テクニカル分析解説

フィボナッチ・エクスパンションでスイングトレードを組み立てるアイデア


1.トレンドの伸びしろをエクスパンションで予測


フィボナッチ・エクスパンションは、二つの波動の値幅を基準に、それに続く三波動目がどこまで進んでいくかを予測するのに役立ちます。単体での分析でも十分に活躍しますが、この記事では40期間の移動平均線(40MA)と平均足を表示し、さらにフィボナッチ・エクスパンションによる分析の精度を引き上げる方法について紹介します。

移動平均線と平均足を組み合わせて使うのは、トレンド判断の精度を高めることが主な目的です。移動平均線が右肩上がりで平均足がそれよりも上に位置していれば上昇トレンド、移動平均線が右肩下がりで平均足がそれよりも下に位置していれば下降トレンドと見なせます。また平均足は、同じ色が連続すれば方向性の明確なトレンド、色が転換すればトレンドの小休止や転換が示唆されます。

下画像はドル円の日足チャートです。下降トレンドがしばらく続いた後、40MAより下を推移する平均足がAからの上昇で40MAを明確に抜け、そして平均足の陽連が作られたところです。これを波動A-Bと定義します。その後、Bで平均足が陰転して波動B-Cの調整(下降)が入りました。そして、Cから再び平均足が陽転したところで、このA-B-Cという波動に対してフィボナッチ・エクスパンションを当ててみます。

トレンドの伸びしろをエクスパンションで予測

フィボナッチ・エクスパンションを引くことにより示された各ラインの価格を見ると、61.8%ラインは105.916円、100.0%ラインは106.848円、161.8%ラインは108.355円です。この三つのライン(価格水準)が、Cから向かう先として考えられる目標です。仮にC点過ぎに買いポジションを持った場合は、それらの水準を利益確定の目安とするトレードプランが立てられるでしょう。


2.実際の値動き


実際の値動きはどうなったかというと、Cから上昇してすぐに61.8%ラインを一度達成しました。その後に陰転し再び調整の下落に入り、それが終わるとまた上昇に転じて、100.0%ラインを難なく突破。そのまま161.8%ラインを目指すと、それもすぐに達成し、その後横ばいの調整が入りました。そして再び上昇トレンドに回帰し、261.8%ラインの水準にまで続伸していきました。

実際の値動き

以上のように、フィボナッチ・エクスパンションによって推測できるポイントが利益確定の目安となります。これを利用することで、大きな値幅を獲得するためのシナリオを作ることができます。


3.調整波がどこまで押すか?


261.8%ラインに達した後には調整が入り、大きな下げ幅の下落になりました。ではこの調整はどこまで進むのか、それを予測するためにフィボナッチ・リトレースメントを使います。大きな上昇波動A-Xに対してフィボナッチ・リトレースメントを引いてみると、Xからどこまで押し目を作るか目安をつけることができます。

この事例では、38.2%ライン、50.0%ライン、61.8%ラインあたりが押しの目標水準になるため、それらのポイントで押し目買いを狙う戦略が有効となります。

調整波がどこまで押すか?

実際の価格推移を見ると、Xからの大きな下落はフィボナッチ・リトレースメントの38.2%ライン付近のYで止まりました。つまり、Yは絶好の押し目買いポイントになったわけです。

調整波がどこまで押すか?-2

押し目をつけたところでエクスパンションを当てる


仮にY点を過ぎたところで押し目買いをした場合の利益確定の目安は、先程と同様に、フィボナッチ・エクスパンションを引いて見ていくことになります。起点AとX、そこから調整したYの3点を結んだフィボナッチ・エクスパンションを引いてみます。下画像は、日足で引いたものを分かりやすくするために週足にしたものです。

押し目をつけたところでエクスパンションを当てる

チャートを見ての通り、Y点の後には横ばいで推移する期間が長く続いたものの、61.8%ラインの112.196円を達成し、そして100.0%ラインの115.113円をすぐに達成した形となっています。


本記事の監修者:平野朋之氏


ネット証券で、FX業務全般、自己売買部門のディーラー、投資情報室の情報発信、セミナー講師などの業務に携わる。現在は独立して株式会社トレードタイムを設立。マーケット情報の発信や投資教育を行うかたわら、オリジナル手法での自己売買も精力的に行う。

フィボナッチ・リトレースメントが示す各ラインで反発せずに押し目が深くなり、あるいは反発しても高値も更新できないようならば、相場の転機であるという予測を立てることができます。

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長く為替トレーディングの第一線で活躍されてきた山中康司(やまなかやすじ)氏監修のもと、フィボナッチの基本的な知識や使い方、トレーディングアイデアなどをご紹介します。またOANDAではフィボナッチに関するオリジナルインジケーターを多数提供しています。インジケーターはOANDAの口座をお持ちのお客様だけがお使いいただけます。


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