損益通算とは|仕組みやメリット・デメリットをわかりやすく解説
損益通算とは、同じ年に発生した利益と損失を相殺することで、課税対象を減らせる仕組みです。
利益や損失を計算し、確定申告の手続きが必要ですが、節税という大きなメリットがあります。
本記事では、損益通算の仕組みやメリット・デメリットなどを解説します。
目次
- 1.損益通算とは
- 2.損益通算の対象所得
- 3.損益通算のメリット・デメリット
- 4.損益通算の主な手順
- 5.損益通算に関するQ&A
- 6.【まとめ】損益通算とは|仕組みやメリット・デメリットをわかりやすく解説
損益通算とは
まずは、損益通算の仕組みと具体例について解説します。
損益通算には「投資分野に限定された通算」と「所得税全体に関わる通算」の2種類がありますが、ここでは前者を中心に解説します。
- ・損益通算の仕組み
- ・損益通算の具体例
損益通算の仕組み
損益通算とは、同じ年に発生した利益と損失を相殺することで、課税対象を減らせる仕組みです。
投資分野では、例えば株式で出た損失と投資信託の利益など、同じ課税区分(申告分離課税)のうち所得区分も一致する金融商品同士に限って損益を通算できます。
株式とFXはともに約20%の申告分離課税の税率が適用されますが、所得区分が異なるため、損益通算はできません。
また、投資以外でも、例えば給与を得ている人が個人の事業で赤字になった場合、給与所得の黒字と事業所得の赤字を損益通算できるなどがあります。
損益通算の具体例
株式投資が含まれる所得区分、FXが含まれる所得区分で損益通算する場合を解説します。
・株式投資の場合
「株式等に係る譲渡所得」にあたり、株式と損益通算が可能なのは以下の金融商品です。
例えば、個別株で10万円の損失、投資信託で20万円の利益が出たとします。
個別株と投資信託は損益通算できるため、20万円から10万円を引いた10万円の利益で確定申告できます。
・FXの場合
「先物取引に係る雑所得等」にあたり、FXと損益通算できるのは以下の金融商品です。
例えば、A社でのFX取引で50万円の利益、B社でのCFD取引で20万円の損失を被ったとします。
その場合、50万円から20万円を引いた30万円の利益で確定申告できます。
FXの損益は、同じ区分のCFD・先物取引等と損益通算が可能ですが、株式投資や投資信託との損益通算は不可です。
損益通算の対象所得
ここでは投資分野に限らず、所得税全体に関わる分野で損益通算ができる所得とできない所得について解説します。
- ・損益通算できる所得
- ・損益通算できない所得
損益通算できる所得
損益通算できる所得は、以下の4種類です。
| 不動産所得 | 家賃収入、船舶や航空機の貸付による所得 |
| 事業所得 | 農業、漁業、製造業、卸売業、小売業、サービス業、その他の事業による所得 |
| 譲渡所得 | 土地や建物の譲渡による所得(分離課税)、株式などの金融商品の譲渡による所得(申告分離課税)に分かれます。これらは課税方式や資産区分が異なるため互いに損益通算は不可。ただし、同じ課税区分内であれば損益通算が可能 |
| 山林所得 | 山林の伐採や譲渡などによる所得 |
これらの所得の損失のうち、税制上損益通算が認められているものについては、他の所得と相殺可能です。
ただし、競走馬などの生活に通常必要でない資産の赤字は損益通算の対象外となる場合もあります。
損益通算できない所得
不動産所得、事業所得、譲渡所得、山林所得以外の所得は、他の所得との損益通算が不可能です。
主に、以下の所得です。
| 利子所得 | 銀行預金や社債の利子による所得 |
| 配当所得 | 株主や出資者が法人から受け取る配当金や、剰余金の分配などによる所得 |
| 給与所得 | 会社員やアルバイトとして働いて得た、給料や賃金、賞与などによる所得 |
| 退職所得 | 退職金など退職によって勤務先から得られる所得 |
| 一時所得 | 競馬や競輪の払戻金、生命保険の一時金など、営利を目的とする継続的行為以外の所得 |
| 雑所得 | 利子所得、配当所得、不動産所得、事業所得、給与所得、退職所得、山林所得、譲渡所得、一時所得のどれにも含まれない所得 |
損益通算のメリット・デメリット
投資分野における損益通算には、どのようなメリットとデメリットがあるのかを解説します。
- ・損益通算のメリット
- ・損益通算のデメリット
損益通算のメリット
損益通算の最大のメリットは、仮に損失を出した金融商品があれば、利益を得た金融商品と通算し、課税額を減らせることです。
また、利益よりも損失が大きい場合は翌年以降に繰り越しも可能で、今年の損失を翌年以降の利益と相殺できます。
ただし、繰り越しは翌年以降最長で3年間です。
損益通算のデメリット
前述の通り、株式投資は「株式等に係る譲渡所得(申告分離課税)」、FXは「先物取引に係る雑所得等(申告分離課税)」に分類され、それぞれは損益通算できません。
なお、NISA口座内は非課税であるため、利益にも損失にも税金が発生せず、他の課税口座との損益通算はできません。
また、複数の証券会社で取引している場合、特定口座(源泉徴収あり)ではその証券会社内では自動的に損益通算されますが、他の証券会社の口座とは損益通算されないため、確定申告を行う必要があります。
さらに、損失の繰り越し期間中は確定申告を続ける必要があり、申告を忘れると残りの損失の繰り越しは無効になります。
損益通算の主な手順
損益通算の手順について解説します。
- ・①対象となる株式の利益・損失を確認する
- ・②損失と利益を合算して通算額を計算する
- ・③損益通算を反映した確定申告書を作成・提出する
①対象となる株式の利益・損失を確認する
まずは損益通算したい金融商品の損益を確認します。
株式やFX、CFDなどの損益は各証券会社が発行する年間取引報告書に記載されており、通常1月中に郵送もしくは電子交付されます。
なお、株式投資は特定口座(源泉徴収あり)を選んでいる場合、その証券会社内の損益通算や納税は自動で行われます(複数の証券会社口座を通算したい場合は確定申告が必要)。
一方で、FXやCFD、先物取引、暗号資産(仮想通貨)などは特定口座がないため、確定申告が必要です。
②損失と利益を合算して通算額を計算する
次に、年間取引報告書を基に利益と損失を計算します。
特定口座(源泉徴収あり)で取引していても、複数の証券会社の取引結果を損益通算したい場合は自身での計算が必要です。
金融商品によって所得区分が異なるため、間違って計算しないように注意が必要です。
③損益通算を反映した確定申告書を作成・提出する
計算が終わったら確定申告書等を作成し、提出します。
申告書は紙以外に、e-Tax(電子申告)でも提出可能です。
損失の繰越控除を行う場合、繰越控除を受ける期間中は確定申告が必要です。
損益通算に関するQ&A
損益通算に関するよくある質問は、主に以下の通りです。
- ・FXの損失は株の利益と損益通算できますか?
- ・損益通算でマイナスになったらどうなりますか?
- ・特定口座でも損益通算は必要ですか?
FXの損失は株の利益と損益通算できますか?
それぞれ所得区分が異なるため、FXと株式投資の損益通算はできません。
FXは先物取引に係る雑所得等(申告分離課税)、株式投資は株式等に係る譲渡所得(申告分離課税)に分類されます。
損益通算でマイナスになったらどうなりますか?
損益通算の結果、マイナスになれば税金は発生しません。
また、損失を翌年以降に繰り越したい場合は確定申告が必要です。
繰越控除は最長で3年間可能で、控除期間内は確定申告をしないと無効になります。
特定口座でも損益通算は必要ですか?
特定口座(源泉徴収あり)でも複数の証券会社の損益を通算する場合や、損失を翌年以降に繰り越したい場合は確定申告が必要です。
特定口座(源泉徴収なし)は証券会社が年間取引報告書を作成してくれますが、納税額の計算や確定申告は自己対応となります。
【まとめ】損益通算とは|仕組みやメリット・デメリットをわかりやすく解説
損益通算とは、同じ年に発生した利益と損失を相殺することで、課税対象を減らせる仕組みです。
投資分野でも損益通算が可能ですが、税制上同じ所得区分の取引に限られます。
株式投資は「株式等に係る譲渡所得」、FXは「先物取引に係る雑所得等」に分類され、両者間の損益通算はできません。
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