本日の東京為替見通し(為替/FXニュース):ドル円、米8月雇用統計のネガティブサプライズ警戒で上値が重い展開(2024年9月6日)

マーケットレポート
September 6, 2024

【前日の為替概況】ドル円8月ADP全米雇用報告で142.85円まで下落後、144.23円まで反発

5日のニューヨーク外国為替市場でドル円は3日続落。
終値は143.45円と前営業日NY終値(143.74円)と比べて29銭程度のドル安水準。
8月ADP全米雇用報告が予想を下回ったことが伝わると全般ドル売りが先行。
節目の143.00円を下抜けて、一時142.85円と8月5日以来の安値を更新した。

ただ、売り一巡後は買い戻しが優勢に。
8月米総合・サービス部門PMI改定値や8月米ISM非製造業景況指数が予想を上回ったことがドル買いを促し、一時144.23円と日通し高値を更新した。

もっとも、一時は1%超上昇したナスダック総合が失速し、ダウ平均が450ドル超下落するとドル円の上値も重くなった。
米長期金利の低下に伴う売りも出て一時143.20円付近まで下押しした。
明日6日発表の8月米雇用統計を前に投資家の様子見姿勢が強く、神経質な動きとなった。

ユーロドルは続伸。
終値は1.1111ドルと前営業日NY終値(1.1082ドル)と比べて0.0029ドル程度のユーロ高水準だった。
低調な米雇用指標を受けて一時1.1120ドルと日通し高値を付けたものの、買い一巡後は徐々に上値が重くなった。
予想を上回る米ISM非製造業指数などが相場の重しとなり、1.1076ドル付近まで下押しした。
ただ、アジア時間に付けた日通し安値1.1075ドルが目先サポートとして働くと再び強含んだ。
明日発表される米雇用統計待ちという状況で、持ち高を傾ける動きは限られた。

ユーロ円は3営業日ぶりに小反発。
終値は159.38円と前営業日NY終値(159.30円)と比べて8銭程度のユーロ高水準。
22時前に一時158.62円付近まで値を下げたものの、アジア時間に付けた約1カ月ぶりの安値158.56円がサポートとして働くと買い戻しが優勢となり23時30分過ぎに一時159.79円と日通し高値を付けた。
米国株相場が失速するとユーロ円にも売りが出て158.98円付近まで押し戻されている。

【本日の東京為替見通し】ドル円、米8月雇用統計のネガティブサプライズ警戒で上値が重い展開

本日の東京外国為替市場のドル円は、今夜発表される米8月雇用統計のネガティブサプライズへの警戒感から上値が重い展開が予想される。

米8月雇用統計は、失業率が4.2%と予想されており、7月の4.3%から低下、非農業部門雇用者数は前月比+16.0万人と予想されており、7月の同比+11.4万人からの増加が見込まれている。

7月の雇用統計は、統計調査の週(7月12日週)の自動車工場の一時閉鎖やハリケーン「ベリル」の影響でテキサス州やルイジアナ州で停電があり、予想を下回る雇用増(+11.4万人)につながった可能性が指摘されていた。
家計調査によると、7月は悪天候のため43万6000人が出勤できなかった。

米8月の雇用関連指標は以下の通りにやや悪化しており、ネガティブサプライズへの警戒感を高めている。

【改善】 【8月】 【7月】
ISM製造業雇用指数 46.0 43.3
新規失業保険申請件数(8/12週) 23.3万件 24.3万件
【悪化】 【8月】 【7月】
ISM非製造業雇用指数 50.2 51.1
ADP全国雇用者数 +9.9万人 +11.1万人
失業保険継続受給者数(8/12週) 186.0万人 184.4万人
チャレンジャー人員削減予定数 7万5891人 2万5885人
消費者信頼感指数(雇用) 16.4% 17.1%(※職が十分-雇用が困難)

米8月雇用統計が予想通りに労働市場の改善を示していた場合は、9月の米連邦公開市場委員会(FOMC)での利下げ幅予想は0.25%のままとなり、ドルは下げ渋る展開、予想外に悪化していた場合は0.50%の利下げ幅が見込まれるため、ドル売り要因になる。

シカゴ・マーカンタイル取引所(CME)グループがFF金利先物の動向に基づき算出する「フェドウオッチ」は、9月FOMCで0.25%の利下げ(※FF金利:5.00-25%)が開始され、11月FOMCでは0.50%利下げ(※FF金利:4.50-75%)、12月FOMCでは0.25%の利下げ(※FF金利:4.25-50%)が見込まれている。

8月21日に発表された年次ベンチマーク改定の速報値では、2023年4月から2024年3月までの1年間の雇用者増は81万8000人下方修正されることが示された。
改定前の雇用者数は1年間に290万人増(月平均で24万2000人増)だったが、今回の改定を受けて、1カ月当たり約17万4000人増のペースとなった。
2024年4月から7月までの月平均は前月比+15.4万人となり、3月までの平均である+17.4万人や8月の予想の+16.0万人とほぼ同じになっている。

8月の非農業部門雇用者数が予想を上回る数字であっても、WSJ紙がNFPは過大評価の可能性と指摘していることや今回の下方修正(▲81.8万人)を受けて、ドル買いでの反応は限定的だと思われる。

米国の雇用統計では、家計調査に基づく失業率よりも、事業所調査に基づく非農業部門雇用者数が重視される傾向にあったが、今後は、4%台で推移している失業率が労働市場の実態を反映する数字として重視されるのかもしれないことで、8月失業率が上昇していた場合は、9月FOMCでの利下げ幅は0.50%になる可能性が高まることになる。

NFPは、「起業・廃業モデル」で過大評価している可能性が指摘されていること、賃金をベースにカウントしていることで複数の職を持つ者が数字を押し上げている可能性があることが指摘されている。

【本日の重要指標】 ※時刻表示は日本時間

<国内>
○08:30 ◇ 7月家計調査(消費支出、予想:前年比1.2%)
○08:50 ◇ 8月外貨準備高
○14:00 ◇ 7月景気動向指数速報値(予想:先行109.4/一致116.2)

<海外>
○15:00 ◎ 7月独鉱工業生産(予想:前月比▲0.3%/前年同月比▲3.5%)
○15:00 ◇ 7月独貿易収支(予想:210億ユーロの黒字)
○15:45 ◇ 7月仏鉱工業生産(予想:前月比▲0.2%)
○15:45 ◇ 7月仏貿易収支
○15:45 ◇ 7月仏経常収支
○16:00 ◇ 8月スイスSECO消費者信頼感指数(予想:▲32.5)
○18:00 ☆ 4-6月期ユーロ圏域内総生産(GDP)確定値(予想:前期比0.3%/前年比0.6%)
○21:30 ☆ 8月カナダ雇用統計(予想:新規雇用者数変化2.50万人/失業率6.5%)
○21:30 ☆ 8月米雇用統計(予想:非農業部門雇用者数変化16.0万人/失業率4.2%/平均時給、前月比0.3%/前年比3.7%)
○21:45 ◎ ウィリアムズ米ニューヨーク連銀総裁、講演
○23:00 ◇ 8月カナダIvey購買部協会景気指数
○24:00 ◎ ウォラー米連邦準備理事会(FRB)理事、講演

※「予想」は特に記載のない限り市場予想平均を表す。▲はマイナス。
※重要度、高は☆、中は◎、低◇とする。
※指標などの発表予定・時刻は予告なく変更になる場合がありますので、ご了承ください。

>本日発表予定のその他の経済指標についてはこちら

【前日までの要人発言】

5日10:11 デイリー米SF連銀総裁
「インフレは低下、景気は減速しており、FRBは金利引き下げるべき」
「9月の利下げ幅はまだわからない、雇用統計などさらなるデータが必要」
「FRBは変化する経済に合わせ政策を調整すべき」
「労働市場は軟化したが依然として健全、悪化の証拠はみられない」
「過度にタイトな政策は労働市場のさらなる軟化につながる可能性」
「米経済は転換点にあり、データは振れが大きくなる見通し」
「見通しが明確なら積極的な行動が可能だが、現在は不透明」

5日10:30 高田日銀審議委員
「潜在成長率を上回る成長を続けるとみている」
「最終的な国債保有残高やバランスシートをどこまで縮小するのが望ましいかを議論することは難しい」
「政策金利引き上げ後も、緩和的な金融環境はなお継続している」
「当面は株式・為替相場の動向を注視し影響を見極める必要」
「十分な時間をかけつつ、その都度、政策金利引き上げの経済・物価・金融情勢への影響を検証しながら対応」
「前向きな企業行動が続けば金融緩和度合いの更なる調整が必要」
「自然利子率のピンポイントでの把握は困難」
5日14:51
「金融市場はボラティリティーが高まりやすい状況」
「利上げ判断は毎回の経済状況をみて対応するのに尽きる」
「経済物価の見通し実現なら緩和度合い調整が基本姿勢」

5日12:05 ブロックRBA総裁
「豪準備銀行(RBA)はインフレの上振れリスクに引き続き警戒」
「消費者物価指数(CPI)の道筋に確信できるまで景気抑制的な政策が必要」
「CPIがいつまでも高止まりなら雇用目標は達成できない」
「短期的には利下げは見込んでいない」
「RBAにとって、最重要事項は依然としてインフレ抑制」
「CPIが低下しない場合、追加引き締めが必要かもしれない」
「豪ドルの若干の上昇は、インフレ対策にプラス」

5日16:18 トルコ政府
「中期経済プログラム、2025年GDP見通しは4%(前回予測4.5%)」
「2024年GDP見通しは3.5%(前回4.0%)」
「中期経済プログラム、25年末インフレ見通しは17.5%(前回15.2%)」
「24年末インフレ見通しは41.5%(前回33%)」

6日00:41 イエレン米財務長官
「米国の労働市場は逼迫感が薄れたが、雇用創出は続いている」
「雇用市場は好調だ」

※時間は日本時間

>本日の要人発言をリアルタイムで確認するならこちら

〔日足一目均衡表分析〕

<ドル円=9/5高値を抵抗に戻り売りスタンス>

ドル円0906

パラメーター

陰線引け。
転換線は基準線を下回り、遅行スパンは実線を下回り、雲の下で引けていることで、三役逆転の強い売りシグナルが点灯中。
3手連続陰線で転換線を下回って引けており続落の可能性が示唆されている。

本日は5日の高値を抵抗に戻り売りスタンスで臨み、同水準を上抜けた場合は手仕舞い。

レジスタンス2 145.03(日足一目均衡表・転換線)
レジスタンス1 144.23(9/5高値)
前日終値 143.45
サポート1 142.85(9/5安値)
サポート2 141.70(8/5安値)

>ドル円のリアルタイムチャートはこちら

<ユーロドル=基準線を支持に押し目買いスタンス>

ユーロドル0906

パラメーター

陽線引け。
転換線は基準線を上回り、遅行スパンは実線を上回り、雲の上で引けていることで、三役好転の強い買いシグナルが点灯中。
2手連続陽線で転換線を上回って推移していることで続伸の可能性が示唆されている。

本日は転換線1.1109ドルを念頭に置き、基準線を支持に押し目買いスタンスで臨み、同線を下抜けた場合は手仕舞い。

レジスタンス1 1.1202(8/26高値)
前日終値 1.1111
サポート1 1.0992(日足一目均衡表・基準線)

>ユーロドルのリアルタイムチャートはこちら

<ポンド円=転換線を抵抗に戻り売りスタンス>

ポンド円0906

パラメーター

小陽線引け。
転換線は基準線を上回っているものの、遅行スパンは実線を下回り、雲の下で引けていることで、売りシグナルが優勢な展開。
孕み線で反発したものの依然として転換線を下回って引けており反落の可能性が示唆されている。

本日は転換線を抵抗に戻り売りスタンスで臨み、同線を上抜けた場合は手仕舞い。

レジスタンス1 190.78(日足一目均衡表・転換線)
前日終値 189.06
サポート1 188.07(9/5安値)

>ポンド円のリアルタイムチャートはこちら

<NZドル円=転換線を抵抗に戻り売りスタンス>

NZドル円0906

パラメーター

陽線引け。
転換線は基準線を上回り、遅行スパンは実線を上回り、雲の下で引けているものの、買いシグナルが優勢な展開となっている。
しかし、孕み線で反発したものの転換線を下回って引けており反落の可能性が示唆されている。

本日は転換線を抵抗に戻り売りスタンスで臨み、同線を上抜けた場合は手仕舞い。

レジスタンス1 90.14(日足一目均衡表・転換線)
前日終値 89.27
サポート1 88.63(9/5安値)

>NZドル円のリアルタイムチャートはこちら

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