本日の東京為替見通し(為替/FXニュース):ドル円は米10年債利回り上昇で堅調推移、円買い介入には要警戒か(2024年5月30日)

マーケットレポート

May 30, 2024

【前日の為替概況】ドル円157.71円まで続伸、米10年債利回りが4.60%台へ上昇

29日のニューヨーク外国為替市場でユーロドルは下落。
終値は1.0801ドルと前営業日NY終値(1.0857ドル)と比べて0.0056ドル程度のユーロ安水準だった。
21時過ぎに一時1.0859ドル付近まで値を上げたものの、オセアニア時間に付けた日通し高値1.0860ドルや前日の高値1.0889ドルが目先レジスタンスとして働くと失速した。
5月独消費者物価指数(CPI)速報値が前月比で予想を下回ると、「米連邦準備理事会(FRB)よりも欧州中央銀行(ECB)のほうが先に利下げに動く」との見方が一段と強まり、ユーロ売り・ドル買いが進んだ。

この日実施された米7年債入札が「低調」だったと伝わると、米10年債利回りが4.63%台まで上昇。
全般ドル買いが活発化し、5時前に一時1.0800ドルと日通し安値を更新した。

ドル円は続伸。
終値は157.64円と前営業日NY終値(157.17円)と比べて47銭程度のドル高水準だった。
米利下げ観測の後退や低調な米国債入札を背景に米長期金利が上昇すると、日米金利差を意識した円売り・ドル買いが優勢となった。
1時30分過ぎ一時157.71円と1日以来の高値を更新した。

なお、FRBはこの日公表した米地区連銀経済報告(ベージュブック)で「経済活動は前回の報告時点から拡大を続けた」と指摘し、「物価は緩やかなペースで上昇した」「短期的な物価上昇は緩やかなペースで続く見込み」との見解を示した。

ユーロ円は4営業日ぶりに反落。
終値は170.28円と前営業日NY終値(170.63円)と比べて35銭程度のユーロ安水準。
21時過ぎに一時170.76円付近まで値を上げたものの、アジア時間に付けた日通し高値170.80円がレジスタンスとして意識されると失速した。
ユーロドルの下落につれた売りも出て一時170.21円付近まで下押しした。

【本日の東京為替見通し】ドル円は米10年債利回り上昇で堅調推移、円買い介入には要警戒か

本日の東京外国為替市場のドル円は、米10年債利回りの上昇を受けて堅調推移が予想されるものの、引き続き本邦通貨当局によるドル売り・円買い介入の可能性には警戒しておきたい。

5月23-25日、イタリア・ストレーザで開催されたG7財務相・中央銀行総裁会議での為替に関する声明文では、為替市場の過度な変動は経済の安定に悪影響を与えるとした過去の合意が再確認され、「明確な『コミュニケーション』を通じて負の波及効果を抑えるよう努める」などとも記された。

5月23日、イエレン米財務長官は「介入は稀であるべきで、実施には事前の『コミュニケーション』が適切だと考える。
そして介入するのであれば、主に為替市場のボラティリティーへの対応であるべきだ」と本邦通貨当局による為替介入に釘を刺した。

5月24日、神田財務官は「日本から為替について投機的な動きによる過度な変動には引き続き注意が必要であることを伝えた」ことを明らかにした。
「為替レートの過度の変動や無秩序な動きは経済や金融の安定に対して悪影響を与えるとの考え方に沿って、適切に対応することが重要である」と述べた。
そして、米国を含め各国当局と緊密に連絡を取り合っていると述べ、介入が稀であることが望ましいのは言うまでもないとした上で必要な場合には適切に対応すると強調していた。

ドル円の157円台は、4月29日の159円台の第1弾介入に続く第2弾介入、そして5月2日未明の第3弾介入という防衛ラインだと思われることで、本日も警戒しておきたい。

日本の新発10年債利回りは、植田日銀総裁や内田日銀副総裁の発言を受けて、6月13-14日の日銀金融政策決定会合での金融政策正常化、追加利上げや国債買入オペの減額、撤廃の可能性が高まったことで、2011年12月以来の高水準である1.070%台まで上昇しており、円買い要因となる。

一方で、米10年債利回りは、米国のインフレへの警戒感から、4.60%台まで上昇しており、ドル買い要因となっている。

岸田首相は、支持率を回復するために、6月後半にも決定する「経済財政運営と改革の基本方針(「骨太の方針」)」で、円安是正策としてのレパトリ減税策を打ち出す可能性がある、と報じられていた。
減税の対象と想定しているのは、日本企業などが海外子会社などから得た「対外直接投資収益」の約20兆円とのことである。
昨日は、自民の財政規律派が、「骨太の方針」の提言案に、円の信認と金利上昇を懸念する文言を盛り込んだ、と報じられた。

円の信認への警戒感が、円安抑制のためのレパトリ減税策となる可能性も留意すべきかもしれない。

【本日の重要指標】 ※時刻表示は日本時間

<国内>
○08:50 ◇ 対外対内証券売買契約等の状況(週次・報告機関ベース)

<海外>
○07:45 ◎ 4月ニュージーランド(NZ)住宅建設許可件数
○08:00 ◎ ボスティック米アトランタ連銀総裁、講演
○10:30 ◇ 1-3月期豪民間設備投資(予想:前期比0.5%)
○10:30 ◎ 4月豪住宅建設許可件数(予想:前月比1.5%)
○15:00 ◎ 1-3月期スウェーデン国内総生産(GDP、予想:前期比横ばい)
○16:00 ◇ 5月スイスKOF景気先行指数(予想:102.1)
○16:00 ◎ 1-3月期スイスGDP(予想:前期比0.3%/前年比0.6%)
○16:00 ◇ 4月トルコ貿易収支(予想:99.0億ドルの赤字)
○18:00 ◎ 5月ユーロ圏経済信頼感指数(予想:96.2)
○18:00 ◎ 5月ユーロ圏消費者信頼感指数(確定値、予想:▲14.3)
○18:00 ◎ 4月ユーロ圏失業率(予想:6.5%)
○18:30 ◇ 4月南アフリカ卸売物価指数(PPI、予想:前月比0.4%/前年比5.0%)
○21:00 ◇ 4月メキシコ失業率(季節調整前、予想:2.54%)
○21:30 ◇ 1-3月期カナダ経常収支(予想:55.0億カナダドルの赤字)
○21:30 ◇ 4月米卸売在庫(予想:前月比0.1%)
○21:30 ☆ 1-3月期米GDP改定値(予想:前期比年率1.3%)
     ◎     個人消費(改定値、予想:前期比2.2%)
     ◎     コアPCE(改定値、予想:前期比3.7%)
○21:30 ◎ 前週分の米新規失業保険申請件数/失業保険継続受給者数(予想:21.8万件/179.7万人)
○23:00 ◎ 4月米住宅販売保留指数(仮契約住宅販売指数、予想:前月比▲1.0%/前年比▲2.0%)
○未定 ☆ 南アフリカ準備銀行(SARB)、政策金利発表(予想:8.25%で据え置き)
○24:00 ◇ EIA週間在庫統計
○31日01:05 ◎ ウィリアムズ米ニューヨーク連銀総裁、講演
○31日03:30 ◎ マクルーフ・アイルランド中銀総裁、講演
○31日06:00 ◎ ローガン米ダラス連銀総裁、講演
○ポーランド、ブラジル(キリスト聖体祭)、休場

※「予想」は特に記載のない限り市場予想平均を表す。▲はマイナス。
※重要度、高は☆、中は◎、低◇とする。
※指標などの発表予定・時刻は予告なく変更になる場合がありますので、ご了承ください。

>本日発表予定のその他の経済指標についてはこちら

【前日までの要人発言】

29日10:38 安達日銀審議委員
「当面は緩和的な金融環境が継続」
「物価目標達成まで緩和的な金融環境維持が重要」
「物価目標実現確度高まっているが、確信持てる状況ではない」
「経済回復に水差す拙速な利上げは絶対に避けなければならない」
「国債買い入れは段階的に減額していくことが望ましい」
「下振れリスク配慮しすぎると、急激な引き締めを余儀なくされる」

29日14:43
「長期金利をより注意深くモニタリングしていく」
「(国債買い入れの減額について)政策意図を持って行ったわけではない」
「円安が長期化すれば当然物価に影響は出る」
「(為替について)現時点で影響あるなしの言及はできない」
「円安対応、長期の予想インフレ率上振れなど影響出てくれば考える」

29日16:26 日本銀行
「24年3月末の国債含み損9兆4337億円=23年9月末は10兆5000億円」
「24年3月末のETF含み益37兆3120億円=23年9月末は23兆5794億円」
「23年度の経常利益は4兆6399億円、 1998年度以降で最大」

29日16:41 リクスバンク(スウェーデン中銀)
「政策金利が長期に渡り高水準で維持された場合、金融システムへの圧力が高まる」
「住宅市場の根本的な問題に対処するには構造改革が必要」

29日17:37 シムシェキ・トルコ財務相
「9月時点でインフレ率が40%台になる可能性」
「必要であれば、流動性を吸収するため借り入れを行う」
「2025年の財政赤字対GDP比を3%未満に抑える決意」

30日03:00 米地区連銀経済報告(ベージュブック)
「米経済活動は4月上旬から5月中旬にかけて拡大を続けたものの、状況は地区によって異なる」
「ほとんどの地区はわずかな成長または緩やかな成長を報告、2地区は活動に変化がないと報告した」
「不確実性の高まりと下振れリスクの増大が報告される中、全体的な見通しはやや悲観的になった」
米地区連銀経済報告(ベージュブック)
「雇用は全体的にわずかに増加」
「8地区は雇用がわずかから緩やかに増加したと報告、4地区は雇用に変化はなかったと報告」
「賃金の伸びは概ね緩やかであったが、いくつかの地区はより緩やかな増加を報告」
「いくつかの地区は賃金の伸びがパンデミック前の歴史的な水準にあるか、その水準に向けて正常化しつつあると報告」
「物価は緩やかなペースで上昇した」
「物価の上昇は短期的には緩やかなペースで続くと予想」

※時間は日本時間

>本日の要人発言をリアルタイムで確認するならこちら

〔日足一目均衡表分析〕

<ドル円=上昇中の転換線を支持に押し目買いスタンス>

ドル円0530

パラメータ0530

陽線引け。
転換線は基準線を上回り、遅行スパンは実線を上回り、雲の上で引けていることで、三役好転の強い買いシグナルが点灯している。
2手連続陽線で上昇中の転換線を上回って引けていることで続伸の可能性が示唆されている。

本日は上昇中の転換線を支持に押し目買いスタンスで臨み、同線を下抜けた場合は手仕舞い。

レジスタンス2 160.17(4/29高値)
レジスタンス1 157.99(5/1高値)
前日終値 157.64
サポート1 156.60(日足一目均衡表・転換線)
サポート2 156.02(日足一目均衡表・基準線)

>ドル円のリアルタイムチャートはこちら

<ユーロドル=5/28高値を抵抗に戻り売りスタンス>

ユーロドル0530

パラメータ0530

陰線引け。
転換線は基準線を上回り、遅行スパンは実線を上回り、雲の上で引けていることで、三役好転の強い買いシグナルが点灯している。
しかし、2手連続陰線で転換線を下回って引けており続落の可能性が示唆されている。

本日は転換線1.0845ドルを念頭に置き、28日の高値を抵抗に戻り売りスタンスで臨み、同水準を上抜けた場合は手仕舞い。

レジスタンス1 1.0889(5/28高値)
前日終値 1.0801
サポート1 1.0721(日足一目均衡表・雲の下限)

>ユーロドルのリアルタイムチャートはこちら

<ユーロ円=5/27の安値を支持に押し目買いスタンス>

ユーロ円0530

パラメータ0530

陰線引け。
転換線は基準線を上回り、遅行スパンは実線を上回り、雲の上で引けていることで、三役好転の強い買いシグナルが点灯している。
抱き線で反落したものの、依然として転換線169.90円を上回って引けており反発の可能性が示唆されている。

本日は27日の安値を支持に押し目買いスタンスで臨み、同水準を下抜けた場合は手仕舞い。

レジスタンス1 170.80(5/28・29高値)
前日終値 170.28
サポート1 169.43(5/27安値)

>ユーロ円のリアルタイムチャートはこちら

<豪ドル円=5/23の安値を支持に押し目買いスタンス>

豪ドル円0530

パラメータ0530

陰線引け。
転換線は基準線を上回り、遅行スパンは実線を上回り、雲の上で引けていることで、三役好転の強い買いシグナルが点灯している。
3手連続陽線の後の抱き線で反落したものの、依然として転換線104.17円を上回って引けており反発の可能性が示唆されている。

本日は23日の安値を支持に押し目買いスタンスで臨み、同水準を下抜けた場合は手仕舞い。

レジスタンス1 104.87(5/29高値)
前日終値 104.22
サポート1 103.48(5/23安値)

>豪ドル円のリアルタイムチャートはこちら

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