September 19, 2024
【前日の為替概況】FOMC0.5%利下げ、ドル円は140.45円へ下落後142.71円へ反発も伸び悩み
18日のニューヨーク外国為替市場でドル円は小反落。
終値は142.29円と前営業日NY終値(142.41円)と比べて12銭程度のドル安水準だった。
米連邦準備理事会(FRB)は今日まで開いた米連邦公開市場委員会(FOMC)で0.50%の大幅利下げを決めたと発表。
FOMC直前の金利先物市場は0.50%の利下げを6割、0.25%の利下げを4割織り込んでいたが、エコノミストの多くは0.25%の利下げを予想していたため、結果公表後はドル売りで反応した。
3時30分頃には一時140.45円と日通し安値を更新した。
なお、同時に公表されたFOMCメンバーによる金利見通し(ドット・チャート)では、2024年末時点の中央値が4.375%、25年末時点が3.375%、26年末時点が2.875%となり、年内残り2回の会合で0.50%の追加利下げの可能性が示唆された。
一方、長期金利見通しは2.875%と前回の2.750%から上方修正された。
ただ、前日の安値140.32円が目先サポートとして働くと買い戻しが優勢に。
パウエルFRB議長がFOMC後の会見で「FRBが急いでいることを示唆する予測は何もない」「適切であれば、利下げを早めたり遅らせたり、一時停止したりする」と述べたほか、「0.50%の利下げは後手に回らないという決意のサイン、新たなペースと見なすべきではない」と話すと、ドルを買い戻す動きが活発化。
一時は3.63%台まで低下した米10年債利回りが3.71%台まで上昇したことも相場の支援材料となり142.71円と日通し高値を更新した。
ユーロドルは小幅ながら反発。
終値は1.1119ドルと前営業日NY終値(1.1114ドル)と比べて0.0005ドル程度のユーロ高水準だった。
FOMCの大幅利下げを受けて一時1.1189ドルと8月27日以来の高値を付けたものの、同日高値1.1191ドルや8月26日の高値1.1202ドルがレジスタンスとして働くと失速した。
パウエルFRB議長が今後の利下げ方針について「0.50%の利下げが新しいペースだとみるべきではない」と話し、市場が大幅利下げの継続を過度に期待しないようけん制したこともドル買い戻しを誘った。
5時前には一時1.1097ドルと日通し安値を付ける場面があった。
ユーロ円は3営業日ぶりに小反落。
終値は158.20円と前営業日NY終値(158.27円)と比べて7銭程度のユーロ安水準。
FOMC結果公表を前に様子見ムードが広がり、しばらくは157円台後半でのもみ合いが続いた。
結果が伝わると157.13円付近まで下落したものの、すぐに買い戻しが優勢となり158.37円と本日高値を更新した。
ドル円につれた動きとなった。
【本日の東京為替見通し】ドル円、日銀金融政策決定会合への警戒感から上値が重い展開か
本日の東京外国為替市場のドル円は、FOMCの利下げ幅0.50%を巡る「噂で仕掛けて、事実で手仕舞え」の後、本日からの日銀金融政策決定会合への警戒感から上値が重い展開が予想される。
ドル円は、FOMCでフェデラルファンド(FF)金利が0.50%引き下げられたことで、140.45円まで下落後、142.71円まで反発している。
142円台後半の相場水準は、12日にウォールストリート・ジャーナル紙のFEDウォッチャー、ニック・ティミラオス記者が0.50%の利下げの可能性を示唆した水準であり、16日には139.58円まで下落したものの、「噂で仕掛けて、事実で手仕舞え」の相場格言通りに「往って来い」になっている。
本日から明日にかけて開催される日銀金融政策決定会合では、来週27日の自民党総裁選挙の投開票を控えて、現状維持が見込まれている。
しかし、植田日銀総裁は、記者会見で前回同様のタカ派的な見解を表明すると思われるため、ドル円の上値は限定的だと思われる。
植田日銀総裁は7月31日の記者会見で、「0.25%への利上げでも実体経済への影響は出ない。
経済のショック、景気循環で日本経済に下振れが生じた場合、0.25%では対応しづらい。
2006年からの前回の利上げ局面のピークである0.50%が壁になるとは認識していない」と述べ、中立金利の下限である1%を意識した見通しを示した。
4月展望リポートで日銀は、中立金利導出の前提となる日本の自然利子率について「マイナス1.0~プラス0.5%」の範囲と示した。
もし、このレンジの下限「マイナス1%」に物価目標2.0%を足すと、日本の中立金利の下限は1%になる。
日銀が8月に公表した自然利子率の各種手法に基づいた推計の結果からは、名目の中立金利が少なくとも1%程度と試算されている。
FOMCのドット・プロット(金利予測分布図)が示唆する米国の中立金利水準は、2.875%程度になっている。
ドル円は、日米金利差縮小観測を背景に、161.95円を頭とするヘッド・アンド・ショルダーが完成し、上昇トレンドの起点である127.23円(2023年1月16日の安値)に向けたドル安・円高トレンドが想定される。
リスクシナリオとしては、米国の次期政権がハリス民主党陣営もトランプ共和党陣営も、拡張的な財政政策を標榜していること、すなわち、米国金利上昇の可能性があることになる。
10時30分に発表される8月豪雇用統計(予想:失業率4.2%/新規雇用者数2.50万人)では、失業率が高止まりしていた場合、来週の豪準備銀行(RBA)理事会への影響を見極めることになる。
【本日の重要指標】 ※時刻表示は日本時間
<国内>
○日銀金融政策決定会合(1日目)
<海外>
○07:45 ☆ 4-6月期ニュージーランド(NZ)国内総生産(GDP、予想:前期比▲0.4%/前年比▲0.5%)
○10:30 ◎ 8月豪雇用統計(予想:失業率4.2%/新規雇用者数2.50万人)
○16:15 ◎ クノット・オランダ中銀総裁、講演
○17:00 ◇ 7月ユーロ圏経常収支(季節調整済)
○17:00 ◎ ノルウェー中銀、政策金利発表(予想:4.50%で据え置き)
○18:00 ◎ シュナーベル欧州中央銀行(ECB)専務理事、講演
○18:00 ◎ パネッタ伊中銀総裁、講演
○20:00 ◎ トルコ中銀、政策金利発表(予想:50.00%で据え置き)
○20:00 ☆ 英中銀(BOE)、政策金利発表(予想:5.00%で据え置き)
○20:00 ☆ 英中銀金融政策委員会(MPC)議事要旨
○20:30 ◎ ナーゲル独連銀総裁、講演
○21:30 ◎ 4-6月期米経常収支(予想:2600億ドルの赤字)
○21:30 ◎ 9月米フィラデルフィア連銀製造業景気指数(予想:▲1.0)
○21:30 ◎ 前週分の米新規失業保険申請件数/失業保険継続受給者数(予想:23.0万件/185.4万人)
○23:00 ◎ 8月米景気先行指標総合指数(予想:前月比▲0.3%)
○23:00 ◎ 8月米中古住宅販売件数(予想:前月比▲1.3%/年率換算390万件)
○未定 ☆ 南アフリカ準備銀行(SARB)、政策金利発表(予想:8.00%に引き下げ)
※「予想」は特に記載のない限り市場予想平均を表す。▲はマイナス。
※重要度、高は☆、中は◎、低◇とする。
※指標などの発表予定・時刻は予告なく変更になる場合がありますので、ご了承ください。
【前日までの要人発言】
18日15:42 ビルロワドガロー仏中銀総裁
「金利は引き続き引き下げられるべき」
19日03:00 米連邦公開市場委員会(FOMC)声明
「最近の指標は経済活動が引き続き堅調なペースで拡大していることを示している」
「雇用の増加は鈍化し、失業率は上昇しているが依然として低い」
「インフレ率は委員会の目標である2%に向けてさらに進展しているが、依然としてやや高い水準にある」
「委員会は雇用最大化と長期的な2%のインフレ率の達成を目指す」
「委員会はインフレが持続的に2%に向かっているという確信を深めており、雇用とインフレの目標達成に対するリスクはほぼ均衡していると判断」
「経済の見通しは不確実で、委員会は2つの使命の両面に対するリスクを注視している」
「インフレの進展とリスクのバランスを考慮し、委員会はFF金利の目標レンジを0.50%引き下げ、4.75-5.00%にすることを決定」
「FF金利の目標レンジの追加調整を検討するにあたり、委員会は今後入手するデータ、変化する見通し、リスクのバランスを慎重に評価する」
「委員会は保有する米国債およびエージェンシーローン担保証券の削減を続ける」
「委員会は、雇用の最大化を支援し、インフレ率を2%の目標に戻すことに強くコミット」
「金融政策の適切な姿勢を評価するに当たり、委員会は今後もたらされる経済見通しに関する情報の意味を引き続き監視する」
「委員会の目標の達成を妨げる可能性があるリスクが生じた場合には、委員会は金融政策の姿勢を適切に調整する準備がある」
「委員会の評価は労働市場の状況、インフレ圧力、インフレ期待、金融と世界の動向を含む幅広い情報を考慮する」
「反対票を投じたのはボウマン氏で0.25%の利下げを支持」
19日03:33 パウエル米連邦準備理事会(FRB)議長
「米国経済は全体的に強い」
「労働市場はかつての過熱状態から冷え込んでいる」
「FOMCは引き続き二つの責務に焦点を合わせている」
「FRBは経済の強さを維持することにコミット」
「FRBは政策調整により労働力の強さを維持できる」
「利下げは労働市場の強さが維持でき、インフレが低下するという信頼を反映」
「失業率は上昇しているが、依然として低い」
「労働市場はコロナ前よりも逼迫していない」
「長期的なインフレ期待はしっかりと抑制されているようだ」
「インフレ率の上昇が大きな困難をもたらすことを痛感している」
「インフレの上振れリスクは減少、雇用の下振れリスクは増加」
「雇用とインフレのリスクはほぼ均衡している」
「FRBは事前に決められた道をたどっているわけではない」
「FRBは今後も会合ごとに決定を下していく」
「抑制策の緩和が遅すぎると、労働市場や雇用が過度に弱まる可能性がある」
「FRBが急いでいることを示唆する予測は何もない」
「適切であれば、利下げを早めたり遅らせたり、一時停止したりする」
「0.50%の利下げを新たなペースと見なすべきではない」
「利下げは後手に回らないという決意のサイン」
19日03:48 ウォーレン上院議員(米民主党)
「今回の利下げはパウエル氏が利下げを待ちすぎたことを示す新たな証拠だ」
「さらなる利下げが必要」
※時間は日本時間
〔日足一目均衡表分析〕
<ドル円=ピポット・サポート1を支持に押し目買いスタンス>
陰線引け。
転換線は基準線を下回り、遅行スパンは実線を下回り、雲の下で引けていることで、三役逆転の強い売りシグナルが点灯中。
しかし、孕み線で反落したものの、依然として転換線を上回って引けており反発の可能性が示唆されている。
本日は転換線141.69円を念頭に置き、ピポット・サポート1を支持に押し目買いスタンスで臨み、同線を下抜けた場合は手仕舞い。
レジスタンス2 144.49(日足一目均衡表・基準線)
レジスタンス1 143.04(9/12高値)
前日終値 142.29
サポート1 140.92(ピポット・サポート1)
サポート2 140.32(9/17安値)
<ユーロドル=基準線を支持に押し目買いスタンス>
上影小陽線引け。
転換線は基準線を上回り、遅行スパンは実線を上回り、雲の上で引けていることで、三役好転の強い買いシグナルが点灯中。
孕み線で反発して依然として転換線を上回って引けており続伸の可能性が示唆されている。
本日は転換線1.1096ドルを念頭に置き、基準線を支持に押し目買いスタンスで臨み、同線を下抜けた場合は手仕舞い。
レジスタンス1 1.1202(8/26高値)
前日終値 1.1119
サポート1 1.1076(日足一目均衡表・基準線)
<ユーロ円=転換線を支持に押し目買いスタンス>
小陰線引け。
転換線は基準線を下回り、遅行スパンは実線を下回り、雲の下で引けていることで、三役逆転の強い売りシグナルが点灯中。
しかし、孕み線で反落したものの転換線を上回って引けており反発の可能性が示唆されている。
本日は転換線を支持に押し目買いスタンスで臨み、同線を下抜けた場合は手仕舞い。
レジスタンス1 159.52(日足一目均衡表・基準線)
前日終値 158.20
サポート1 156.94(日足一目均衡表・転換線)
<豪ドル円=9/18安値を支持に押し目買いスタンス>
小陽線引け。
転換線は基準線を下回り、遅行スパンは実線を下回り、雲の下で引けていることで、三役逆転の強い売りシグナルが点灯中。
しかし、3手連続陽線で転換線を上回って引けており続伸の可能性が示唆されている。
本日は18日の安値を支持に押し目買いスタンスで臨み、同水準を下抜けた場合は手仕舞い。
レジスタンス1 96.73(日足一目均衡表・基準線)
前日終値 96.25
サポート1 95.33(9/18安値)
Provided by
DZH Finacial Research
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