用語解説

ベージュブックとは|調査内容・公表日・影響などを詳しく解説


米地区連銀経済報告(ベージュブック)とは、現在の米国の経済状況を評価した報告書です。

およそ8週間ごとに公表され、発表日は連邦公開市場委員会(FOMC)の2週間前です。

FOMCが政策金利を決定するにあたって、ベージュブックを参考資料の1つにしているとされ、将来の政策金利を予測する上で重要な情報です。

本記事では、ベージュブックの目的やよくある質問などを解説します。

ベージュブックとは

ベージュブックの目的や公表日について解説します。

  • ・目的
  • ・公表日

目的

米地区連銀経済報告(ベージュブック)は、米国の経済状況を定性的に分析した報告書です。

前回のベージュブック公開時から今回の公開時までの経済状況の変化について、詳細を記載しています。

12地区の連邦準備銀行がそれぞれ報告を作成し、取りまとめた上で1冊の報告書として発行します。

  • 連邦準備銀行:
  • 米国の銀行システム「連邦準備制度(FRS)」内の機関で、全米で12行存在します。全米50州を12の地区に分け、それぞれの連邦準備銀行が金融機関の監督や規制を実行します。米連邦準備制度理事会 (FRB)や連邦公開市場委員会(FOMC)もFRS内の機関です。

ベージュブックの目的は、FRS内のエコノミストなどの分析を補完することです。

各種経済指標などでは把握しづらい定性的な傾向について、金融政策決定に資する情報を提供します。

FOMCが金融政策を決定するにあたり、個人消費支出(PCEデフレーター)などの各種経済指標に加え、ベージュブックのような定性的な情報も参照しているとされます。

ベージュブックが重要である点ついて、2024年7月31日のパウエルFRB議長の記者会見では「ベージュブックは優れた情報源」との旨が言及されています。

なお、報告書の表紙はベージュ色を基調としており、ベージュブックという愛称がつけられています。

公表日

ベージュブックはおよそ8週間ごとに公表され、発表日は連邦公開市場委員会(FOMC)の2週間前の水曜日です。

2025年の発表日程は以下の通りです。

発表日時(日本時間)
1月16日午前4時
3月6日午前4時
4月24日午前3時
6月5日午前3時
7月17日午前3時
9月4日午前3時
10月16日午前3時
11月27日午前4時

ベージュブックの主な調査内容

ベージュブックは、一般的な経済指標では把握しづらい経済状況の変化について調査しています。

データは定性的な情報が中心で、地区連銀内の各種報告に加えて、企業家・エコノミスト・市場関係者へのインタビューなどが含まれます。

ベージュブックで各地区連銀が報告する内容は、以下の通りです。

  • ・経済活動全般
  • ・労働市場
  • ・価格動向
  • ・小売動向
  • ・不動産 など

ベージュブック内の記述の特徴に関して、定量的な調査でないため大まかな方向性を示すにとどまる点が挙げられます。

  • 記述例(2025年5月分)
  • 12地区連銀の報告によると、前回のベージュブック公開以降の米国経済は緩やかに減速したことが示唆される。

なお、ベージュブックの内容は各地区連銀が管轄地区で収集した情報をまとめたもので、連銀自身の見解や予測を表すものではありません。

ベージュブックがマーケットへ与える影響

ベージュブックがマーケットへ与える影響

出典:TradingView

ベージュブック発表直後の米ドル/円は、特に大きな値動きとなるケースは多くありません。

上の米ドル/円の30分足チャートは、2025年6月5日午前3時(日本時間)を中心とした動きを示しています。

この時には寄引同時線に近いローソク足が形成され、目立った値動きはありませんでした。

ベージュブック発表時を狙う指標トレードは難しいと考えられます。

ベージュブックに関するQ&A

ベージュブックに関するよくある質問は、主に以下の通りです。

  • ・ベージュブックはどこで確認できますか?
  • ・ベージュブックはいつ発表されますか?
  • ・なぜベージュブックと呼ばれているのですか?

ベージュブックはどこで確認できますか?

ベージュブックはFRBのホームページで閲覧できます。

アーカイブのページでは1996年以降のベージュブックを取得可能です。

ベージュブックはいつ発表されますか?

ベージュブックは年8回公開され、公開日はFOMCの2週間前の水曜日です。

発表時刻は日本時間の午前4時(米国夏時間は午前3時)です。

具体的な発表日時については、経済指標 予測カレンダーで確認できます。

なぜベージュブックと呼ばれているのですか?

ベージュブック_20250720

出典:FRB

米地区連銀経済報告(ベージュブック)の表紙は、伝統的にベージュを基調としたデザインが採用されています。

これを受けて、ベージュブックと呼ばれています。

【まとめ】ベージュブックとは|調査内容・公表日・影響などを詳しく解説

米地区連銀経済報告(ベージュブック)は現在の米国の経済状況を評価した報告書です。

各種経済指標などでは把握しづらい定性的な傾向について、金融政策決定に資する情報を提供します。

FOMCの動向を探る上で重要な情報とされる一方、指標発表時の値動きを狙うトレードには不向きだといえます。

OANDA証券では、ベージュブックをはじめ投資に関わる基礎的な用語を、初心者の方向けにわかりやすく解説するコンテンツを提供しています。

OANDA証券での取引に興味をお持ちいただけた方は、以下のボタンから口座開設をご検討ください。

口座開設ボタン


本ホームページに掲載されている事項は、投資判断の参考となる情報の提供を目的としたものであり、投資の勧誘を目的としたものではありません。投資方針、投資タイミング等は、ご自身の責任において判断してください。本サービスの情報に基づいて行った取引のいかなる損失についても、当社は一切の責を負いかねますのでご了承ください。また、当社は、当該情報の正確性および完全性を保証または約束するものでなく、今後、予告なしに内容を変更または廃止する場合があります。なお、当該情報の欠落・誤謬等につきましてもその責を負いかねますのでご了承ください。

この記事をシェアする

ホーム » 用語解説登録 » ベージュブック