August 28, 2024
【前日の為替概況】ドル円、反落 9月の米利下げ開始を改めて意識
27日のニューヨーク外国為替市場でドル円は反落。
終値は143.96円と前営業日NY終値(144.53円)と比べて57銭程度のドル安水準だった。
パウエル米連邦準備理事会(FRB)議長が前週末23日にジャクソンホール会議で講演し、9月米連邦公開市場委員会(FOMC)での利下げ開始をほぼ明言。
この日も円買い・ドル売りが入りやすい地合いとなった。
4時前には一時143.92円と日通し安値を更新した。
米2年債の入札後に同利回りが低下幅を拡大したことも相場の重し。
なお、23時発表の8月米消費者信頼感指数は103.3と予想の100.7を上回ったものの、相場の反応は限定的だった。
ユーロドルは反発。
終値は1.1184ドルと前営業日NY終値(1.1161ドル)と比べて0.0023ドル程度のユーロ高水準だった。
21時30分過ぎに一時1.1150ドルと前日の安値に面合わせしたものの、同水準がサポートとして働くと買い戻しが優勢に。
米利下げ観測を背景にユーロ買い・ドル売りが入りやすい面もあり、4時前には1.1191ドルと日通し高値を更新した。
なお、主要通貨に対するドルの値動きを示すドルインデックスは一時100.51と昨年7月20日以来の低水準を記録した。
ユーロ円は3日続落。
終値は161.02円と前営業日NY終値(161.31円)と比べて29銭程度のユーロ安水準。
欧州市場では一時162.18円と本日高値を付けたものの、買い一巡後は一転下落した。
ドル円の下落につれた売りが出ると160.88円と本日安値を付けた。
【本日の東京為替見通し】中長期ファンドのドル円の売り根強い、日銀副総裁講演・豪CPIに注目
本日のドル円も上値は限定的か。
7月末の米連邦公開市場委員会(FOMC)後からは、欧米の中長期ファンドを中心に米債買い、ドル売りに大きくシフトが変わっている。
ドル円に関しては、昨日のように流動性が悪いこともあり、短期筋を中心にドルの買い戻しに動く局面はあるものの、9月のFOMCでの利下げは確実視され、10月以後の日銀の利上げの可能性も高まっていることで、上値は限定されるだろう。
また、本邦の個人投資家を中心にアベノミクスから始まった円売り相場に慣れてしまっているために、いまだに円キャリーを仕掛けていることも上値を重くしている。
本日の東京時間も本邦実需や個人投資家、短期筋の買いがドルを支える場面もあるだろうが、米国を中心とした中長期投資家のドル売り意欲が上値を抑えそうだ。
本日は本邦からは主だった経済指標の発表が予定されていないが、氷見野日銀副総裁が山梨県で行われる金融経済懇談会に出席し、午後には記者会見が予定されていることで、副総裁の発言が注目される。
これまで、植田日銀総裁、内田日銀副総裁などの発言で為替市場が動意づいたことで、氷見野副総裁の見解でも相場が振れることもありそうだ。
なお、懇談会のあいさつ要旨は10時半に日銀のホームページで掲載される予定。
ドル円以外では、本日は豪州から7月の消費者物価指数(CPI)が発表されることで、豪ドルの動きにも注目したい。
豪州の月次のCPIが発表され始めたのは2022年後半からだが、徐々に精度が高まってきており、発表当初よりも市場の反応が敏感になっている。
また、月次のトリム平均値に関しても、今年の5月分から発表されるようになっている。
RBAはヘッドラインのインフレ率だけではなく、トリム平均値も重要視していることから、この結果にも目を向けておきたい。
なお、RBAは執拗なインフレに悩まされており、前回の理事会でも利上げについても話し合いがもたれている。
もしCPIが予想よりも強い結果となれば、RBAとFRBの金融政策の方向性の違いにより、豪ドルが強含むことになりそうだ。
【本日の重要指標】 ※時刻表示は日本時間
<国内>
○10:30 ◎ 氷見野良三日銀副総裁、あいさつ
<海外>
○10:30 ◎ 7月豪消費者物価指数(CPI、予想:前年比3.4%)
○14:15 ◎ ウォラー米連邦準備理事会(FRB)理事、講演
○15:45 ◇ 8月仏消費者信頼感指数(予想:92)
○16:00 ◇ 7月トルコ貿易収支(予想:72.0億ドルの赤字)
○20:00 ◇ MBA住宅ローン申請指数
○21:15 ◎ マン英中銀金融政策委員会(MPC)委員、講演
○23:30 ◇ EIA週間在庫統計
○29日01:00 ◎ 7月ロシア失業率(予想:2.4%)
○29日02:00 ◎ 米財務省、5年債入札
※「予想」は特に記載のない限り市場予想平均を表す。▲はマイナス。
※重要度、高は☆、中は◎、低◇とする。
※指標などの発表予定・時刻は予告なく変更になる場合がありますので、ご了承ください。
【前日までの要人発言】
27日10:54 鈴木財務相
「為替の動きは様々な要因が背景にある」
「自民党総裁選で財政についても大いに議論されることを期待」
27日20:38 クノット・オランダ中銀総裁
「不適切な財政スタンスが、インフレ退治における金融政策の有効性を損ねていた」
「9月の欧州中央銀行(ECB)理事会での利下げ判断の前に、もう少しデータを確認したい」
※時間は日本時間
〔日足一目均衡表分析〕
<ドル円=5日線前後で重い動き続きそう>
上影陰線引け。
低下中の5日移動平均線を上回り145円前半へ上昇する場面もあった。
しかし押し戻され、144円割れ水準でNYを引けている。
本日144.63円前後へ切り下がった5日線前後で重い動きが続くか。
146円台で低下を再開した一目均衡表・転換線の動向もさえない展開が続くことの示唆と考えられる。
レジスタンス1 144.63(5日移動平均線)
前日終値 143.96
サポート1 143.09(ピボット・サポート2)
サポート2 141.70(8/5安値)
<ユーロドル=下押し先行も5日線を下回る水準で下げ渋る>
小陽線引け。
5日移動平均線を割り込んで1.1150ドルまで下押しが先行した。
しかし先週末の安値と並んだ同水準で下げ渋り一時1.1191ドルと、年初来高値圏1.12ドル台の回復をうかがう場面もあった。
上昇傾向の一目均衡表・転換線1.1087ドルの動向が示唆する底堅い動きが続くとみる。
本日1.1166ドル前後で推移している5日線の上昇をともなう上向きの流れ継続が期待できる。
レジスタンス1 1.1276(2023/7/18)
前日終値 1.1184
サポート1 1.1134(ピボット・サポート2)
<ユーロ円=転換線が基準線の上に位置も状況はネガティブ>
上影小陰線引け。
162.18円まで戻す場面もあったが、頭打ち状態の一目均衡表・転換線162.16円付近に相当する同水準から押し戻され、一時161円割れとなった。
転換線は本日、一目・基準線161.81円より上に位置する格好となり、定義上は買いサインが1つ点灯したことになる。
しかし162.15円へ小幅に切り下がった転換線より、基準線の低下スピードがより速まったことが要因。
両線がともに下向きのネガティブな状況で、強い動きは期待しにくい。
レジスタンス1 161.81(日足一目均衡表・基準線)
前日終値 161.02
サポート1 159.79(8/12安値)
<豪ドル円=目先上下どちらへ向かってもやがて下向きか>
上影小陰線引け。
一時98.42円と、前日のレンジを上回る場面もあったが押し戻され、一目均衡表・転換線と基準線に挟まれた97円台でNYの取引を終えた。
ここからは98.01円へ切り上がった転換線と、96.64円へ低下した基準線のどちらへ追随するか見定める局面。
しかし転換線も来週には低下へ転じる見込み。
いずれにしろ下向きの流れになると予想する。
レジスタンス1 98.42(8/27高値)
前日終値 97.79
サポート1 96.99(8/19安値)
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DZH Finacial Research
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