本日の東京為替見通し(為替/FXニュース):ドル円、日米・金利動向に注視 円買い介入には要警戒か(2024年6月3日)

マーケットレポート

June 3, 2024

【前日の為替概況】ドル円157.30円台へ強含み、月末のロンドン・フィキシングのドル買い観測

31日のニューヨーク外国為替市場でドル円は反発。
終値は157.31円と前営業日NY終値(156.82円)と比べて49銭程度のドル高水準だった。
米商務省が発表した4月米個人消費支出(PCE)価格指数(デフレーター)で変動が激しい食品とエネルギーを除くコアデフレーターが前月比0.2%と予想の0.3%を下回ると米長期金利の指標となる米10年債利回りが4.48%台まで低下し、全般ドル売りが先行。
5月米シカゴ購買部協会景気指数が35.4と予想の41.0を下回ったことも相場の重しとなり、一時156.56円と日通し安値を更新した。

ただ、前日の安値156.38円がサポートとして働くと買い戻しが優勢に。
市場では「月末のロンドン16時(日本時間24時)のフィキシングに絡んだドル買いのフローが観測された」との声も聞かれ、157.35円付近まで持ち直した。

日銀はこの日、4-6月の国債買い入れオペ(公開市場操作)の運営方針を更新し、6月の日程を公表。
全ての年限で1回あたりの買い入れ予定額のレンジと月間の実施回数を前回から据え置いた。
日銀の早期政策修正観測が後退したことで円売りが出やすい面もあった。

ユーロドルは小幅ながら続伸。
終値は1.0848ドルと前営業日NY終値(1.0832ドル)と比べて0.0016ドル程度のユーロ高水準だった。
欧州時間発表の5月ユーロ圏消費者物価指数(HICP)速報値が予想を上回ったことを受けてユーロ買い・ドル売りが先行。
米インフレ指標の下振れでドル売りが加速すると一時1.0882ドルと日通し高値を付けた。

ただ、28日の高値1.0889ドルや16日の高値1.0895ドルがレジスタンスとして意識されると上値が重くなった。
月末のロンドン・フィキシングに絡んだドル買いが入ると1.0840ドル付近まで下押しした。
その後は週末を控えたポジション調整の動きに終始したため、1.08ドル台半ばで値動きが鈍った。

なお、米格付け会社スタンダード・アンド・プアーズ(S&P)はフランスの格付けを「AA」から「AA-」に引き下げたと伝わったが、相場の反応は限られた。

ユーロ円は3営業日ぶりに反発。
終値は170.62円と前営業日NY終値(169.86円)と比べて76銭程度のユーロ高水準。
日銀の早期政策修正観測が後退する中、全般円売りが先行。
ユーロ圏HICP速報値の上振れもユーロ買いを促し、22時過ぎに一時170.75円と日通し高値を付けた。
ただ、28・29日の高値170.80円がレジスタンスとして働くと上昇は一服。
そのあとは170円台半ばでのもみ合いに終始した。

【本日の東京為替見通し】ドル円、日米・金利動向に注視 円買い介入には要警戒か

本日の東京外国為替市場のドル円は、日米10年債利回りの動向を睨みながらの値動きが予想される中、引き続き本邦通貨当局によるドル売り・円買い介入の可能性には警戒しておきたい。

岸田首相は経済財政諮問会議で、「最近の円安の動きを十分注視しており、政府・日銀は引き続き密接に連携していく」と円安阻止を宣言しており、財務省による円買い介入、日銀による金融政策正常化、そして6月末に公表予定の「骨太の方針」でのレパトリ減税策などへの警戒感を高めている。

2024年4月29日と5月2日の本邦通貨当局によるドル売り・円買い介入の金額は、9兆7885億円と発表され、2022年の9月22日、10月21日、24日の9兆1880億円を上回った。
4月17日に開催された日米韓財務相会談の時、イエレン米財務長官は、自国通貨の急激な下落を巡る日本と韓国両財務相の懸念に留意する姿勢を示し、日本に対しては160円をレッドラインとして、ドル売り・円買い介入を容認していたとのことである。

160円がレッドライン(本丸)ならば、4月29日(推定約約5.6兆円)の第1弾介入の159円台は内堀、第2弾介入と5月2日未明(推定約約4.1兆円)の第3弾介入の157円台は外堀と見なせるのかもしれない。

本日も外堀の157円台で推移していることで、本邦通貨当局によるドル売り・円買い介入の可能性には警戒しておきたい。
しかしながら、イエレン米財務長官は、幾度となく「介入が稀であることを願う。
そのような介入がめったに起きず、過度な変動(ボラティリティー)がある場合に限定され、事前に協議(コミュニケーション)があることが期待される」と苦言を呈してきた。

一方で神田財務官は、「日本から為替について投機的な動きによる過度な変動には引き続き注意が必要であることを伝えた」ことを明らかにした。
「為替レートの過度の変動や無秩序な動きは経済や金融の安定に対して悪影響を与えるとの考え方に沿って、適切に対応することが重要である」と述べている。
米国を含め各国当局と緊密に連絡を取り合っていると述べ、介入が稀であることが望ましいのは言うまでもないした上で必要な場合には適切に対応すると強調した。

5月27日に植田日銀総裁や内田日銀副総裁は、6月の日銀金融政策決定会合で金融政策正常化(追加利上げや国債買い入れオペの減額・撤廃)を示唆していた。
しかし、先週末に日銀が公表した6月の国債買い入れオペの日程では、全ての年限で1回あたりの買い入れ予定額のレンジと月間の実施回数を前回から据え置いたことで、日銀の早期政策修正観測が後退している。

【本日の重要指標】 ※時刻表示は日本時間

<国内>
○08:50 ◇ 1-3月期の法人企業統計調査(法人季報、ソフトウェアを含む設備投資額、予想:前年比12.0%)

<海外>
○10:45 ◎ 5月Caixin中国サービス部門購買担当者景気指数(PMI、予想:51.6)
○16:00 ◇ 5月トルコ製造業PMI
○16:00 ◎ 5月トルコ消費者物価指数(CPI、予想:前月比3.00%/前年比74.80%)
○16:30 ◇ 5月スイス製造業PMI(予想:44.3)
○16:50 ◎ 5月仏製造業PMI改定値(予想:46.7)
○16:55 ◎ 5月独製造業PMI改定値(予想:45.4)
○17:00 ◎ 5月ユーロ圏製造業PMI改定値(予想:47.4)
○17:30 ◎ 5月英製造業PMI改定値(予想:51.3)
○22:45 ◎ 5月米製造業PMI改定値(予想:50.9)
○23:00 ☆ 5月米サプライマネジメント協会(ISM)製造業景気指数(予想:49.6)
○23:00 ◇ 4月米建設支出(予想:前月比0.2%)
○24:00 ◇ 5月メキシコ製造業PMI
○ニュージーランド(国王誕生日)、休場

※「予想」は特に記載のない限り市場予想平均を表す。▲はマイナス。
※重要度、高は☆、中は◎、低◇とする。
※指標などの発表予定・時刻は予告なく変更になる場合がありますので、ご了承ください。

>本日発表予定のその他の経済指標についてはこちら

【前日までの要人発言】

31日09:50 鈴木財務相
「為替レートはファンダメンタルズを反映して市場で決められるもの」
「為替の急激な変化は好ましくない」
「行き過ぎた動きには適切に対応する基本的考えは何ら変わらない」

31日17:13 長澤仁志・日本経済団体連合会副会長
「1ドル=150円台半ばは過度な円安水準」
「現在の円安傾向を是正する必要がある」

31日17:33 南アフリカ最大野党・民主同盟(DA)党首のジョン・スティーンハイセン氏
「もちろん連立政権の一員になることを望んでいる」

31日17:43 パネッタ伊中銀総裁
「金融引き締めが過剰だと、インフレ率が目標を下回るリスク」
「数回の利下げを行っても、金融引き締め政策は解除されない」
「迅速に、そして段階的に利下げを行えば、後になって急な大幅利下げを避けられる」
「5月ユーロ圏HICP速報値はECBの予想に沿っている。良くも悪くもない」

31日21:52 米ウォールストリート・ジャーナルのFEDウォッチャー、ニック・ティミラオス記者
「今日の指標結果は予想通りであり、当面のFRBの様子見姿勢を変えるようなものではない」

31日22:00 ブリンケン米国務長官
「ウクライナがロシアへの攻撃のため、米国製武器の使用許可を要求」
「バイデン大統領がロシア国内での米国製武器の使用を許可」

※時間は日本時間

>本日の要人発言をリアルタイムで確認するならこちら

〔日足一目均衡表分析〕

<ドル円=三役好転が消滅、雲の上限を支持に押し目買い>

ドル円0603

パラメータ0603

陽線引け。
転換線は基準線を上回り、遅行スパンは実線を下回り三役好転が消滅したものの、雲の上で引けていることで、買いシグナルが優勢な展開となっている。
抱き線で反発して転換線を上回って引けていることで続伸の可能性が示唆されている。

本日は雲の上限を支持に押し目買いスタンスで臨み、同線を下抜けた場合は手仕舞い。

レジスタンス2 160.17(4/29高値)
レジスタンス1 157.99(5/1高値)
前日終値 157.31
サポート1 156.19(日足一目均衡表・雲の上限)
サポート2 156.02(日足一目均衡表・基準線)

>ドル円のリアルタイムチャートはこちら

<ユーロドル=基準線を支持に押し目買いスタンス>

ユーロドル0603

パラメータ0603

陽線引け。
転換線は基準線を上回り、遅行スパンは実線を上回り、雲の上で引けていることで、三役好転の強い買いシグナルが点灯している。
2手連続陽線で転換線を上回って引けており続伸の可能性が示唆されている。

本日は転換線1.0839ドルを念頭に置き、基準線を支持に押し目買いスタンスで臨み、同線を下抜けた場合は手仕舞い。

レジスタンス1 1.0895(5/16高値)
前日終値 1.0848
サポート1 1.0773(日足一目均衡表・基準線)

>ユーロドルのリアルタイムチャートはこちら

<ユーロ円=上昇中の転換線を支持に押し目買いスタンス>

ユーロ円0603

パラメータ0603

陽線引け。
転換線は基準線を上回り、遅行スパンは実線を上回り、雲の上で引けていることで、三役好転の強い買いシグナルが点灯している。
抱き線で切り返して転換線を上回って引けており続伸の可能性が示唆されている。

本日は上昇中の転換線を支持に押し目買いスタンスで臨み、同線を下抜けた場合は手仕舞い。

レジスタンス1 171.56(4/29高値)
前日終値 170.62
サポート1 169.94(日足一目均衡表・転換線)

>ユーロ円のリアルタイムチャートはこちら

<豪ドル円=転換線を支持に押し目買いスタンス>

豪ドル円0603

パラメータ0603

陽線引け。
転換線は基準線を上回り、遅行スパンは実線を上回り、雲の上で引けていることで、三役好転の強い買いシグナルが点灯している。
抱き線で切り返して転換線を上回って引けており続伸の可能性が示唆されている。

本日は転換線を支持に押し目買いスタンスで臨み、同線を下抜けた場合は手仕舞い。

レジスタンス1 104.94(4/29高値)
前日終値 104.66
サポート1 104.11(日足一目均衡表・転換線)

>豪ドル円のリアルタイムチャートはこちら

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