【前日の為替概況】ドル円143.71円まで続落、予想を下回る7月米雇用動態調査求人件数
4日のニューヨーク外国為替市場でドル円は続落。
終値は143.74円と前営業日NY終値(145.48円)と比べて1円74銭程度のドル安水準。
7月米雇用動態調査(JOLTS)求人件数が767.3万件と予想の810.0万件を下回ったうえ、前月の数値が下方修正されたことが分かると、米金融当局による大幅利下げ観測が高まった。
米長期金利が低下し、全般ドル売りが広がると一時143.71円まで値を下げた。
市場では「今月17-18日の米連邦公開市場委員会(FOMC)で0.50%の利下げに踏み切るハードルを下げるものだった」との声が聞かれた。
米長期金利の指標となる米10年債利回りは一時3.7515%前後まで低下した。
ユーロドルは反発。
終値は1.1082ドルと前営業日NY終値(1.1043ドル)と比べて0.0039ドル程度のユーロ高水準だった。
低調な米雇用指標をきっかけに全般ドル売りが優勢になると、一時1.1095ドルと日通し高値を更新した。
主要通貨に対するドルの値動きを示すドルインデックスは101.24まで低下した。
ユーロ円は続落。
終値は159.30円と前営業日NY終値(160.65円)と比べて1円35銭程度のユーロ安水準。
ユーロドルの上昇につれた買いが入った半面、ドル円の下落につれた売りが出た。
取引終了間際に一時159.26円と8月8日以来約1カ月ぶりの安値を付けた。
米景気先行き懸念などを背景に前日の米株式相場は大幅に下落。
これを受けて本日の日本株相場も急落しており、リスク・オフの円買いも入りやすかった。
米ドルカナダドルは一時1.3500カナダドルまで米ドル安・カナダドル高が進んだ。
低調な米雇用指標をきっかけに米ドル売りが優勢となった流れに沿った。
一方、カナダドル円は106.38円まで下落した。
クロス円は総じて上値が重かった。
なお、カナダ中銀(BOC)は、市場予想通り政策金利を4.50%から4.25%に引き下げることを決めたと発表。
声明では「政策は今後得られる情報や、それらがインフレの見通しに対して及ぼす影響を評価しながら決定する」と指摘し、引き続き慎重に運営を進める考えを示した。
また、マックレムBOC総裁は会見で「経済が減速し過ぎてインフレ率が下がり過ぎるリスクに一層警戒する必要がある。
インフレが目標を上回ることと同じくらい、目標を下回ることも懸念している」と語った。
【本日の東京為替見通し】ドル円弱含みか、7月実質賃金と高田日銀審議委員の発言に要注目
本日の東京外国為替市場のドル円は、米10年債利回りの低下や明日発表される米8月雇用統計への警戒感などから軟調推移が予想される中、7月実質賃金と高田日銀審議委員の発言に注目する展開が予想される。
8時30分に発表される7月毎月勤労統計(現金給与総額)では、実質賃金に要注目となる。
6月の毎月勤労統計では、現金給与総額が前年比+4.5%と、5月の同+2.0%から上昇率が急拡大したことで、実質賃金も前年比+1.1%(5月:同▲1.3%)と、22年3月以来のプラスとなった。
7月の実質賃金もプラス圏を維持するのか、そして上昇率も拡大しているのかに要注目となる。
日本銀行は8月20日に日銀調査統計局の職員がまとめたインフレ圧力が持続する可能性を示唆する2本の論文を公表している。
論文では、日本の慢性的な人手不足が賃金に与える潜在的な影響や、サービス業における企業の価格設定行動の変化に注目していた。
サービス価格に関する論文では、「賃金上昇圧力が高まるなかで、企業の価格設定行動も変化してきている」と指摘。
人手不足の影響に関する論文では、国内の労働市場における構造変化が強調されており、労働者の賃上げ要求に影響が及ぶ可能性がある、と指摘していた。
植田日銀総裁は、7月31日の日銀金融政策決定会合の後の記者会見、8月23日の衆参両院で開催された閉会中審査、9月3日の経済財政諮問会議で、物価の見通しが実現していくとすれば、引き続き政策金利を引き上げ、金融緩和の度合いを調整する方針を示していた。
実質賃金がプラス圏を維持していけば、物価の見通しが実現していくことになり、10月か12月の日銀金融政策決定会合で、金利の壁になるとは認識していないと述べた0.50%への追加利上げの可能性が高まることになる。
また、10時30分からの高田日銀審議委員のあいさつにも注目しておきたい。
前回2月29日の講演ではマイナス金利解除に前向きな「タカ派」姿勢を示したことで、ドル円は150円台から149円台前半まで急落した。
当時の高田日銀審議委員は、植田日銀総裁や内田日銀副総裁によるマイナス金利解除に向けた地均し発言に沿った発言をしており、本日も、0.50%への追加利上げに言及するのか否かに注目しておきたい。
【本日の重要指標】 ※時刻表示は日本時間
<国内>
○08:30 ◇ 7月毎月勤労統計(現金給与総額、予想:前年比2.9%)
○08:50 ◇ 対外対内証券売買契約等の状況(週次・報告機関ベース)
○10:30 ◇ 高田創日銀審議委員、あいさつ
<海外>
○10:30 ◇ 7月豪貿易収支(予想:50.00億豪ドルの黒字)
○12:05 ◎ ブロック豪準備銀行(RBA)総裁、講演
○14:45 ◇ 8月スイス失業率(季節調整前、予想:2.4%)
○15:00 ◎ 7月独製造業新規受注(予想:前月比▲1.7%/前年同月比▲1.9%)
○17:30 ◎ 8月英建設業購買担当者景気指数(PMI、予想:54.9)
○18:00 ◎ 7月ユーロ圏小売売上高(予想:前月比0.1%/前年比0.1%)
○18:00 ◎ 4-6月期南アフリカ経常収支(予想:662億ランドの赤字)
○20:30 ◇ 8月米企業の人員削減数(チャレンジャー・グレイ・アンド・クリスマス社調べ)
○21:15 ☆ 8月ADP全米雇用報告(予想:14.5万人)
○21:30 ◇ 4-6月期カナダ労働生産性指数(予想:前期比▲0.1%)
○21:30 ◇ 4-6月期米非農業部門労働生産性・改定値(予想:前期比2.5%)
○21:30 ◎ 前週分の米新規失業保険申請件数/失業保険継続受給者数(予想:23.0万件/186.5万人)
○22:45 ◎ 8月米サービス部門PMI改定値(予想:55.0)
○22:45 ◎ 8月米総合PMI改定値(予想:53.9)
○23:00 ☆ 8月米サプライマネジメント協会(ISM)非製造業指数(予想:51.1)
○23:00 ◎ ホルツマン・オーストリア中銀総裁、講演
○24:00 ◇ EIA週間在庫統計
○6日03:00 ◎ 8月ブラジル貿易収支(予想:61.00億ドルの黒字)
※「予想」は特に記載のない限り市場予想平均を表す。▲はマイナス。
※重要度、高は☆、中は◎、低◇とする。
※指標などの発表予定・時刻は予告なく変更になる場合がありますので、ご了承ください。
【前日までの要人発言】
4日14:47 チポローネECB専務理事
「欧州中央銀行(ECB)の政策は、ユーロ圏のインフレ率が引き続き鈍化していることからは追加利下げが可能になる」
「ECBの政策は、過度に制約的になるリスクがある」
4日22:45 カナダ銀行(BOC、カナダ中央銀行)声明
「世界経済は第2四半期に約2.5%成長し、7月の予測と一致」
「米国では、消費が牽引し経済成長は予想を上回ったが、労働市場は減速している」
「ユーロ圏の成長は観光業やその他サービス業によって押し上げられたが、製造業は軟調だった」
「両地域のインフレは引き続き緩やかである」
「カナダドルは、主に米ドル安を反映して小幅に上昇している」
「原油価格は7月に想定されていたよりも低い」
「カナダの第2四半期の経済成長率は2.1%。これは7月予測よりわずかに高い数値」
「労働市場は引き続き減速しており、ここ数カ月の雇用状況はほとんど変化していない」
「ただ、賃金の伸びは生産性に比べて高い水準を維持している」
「予想通り、インフレ率は7月にさらに鈍化し、2.5%となった」
「住宅価格の高騰は依然としてインフレ率全体の最大の要因だが、鈍化し始めている」
「他のサービスでもインフレ率は依然として高いままである」
「幅広いインフレ圧力が引き続き緩和していることから、理事会は政策金利をさらに0.25%引き下げることを決定した」
「経済における過剰供給は引き続きインフレ率に下押し圧力をかけており、住宅価格やその他サービスの価格上昇はインフレ率を押し下げている」
「金融政策の決定は、今後得られる情報と、それがインフレ見通しに与える影響に関する当行の評価に基づいて行われる」
「物価安定を回復するという確固たる決意を維持」
4日23:05 ボスティック米アトランタ連銀総裁
「労働市場が徐々に緩和する中でソフトランディングの可能性を予測」
「賃金上昇は物価安定に寄与する水準に後退」
「ビジネス関係者によると、労働市場は緩和傾向にあるものの、依然として概ね安定している」
「現在はインフレと同等に最大雇用目標を重視している」
「インフレリスクが引き続き低下するよう、FRBは警戒を怠らない必要がある」
「リスクが残っているため、インフレに対する勝利を宣言する準備はまだできていない」
「価格圧力は急速に、そして広範囲に減少している」
「ビジネス関係者の間ではパニックは起きていないが、経済と労働市場は勢いを失っていると述べている」
「最近のインフレ報告は、インフレが2%への持続可能な道を進む可能性が高いという自信を強めている」
「経済のソフトランディングは近いかもしれない」
「制限的な政策スタンスを長く維持してはならない」
4日23:50 マックレム・カナダ銀行(中央銀行、BOC)総裁
「25ベーシス・ポイント(bp)の引き下げに強いコンセンサスがあった」
「引き下げペースの減速や50bpの引き下げなど、様々なシナリオについて議論した」
「インフレ率はまだ目標を上回っている」
「現時点では、25bpの引き下げが適切と思われる」
「FRBとの金利差による為替レートへの大きな影響は見られない」
5日03:00 米地区連銀経済報告(ベージュブック)
「米経済活動は3地区でわずかに拡大した一方、横ばいまたは縮小したと報告した地区の数は5地区から9地区に増加した」
「雇用は全体的に安定していたが、企業が必要なポジションのみを埋め、勤務時間やシフトを減らし、または人員削減によって雇用全体を下げたという報告が散発的にあった。それでもレイオフの報告はまれだった」
「全体として、賃金の伸びは緩やかだった」
「製造業活動はほとんどの地区で減少し、2地区はこれらの減少はセクターの継続的な縮小の一部であると指摘した」
「ほとんどの地区で住宅販売の軟調さが示された」
「今後数カ月間は経済活動が安定または多少改善すると全般的に予想しているものの、3地区は若干の減少を予想」
「雇用はここ数週間、概ね横ばいから若干の上昇となった」
「5地区では全体の従業員数が若干または緩やかな増加となったが、いくつかの地区では企業がシフトや勤務時間を削減し、募集中の職種を空席のままにしたり、自然減で従業員数を減らしたりしたと報告」
「雇用主は需要と不透明な経済見通しへの懸念を理由に、採用においてより慎重になり、従業員数を増やす可能性は低くなった」
「全体として、賃金は最近の報告書で説明されている減速傾向に沿って緩やかなペースで上昇した」
「全体として、物価は緩やかに上昇した」
「ただ、3地区では販売価格のわずかな上昇のみが報告された」
「多くの地区では、輸送費と保険料の両方が引き続き上昇していると報告」
「今後数カ月で価格とコスト圧力が安定するか、さらに緩和すると予想」
※時間は日本時間
〔日足一目均衡表分析〕
<ドル円=転換線を抵抗に戻り売りスタンス>
陰線引け。
転換線は基準線を下回り、遅行スパンは実線を下回り、雲の下で引けていることで、三役逆転の強い売りシグナルが点灯中。
2手連続陰線で転換線を下回って引けており続落の可能性が示唆されている。
本日は転換線を抵抗に戻り売りスタンスで臨み、同線を上抜けた場合は手仕舞い。
レジスタンス2 146.30(日足一目均衡表・基準線)
レジスタンス1 145.33(日足一目均衡表・転換線)
前日終値 143.74
サポート1 142.48(ピポット・サポート2)
サポート2 141.70(8/5安値)
<ユーロドル=横ばいの転換線を抵抗に戻り売りスタンス>
陽線引け。
転換線は基準線を上回り、遅行スパンは実線を上回り、雲の上で引けていることで、三役好転の強い買いシグナルが点灯中。
しかし、抱き線で反発したものの依然として転換線を下回って引けており反落の可能性が示唆されている。
本日は横ばいの転換線を抵抗に戻り売りスタンスで臨み、同線を上抜けた場合は手仕舞い。
レジスタンス1 1.1114(日足一目均衡表・転換線)
前日終値 1.1082
サポート1 1.0990(日足一目均衡表・基準線)
<ユーロ円=9/4高値を抵抗に戻り売りスタンス>
陰線引け。
転換線は基準線を上回っているものの、遅行スパンは実線を下回り、雲の下で引けていることで、売りシグナルが優勢な展開。
2手連続陰線で転換線を下回って引けており続落の可能性が示唆されている。
本日は4日の高値を抵抗に戻り売りスタンスで臨み、同水準を上抜けた場合は手仕舞い。
レジスタンス1 160.89(9/4高値)
前日終値 159.30
サポート1 157.70(8/7安値)
<豪ドル円=9/4高値を抵抗に戻り売りスタンス>
陰線引け。
転換線は基準線を上回っているものの、遅行スパンは実線を下回り、雲の下で引けていることで、売りシグナルが優勢な展開。
2手連続陰線で転換線を下回って引けており続落の可能性が示唆されている。
本日は4日の高値を抵抗に戻り売りスタンスで臨み、同線を上抜けた場合は手仕舞い。
レジスタンス1 97.73(9/4高値)
前日終値 96.66
サポート1 95.01(日足一目均衡表・基準線)
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