本日の東京為替見通し(為替/FXニュース):ドル円、まず4月実質賃金注目 豪ドルはGDPを材料視(2024年6月5日)

マーケットレポート

June 5, 2024

【前日の為替概況】ドル円154.55円まで続落、日銀金融政策正常化観測と米4月JOLTSの悪化

4日のニューヨーク外国為替市場でドル円は続落。
終値は154.88円と前営業日NY終値(156.08円)と比べて1円20銭程度のドル安水準だった。
欧州時間に「日銀は早ければ13-14日の金融政策決定会合で長期国債の買い入れ減額について具体的な方針を示すことの是非を議論する公算」との一部報道が伝わると、日銀の金融政策正常化への思惑が高まり全般円買いが進行。
NY市場でもこの流れが続いた。
4月米雇用動態調査(JOLTS)求人件数が805.9万件と予想の835.5万件を下回ったことが分かると、ドル売りも優勢となり、3時前に一時154.55円と5月16日以来の安値を付けた。

ユーロドルは4営業日ぶりに反落。
終値は1.0879ドルと前営業日NY終値(1.0904ドル)と比べて0.0025ドル程度のユーロ安水準だった。
欧州株安やユーロ円の下落につれたユーロ売り・ドル買いが優勢になると、21時前に一時1.0859ドルと日通し安値を付けた。
欧州中央銀行(ECB)が今週6日にも利下げを決めるとの観測も相場の重しとなった。

ただ、前日の安値1.0828ドルが目先サポートとして働くと下げ渋った。
米雇用指標の下振れを受けて米長期金利が低下すると1.0888ドル付近まで持ち直す場面もあった。

ユーロ円は続落。
終値は168.50円と前営業日NY終値(170.19円)と比べて1円69銭程度のユーロ安水準。
日銀の金融政策正常化への思惑が高まる中、全般円買いが進んだ流れに沿って、23時過ぎに一時168.09円と5月16日以来の安値を付けた。
ただ、そのあとは168円台半ばでのもみ合いに終始した。
ドル円とユーロドルの値動きの影響を同時に受けたため、相場は大きな方向感が出なかった。

【本日の東京為替見通し】ドル円、まず4月実質賃金注目 豪ドルはGDPを材料視

本日の東京外国為替市場のドル円は、まずは4月の実質賃金を見極めたい
その後は、米10年債利回りの低下基調や日本の10年国債利回りの上昇が見込まれることで軟調推移が予想される。

8時30分に発表される4月毎月勤労統計では、春季労使交渉(春闘)で高い水準の賃上げ(※賃上げ率平均5.17%)が実現していることで、24カ月連続で減少していた実質賃金のマイナス幅がどの程度縮小するのかを確認することになる。
2月は-1.8%、3月は-2.5%で、24カ月連続のマイナスはリーマン・ショック前後を超えて、比較可能な1991年以降の記録で過去最長を更新していた。

4月の実質賃金のマイナス幅の度合いが、日銀金融政策決定会合での追加利上げ幅(予想:+0.15%~+0.25%)や国債買い入れの減額幅に影響すると思われる。

昨日は、政府が近くまとめる「経済財政運営の指針(骨太方針)」で、円安による輸入物価上昇の影響に言及することが判明した。
内需を支える「家計購買力への影響に注意が必要」と明記するとのことである。
2024年1-3月期の国内総生産(GDP)ギャップは6兆円の需要不足とのことだが、定額減税(4万円x納税者=約5兆円規模)と賃上げにより、「消費マインドを喚起し、経済の好循環を実現」(岸田首相)する目論見らしい。
しかし、民間調査機関の試算では、現状の円安が続いた場合、家計1世帯の負担増は約10.6万円となるとされ、電気・都市ガス代に対する激変緩和措置の補助の廃止なども、負担増となる。

岸田首相は経済財政諮問会議で、「最近の円安の動きを十分注視しており、政府・日銀は引き続き密接に連携していく」と円安抑制を宣言していたが、財務省によるドル売り・円買い介入、日銀による金融政策正常化、骨太方針でのレパトリ減税などが円安抑制策として警戒されている。

昨日、鈴木財務相は「引き続き為替市場の動向をしっかりと注視し、万全の対応を取っていきたい」とこれまでの見解を繰り返した。

なお植田日銀総裁は昨日も「長期金利は金融市場で形成されることが基本」と述べて、長期金利水準の決定を、これまでの日銀から市場に委ねることを再確認した。
一方、日銀関係者の話として、13-14日の日銀金融政策決定会合では長期国債の買い入れの減額についてより具体的な方針を示すことの是非を含めて議論する可能性が大きい、と報じられた。

10時30分に発表される1-3月期豪GDPは前期比+0.2%/前年比+1.2%と予想されており、昨年10-12月期の前年比+1.5%からの悪化が見込み。
先週発表された豪4月消費者物価指数(CPI)は前年比+3.6%と、豪準備銀行(RBA)のインフレ目標レンジ(2-3%)から遠ざかっており、17-18日のRBA理事会では、先月同様に利上げが検討される可能性が高まっている。
オーストラリアの景況感の悪化とインフレ率の上昇というスタグフレーションへの警戒感が、RBAの利下げ開始時期を先送りさせている。

【本日の重要指標】 ※時刻表示は日本時間

<国内>
○08:30 ◇ 4月毎月勤労統計(現金給与総額、予想:前年比1.8%)

<海外>
○08:00 ◎ ブロック豪準備銀行(RBA)総裁、議会証言
○10:30 ☆ 1-3月期豪国内総生産(GDP、予想:前期比0.2%/前年比1.2%)
○10:45 ◎ 5月Caixin中国サービス部門購買担当者景気指数(PMI、予想:52.5)
○15:45 ◇ 4月仏鉱工業生産(予想:前月比0.2%)
○16:50 ◎ 5月仏サービス部門PMI改定値(予想:49.4)
○16:55 ◎ 5月独サービス部門PMI改定値(予想:53.9)
○17:00 ◎ 5月ユーロ圏サービス部門PMI改定値(予想:53.3)
○17:00 ◇ 4-6月期南アフリカ経済研究所(BER)企業信頼感指数
○17:30 ◎ 5月英サービス部門PMI改定値(予想:52.9)
○18:00 ◎ 4月ユーロ圏卸売物価指数(PPI、予想:前月比▲0.4%/前年比▲5.3%)
○20:00 ◇ MBA住宅ローン申請指数
○未定 ◎ ポーランド中銀、政策金利発表(予想:5.75%で据え置き)
○21:15 ☆ 5月ADP全米雇用報告(予想:17.5万人)
○21:30 ◇ 1-3月期カナダ労働生産性指数(予想:前期比▲0.1%)
○22:45 ☆ カナダ銀行(BOC、中央銀行)、政策金利発表(予想:4.75%に引き下げ)
○22:45 ◎ 5月米サービス部門PMI改定値(予想:54.8)
○22:45 ◎ 5月米総合PMI改定値(予想:54.2)
○23:00 ☆ 5月米サプライマネジメント協会(ISM)非製造業指数(予想:50.8)
○23:30 ◇ EIA週間在庫統計
○6日01:00 ◎ 4月ロシア失業率(予想:2.7%)

※「予想」は特に記載のない限り市場予想平均を表す。▲はマイナス。
※重要度、高は☆、中は◎、低◇とする。
※指標などの発表予定・時刻は予告なく変更になる場合がありますので、ご了承ください。

>本日発表予定のその他の経済指標についてはこちら

【前日までの要人発言】

4日09:52 鈴木財務相
「介入は投機的な動きを伴う過度な変動に対応するために実施した」
「介入はある程度の効果があった」
「為替相場の動向を注視し、万全の対応をする」

4日11:29 植田日銀総裁
「金融政策の目的、あくまで物価の安定」
「先行き見通しに沿って基調的物価上昇率が高まれば、緩和度合い調整する」
「長期金利、金融市場で形成されることが基本」
「長期金利が急激に上昇する場合には機動的にオペを実施する」

4日16:24 氷見野日銀副総裁
「我々が見ているいくつかの測定結果は、基調的なインフレ率はまだ2%には達していないが、徐々にその水準に向かって加速していることを示している」
「基調的インフレを測るには、物価データだけでなく、賃金や企業行動など様々な要因を見る必要がある」

※時間は日本時間

>本日の要人発言をリアルタイムで確認するならこちら

〔日足一目均衡表分析〕

<ドル円=下げに転じた転換線を抵抗に戻り売りスタンス>

ドル円0605

パラメータ0605

陰線引け。
転換線は基準線を上回り、遅行スパンは実線を下回り、雲の中で引けていることで、売り買い中立となっている。
しかし、均衡表の最重要シグナルである遅行スパンが逆転したままで、2手連続陽線で転換線を下回って引けていることで続落の可能性が示唆されている。
本日の終値が154.58円以上になれば、遅行スパンは好転するため要警戒か。

本日は下げに転じた転換線を抵抗に戻り売りスタンスで臨み、同線を上抜けた場合は手仕舞い。

レジスタンス2 157.99(5/1高値)
レジスタンス1 156.13(日足一目均衡表・転換線)
前日終値 154.88
サポート1 153.86(5/7安値)
サポート2 153.33(日足一目均衡表・雲の下限)

>ドル円のリアルタイムチャートはこちら

<ユーロドル=基準線を支持に押し目買いスタンス>

ユーロドル0605

パラメータ0605

陰線引け。
転換線は基準線を上回り、遅行スパンは実線を上回り、雲の上で引けていることで、三役好転の強い買いシグナルが点灯している。
3手連続陽線の後、孕み線で反落したものの、依然として転換線を上回って引けており反発の可能性が示唆されている。

本日は転換線1.0852ドルを念頭に置き、基準線を支持に押し目買いスタンスで臨み、同線を下抜けた場合は手仕舞い。

レジスタンス1 1.0981(3/8高値)
前日終値 1.0879
サポート1 1.0783(日足一目均衡表・基準線)

>ユーロドルのリアルタイムチャートはこちら

<ユーロ円=転換線を抵抗に戻り売りスタンス>

ユーロ円0605

パラメータ0605

大陰線引け。
転換線は基準線を上回り、遅行スパンは実線を上回り、雲の上で引けていることで、三役好転の強い買いシグナルが点灯している。
しかし、2手連続陰線で転換線を下回って引けており続落の可能性が示唆されている。

本日は転換線を抵抗に戻り売りスタンスで臨み、同線を上抜けた場合は手仕舞い。

レジスタンス1 169.49(日足一目均衡表・転換線)
前日終値 168.50
サポート1 167.46(日足一目均衡表・基準線)

>ユーロ円のリアルタイムチャートはこちら

<豪ドル円=転換線を抵抗に戻り売りスタンス>

豪ドル円0605

パラメータ0605

大陰線引け。
転換線は基準線を上回り、遅行スパンは実線を上回り、雲の上で引けていることで、三役好転の強い買いシグナルが点灯している。
しかし、2手連続陰線で転換線を下回って引けており続落の可能性が示唆されている。

本日は下げに転じた転換線を抵抗に戻り売りスタンスで臨み、同線を上抜けた場合は手仕舞い。

レジスタンス1 103.74(日足一目均衡表・転換線)
前日終値 102.99
サポート1 101.36(日足一目均衡表・雲の上限)

>豪ドル円のリアルタイムチャートはこちら

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