ホーム » マーケットニュース » 日銀は0.25%利上げで1.25%へ、賛成7・反対2 「政策の局面は変化した」植田総裁会見の要点と今後のドル円・日経225の見通し

日銀は0.25%利上げで1.25%へ、賛成7・反対2 「政策の局面は変化した」植田総裁会見の要点と今後のドル円・日経225の見通し

マーケットレポート

Google_ニュース提供元_CTA

日銀は9月18日の金融政策決定会合で、政策金利を0.25%引き上げて1.25%とすることを決めました。利上げは6月以来3ヶ月ぶりで、票は賛成7・反対2でした。15時30分からの記者会見で植田総裁は、物価が2%目標を超えて上振れするリスクが顕在化し「政策の局面は変化した」と述べ、今後の利上げについて特定の間隔は念頭にないとしつつ、連続利上げや0.5%の大幅利上げも「物価情勢次第で排除できない」と語りました。本記事では、声明と会見の要点を整理したうえで、今朝の全国CPIと前日のFOMCの結果もあわせて消化した今後のドル円(USD/JPY)日経225(JP225)の見通しを解説します。

結果ハイライト

政策金利
1.25%
0.25%利上げ/6月以来3ヶ月ぶり
票の割れ
7対2
浅田・佐藤委員が据え置きを主張
全国CPI(8月・コア)
+1.7%
同日朝発表/予想+1.8%を下回る
次回会合
10月
展望レポート公表回

発表直後の市場の反応

  • ドル円(USD/JPY):発表前156.16円近辺 → 公表の瞬間に156.85円近辺へ約70銭急伸(円売り)。いったん156.58円近辺まで押した後、再び156.8円台へ(発表15分後:156.85円近辺)
  • 日経225(JP225):発表前64,660円近辺 → 公表直後に64,860円近辺へ上昇、押し目を挟んで65,190円近辺まで約500円の急伸(発表15分後:65,180円近辺)

発表直後のドル円(USD/JPY)1分足の値動き

発表直後のドル円(USD/JPY)1分足の値動き
11時54分の公表で156.16円近辺から156.85円近辺へ約70銭急伸。156.58円近辺まで押した後、再び156.8円台へ(9月18日、1分足)

発表直後の日経225(JP225)1分足の値動き

発表直後の日経225(JP225)1分足の値動き
64,660円近辺から公表直後に64,860円近辺へ、押し目を挟んで65,190円近辺まで約500円上昇(9月18日、1分足)

利上げ自体は織り込み済みだったため、初動は「材料出尽くし」の円売り・株高になりました。加えて、反対2票がいずれも「据え置き」を主張したハト派側からのもので、声明も次の利上げ時期を示す文言を含まなかったことから、市場が警戒していた「利上げペースの加速」の明示は見送られたと受け止められ、円売りに勢いがつきました。

9月日銀会合の結果の詳細

政策金利:3ヶ月ぶりの利上げで「半年に1回」のペースから加速

日銀・政策金利の歩み:9月会合で1.25%へ 0.000.250.500.751.001.251.500.25%24/70.50%25/10.75%25/121.00%26/6今回 1.25%へ利上げ(6月以来3ヶ月ぶり)202420252026 出所: 日本銀行 ※無担保コールレート(オーバーナイト物)誘導目標。%

日銀は2024年3月のマイナス金利解除以降、2024年7月、2025年1月、2025年12月、2026年6月と、おおむね半年に1回のペースで利上げを進めてきました。今回は6月からわずか3ヶ月での追加利上げで、利上げの間隔が明確に縮まりました。政策金利の1.25%は1995年以来約31年ぶりの高さで、日銀が3月に示した中立金利の推計レンジ(名目1.1〜2.5%)の下限を初めて上回ります。新しい金利は連休明けの9月24日から適用され、補完当座預金制度の付利金利は1.25%、基準貸付利率は1.5%へそれぞれ引き上げられます。

声明文の変更点と票の割れ

声明は利上げ時の長い形式(「金融市場調節方針の変更について」)で、物価認識を「消費者物価の基調的な上昇率は2%に近づいている」と一段と前進させたうえで、企業間取引の価格上昇圧力が「消費者段階にも波及し始めている」と明記しました。今後の運営については「引き続き政策金利を引き上げ、金融緩和の度合いを調整していく」という従来の方針を維持しつつ、調整のタイミングやペースの判断材料に「AI関連需要の拡大、為替相場の変動」を加えています。最も注目されるのは新たに加わった一文で、「基調的な物価上昇率が2%を超えて上振れていくリスクが顕在化し、その後の経済に悪影響を及ぼすことがないよう、2%程度の水準で安定させていく観点が重要」としています。物価の上振れを未然に抑えるための利上げという位置づけで、次の利上げの時期こそ示していないものの、ペースを緩める意思がないことを示す文言です。

票は賛成7・反対2でした。反対したのは浅田委員(足もとの消費者物価が2%を下回り、経済も必ずしも強くないため据え置きが望ましい)と佐藤委員(経済・物価が大きく加速しているわけではなく、このタイミングでの利上げは適切でない)で、いずれも据え置きを求めるハト派側からの反対です。前回7月に1.25%への利上げ議案を提出して否決された高田委員は、今回は賛成に回りました。一方、別紙の物価見通しでは、高田委員と田村委員が「基調的な物価はすでに2%目標に達している」として反対しており、政策委員会は「利上げが早すぎる」と「物価はもう目標にある」の両側に割れています。会見で植田総裁がこの割れをどう説明するかが、次の利上げペースを読むうえでの手がかりになります。

声明文(「当面の金融政策運営について」)の全文

今回の声明の全文は以下の通りです。太字は前回の利上げ時(6月16日)の声明からの主な変更箇所です(前回7月は据え置きの短い声明のため、同じ形式の6月声明と比較しています)。別紙「経済・物価の現状と見通し」は要点のみ抜粋しています。

1.日本銀行は、本日、政策委員会・金融政策決定会合において、次回金融政策決定会合までの金融市場調節方針を、以下のとおりとすることを決定した(賛成7反対2)(注)。
 無担保コールレート(オーバーナイト物)を、1.25%程度で推移するよう促す(9月24日から適用)。

2.上記の金融市場調節方針の変更に伴い、各種制度の適用利率の変更を決定した(賛成7反対2)。補完当座預金制度の適用利率は1.25%、基準貸付利率は1.5%とする。

3.気候変動対応オペについて、貸付金利を変動金利に変更するほか、貸付総額等に上限を設定することとした(全員一致)。

4.わが国の景気は、中東情勢の影響もあって一部に弱めの動きもみられるが、緩やかに回復している。先行きも、中東情勢の影響が下押し要因となるものの、グローバルなAI関連需要の増加に加え、政府による各種施策等が経済を下支えすると考えられるため、緩やかな成長を続けるとみられる。物価面をみると、原油高や為替円安に加え、AI関連需要拡大の影響から、国内企業物価は前年比で高い伸びが続いている。消費者物価(除く生鮮食品)の前年比は、企業間取引における価格上昇圧力が消費者段階にも波及し始めているほか、賃金上昇の販売価格への転嫁の動きも続いており、このところプラス幅が緩やかに拡大している。こうしたなか、中長期の予想物価上昇率は引き続き上昇しており、消費者物価の基調的な上昇率は2%に近づいている。以上のように、わが国の経済・物価は、「展望レポート」で示してきた中心的な見通しに概ね沿って推移している。
 中心的な見通しに対するリスク要因としては様々なものがあるが、中東情勢やAI関連需要の拡大、為替相場の変動が、わが国の経済・物価に及ぼす影響には、引き続き留意が必要である。基調的な物価上昇率については、企業の賃金・価格設定行動の積極化や中長期的な予想物価上昇率の上昇などを踏まえると、2%の「物価安定の目標」を超えて上振れていくリスクがある。
 わが国の金融環境は、緩和した状態にある。実質金利は短中期ゾーンを中心になお低い水準となっている。企業等の資金需要は増加しており、金融機関の貸出態度も引き続き積極的である。CP・社債市場でも良好な発行環境が続いている。
 以上の経済・物価動向やリスク要因、金融環境を踏まえ、2%の「物価安定の目標」の持続的・安定的な実現という観点から、金融緩和の度合いを調整することが適切であると判断した。政策金利の変更後も、緩和的な金融環境は維持されるため、引き続き経済活動をしっかりとサポートしていくと考えている。

5.今後の金融政策運営については、基調的な物価上昇率が2%に近づいているなか、現在の金融環境が緩和的であることを踏まえると、経済・物価・金融情勢に応じて、引き続き政策金利を引き上げ、金融緩和の度合いを調整していくことになると考えている。そのうえで、調整のタイミングやペースについては、中東情勢やAI関連需要の拡大、為替相場の変動の影響を含め、経済・物価の中心的な見通しが実現する確度やリスクを点検しながら、検討していく方針である。とくに、基調的な物価上昇率が2%の「物価安定の目標」を超えて上振れていくリスクが顕在化し、それがその後の経済に悪影響を及ぼすことがないよう、基調的な物価上昇率を2%程度の水準で安定させていくという観点が重要になると考えている。日本銀行は、2%の「物価安定の目標」のもとで、その持続的・安定的な実現という観点から、適切に金融政策を運営していく。

(注)賛成:植田委員、氷見野委員、内田委員、高田委員、田村委員、小枝委員、増委員。反対:浅田委員、佐藤委員。浅田委員は、足もとの消費者物価(除く生鮮食品)の上昇率が2%を下回るなか、経済の状況も必ずしも強いとはいえない点を踏まえると、金融市場調節方針を据え置くことが望ましいとして、佐藤委員は、経済・物価情勢が、現時点ではこれまでと比べて大きく加速している状態にあるわけではないと考えられるもとで、このタイミングでの利上げは適切ではないとして、反対した。

(別紙「経済・物価の現状と見通し」の要点)消費者物価(除く生鮮食品)の前年比は、政府によるエネルギー負担緩和策の効果などがみられるものの、輸入物価上昇の影響が現れていることから、このところプラス幅が緩やかに拡大しており、足もとでは1%台後半となっている。先行きは、2026年度後半以降、2%をはっきりと上回る水準まで伸び率を高めていくと予想される。その後、見通し期間後半には2%程度に向けてプラス幅を縮小していく。基調的な上昇率は、2026年度後半から2027年度にかけて「物価安定の目標」と概ね整合的な水準となる。(注)物価の見通しについて、高田委員は基調的な物価上昇率を含め消費者物価は既に概ね目標に達する水準にあるとして、田村委員は基調的な物価上昇率は既に目標と概ね整合的な水準で推移しているとして、反対した。

出所:日本銀行「当面の金融政策運営について」

植田総裁会見の要点:「政策の局面は変化した」

15時30分からの会見で植田総裁は、2%の物価目標を安定的に達成するため「引き続き政策金利を引き上げる」と述べました。物価の上振れリスクの点検項目として、7月会合に続き中東情勢の緊迫、世界的なAI関連需要の拡大、円安の進行の3点を挙げ、足元では企業間取引の価格上昇が「消費者段階にも波及し始めている」と説明しています。そのうえで、一時的な要因を除いた基調的な物価上昇率が2%目標に近づき「目標を超えて上振れしていくリスクがある」として、これまでは物価の下振れも警戒しながら慎重に利上げを進めてきたが「政策の局面は変化した」と強調しました。声明に新たに入った「上振れリスクが顕在化しないよう2%程度で安定させる観点が重要」という一文を、総裁自身の言葉で裏付けた格好で、この発言でドル円は157.14円近辺から一時156.50円近辺まで円買いが進みました。

質疑で最も注目されたのは利上げのペースです。特定の間隔を念頭に置いているかを問われ「それはない」と答え、2会合連続の利上げや一度に0.5%の大幅利上げの可能性についても「物価情勢次第で、特定のやり方は排除できない」と述べました。「半年に1回」の前提を外し、連続利上げや大幅利上げまで選択肢として残した点はタカ派的です。一方で、今回の利上げ後も「緩和的な金融環境は維持される」として追加利上げの余地があるとの認識を示しつつ、中立金利については「特定するのは難しい概念、変数だ」、利上げの到達点(ターミナルレート)も「特定しがたい」と述べ、水準を示して市場を誘導することには慎重でした。反対2票(浅田・佐藤両委員)については「適切な議論が行われた結果だ」と述べるにとどめています。

会見中のドル円は、「局面は変化した」で一時156.50円近辺まで円買いが進んだ後、157円を挟んだ往来に戻り、方向感が定まりませんでした。「連続利上げも排除しない」というタカ派的な選択肢の提示と、「間隔は決めない」「到達点は特定しがたい」という時期の不確定さ、そして反対2票が示す委員会内の慎重論が綱引きになり、市場は次の利上げ時期をまだ絞り込めていません。会見の終盤から終了後にかけては円売りが再び強まり、16時台には売り指値と買い逆指値が重なっていた157.50円を上抜けて日中高値を更新しました。「局面変化」というタカ派的な言葉よりも、反対2票と「到達点は特定しがたい」という時期の不確かさの方が相場では重く受け止められたことになります。会見終了後の16時45分時点では157.4円台(高値157.54円)で推移しています。

金融政策への影響:日米の政策が同時に動いた週

前日未明のFOMCは0.25%利上げ(3.75〜4.00%、全会一致)でドットは年内あと1回を示唆し、同日朝の全国CPIはコア前年比+1.7%(予想+1.8%)と予想を下回りましたが、下振れの主因は電気・ガス補助の再開によるエネルギーの押し下げで、基調を映すコアコアは+1.9%と横ばいでした。日銀はこのCPIを「政府によるエネルギー負担緩和策の効果」として織り込み済みで、声明と会見では基調的な物価が2%に近づいていると評価しています。日米がそろって利上げしたため、政策金利差は3.75〜4.00%対1.25%と縮まらず、金利差の面では円買い材料が増えていません。次回利上げの時期は、会合前の民間調査で「12月」(約35%)と「来年1月」(約6割)に分かれていましたが、会見で「間隔は決めない」「連続利上げも排除しない」と幅を持たせたことで、10月会合(展望レポート公表回)を含めて毎回の会合が判断の対象になります。もっとも反対2票が示す通り委員会内には慎重論が残っており、次回の判断は今後の物価データと円相場の水準に左右されやすい状況です。

今後のドル円(USD/JPY)の見通し

結果公表の直後、ドル円は156.16円近辺から156.85円近辺へ約70銭急伸し、午後にかけても円売りが続いて14時台には157.32円まで上昇しました(約2週間ぶりの円安水準)。前日未明のFOMC後につけた156.42円の高値を上抜け、9月上旬の急落局面以降の高値を更新しています。15時30分からの会見中は、「政策の局面は変化した」という発言で一時156.49円まで円買いが入ったものの、終盤には円売りが再燃して157.54円まで上げ幅を広げ、会見終了後も157.4円台で推移しています。利上げ自体は織り込み済みで、円が売られたのは「材料出尽くし」に加えて、反対票がハト派側からのものだったことと、声明が次の利上げ時期を示さなかったことで「ペース加速」への警戒が後退したためです。

結果公表から植田総裁会見までのドル円(USD/JPY)5分足の値動き
11時54分の結果公表で156.16円から156.85円近辺へ急伸し、午後は157.33円まで上昇。会見中の「局面は変化した」発言で一時156.49円まで押した後、終盤に157.54円まで上げ幅を拡大(9月18日、5分足)
USD/JPY 1時間足チャート
USD/JPY 1時間足(ボリンジャーバンド21・±2σ)。結果公表でバンド上限を上抜けた後、会見を挟んで上限(157.3円近辺)に沿って上昇し157.5円台へ。バンドは上向きに拡大(9月18日17時時点)

1時間足のボリンジャーバンドを見ると、日銀待ちで収束していたバンドを結果公表の陽線が一気に上抜けた後、会見中の156.49円への押しも中心線(156.4円近辺)の手前で止まり、終盤は上限(157.3円近辺)に沿って157.5円台へ上昇しました。バンドが上向きに拡大しながら価格が上限を歩く「バンドウォーク」の形で、上昇の勢いはまだ衰えていません。目先の押し目の目安は上限だった157.3円近辺と中心線の156.4円近辺で、中心線を割り込むまでは上昇トレンド継続と見る形です。

会見終了後の16時45分時点のOANDAのオーダーブックを見ると、オープンオーダー(未約定注文)は買いが56.9%、売りが43.1%と、結果公表前(買い54.6%)よりも買いの比率が高まっています。現在値(157.42円)のすぐ上、157.5〜158.0円には売り指値と買い逆指値が同じ帯に重なり、その上は158.6円、159.0円、160.0円と節目ごとに売り指値が階段状に並んでいます。157.5円台の買い逆指値を巻き込めば158円方向へ加速しやすい一方、158円台では戻り売りが厚いという構図です。下側は155〜157円に押し目買いの指値が幅広く分布し、156.0〜157.0円には売り逆指値が散在しています。オープンポジションはロング56.3%、ショート43.7%です。目を引くのは155〜157円に大量に残る含み損のショートで、結果公表前から積み上がっていた売り方の多くが1円以上の逆行を抱えたままです。この買い戻し圧力が上値を支える一方、157.5円より上で建てたロングには含み損が出始めており、158円台の売り指値の壁と合わせて上値の重さの要因にもなります。

USD/JPYオープンオーダーとオープンポジション(植田総裁会見後)
USD/JPYのオープンオーダー(左)とオープンポジション(右)(9月18日16時45分時点)

最新のOANDAのオーダーブックの状況はこちら

直近1週間のOANDAの通貨強弱チャートを見ると、日銀の結果公表を境に円が急落し、会見終了後の16時45分時点ではNZドルと並ぶ最弱圏まで沈んでいます。週の前半には利上げ観測で最強圏にいた円が、利上げの実施日に最弱へ転じたことになります。米ドルはFOMC後の独歩高を維持し、豪ドルが続く構図で、日米がそろって利上げした週の勝者は米ドル、敗者は円という結果です。利上げをしても円が買われないのは、金利差が縮まらないことに加え、市場が求めていた「次の利上げ時期」の手がかりが会見でも示されず、反対2票が慎重論の存在を印象づけたためで、この構図が変わるには次の物価データか、円安そのものへの当局の反応が必要になりそうです。

直近1週間の通貨強弱チャート(植田総裁会見後)
直近1週間の通貨強弱(9月18日16時45分時点)

最新のOANDAの通貨強弱チャートはこちら

USD/JPY 日足チャート
USD/JPY 日足(SMA21・75・200)。9月上旬の急落で3本の移動平均線を下抜けた後、日銀会合の当日に大陽線で21日線(157.0円近辺)を回復。次の壁は200日線(158.3円近辺)と75日線(159.9円近辺)(9月18日17時時点)

日足では、9月上旬の急落で21日線・200日線・75日線をすべて割り込んでいましたが、日銀会合の当日に大陽線を立てて下向きの21日線(157.0円近辺)を回復しました。上には横ばいの200日線(158.3円近辺)と下向きの75日線(159.9円近辺)が控えており、日足の形状は「円高トレンドの中の戻り局面」から「戻りが本格化するかの試し」に移っています。会見後には21日線を上回ったうえで、売り指値と買い逆指値が重なっていた157.50円も上抜け、買い逆指値を巻き込む形で上昇に勢いがつきました。次の上値の目安は158.0円の売り指値と、その上の158.4円近辺の200日線で、9月上旬の下落分の半値戻しにも重なる158円台前半が当面の攻防の中心になりそうです。下値は上抜けた157.5円近辺、157.0円の21日線、156.4円近辺と156.0円近辺の売り逆指値で、来週以降に物価データや円安への当局の反応で利上げ観測が再び強まれば、公表前の水準(156.1円台)へ往って来いになる余地も残ります。

今後の日経225(JP225)の見通し

日銀の結果を受けて日経225(JP225)は64,660円近辺から65,190円近辺へ約500円上昇して17日の高値(65,100円近辺)を上抜け、後場も大幅高が続いて12時49分に高値65,436円をつけ、終値は前日比882円高の65,018円でした。現物の大引け後も日経225(CFD)は円安の再燃にあわせて上値を追い、会見中の16時10分ごろに65,559円と日中高値を更新しました。会見終了後の16時台後半は65,450円近辺で推移しており、利上げが決まった日に株価指数が高値引けに近い水準にあるのは、市場が今回の利上げを「景気を冷やすほどではない」と受け止めている証拠と言えます。利上げは金利面で株式の逆風になるはずですが、ハト派側からの反対2票と「ペース加速の明示なし」で利上げ観測の織り込みが後退したことに加え、円安が輸出企業の追い風になるとの見方から「悪材料出尽くし」の買いが優勢になっています。もっとも会見で追加利上げの前倒しが示唆されれば、金利上昇と円高の両面で反落しやすく、初動の上昇を会見前に追いかけるのは慎重さが必要です。

結果公表から植田総裁会見までの日経225(JP225)5分足の値動き
結果公表で64,680円近辺から65,480円近辺へ約800円急伸。午後は65,000円近辺まで押した後、会見中の円安再燃にあわせて16時10分ごろに65,559円の高値をつける(9月18日、5分足)
JP225 1時間足チャート
日経225(JP225)1時間足(ボリンジャーバンド21・±2σ)。結果公表で17日の高値を上抜け、会見後はバンド上限(65,400円近辺)を超えて65,500円台へ(9月18日17時時点)

1時間足では、16日朝の63,900円近辺から始まった上昇が結果公表で再加速し、会見後にはバンド上限(65,400円近辺)を超えて65,500円台に乗せました。上値は65,600円近辺(11日の高値圏)と、その上の節目66,000円が目安です。下値はバンド上限だった65,400円近辺と中心線の64,900円近辺で、来週に中心線を割り込む場合は「悪材料出尽くし」の買いが巻き戻される展開を警戒します。

まとめ

  • 9月日銀会合は0.25%利上げで1.25%へ。6月以来3ヶ月ぶりで「半年に1回」のペースから加速。票は賛成7・反対2で、反対は据え置きを求めるハト派側(浅田・佐藤委員)
  • 植田総裁は「政策の局面は変化した」と述べ、利上げの間隔は決めず、連続利上げや0.5%利上げも「物価情勢次第で排除できない」と表明。中立金利と到達点は「特定しがたい」として水準の誘導は避けた
  • 日米そろって利上げでも金利差は縮まらず、ドル円は結果公表で156.85円近辺へ急伸し午後に一時157.33円。会見中は「局面変化」で156.50円近辺まで円買いが入ったが、終盤には円売りが再燃して157.50円を上抜け。日経225は882円高の65,018円で大引け
  • ドル円は会見後に157.50円を上抜け。上値は158.0円(売り指値)と158.4円近辺(200日線)、下値は157.5円・157.0円(21日線)・156.4円・156.0円(売り逆指値)が目安。日経225は65,600円近辺(11日高値圏)と66,000円が上値、65,400円・64,900円(1時間足の中心線)が下値の節目

▶ 会合前の注目点・シナリオの解説はこちら:日銀会合(2026年9月)予想と注目点

▶ 同日朝の全国CPIの結果はこちら:8月全国CPIの結果とドル円・日経225

OANDA CFD
Twitter Youtube

Published by
OANDA Lab編集部

OANDA証券株式会社が運営する「OANDAラボ」は、FX/CFDを統計学的側面で科学するメディアです。外国為替(FX)や世界の株価指数、金や原油などの商品市場に関するマーケット情報やデータ、ニュースを提供しています。
会社名:OANDA証券株式会社
所在地:東京都千代田区平河町1-3-13 CIRCLES平河町 10階
加入協会:一般社団法人金融先物取引業協会 / 日本証券業協会 / 日本商品先物取引業協会
登録番号:第一種 金融商品取引業 関東財務局長 (金商) 第2137号
問い合わせ先:お問い合わせフォームから


本ホームページに掲載されている事項は、投資判断の参考となる情報の提供を目的としたものであり、投資の勧誘を目的としたものではありません。投資方針、投資タイミング等は、ご自身の責任において判断してください。本サービスの情報に基づいて行った取引のいかなる損失についても、当社は一切の責を負いかねますのでご了承ください。また、当社は、当該情報の正確性および完全性を保証または約束するものでなく、今後、予告なしに内容を変更または廃止する場合があります。なお、当該情報の欠落・誤謬等につきましてもその責を負いかねますのでご了承ください。

この記事をシェアする
一覧へ戻る