人発言】
28日10:15 鈴木財務相
「今の時点は円安のもたらすマイナス面が強く懸念される」
「為替市場の動向注視、必要に応じ万全の対応を行っていく」
「為替相場の過度な変動は望ましくない」
「為替介入については実施の有無を含めて回答を控える」
「為替の日本経済・国民生活への影響を的確に分析し適切に対応」
28日14:39 シュナーベルECB専務理事
「過去の債券買い入れは、利上げ効果弱めた可能性がある」
28日16:39 カシュカリ米ミネアポリス連銀総裁
「政策の方向性について何も排除すべきではない」
「最近のインフレ率は横ばい状態にある」
「物価動向をさらに確認する必要がある」
「米経済は引き続き力強さを示している」
「利下げを急ぐ必要性は見られない」
「利下げを行う前にさらに数カ月、インフレ率が改善する良好なデータを確認したい」
28日18:32 テデーン・リクスバンク(スウェーデン中銀)総裁
「6月会合での利下げの可能性は低い」
28日21:20 ホルツマン・オーストリア中銀総裁
「来週の会合での利下げを支持」
「今年は2回、最大3回の利下げを予想」
28日22:18 クノット・オランダ中銀総裁
「政策金利はゆっくりと、しかし徐々に、より緩和的な水準へと移行するだろう」
「3月の予測に基づくと、最適な政策は今年3-4回の利下げ」
「特定の将来の金利パスに関するコミットメントは避けるべき」
28日23:00 カシュカリ米ミネアポリス連銀総裁
「賃金上昇率は2%目標に比べて依然としてかなり堅調」
「米国の労働市場は軟化しているが、依然としてタイト」
※時間は日本時間
〔日足一目均衡表分析〕
<ドル円=転換線を支持に押し目買いスタンス>
陽線引け。
転換線は基準線を上回り、遅行スパンは実線を上回り、雲の上で引けていることで、三役好転の強い買いシグナルが点灯した。
抱き線で切り返して転換線156.23円を上回って引けていることで続伸の可能性が示唆されている。
本日は転換線を支持に押し目買いスタンスで臨み、同線を下抜けた場合は手仕舞い。
レジスタンス2 160.17(4/29高値)
レジスタンス1 157.99(5/1高値)
前日終値 157.17
サポート1 156.23(日足一目均衡表・転換線)
サポート2 154.55(5/8安値)
<ユーロドル=基準線を支持に押し目買いスタンス>
小陰線引け。
転換線は基準線を上回り、遅行スパンは実線を上回り、雲の上で引けていることで、三役好転の強い買いシグナルが点灯している。
2手連続陽線の後、孕み線で反落したものの転換線を上回って引けており反発の可能性が示唆されている。
本日は転換線1.0847ドルを念頭に置き、基準線を支持に押し目買いスタンスで臨み、同線を下抜けた場合は手仕舞い。
レジスタンス1 1.0943(3/21高値)
前日終値 1.0857
サポート1 1.0773(日足一目均衡表・基準線)
<ポンド円=転換線を支持に押し目買いスタンス>
陽線引け。
転換線は基準線を上回り、遅行スパンは実線を上回り、雲の上で引けていることで、三役好転の強い買いシグナルが点灯している。
3手連続陽線で年初来高値を更新して、転換線を上回って引けており続伸の可能性が示唆されている。
本日は転換線を支持に押し目買いスタンスで臨み、同線を下抜けた場合は手仕舞い。
レジスタンス1 201.26(ピボット・ターニングポイント)
前日終値 200.58
サポート1 198.73(日足一目均衡表・転換線)
<NZドル円=転換線を支持に押し目買いスタンス>
小陽線引け。
転換線は基準線を上回り、遅行スパンは実線を上回り、雲の上で引けていることで、三役好転の強い買いシグナルが点灯している。
5手連続陽線で転換線を上回って引けており続伸の可能性が示唆されている。
本日は転換線を支持に押し目買いスタンスで臨み、同線を下抜けた場合は手仕舞い。
レジスタンス1 97.03(ピボット・ターニングポイント)
前日終値 96.51
サポート1 95.89(日足一目均衡表・転換線)
Provided by
DZH Finacial Research
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