FX初心者の方

CPI(米消費者物価指数)の算出方法や構成比率などを詳しく解説


前回は、米消費者物価指数が

  • ・このところ、米雇用統計を上回るほど注目を集めている経済指標であること
  • ・事前の市場予想よりも高ければ、米金融当局が引き締め政策を強化する可能性が高まるので、ドル買い、反対に市場予想よりも低ければ、ドル売りになりやすいこと

を解説しました。
前回記事:CPI(米消費者物価指数)が注目を集める理由やマーケットに与える影響を解説

今回の記事では消費者物価指数の中身について見ていきます。
消費者物価指数はどのように算出され、その構成要素はどうなっているのか、といった内容を理解すると、今後の米消費者物価指数がどのように推移するのか見通しがある程度立つようになり、トレードのサポートに役立ちます。

米消費者物価指数の定義(CPI=Consumer Price Index)

一般の消費者が購入する商品とサービスの価格を反映する指数ですが、米国の場合、人口の約90%を対象とする全都市消費者物価指数が(CPI for All Urban Consumers)が使用されています。
米労働省労働統計局(US Bureau of Labor Statistics)が毎月発表しています。

米労働省労働統計局(US Bureau of Labor Statistics)
https://www.bls.gov/cpi/
このページでは、あらゆる情報を見られます。

米労働省労働統計局(US Bureau of Labor Statistics)
画像:米労働省労働統計局

米CPIの構成比率

               
全項目100%
項目(食品・エネルギー) 20.597%
食品 13.521%
家庭での食事 8.727%
外食 4.795%
エネルギー 7.076%
エネルギー商品 3.556%
燃料油 0.147%
ガソリン 3.246%
エネルギーサービス 3.520%
電気 2.579%
都市ガス 0.941%
全ての項目(食品とエネルギー除く) 79.403%
食料及びエネルギー関連商品を除く商品 21.325%
アパレル 2.525%
新車 4.299%
中古車・トラック 2.605%
医療用具 1.459%
アルコール飲料 0.843%
タバコ及び喫煙関連製品 0.493%
サービス(エネルギーサービスを除く) 58.078%
シェルター(住居) 34.393%
主たる住居の家賃 7.521%
持ち家の帰属家賃 25.385%
医療サービス 6.591%
医師によるサービス 1.838%
病院サービス 1.934%
輸送サービス 5.752%
自動車修理・整備 1.110%
自動車保険 2.528%
航空運賃 0.574%

(主な項目のみ記載で、中項目と小項目の数値には誤差が発生します。
小項目のすべての数値は https://www.bls.gov/news.release/pdf/cpi.pdf を参照ください)

米CPIの構成比率
画像:米CPIの構成比率

米消費者物価指数の構成比率を比べてみると、圧倒的に割合が高いのが住居関連です。
特に、持ち家の帰属家賃が高い傾向にあります。
帰属家賃とは、自己所有の住宅に家賃を払っていると考えて計算されるみなし家賃であり、実際の金銭の受け渡しは行われませんが、これがCPIの最も大きな構成比となっています。

すなわち、不動産価格が上昇すると米CPIは大きく影響を受けます。

また、不動産家賃の計測は、新築物件の価格(家賃)のみならず、既存の中古物件の価格(家賃)も同時に計測されます。
既存の物件の家賃は一気に上昇せず、契約更新等を迎えたときに上がるので、CPIのデータに反映されるまでに、6ヶ月から1年程度かかると言われています。

CPI 主要項目の推移
※画像:CPI 主要項目の推移

各構成比の最近の推移を見ると、どの要素もゆっくり低下しつつある中、ゆっくりと依然として上昇基調にあるのは住居費です。
極論すると、住居費さえ落ち着けば、米国のCPI低下が見えてきます。

例えば、代表的な住宅価格指数であるケースシラー住宅価格指数を見ると、この数ヶ月は下落基調です。

ケースシラー住宅価格指数
※画像:ケースシラー住宅価格指数

このような結果から、エネルギー価格等が極端に上昇しない限りは、米国のCPIはいずれ低下し落ち着くのではないかと想定することも可能です。

記事執筆者:志摩力男(しまりきお)

慶應義塾大学経済学部卒。
ゴールドマン・サックス、ドイツ証券などの大手金融機関でプロップトレーダー(自己勘定トレーダー)を歴任。
その後、香港でマクロヘッジファンドマネージャーを務める。
独立後も世界各地のヘッジファンドや有力トレーダーと交流し、現在も現役トレーダーとして活躍中。


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