テクニカル分析解説

フィボナッチ・リトレースメントを利益確定の目安として使う応用的な方法


1.利益確定の目安として使う応用的な方法


フィボナッチ・リトレースメントは、押し目買いや戻り売りをする目安として利用するのが一般的です。しかし、その使い方に限定されるわけではなく、応用的な使い方として利益確定の目標値を決める使い方も可能です。ここでは短期売買で利益確定目標を決めるトレードアイデアについて紹介します。

その方法を説明する前に、まずはMT4/MT5のフィボナッチ・リトレースメントをカスタマイズしておく必要があります。フィボナッチ比率(レベル)の1よりも大きな数値を利益確定の目標として利用するので、それらを追加します。

手順としては、フィボナッチ・リトレースメントを一度引いた状態で右クリックからプロパティを呼び出し「レベル」タブを選び、そのレベルの欄に「1.618」「2.618」「4.236」などのフィボナッチ比率を追加すれば完了です。

プロパティ

2.トレード例1


エントリーのアイデアに関しては何でも良いですが、ここでは参考例として40期間の移動平均線(40MA)と、平均足を用いる考え方を使います。

                       
エントリー40MAが上昇中であり、かつ40MAの上で平均足が陽転(陰線から陽線に転換)したら買い
決済エントリー以前の主立った高値・安値にフィボナッチ・リトレースメントを引き、利益確定の目標値を設定。損切りはエントリーした足の安値

※ロングの場合(ショートの場合は反転して考えます)

まずは5分足でのトレード例を見ていきましょう。下画像はドル円の5分足チャートです。40MAが右肩上がりで、かつ平均足が陽転した局面でエントリーしました。

エントリータイミング

エントリー後に、フィボナッチ・リトレースメントの出番です。この順番が、押し目を探る際の使い方(特定の波動に対してリトレースメント引き、エントリータイミングを見極める)とは異なる点です。その手順としては、エントリーしたレートよりも高い直近の重要な高値から、エントリーしたレートよりも安い直近の安値に引きます(売りの場合はこの逆)。

利益確定の目安にするのは、エントリーしたポイントよりも上にあるラインです。この例では61.8%ライン、100%ライン、161.8%ライン、261.8%ラインの四つを候補として考えることができます。この中から目標を定めて利益確定の指値注文を入れたり、裁量で決済したりします。なお、このときの相場は、エントリー後に261.8%ライン付近まで上昇する展開となりました。

ちなみにこれらの水準は、利益確定の目標設定に用いられるフィボナッチ・エクスパンションが示唆するところ(61.8%、100.0%、161.8%)とほぼ同じです。

15分足でのトレード例

3.トレード例2


続いて、15分足でのトレード例も見ていきましょう。ロングではなくショートの局面を解説します。下画像はユーロ円の15分足チャートです。40MAが右肩下がりで、かつ平均足が陰転した局面でエントリーしました。

フィボナッチ・リトレースメントのトレード例

この場合は、直近安値から直近高値に向かってフィボナッチ・リトレースメントを引きます。するとこの例では、100%ライン、161.8%ライン、261.8%ライン、423.6%ラインの四つが目標値の候補となることが分かります。ただ、100%ラインはエントリーポイントから近すぎるので、残りの三つのラインを決済目標にするのが現実的です。

実際には、161.8%ライン付近で一時的に停滞した後、再び大きく下降して最終的に261.8%ライン付近を一気に下回り、そして423.6%ラインの手前まで下がっていく展開となりました。 必ずしもこれらのラインまで到達するわけではないですが、おおよその目安としてトレードに活かすことが可能です。

ちなみに、一つ前の高値を起点に引いたフィボナッチ・エクスパンションが示唆する61.8%、100.0%、161.8%、261.8%は下画像の通りで、こちらもリトレースメントによる目標ラインと近い水準が示されています。

フィボナッチ・リトレースメントのトレード例3

本記事の監修者:平野朋之氏


ネット証券で、FX業務全般、自己売買部門のディーラー、投資情報室の情報発信、セミナー講師などの業務に携わる。現在は独立して株式会社トレードタイムを設立。マーケット情報の発信や投資教育を行うかたわら、オリジナル手法での自己売買も精力的に行う。

フィボナッチ・リトレースメントが示す各ラインで反発せずに押し目が深くなり、あるいは反発しても高値も更新できないようならば、相場の転機であるという予測を立てることができます。

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長く為替トレーディングの第一線で活躍されてきた山中康司(やまなかやすじ)氏監修のもと、フィボナッチの基本的な知識や使い方、トレーディングアイデアなどをご紹介します。またOANDAではフィボナッチに関するオリジナルインジケーターを多数提供しています。インジケーターはOANDAの口座をお持ちのお客様だけがお使いいただけます。


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