テクニカル分析解説

エリオット波動解説(第七回)ジグザグとフラットという2つの修正波について解説

今回はジグザグとフラットという2つの修正波について解説します。

まずはジグザグです。

図55

ジグザグ

ジグザグは上の図のようにABCという3つの波動で構成されています。図の右側はABCをさらに細分化した模式図です。

ここでは、Aがインパルス、Bがジグザグ、Cがインパルスになっていますが、AとCはインパルスと同じ推進波であるダイアゴナルになることもあります。このようにジグザグのA波にインパルスが現れることから、インパルスが下向きになることもあるのです。

また、Bは修正波であればジグザグ以外のフラットやトライアングルや複合修正でも構いません。また、BがAの始点を超えることはありません。

次の図はジグザグがどこに出現するのかをインパルスを例に示したものです。

図56

インパルス

このようにインパルスの2波や4波にジグザグは出現します。

次のチャートは4波の位置にジグザグが出現した例です。

図57(225CFD・日足)

225CFD・日足

④波部分を拡大すると図55で描いたのと同じ構成になっているのがよく分かります。

図58

波部分を拡大

ここでは下落波動としてインパルスが出ていますよね。AからBにかけての動きを見ると、5波で下がって3波で上がっています。

また、波動がフラクタルになっていることを考えると、次のような場所にもジグザグが出現することになります。

図59

ジグザグが出現

ですが、ジグザグが出現する場所はこれだけではありません。

第一回に登場した図を思い出してください。

エリオット波動解説(第一回)用語説明と基本的な見方・使い方について解説

図3

第一回に登場した図

そうです、フラットです。ここにも2つのジグザグが描かれているのが分かります。フラットについては後ほど詳しく説明します。また、トライアングルや複合修正を構成する波動にもジグザグは出現します。これについては第八回で説明します。

あと、一か所ジグザグが出現する場所をすでに説明していますが、それがどこだか覚えていますか。そうです、ダイアゴナルの副次波です。

図37

ダイアゴナルの副次波

ジグザグは修正波ですからメイントレンドと逆方向を向いていると思われがちですが、ダイアゴナルの1波、3波、5波、フラットのA波などに出るときはメイントレンドと同じ方向を向いています。つまり、ジグザグは修正波でありながらトレンドを作る力も併せ持った波形と言えます。

ここから少し難しくなるので何度も読み返してください。

ジグザグには、一つだけのジグザグで完結するシングル型の他に、2つまたは3つのジグザグが繋がった複合型のジグザグが存在するのです。2つのジグザグが繋がったものをダブルジグザグ、3つのジグザグが繋がったものをトリプルジグザグと言いい、ダブルジグザグはとても頻繫に現れます。

図60

ダブルジグザグ、トリプルジグザグ

※DVD「エリオット波動原理の基本 vol.2」 パンローリング株式会社刊より抜粋

トリプルジグザグは滅多に現れませんが波動構成がダイアゴナルと同じなので見分けがつきにくいことがよくあります。

図60にあるように、1つ目のジグザグをW、2つ目のジグザグをY、3つ目のジグザグをZとナンバリングします。それぞれのジグザグを連結しているのがX波になります。W波も、Y波も、Z波もジグザグです。

次のチャートはダブルジグザグの事例です。2018年10月の高値から12月の安値まではダブルジグザグで下落していることがわかります。

図61(225CFD・4時間足)

225CFD・4時間足

ですから、ここを次のようにナンバリングするのは間違いです。

図62

ナンバリングするのは間違い

ジグザグのA波は必ず推進波ですから、5波動のインパルスかダイアゴナルでなければなりません。

ダブルジグザグやトリプルジグザグはジグザグの出現すべき場所にジグザグの代わりに出ます。性質もジグザグと同じです。ただ、ジグザグが2つまたは3つくっついているだけです。ですから、ダブルジグザグやトリプルジグザグはナンバリングこそちがうもののジグザグと見做して構いません。また、ダブルジグザグのアクション波が二つともダブルジグザグになることもあります。

次にフラットについて解説します。

フラットは第一回から登場してきたお馴染みの波形ですが、次の模式図のようにABCの3波動で構成されています。右側はABCをさらに細分化したものです。

図63

ABCをさらに細分化したもの

ここでは、AとBはジグザグになっていますが、Aはジグザグと同じ修正波のフラットや複合修正になることもあります。また、Bはそれに加えトライアングルになることもあります。Cは必ず推進波です。つまり、Cはインパルスかダイアゴナルになります。

フラットには次の4つのパターンがあります。

図64

フラットには次の4つのパターン

このうち最もよく出るのが拡大型フラット(エクスパンデットフラット)です。拡大型フラットでは、B波がA波の始点を超えて修正するのが特徴です。また、フラットが成立するためには、どのパターンのフラットであってもB波が少なくともA波を90%以上修正する必要があります。

次の図はフラットがどこに出現するのかをインパルスを例に示したものです。

図65

フラットがどこに出現するのか

波動はフラクタルになっていますから、次のような場所にも出ることになります。

図66

波動はフラクタル

次のチャートではインパルスの(iii)波の副次波iv波に拡大型フラットが出現しています。

図67(ドル円・15分足)

ドル円・15分足

iv波の部分を5分足で拡大すると次のようになっているのが分かります。

図68

iv波の部分を5分足で拡大

もう少し大きい波動の事例も出しておきますね。

図69(ドル円・30分足)

ドル円・30分足

※DVD「エリオット波動原理の基本 vol.3」 パンローリング株式会社刊より抜粋

(B)全体が拡大型フラットですが、その副次波B自体も拡大型フラットになっています。

ジグザグもフラットも同じ修正波ですが、ジグザグが大きく値幅を修正することが多いのに対してフラットは横這いに近い動きになって日柄調整の役割をすることが多いです。インパルスにおいては、2波はジグザグに4波はフラットになることがよくあります。

第七回はここまでです。

次の第八回では、フラットと同じ横這いの修正波である、トライアングルと複合修正について解説します。

※記事中のチャートにある波動カウントは一例に過ぎません。エリオット波動原理では一つのチャートに対して必ず複数のカウント案が存在しどのカウントが正しいかは事後的にしか分からず波動の進行によってカウント案自体も更新されていきます。

一般社団法人エリオット波動研究所代表理事 有川和幸氏監修


この記事を監修してくださった有川和幸氏と小泉秀希氏の共著「あなたのトレード判断能力を大幅に鍛えるエリオット波動研究 基礎からトレード戦略まで網羅したエリオット波動の教科書(パンローリング社) 」には更に詳しくエリオット波動について説明されています。

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