本日の東京為替見通し(為替/FXニュース):ドル円、日米株価指数や米長期債利回り下落で下値リスクに要警戒か(2024年9月9日)

マーケットレポート

September 9, 2024

【前日の為替概況】ドル円8月雇用統計で乱高下 144.01円⇒141.78円⇒142.75円

6日のニューヨーク外国為替市場でドル円は4日続落。
終値は142.30円と前営業日NY終値(143.45円)と比べて1円15銭程度のドル安水準だった。
米労働省が発表した8月米雇用統計では非農業部門雇用者数が前月比14.2万人増と予想の16.0万人増を下回った一方、平均時給が前月比0.4%/前年比3.8%と予想の前月比0.3%/前年比3.7%を上回った。
失業率は4.2%と市場予想通りの結果となった。
指標発表直後はドル買いで反応し、144.01円まで上昇したもののすぐに失速、142.01円まで一転下落した。

ただ、米10年債利回りが3.75%台まで上昇すると再び買い戻しが優勢に。
23時前には143.89円付近まで持ち直した。
もっとも、買い戻しの勢いも長続きしなかった。
米10年債利回りが一時3.6443%前後と昨年6月以来の低水準を付けると円買い・ドル売りが進行。
一時250ドル超上昇したダウ平均が下げに転じ、440ドル超下落するとリスク・オフの円買いも入った。
ウォラー米連邦準備理事会(FRB)理事が「適切であれば利下げの前倒しを支持」「現在の一連のデータは行動を必要としている」と述べたと伝わると、一時141.78円と8月5日以来約1カ月ぶりの安値を付けた。
その後、同日の安値141.70円が重要なサポートとして働くと142.75円付近まで下げ渋ったものの、戻りは限定的だった。

ユーロドルは3営業日ぶりに反落。
終値は1.1084ドルと前営業日NY終値(1.1111ドル)と比べて0.0027ドル程度のユーロ安水準だった。
米雇用統計発表後に1.1082ドルまで売られたものの、そのあとは1.1155ドルと8月28日以来の高値を付けた。
ただ、米長期金利が上昇に転じると一転売りが優勢となり、23時前に一時1.1066ドルと日通し安値を更新した。

その後、ウォラーFRB理事のハト派的な発言を受けて1.1135ドル付近まで下げ渋る場面もあったが、米国株相場の下落を背景にリスク・オフのドル買いが入ると再び上値が重くなった。
リスクセンチメントに敏感なオセアニア通貨の売りに連れた面もあった。

なお、豪ドル米ドルは一時0.6660米ドル、NZドル米ドルは0.6156米ドルまで値を下げた。

ユーロ円は反落。
終値は157.77円と前営業日NY終値(159.38円)と比べて1円61銭程度のユーロ安水準。
21時30分過ぎに一時159.64円と日通し高値を付けたものの、前日の高値159.79円が目先レジスタンスとして意識されると失速。
日米株価指数の下落に伴うリスク回避の円買いが入ると日本時間夕刻に付けた157.92円を下抜けて一時157.47円と8月6日以来の安値を付けた。

なお、ナイト・セッションの日経平均先物は大証終値比1240円安の3万5120円まで急落した。

【本日の東京為替見通し】ドル円、日米株価指数や米長期債利回り下落で下値リスクに要警戒か

本日の東京外国為替市場のドル円は、日米株価指数の下落や米長期債利回りの低下を受けて下値リスクに警戒する展開が予想される。

8月米雇用統計(非農業部門雇用者数:前月比+14.2万人、失業率:4.2%)の後、タカ派のウォラーFRB理事が「新たに入ってくるデータ次第で継続的利下げだけでなく、大幅利下げを支持する可能性」と述べた。
これにより、11日に発表される米8月消費者物価指数(CPI:予想前年比+2.6%、7月同比+2.9%)への警戒感が高まっている。

CMEグループがFF金利先物の動向に基づき算出する「フェドウオッチ」では、9月米連邦公開市場委員会(FOMC)で0.25%の利下げ(※FF金利:5.00-25%)が開始され、11月FOMCでは0.50%利下げ(※FF金利:4.50-75%)が見込まれている。
12月FOMCでも0.50%の利下げ(※FF金利:4.00-25%)を見込む向きが増えてきた。

米8月CPIが予想通りにインフレ率の鈍化を示す内容だった場合は、9月FOMCでの0.50%の利下げ開始の可能性が高まるため、11日まではドル円の上値は限定的だと思われる。

本日8時50分に発表される4-6月期実質国内総生産(GDP)改定値は、速報値の前期比+0.8%から横ばい、年率+3.1%からは+3.2%へ小幅に上方修正されるとの予想。
設備投資(民間企業設備)や公共投資(公的固定資本形成)の上方修正が見込まれており、予想通りならば、植田日銀総裁のタカ派的な見解「経済・物価見通し実現の確度が高まれば、金融緩和の度合いを調整する」を裏付けることで、追加利上げ観測を高めて円買い要因になる。

政策金利(0.25%)からインフレ率(※7月:+2.7%)を差し引いた実質金利(-2.45%)をマイナス圏に放置したままでは、円安と輸入インフレが再発する可能性が高まることになる。
そこで日銀は、金利の壁である0.50%を超えた中立金利水準の1.00%付近までの追加利上げを続ける可能性が高いと思われる。

10時30分に発表される8月中国CPIは前年比+0.7%と予想されており、7月の同比+0.5%からは伸び率上昇の見込み。
同月中国生産者物価指数(PPI)は同比-1.4%と、7月の同比-0.8%からは伸び率の鈍化予想だ。

中国政府は、不動産市況の低迷による消費者心理の悪化を打破するため、積極的な財政出動と緩和的な金融政策で内需拡大を目論んでいるが、米国との第2次貿易戦争への警戒感が懸念材料となっており、ディスインフレからの脱却の目途が立っていない。
先週、人民銀高官が預金準備率(RRR)には「さらなる引き下げの余地がある」と発言しており、警戒しておきたい。

【本日の重要指標】 ※時刻表示は日本時間

<国内>
○08:50 ☆ 4-6月期実質国内総生産(GDP)改定値(予想:前期比0.8%/前期比年率3.2%)
○08:50 ◎ 7月国際収支速報
     ◇ 経常収支(予想:季節調整前2兆5893億円の黒字/季節調整済2兆1168億円の黒字)
     ◎ 貿易収支(予想:4276億円の赤字)
○14:00 ◇ 8月景気ウオッチャー調査(予想:現状判断指数47.7/先行き判断指数48.6)

<海外>
○10:30 ◎ 8月中国消費者物価指数(CPI、予想:前年比0.7%)
○10:30 ◎ 8月中国生産者物価指数(PPI、予想:前年比▲1.4%)
○21:00 ◎ 8月メキシコ消費者物価指数(CPI、予想:前年比5.07%)
○23:00 ◇ 7月米卸売売上高
○10日04:00 ◇ 7月米消費者信用残高(予想:124.5億ドル)

※「予想」は特に記載のない限り市場予想平均を表す。▲はマイナス。
※重要度、高は☆、中は◎、低◇とする。
※指標などの発表予定・時刻は予告なく変更になる場合がありますので、ご了承ください。

>本日発表予定のその他の経済指標についてはこちら

【前日までの要人発言】

6日09:09 グールズビー米シカゴ連銀総裁
「経済データは複数回の利下げを正当化している」
「労働市場に関するさらなる警告サインが見られた」
7日00:02 
「重要な課題は事態を悪化させないこと」
「市場動向はFRBの予想と非常によく似ている」
「複数回の利下げはFRBの圧倒的なコンセンサス」

6日11:34 小泉進次郎自民党総裁候補
「直ちに経済対策の検討を指示する」
「経済成長と財政健全化の両立をしっかりと進めていく」

6日21:46 ウィリアムズ米ニューヨーク連銀総裁
「インフレ率が持続的に2%に向かっているとさらに自信」
「利下げが適切になった」
「本日のデータは減速する経済や雇用市場と整合」

7日00:02 ウォラー米連邦準備理事会(FRB)理事
「適切であれば利下げの前倒しを支持」
「労働市場は軟化しているが悪化はしていない」

※時間は日本時間

>本日の要人発言をリアルタイムで確認するならこちら

〔日足一目均衡表分析〕

<ドル円=5日MAを抵抗に戻り売りスタンス>

ドル円0909

パラメーター

陰線引け。
転換線は基準線を下回り、遅行スパンは実線を下回り、雲の下で引けていることで、三役逆転の強い売りシグナルが点灯中。
4手連続陰線で転換線を下回って引けており続落の可能性が示唆されている。

本日は5日移動平均線を抵抗に戻り売りスタンスで臨み、同線を上抜けた場合は手仕舞い。
9月6日の安値141.78円、8月5日の安値141.70円を下抜けると追撃売りか。

レジスタンス2 144.50(日足一目均衡表・転換線)
レジスタンス1 142.96(5日移動平均線)
前日終値 142.30
サポート1 141.70(8/5安値)
サポート2 140.25(2023/12/28安値)

>ドル円のリアルタイムチャートはこちら

<ユーロドル=9/6高値を抵抗に戻り売りスタンス>

ユーロドル0909

パラメーター

陰線引け。
転換線は基準線を上回り、遅行スパンは実線を上回り、雲の上で引けていることで、三役好転の強い買いシグナルが点灯中。
しかし、2手連続陽線の後、孕み線で反落して転換線を下回って引けていることで続落の可能性が示唆されている。

本日は転換線1.1106ドルを念頭に置き、6日高値を抵抗に戻り売りスタンスで臨み、同水準を上抜けた場合は手仕舞い。

レジスタンス1 1.1155(9/6高値)
前日終値 1.1084
サポート1 1.1026(9/3安値)

>ユーロドルのリアルタイムチャートはこちら

<ユーロ円=基準線を抵抗に戻り売りスタンス>

ユーロ円0909

パラメーター

陰線引け。
転換線は基準線を上回っているものの、遅行スパンは実線を下回り、雲の下で引けていることで、売りシグナルが優勢な展開。
抱き線で反落して依然として転換線を下回って引けており続落の可能性が示唆されている。

本日は基準線を抵抗に戻り売りスタンスで臨み、同線を上抜けた場合は手仕舞い。

レジスタンス1 159.16(日足一目均衡表・基準線)
前日終値 157.77
サポート1 156.12(ピポット・サポート2)

>ユーロ円のリアルタイムチャートはこちら

<豪ドル円=9/5安値を抵抗に戻り売りスタンス>

豪ドル円

パラメーター

陰線引け。
転換線は基準線を上回っているものの、遅行スパンは実線を下回り、雲の下で引けていることで、売りシグナルが優勢な展開となっている。
抱き線で反落して転換線を下回って引けており続落の可能性が示唆されている。

本日は5日の安値を抵抗に戻り売りスタンスで臨み、同水準を上抜けた場合は手仕舞い。

レジスタンス1 96.11(9/5安値)
前日終値 94.92
サポート1 94.06(8/7安値)

>豪ドル円のリアルタイムチャートはこちら

OANDA CFD

Provided by
DZH Finacial Research

「投資を面白く、投資家を笑顔に」をスローガンに、株式や為替など様々な金融マーケットの情報を提供。 豊富な経験を持つエキスパートが多数在籍し、スピーディー且つオリジナルな視点からの情報をOANDA Labに配信しています。
会社名:株式会社DZHフィナンシャルリサーチ
所在地:東京都中央区明石町8番1号 聖路加タワー32階
商号等:【金融商品取引業者】投資助言業/【登録番号】関東財務局長(金商)907号


本ホームページに掲載されている事項は、投資判断の参考となる情報の提供を目的としたものであり、投資の勧誘を目的としたものではありません。投資方針、投資タイミング等は、ご自身の責任において判断してください。本サービスの情報に基づいて行った取引のいかなる損失についても、当社は一切の責を負いかねますのでご了承ください。また、当社は、当該情報の正確性および完全性を保証または約束するものでなく、今後、予告なしに内容を変更または廃止する場合があります。なお、当該情報の欠落・誤謬等につきましてもその責を負いかねますのでご了承ください。

この記事をシェアする
一覧へ戻る