本日の東京為替見通し(為替/FXニュース):ドル円、6月CPIを見極めつつ引き続き円買い介入には要警戒か(2024年7月19日)

マーケットレポート

July 19, 2024

【前日の為替概況】ドル円157.40円まで上昇、米10年債利回りが4.20%台まで上昇

18日のニューヨーク外国為替市場でドル円は反発。
終値は157.37円と前営業日NY終値(156.20円)と比べて1円17銭程度のドル高水準だった。
7月米フィラデルフィア連銀製造業景気指数が13.9と予想の2.9を大幅に上回ると、米金利の上昇とともにドル買いが先行。
6月米景気先行指標総合指数が前月比0.2%低下と予想の0.3%低下より強い内容となったことも相場の支援材料となり、4時30分前に一時157.40円と日通し高値を更新した。
米長期金利の指標となる米10年債利回りが4.20%台まで上昇したこともドル買いを誘った。
なお、主要通貨に対するドルの値動きを示すドルインデックスは一時104.23まで上昇した。

ユーロドルは3営業日ぶりに反落。
終値は1.0897ドルと前営業日NY終値(1.0939ドル)と比べて0.0042ドル程度のユーロ安水準だった。
欧州中央銀行(ECB)はこの日の定例理事会で、市場予想通り政策金利を4.25%で据え置くことを決めたと発表。
声明では「インフレ率は来年も目標を上回る水準が続く可能性が高い」「今後も金融政策はデータ依存で会合ごとに決定し、金利の道筋を事前に約束することはない」と指摘した。
また、ラガルドECB総裁も理事会後の会見で「9月にどうするかはまだ決まっていない」と強調し、次の動きについて示唆を与えなかった。

もっとも、ECB理事会の結果やラガルド総裁の発言を受けた相場の反応は限定的となり、米長期金利の上昇に伴うドル買いが目立った。
4時30分前には一時1.0894ドルと日通し安値を更新した。

ユーロ円は反発。
終値は171.49円と前営業日NY終値(170.88円)と比べて61銭程度のユーロ高水準。
ユーロドルの下落につれた売りが出ると170.68円付近まで下押ししたものの、ドル円の上昇につれた買いが優勢になると一時171.57円と日通し高値を更新した。

【本日の東京為替見通し】ドル円、6月CPIを見極めつつ引き続き円買い介入には要警戒か

本日の東京外国為替市場のドル円は、6月全国消費者物価指数(CPI)を見極めた後は、引き続き本邦通貨当局によるドル売り・円買い介入の可能性に警戒していく展開が予想される。

NBCニュースが、バイデン大統領に近い情報筋の話として、バイデン氏が大統領選からの撤退を発表しようとしていると伝えており、関連ヘッドラインには警戒しておきたい。
バイデン大統領が撤退した場合、トランプ前米大統領が勝利する可能性が高まることで、ドル安政策への警戒感が高まることになる。

昨日のドル円は、トランプ前米大統領のドル高けん制発言や河野デジタル相の円安けん制発言を受けたドル売り・円買いで155.38円まで下落したものの、155円という攻防の分岐点や一目均衡表・雲(155.49-83円)が支持帯となり、157円台までの買い戻しに繋がった。

トランプ前米大統領は、11月の米国大統領選で勝利する可能性が高まっているものの、現在は、米国大統領でもないことで、ドル安政策が打ち出される可能性は不確実であり、河野太郎デジタル相が円安是正のために日銀に政策金利を引き上げるよう求めたものの、日銀が利上げに踏み切る可能性も不確実である。

8時30分に発表される6月全国CPI(生鮮食品を除く総合)は前年比+2.7%と予想されており、5月の同比+2.5%からの伸び率上昇が見込まれている。

予想通りならば、月末30-31日に開催される日銀金融政策決定会合での国債買い入れ(6兆円:6月は約5.6兆円)の減額幅が半減となるような相当な額となり、河野デジタル相が円安是正のために日銀に要請した政策金利の追加利上げの可能性が高まることで、円高要因となる。

本日のドル円は、神田財務官の円買い介入ゾーン(157円~161円)と思われる157円台で推移してことで、円買い介入の可能性に警戒しておきたい。

月末に退官予定の神田財務官は「投機による過度な変動があれば、私としては適切に対応していくしかない。
投機によって円安になり、輸入物価が上がってしまい、国民の生活が脅かされるとしたら由々しきこと」と、今後も介入を辞さない姿勢、介入の回数や頻度に制限はないとの認識を示している。

ドル売り・円買い介入が実施された水準は、4月29日の第1弾が159円台、第2弾が157円台、5月2日の早朝の第3弾が157円台、7月11日の第4弾が161円台、7月12日の第5弾が159円前後だと推測される。

本邦通貨当局による円買い介入額は、4月29日と5月2日が9兆7885億円、7月11日が推定約3.5兆円、12日が推定2.1兆円なので、合計15.4兆円程度となる。

15.4兆円の介入金額は、日本の1-3月の名目国内総生産(GDP)597兆円の2.5%程度だが、市場では、米国財務省の外国為替報告書が為替操作国の基準にしているGDP比2.0%が介入の制約になるのではないか、との指摘があった。
しかし、外国為替報告書は、対米貿易黒字を拡大させるドル買い・自国通貨売り介入を監視していることで、本邦通貨当局によるドル売り・円買い介入は、監視対象外である。

ちなみに、先日公表された外国為替報告書では、日本が監視リストに入ったが、理由は、2023年の日本の対米貿易黒字が624億ドルと高水準だったことと、経常黒字の国内総生産(GDP)比率が3.5%だったことによる。

今年の1-6月の日本の対米貿易黒字は、3.9兆円となっており、昨年全体の8.3兆円に迫る可能性があるため、日本は引き続き対米貿易黒字を理由にした監視対象国のままで、トランプ第2次政権が誕生した場合、ドル安・円高の圧力がかかることが懸念される。

【本日の重要指標】 ※時刻表示は日本時間

<国内>
○08:30 ☆ 6月全国消費者物価指数(CPI、生鮮食品を除く総合、予想:前年比2.7%)
○08:30 ☆ 6月全国CPI(生鮮食料品・エネルギー除く、予想:前年比2.2%)
○08:50 ◇ 対外対内証券売買契約等の状況(週次・報告機関ベース)

<海外>
○08:01 ◇ 7月英消費者信頼感指数(Gfk調査、予想:▲12)
○08:45 ◎ ボウマン米連邦準備理事会(FRB)理事、講演
○15:00 ◇ 6月独生産者物価指数(PPI、予想:前月比0.1%)
○15:00 ◎ 6月英小売売上高(自動車燃料含む、予想:前月比▲0.4%/前年比0.2%)
○15:00 ◎ 6月英小売売上高(自動車燃料除く、予想:前月比▲0.5%/前年比0.2%)
○17:00 ◇ 5月ユーロ圏経常収支(季節調整済)
○21:30 ◎ 5月カナダ小売売上高(予想:前月比▲0.6%/自動車を除く前月比▲0.5%)
○21:30 ◇ 6月カナダ鉱工業製品価格
○21:30 ◇ 6月カナダ原料価格指数
○23:40 ◎ ウィリアムズ米ニューヨーク連銀総裁、講演
○20日02:00 ◎ ボスティック米アトランタ連銀総裁、あいさつ

※「予想」は特に記載のない限り市場予想平均を表す。▲はマイナス。
※重要度、高は☆、中は◎、低◇とする。
※指標などの発表予定・時刻は予告なく変更になる場合がありますので、ご了承ください。

>本日発表予定のその他の経済指標についてはこちら

【前日までの要人発言】

18日07:18 米ホワイトハウス
「バイデン米大統領がコロナ検査で陽性」

18日15:19 神山・日銀大阪支店長
「次の決定会合、非常に重要な会合だと思っている」
「できるだけ緩和的な金融環境を維持していきたい」

18日16:09 林・官房長官
「具体的手法は日銀に委ねられるべき-利上げ巡る河野デジタル相発言について」
「市場の動向をしっかり注視-為替の円高について」
「日銀の金融政策は為替誘導を目的としたものではない」

18日18:05 中国共産党・第20期中央委員会第3回総会(3中総会)声明
「共産党中央委、改革の包括的深化に関する決議を採択」
「高水準の社会主義市場経済システムを2035年までに完全構築」
「不動産・地方政府債務・中小金融機関など主要分野でのリスク防止へ措置導入へ」

18日21:19 欧州中央銀行(ECB)声明
「インフレ率が中期的に2%の目標に確実に戻り、金融政策の円滑な機能を維持するためにその任務の範囲内ですべての手段を調整する用意がある」
「理事会は特定の金利の道筋について事前に約束はしない」
「インフレ率は来年も目標を上回る水準が続く可能性が高い」
「今後もデータに依存し、会合ごとのアプローチに従って適切な水準と期間を決定していく」

18日21:57 ラガルド欧州中央銀行(ECB)総裁
「第2四半期の経済成長は第1四半期から減速した模様」
「労働市場は引き続き底堅い」
「経済成長へのリスク、下振れ方向に傾く」
「賃金の伸びは来年にかけて鈍化」
「ECBは事前に特定の金利道筋を約束しない」
「域内のインフレは明らかに高い」
「9月にどうするかはまだ決まっていない」
「ECBの決定は全会一致」

18日22:19 南アフリカ準備銀行(SARB)
「中期的には電力供給の信頼性向上や物流の改善などに支えられ、成長がやや加速すると予想」
「中期的には、インフレ率は引き続き4.5%で安定すると見ている」
「インフレ期待は依然としてSARBの目標インフレ率4.5%を不快なほど上回っている」
「インフレ見通しは改善しているものの、リスクバランスは上向きと評価」
「2024年GDP成長率見通しは前年比1.1%と予測(前回1.2%)」
「2025年GDP成長率見通しは前年比1.5%と予測(前回1.4%)」
「2024年CPI見通しは前年比4.9%と予測(前回5.1%)、25年CPI見通しは4.4%(前回4.5%)」
「2024年のコアCPI見通しは前年比4.6%(前回4.7%)、2025年のコアCPI見通しは4.4%(前回4.6%)」

18日23:10 グールズビー米シカゴ連銀総裁
「消費者物価指数(CPI)が数カ月にわたって改善していることについてはかなり良い感触」
「インフレが12-18カ月で大幅に低下したことは明らか」
「インフレの道筋はまだ終わっていないが、住宅を含む構成要素が下落しているのを見るとだいぶ良くなっている」
「労働市場はより均衡した状態へと落ち着きつつある」

19日 07:23デイリー米サンフランシスコ連銀総裁
「FRBは金融政策でデータへの依存を続ける」
「最近のデータは非常に良好」
「米経済はインフレで目標に達していない」
「労働市場は均衡を取り戻しつつある」
「金融政策の選択には双方にリスク」

※時間は日本時間

>本日の要人発言をリアルタイムで確認するならこちら

〔日足一目均衡表分析〕

<ドル円=下落途上の転換線を抵抗に戻り売りスタンス>

ドル円0719

パラメータ0719

下影陽線引け。
転換線は基準線を下回っているものの、遅行スパンは実線を上回り、雲の上で引けていることで、買いシグナルが優勢な展開となっている。
しかし、17日の大陰線に対して孕み線で切り返したものの、依然として転換線を下回って引けていることで反落の可能性が示唆されている。

本日は下落途上の転換線を抵抗に戻り売りスタンスで臨み、同線を上抜けた場合は手仕舞い。

レジスタンス2 159.45(7/12高値)
レジスタンス1 158.60(日足一目均衡表・転換線)
前日終値 157.37
サポート1 156.17(日足一目均衡表・雲の上限)
サポート2 155.49(日足一目均衡表・雲の下限)

>ドル円のリアルタイムチャートはこちら

<ユーロドル=雲の上限を支持に押し目買いスタンス>

ユーロドル0719

パラメータ0719

陰線引け。
転換線は基準線を上回り、遅行スパンは実線を上回り、雲の上で引けていることで、三役好転の強い買いシグナルが点灯中。
2手連続陽線の後に抱き線で反落したものの依然として転換線を上回って引けており反発の可能性が示唆されている。

本日は雲の上限を支持に押し目買いスタンスで臨み、同水準を下抜けた場合は手仕舞い。

レジスタンス1 1.0981(3/8高値)
前日終値 1.0897
サポート1 1.0792(日足一目均衡表・雲の上限)

>ユーロドルのリアルタイムチャートはこちら

<ポンド円=転換線を抵抗に戻り売りスタンス>

ポンド円0719

パラメータ0719

陽線引け。
転換線は基準線を上回り、遅行スパンは実線を上回り、雲の上で引けていることで、三役好転の強い買いシグナルが点灯中。
しかし、孕み線で反発したものの、依然として転換線を下回って引けていることで反落の可能性が示唆されている。

本日は転換線を抵抗に戻り売りスタンスで臨み、同線を上抜けた場合は手仕舞い。

レジスタンス1 205.11(日足一目均衡表・転換線)
前日終値 203.70
サポート1 202.11(7/18安値)

>ポンド円のリアルタイムチャートはこちら

<NZドル円=転換線を抵抗に戻り売りスタンス>

NZドル円0719

パラメータ0719

小陽線引け。
転換線は基準線を下回り、遅行スパンは実線を下回り、雲の中で引けているものの、売りシグナルが優勢な展開となっている。
しかし、6手連続陰線の後に孕み線で反発したものの、依然として転換線を下回って引けていることで反落の可能性が示唆されている。

本日は転換線を抵抗に戻り売りスタンスで臨み、同線を上抜けた場合は手仕舞い。

レジスタンス1 96.73(日足一目均衡表・転換線)
前日終値 95.13
サポート1 94.44(7/18安値)

>NZドル円のリアルタイムチャートはこちら

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