本日の東京為替見通し(為替/FXニュース):ドル円、軟調推移か 11月FOMCでの0.50%利下げ確率が上昇(2024年9月13日)

マーケットレポート

September 13, 2024

【前日の為替概況】ドル円は141.73円まで下落、ユーロドルは10月利下げ観測後退で上昇

12日のニューヨーク外国為替市場でユーロドルは5営業日ぶりに反発。
終値は1.1074ドルと前営業日NY終値(1.1012ドル)と比べて0.0062ドル程度のユーロ高水準だった。
欧州中央銀行(ECB)はこの日、市場予想通り政策金利を4.25%から3.65%に引き下げることを決めたと発表。
声明では「決定は会合ごとに実施し特定の道筋に事前にコミットしない」とのガイダンスを維持した。
また、ラガルドECB総裁も理事会後の会見で「われわれは特定の金利経路を事前に約束しているわけではない」と強調したほか、「9月はエネルギーの動向により低いインフレ率を示す可能性が高いものの、第4四半期には再び上昇する」との見方を示した。
「今回の利下げとラガルド総裁の発言は想定の範囲内」との受け止めが多い中、10月の追加利下げ観測が後退すると、ユーロ買い・ドル売りが優勢となった。
前日の高値1.1055ドルを上抜けて、5時30分前には一時1.1075ドルまで値を上げた。
市場では「次の利下げは10月ではなく、12月になりそうだ」との声が聞かれた。

ドル円は3日続落。
終値は141.82円と前営業日NY終値(142.36円)と比べて54銭程度のドル安水準だった。
米労働省が発表した8月米卸売物価指数(PPI)が総合・コアともに前年比で予想を下回ると米10年債利回りの低下とともに円買い・ドル売りが先行。
ナイト・セッションの日経平均先物が480円下落したことも相場の重しとなり、22時過ぎに一時141.91円まで値を下げた。

その後、米10年債利回りが3.70%台まで一転上昇するとドル円も142.66円付近まで下げ渋ったものの、戻りは鈍かった。
対ユーロ中心に全般ドル安が進んだ流れに沿って、5時30分前に141.73円と日通し安値を更新した。
主要通貨に対するドルの値動きを示すドルインデックスは一時101.23まで低下した。

ユーロ円は3日ぶりに反発。
終値は157.07円と前営業日NY終値(156.78円)と比べて29銭程度のユーロ高水準。
22時過ぎに一時156.54円と日通し安値を付けたものの、売り一巡後は買い戻しが優勢に。
ECBは利下げを急いでいないとの見方からユーロ買いが入ると157.50円付近まで持ち直した。
ただ、日本時間夕刻に付けた日通し高値157.51円を上抜けることは出来なかった。

【本日の東京為替見通し】ドル円、軟調推移か 11月FOMCでの0.50%利下げ確率が上昇

本日の東京外国為替市場のドル円は、フェドウオッチで11月米連邦公開市場委員会(FOMC)での0.50%利下げ確率が上昇していることで下値を探る展開が予想される。

来週17-18日のFOMCに向けて、シカゴ・マーカンタイル取引所(CME)グループがFF金利先物の動向に基づき算出する「フェドウオッチ」では、0.25%の利下げ開始がほぼ確実になっている。
さらに11月FOMCについては、前日は0.25%の利下げ確率が高かったものの現状は0.50%の利下げ確率が高くなっており、ドル売りの背景となっている。

ドル円は11日に年初来安値140.71円まで下落して、昨年12月28日の安値140.25円に迫り、7月3日の高値161.95円までの上昇トレンドの全値押しを達成した後、下影を残して143.04円まで反発した。
テクニカル分析的には、140円への下押しは売られ過ぎを示唆するパターンだったものの、攻防の分岐点である一目均衡表・転換線143.96円が上値を抑えたことで、下値リスクへの警戒感が高まりつつある。

昨日は、日銀金融政策決定会合の構成メンバーの中で最もタカ派と見なされている田村日銀審議委員が「経済・物価情勢が見通し通りに推移すれば、政策金利である短期金利を2026年度までの見通し期間後半にかけて、少なくとも1%程度まで引き上げておくことが適切だ」との認識を示した。
中立金利の推計には幅があるが、田村氏は「最低でも1%程度だろう」との見方を示したものの、「中立金利1%は仮置きと位置づけ」とも述べていた。
4月展望リポートで日銀は、中立金利導出の前提となる日本の自然利子率について「マイナス1.0~プラス0.5%」の範囲と示していた。
もし、このレンジの下限マイナス1%に物価目標2%を足すと、中立金利の下限は1%になる。

植田日銀総裁は7月31日の日銀会合の後の記者会見で、ターミナルレート(利上げの最終到達点)に関して、過去の利上げ局面において上限となった「0.5%の壁」も「特に意識していない」と語った。
そして、中立金利自体に大幅な不確実性があるが、しばらくはその不確実な領域に入ることはないとの認識を示しており、中立金利の下限である1.0%程度が上限であることを示唆していた。

日銀の利上げ路線の射程が1%程度、米連邦準備理事会(FRB)の利下げ幅が年内1%程度との前提では、ドル円は下値を探る展開がメインシナリオとならざるを得ないのかもしれない。

【本日の重要指標】 ※時刻表示は日本時間

<国内>
○13:30 ◇ 7月鉱工業生産確報
○13:30 ◇ 7月設備稼働率

<海外>
○13:50 ◎ ナーゲル独連銀総裁、講演
○15:45 ◇ 8月仏消費者物価指数(CPI)改定値(予想:前月比0.6%/前年比1.9%)
○17:30 ◎ レーン・フィンランド中銀総裁、講演
○18:00 ◎ 7月ユーロ圏鉱工業生産(予想:前月比▲0.5%/前年比▲2.7%)
○18:30 ◎ ラガルド欧州中央銀行(ECB)総裁、講演
○19:30 ◎ ロシア中銀、政策金利発表(予想:18.00%で据え置き)
○21:30 ◇ 7月カナダ卸売売上高(予想:前月比▲1.1%)
○21:30 ◇ 4-6月期カナダ設備稼働率(予想:78.8%)
○21:30 ◇ 8月米輸入物価指数(予想:前月比▲0.2%)
○23:00 ◎ 9月米消費者態度指数(ミシガン大調べ、速報値、予想:68.5)
○14日01:00 ☆ 4-6月期ロシア国内総生産(GDP)改定値(予想:前年比4.0%)
〇米英首脳会談(ワシントン)

※「予想」は特に記載のない限り市場予想平均を表す。▲はマイナス。
※重要度、高は☆、中は◎、低◇とする。
※指標などの発表予定・時刻は予告なく変更になる場合がありますので、ご了承ください。

>本日発表予定のその他の経済指標についてはこちら

【前日までの要人発言】

12日10:03 田村日銀審議委員
「中立金利は最低でも1%程度だろうとみている」
「見通し期間後半に少なくとも1%程度までの利上げが必要」
「市場動向に十分配慮しつつ、適時かつ段階的に利上げが必要」
「段階的に短期金利を引き上げ、経済・物価を確認し適切水準を探る」
「金融市場の動向や経済・物価への影響に丁寧に目を配っていきたい」
「市場が予想するペースでの金利引き上げでは、物価の上振れリスクをさらに高めてしまう」
「物価目標実現の確度は引き続き高まってきている」
「次の利上げは、欧米とは異なりゆっくりしたペースになる可能性が高い」
「中立金利の水準を特定することは難しいとも考えている」
「中立金利は、かなりの幅をもってみる必要ある」
「実際には政策金利を進めていく中で、経済・物価の反応みながら中立水準探っていく」
「中立金利1%は仮置きと位置づけ」

12日21:15 欧州中央銀行(ECB)声明
「特定の金利経路について事前にコミットしない」
「最近のインフレデータは概ね予想通り」
「必要な限り、政策金利を十分に制限的に保ち続ける」
「インフレ率は今年後半に再び上昇すると予想」
「ECBスタッフ予想、2024年から2026年までのGDP予想を下方修正」
「ECBスタッフ予想、2024年と2025年のコアインフレ予想をわずかに上方修正」

12日21:44 ラガルド欧州中央銀行(ECB)総裁
「賃金の上昇に伴い、回復が時間とともに強まると予想」
「労働市場は引き続き回復力がある」
「労働需要はさらに緩和する見込み」
「ユーロ圏の成長リスクは下振れ方向」
「利下げは全会一致だった」
「入手したデータは従来の予測を裏付けた」
「インフレは2025年のうちに2%に低下する見込み」
「金利の低下傾向は非常に明らか」
「9月はエネルギーの動向により低いインフレ率を示す可能性が高い」
「しかし、第4四半期にはインフレ率が再び上昇する」
「金利の道筋は事前に決定されていない。10月の会合については一切約束されていない」

※時間は日本時間

>本日の要人発言をリアルタイムで確認するならこちら

〔日足一目均衡表分析〕

<ドル円=9/12高値を抵抗に戻り売りスタンス>

ドル円0913

パラメーター

陰線引け。
転換線は基準線を下回り、遅行スパンは実線を下回り、雲の下で引けていることで、三役逆転の強い売りシグナルが点灯している。
3手連続陰線で依然として転換線を下回って引けており続落の可能性が示唆されている。

本日は12日の高値を抵抗に戻り売りスタンスで臨み、同水準を上抜けた場合は手仕舞い。

レジスタンス2 143.96(日足一目均衡表・転換線)
レジスタンス1 143.04(9/12高値)
前日終値 141.82
サポート1 140.71(9/11安値)
サポート2 140.25(2023/12/28安値)

>ドル円のリアルタイムチャートはこちら

<ユーロドル=転換線を念頭に9/6高値を抵抗に戻り売り>

ユーロドル0913

パラメーター

陽線引け。
転換線は基準線を上回り、遅行スパンは実線を上回り、雲の上で引けていることで、三役好転の強い買いシグナルが点灯中。
4手連続陰線の後に抱き線で反発したものの転換線1.1079ドルを下回って引けており反落の可能性が示唆されている。
しかし、転換線を上抜けた場合には、上昇トレンドの可能性が高まるため要警戒となる。

本日は転換線を念頭に置き、6日高値を抵抗に戻り売りスタンスで臨み、同水準を上抜けた場合は手仕舞い。

レジスタンス1 1.1155(9/6高値)
前日終値 1.1074
サポート1 1.0950(8/15安値)

>ユーロドルのリアルタイムチャートはこちら

<ユーロ円=9/9高値を抵抗に戻り売りスタンス>

ユーロ円0913

パラメーター

陽線引け。
転換線は基準線を下回り、遅行スパンは実線を下回り、雲の下で引けていることで、三役逆転の強い売りシグナルが点灯中。
抱き線で反発したものの依然として転換線を下回って引けており反落の可能性が示唆されている。

本日は9日の高値を抵抗に戻り売りスタンスで臨み、同水準を上抜けた場合は手仕舞い。

レジスタンス1 158.73(9/9高値)
前日終値 157.07
サポート1 155.46(9/11安値)

>ユーロ円のリアルタイムチャートはこちら

<豪ドル円=転換線を抵抗に戻り売りスタンス>

豪ドル円0913

パラメーター

陽線引け。
転換線は基準線を下回り、遅行スパンは実線を下回り、雲の下で引けていることで、三役逆転の強い売りシグナルが点灯した。
2手連続陽線でも転換線を下回って引けており反落の可能性が示唆されている。

本日は転換線を抵抗に戻り売りスタンスで臨み、同線を上抜けた場合は手仕舞い。

レジスタンス1 96.72(日足一目均衡表・転換線)
前日終値 95.35
サポート1 94.51(9/10安値)

>豪ドル円のリアルタイムチャートはこちら

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