本日の東京為替見通し(為替/FXニュース):ドル円、米大統領候補の討論会と円買い介入の可能性に要警戒か(2024年6月28日)

マーケットレポート

June 28, 2024

【前日の為替概況】ドル円160.82円までで高止まり、ユーロ円は導入以来の高値更新172.17円

27日のニューヨーク外国為替市場でユーロドルは3営業日ぶりに反発。
終値は1.0704ドルと前営業日NY終値(1.0681ドル)と比べて0.0023ドル程度のユーロ高水準だった。
米長期金利の低下をきっかけにユーロ買い・ドル売りが先行。
22時30分過ぎに一時1.0726ドルと日通し高値を付けた。

ただ、米連邦準備理事会(FRB)がインフレ指標として重視する5月個人消費支出(PCE)物価指数の発表を明日28日に控えて、買いの勢いは長続きしなかった。
フランス下院選の初回投票日が近づく中、欧州の政治情勢を巡る不透明感も意識されて1.0700ドル付近まで下押しする場面があった。

なお、この日発表の1-3月期米国内総生産(GDP)確定値や5月米耐久財受注額、前週分の米新規失業保険申請件数などは予想より強い内容となったものの、相場の反応は限られた。

ドル円は3営業日ぶりに小反落。
終値は160.76円と前営業日NY終値(160.81円)と比べて5銭程度のドル安水準だった。
米長期金利の低下に伴う円買い・ドル売りが先行すると、22時前に一時160.29円と日通し安値を付けたものの、売り一巡後は買い戻しが優勢に。
円の先安観を背景に全般円売りが出やすい地合いだった。
5時前には160.82円まで上昇し、前日に付けた1986年12月以来約37年半ぶりの高値160.87円に迫った。

ユーロ円は続伸。
終値は172.08円と前営業日NY終値(171.75円)と比べて33銭程度のユーロ高水準。
円の先安観を背景に全般円売りが優勢になると、23時前に一時172.17円と1999年のユーロ導入以来の高値を更新した。
ただ、新規材料に乏しい中、NY午後に入ると徐々に値動きが細った。

【本日の東京為替見通し】ドル円、米大統領候補の討論会と円買い介入の可能性に要警戒か

本日の東京外国為替市場のドル円は、1986年12月以来の高値圏で月末・四半期末の円売り圧力が想定される中、本邦通貨当局のドル売り・円買い介入の可能性に警戒しながら、米大統領候補の討論会や神田財務官に関する人事の発表にも注目しておきたい。

8時30分に発表される6月東京都区部消費者物価指数(CPI、生鮮食料品除く総合)は前年比+2.0%と予想されており、5月の同比+1.9%からの伸び率の上昇が見込まれている。
6月の全国CPIの先行指標となる東京都CPIが予想通りならば、6月全国CPIも伸び率の上昇が見込まれることで、7月30-31日の日銀金融政策決定会合での国債購入額の相応な減額幅への思惑から、円買い要因となる。

10時(米国東部時間午後9時)から開催予定のバイデン米大統領とトランプ前米大統領との討論会では、インフレを巡る米連邦準備理事会(FRB)の金融政策や外国為替報告書で監視リストに入った日本や中国に関する見解に注目しておきたい。

4月にトランプ前米大統領は、ドルが対円で34年ぶりの高値をつけたことに関して、米国にとって「大惨事だ」と述べ「バイデン政権は放置している」と批判していた。
そして、「ドル高はわが国の製造業者などにとっては大惨事。
競争力を失い多くのビジネスを失う」と述べていた。

討論会でも同様の発言が予想されるものの、現状のドル高・円安相場への影響はないと思われる。
しかし、米財務省が先日公表した外国為替報告書では、日本は対米貿易黒字(2023年:624億ドル)と膨大な経常黒字(対GDP比3.5%)により、監視リストに入れられたことで、バイデン米大統領のドル高・円安への見解には警戒しておきたい。

また、米連邦準備理事会(FRB)の金融政策に関しては、バイデン米大統領は利下げを要請しており、トランプ前米大統領もかつて利下げ圧力をかけていたことから、両者とも利下げを主張すると思われる。

本日、財務省から神田財務官に関する人事が発表される予定だが、退任となった場合、過去最大規模の円買い介入を断行した「令和のミスター円」が退場することで、現状の円売りに拍車がかかる可能性に警戒しておきたい。

可能性は低いものの4年目続投となった場合は、引き続き円買い介入の目安と見なされている、神田財務官が注視しているボラティリティーの上昇を示すボリンジャー・バンド+2σの161.45円付近や「神田ライン」(過去28日間の安値から10円上昇)の164.55円(154.55円+10円)に警戒することになる。

過去30年間で4年間務めた財務官は、黒田前日銀総裁(1999-2003年)、渡辺国際通貨研究所理事長(04-07年)、浅川アジア開発銀行(ADB)総裁(15-18年)の3人にとどまる。

【本日の重要指標】 ※時刻表示は日本時間

<国内>
○08:30 ◎ 5月完全失業率(予想:2.6%)
○08:30 ◎ 5月有効求人倍率(予想:1.26倍)
○08:30 ◎ 6月東京都区部消費者物価指数(CPI、生鮮食料品除く総合、予想:前年比2.0%)
○08:50 ◎ 5月鉱工業生産速報(予想:前月比2.0%/前年比横ばい)
○14:00 ◇ 5月新設住宅着工戸数(予想:前年比▲6.1%)
○19:00 ◇ 外国為替平衡操作の実施状況(介入実績)

<海外>
○10:00 ◎ 米大統領選候補者討論会
○15:00 ◇ 5月独輸入物価指数(予想:前月比0.2%/前年比▲0.3%)
○15:00 ☆ 1-3月期英国内総生産(GDP)改定値(予想:前期比0.6%/前年比0.2%)
○15:00 ◇ 1-3月期英経常収支(予想:176億ポンドの赤字)
○15:45 ◇ 6月仏CPI速報値(予想:前月比0.1%/前年比2.2%)
○15:45 ◇ 5月仏卸売物価指数(PPI)
○15:45 ◇ 5月仏消費支出(予想:前月比0.1%)
○16:00 ◇ 6月スイスKOF景気先行指数(予想:101.0)
○16:00 ◇ 5月トルコ貿易収支(予想:65.0億ドルの赤字)
○16:55 ◎ 6月独雇用統計(予想:失業率5.9%/失業者数変化1.50万人)
○19:00 ◎ バーキン米リッチモンド連銀総裁、講演
○19:00 ◎ ビルロワ・フランス中銀総裁、講演
○21:00 ◎ 5月南アフリカ貿易収支(予想:150億ランドの黒字)
○21:30 ☆ 4月カナダGDP(予想:前月比0.3%/前年比1.1%)
○21:30 ◎ 5月米個人消費支出(PCE、予想:前月比0.3%)
     ◎ 5月米個人所得(予想:前月比0.4%)
     ☆ 5月米PCEデフレーター(予想:前年比2.6%)
     ☆ 5月米PCEコアデフレーター(予想:前月比0.1%/前年比2.6%)
○22:45 ◎ 6月米シカゴ購買部協会景気指数(予想:40.0)
○23:00 ◎ 6月米消費者態度指数(ミシガン大調べ、確報値、予想:65.8)
○29日01:00 ◎ ボウマン米連邦準備理事会(FRB)理事、講演
○29日01:40 ◎ デイリー米サンフランシスコ連銀総裁、講演
○イラン大統領選
○ニュージーランド(マタリキ)、休場

※「予想」は特に記載のない限り市場予想平均を表す。▲はマイナス。
※重要度、高は☆、中は◎、低◇とする。
※指標などの発表予定・時刻は予告なく変更になる場合がありますので、ご了承ください。

>本日発表予定のその他の経済指標についてはこちら

【前日までの要人発言】

27日10:38 鈴木財務相
「為替水準については申し上げない」
「為替は安定的に推移することが望ましい」
「高い緊張感を持って必要な対応をとっていく」

27日11:12 林官房長官
「為替相場の過度な変動には適切な対応をとる」

27日16:37 リクスバンク(スウェーデン中銀)声明
「インフレ見通しが変わらない場合、政策金利は今年下半期に2-3回引き下げられる可能性がある」
「インフレと経済活動の見通しは不透明」
「政策金利は予測より高くなる可能性も低くなる可能性もあり得る」

27日17:14 レーン欧州中央銀行(ECB)専務理事兼チーフ・エコノミスト
「当局は金利に関して機敏に対応」
「(金利について)引き続き先入観は持たない」

27日17:35 カジミール・スロバキア中銀総裁
「年内あと1回の利下げを予想」
「ECBの金利について、夏は静かだろうと予想」

27日19:29 カザークス・ラトビア中銀総裁
「政策金利は段階的に引き下げていくことになるだろう」

27日20:04 トルコ中銀声明
「委員会は引き続きインフレリスクに非常に注意を払っている」
「金融引き締めスタンスは月次インフレ基調の大幅かつ持続的な低下が観測され、インフレ期待が予測範囲に収束するまで維持される」
「インフレの大幅かつ持続的な悪化が予想される場合、金融政策スタンスは引き締められるだろう」
「今年後半にはディスインフレが定着するだろう」
「インフレの基調的な下落傾向を確実にし、中期的に5%のインフレ目標を達成するために必要な金融情勢を作り出すべく政策決定を行う」

28日04:06 メキシコ中銀声明
「4対1で金利据え置きを決定」
「1人の委員が0.25%の利下げを主張」
「2025年第4四半期のインフレ率を3%と予測」
「2024年第4四半期のインフレ率を4%と予測」
「インフレによりさらなる金利引き下げの議論が可能になると予測」

28日04:18 国際通貨基金(IMF)
「米連邦準備理事会(FRB)は少なくとも2024年後半まで利下げを待つべき」
「2024年の米国実質GDP予測を+2.7%から+2.6%へ下方修正」
「米国経済は堅固で、ダイナミックで、変化する世界情勢に適応力があることが証明され、期待を上回っている」

※時間は日本時間

>本日の要人発言をリアルタイムで確認するならこちら

〔日足一目均衡表分析〕

<ドル円=6/26の安値を支持に押し目買いスタンス>

ドル円0628

パラメータ0628

小陰線引け。
転換線は基準線を上回り、遅行スパンは実線を上回り、雲の上で引けていることで、三役好転の強い買いシグナルが点灯している。
1986年12月以来の高値圏での孕み線で反落したものの、依然として転換線を上回って引けていることで反発の可能性が示唆されている。

本日は26日の安値を支持に押し目買いスタンスで臨み、同水準を下抜けた場合は手仕舞い。

レジスタンス2 162.70(1986/12/23高値)
レジスタンス1 161.15(ピポット・レジスタンス2)
前日終値 160.76
サポート1 159.62(6/26安値)
サポート2 159.20(日足一目均衡表・転換線)

>ドル円のリアルタイムチャートはこちら

<ユーロドル=横ばいの基準線を抵抗に戻り売りスタンス>

ユーロドル0628

パラメータ0628

陽線引け。
転換線は基準線を下回り、遅行スパンは実線を下回り、雲の下で引けていることで、三役逆転の強い売りシグナルが点灯している。
2手連続陰線の後、孕み線で反発したものの、依然として転換線を下回って引けており反落の可能性が示唆されている。

本日は、転換線1.0714ドルを念頭に置き、横ばいの基準線を抵抗に戻り売りスタンスで臨み、同線を上抜けた場合は手仕舞い。

レジスタンス1 1.0791(日足一目均衡表・基準線)
前日終値 1.0704
サポート1 1.0611(4/19安値)

>ユーロドルのリアルタイムチャートはこちら

<ポンド円=6/27 安値を支持に押し目買いスタンス>

ポンド円0628

パラメータ0628

陽線引け。
転換線は基準線を上回り、遅行スパンは実線を上回り、雲の上で引けていることで、三役好転の強い買いシグナルが点灯している。
9手連続陽線で転換線を上回って引けており続伸の可能性が示唆されている。

本日は27日の安値を支持に押し目買いスタンスで臨み、同水準を下抜けた場合は手仕舞い。

レジスタンス1 203.91(ピポット・レジスタンス2)
前日終値 203.20
サポート1 202.51(6/27安値)

>ポンド円のリアルタイムチャートはこちら

<NZドル円=上昇中の転換線を支持に押し目買いスタンス>

NZドル円0628

パラメータ0628

小陽線引け。
転換線は基準線を上回り、遅行スパンは実線を上回り、雲の上で引けていることで、三役好転の強い買いシグナルが点灯中。
2手連続陽線で依然として転換線を上回って引けていることで続伸の可能性が示唆されている。

本日は上昇中の転換線を支持に押し目買いスタンスで臨み、同線を下抜けた場合は手仕舞い。

レジスタンス1 98.25(ピポット・レジスタンス2)
前日終値 97.77
サポート1 97.17(日足一目均衡表・転換線)

>NZドル円のリアルタイムチャートはこちら

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商号等:【金融商品取引業者】投資助言業/【登録番号】関東財務局長(金商)907号


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