日本時間10月23日8時30分に総務省が発表した2026年9月の全国消費者物価指数(CPI)は、生鮮食品を除く総合(コアCPI)が前年比+2.1%と、市場予想(+2.1%)と一致しました。8月(+1.7%)から伸びが0.4ポイント拡大し、2025年12月以来9ヶ月ぶりに2%台へ戻りました。総合は+2.1%(予想+2.1%)と予想通りだった一方、生鮮食品及びエネルギーを除く総合(コアコアCPI)は+2.4%(予想+2.3%)と予想を上回り、基調的な物価の強さが目立ちました。食料(生鮮食品を除く)の伸びが+2.9%へ再び高まったうえ、先行指標の東京都区部で目立った宿泊料や家電などの耐久財、日用品の値上がりが全国でも広がっています。本記事では結果の内訳と発表直後の市場の反応を整理したうえで、来週の日銀金融政策決定会合(展望レポート)に向けたドル円(USD/JPY)と日経225(JP225)の見通しを解説します。
結果ハイライト
結果一覧
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| 項目 | 結果 | 市場予想 | 前回(8月) |
|---|---|---|---|
| 総合(前年比) | +2.1%(予想と一致) | +2.1% | +1.9% |
| コア(生鮮食品を除く、前年比) | +2.1%(予想と一致) | +2.1% | +1.7% |
| コアコア(生鮮食品及びエネルギーを除く、前年比) | +2.4%(予想を上回る) | +2.3% | +1.9% |
| 食料(生鮮食品を除く、前年比) | +2.9% | − | +2.7% |
| エネルギー(前年比) | ▲0.6% | − | ▲0.7% |
| 財(前年比) | +2.8% | − | +2.6% |
| サービス(前年比) | +1.5% | − | +1.2% |
発表直後の市場の反応
- ドル円(USD/JPY):発表前の156.63円近辺から、発表後は156.51円近辺まで約10銭の円買い。前日からの円高の流れが続くなかでの小幅な動きにとどまる(8時38分時点:156.51円近辺)
- 日経225(JP225):発表前の62,240円近辺から、発表後は62,030円近辺まで約200円下落した後、62,100円近辺へ小幅に戻す(8時38分時点:62,090円近辺)
発表直後のドル円(USD/JPY)1分足の値動き
発表直後の日経225(JP225)1分足の値動き
結果の内訳
コアCPIは前年比+2.1%と、8月の+1.7%から伸びが0.4ポイント拡大しました。季節調整済みの前月比はコアが+0.5%、コアコアが+0.5%、総合が+0.4%で、8月(コア+0.1%)から月々の上昇ペースも大きく加速しています。総合がコアと同じ+2.1%にとどまったのは、生鮮食品が+2.1%(8月+6.0%)と伸びを大きく縮め、総合への寄与度が0.08%ポイント(8月0.23%ポイント)へ縮小したためです。一方、コアコアは+2.4%とコアを0.3ポイント上回り、エネルギーを除いた部分で物価の伸びが高まっていることを示しています。
内訳のポイント:エネルギーと食料
エネルギーは前年比▲0.6%(8月▲0.7%)でした。9月分には補助が手厚くなった8月使用分の電気・ガス料金が反映されましたが、前年も同じ時期に補助があったため、前年比での押し下げは8月並みにとどまりました。電気代は▲2.4%(8月▲2.4%)、都市ガス代は+0.2%(同▲0.8%)、ガソリンは▲2.6%(同▲2.6%)です。総務省の試算では、暫定税率の廃止や補助金などの政策効果がエネルギー全体で総合の前年比を0.82%ポイント押し下げており、8月(0.62%ポイント)から押し下げ幅が広がっています。補助は9月使用分(10月分のCPI)までの予定で、11月分以降は補助がなくなることでエネルギーが物価を押し上げる方向に変わります。
グラフの右上に直近2か月の数字を示した通り、食料(生鮮食品を除く)は前年比+2.9%(8月+2.7%)と再び伸びを高め、総合への寄与度は0.69%ポイント(8月0.64%ポイント)へ拡大しました。調理食品(+4.2%)、菓子類(+4.3%)、肉類(+4.3%)、飲料(+6.0%)、外食(+2.5%)と、幅広い品目で値上げが続いています。一方、米類を含む穀類は▲5.0%と値下がりが続き、食料の伸びを抑えています。
東京都区部との比較:制度要因以外の値上がりは全国に広がったか
先行指標の東京都区部9月分は、コアが+2.7%と8月から0.9%ポイント伸びを高めましたが、そのうち0.5%ポイント強は水道料金の無償化時期のずれと保育料無償化の一巡という東京都独自の制度要因でした。全国の結果で注目していた、制度要因以外の品目の動きは以下の通りです。
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| 品目 | 全国9月(前年比) | 全国8月(前年比) | 東京都区部9月(前年比) |
|---|---|---|---|
| 宿泊料 | +4.6% | ▲1.4% | +4.6% |
| 家庭用耐久財 | +6.2% | +3.9% | +5.9% |
| 教養娯楽用耐久財 | +7.4% | +4.5% | +7.0% |
| 家事用消耗品 | +12.4% | +10.1% | +10.6% |
| 食料(生鮮食品を除く) | +2.9% | +2.7% | +3.6% |
| エネルギー | ▲0.6% | ▲0.7% | ▲1.9% |
全国でも、宿泊料は+4.6%と東京都区部と同じ伸びに転じ、家庭用耐久財(+6.2%)、教養娯楽用耐久財(+7.4%)、家事用消耗品(+12.4%)は、いずれも東京都区部を上回る伸びとなりました。東京都区部の急加速のうち、水道料・保育料という制度要因を除いた部分は、全国でもほぼ同じように表れたと言えます。シルバーウィークの日並びによる宿泊料の上昇は10月分では剥落しやすい一時的な要因ですが、家電や情報機器、日用品の値上がりは一時的とは言いにくく、物価の上昇圧力が幅広い品目に及んでいることを示しています。
基調的な物価:コアコアは+2.4%、予想を上回る伸び
生鮮食品とエネルギーを除いたコアコアは+2.4%(8月+1.9%)と、市場予想の+2.3%を0.1ポイント上回りました。家事用消耗品(+12.4%)や耐久財、宿泊料(+4.6%)が押し上げた一方、授業料等(▲6.4%)は引き続き押し下げています。財は+2.8%(8月+2.6%)、サービスは+1.5%(8月+1.2%)でした。サービス価格は宿泊料の上昇もあって伸びを高めましたが、なお1%台にとどまっています。日銀が重視する「賃金と物価の好循環」を映すサービス価格が本格的に加速しているかは、宿泊料の押し上げが剥落する10月分以降で改めて確かめる必要があります。
日銀の金融政策への影響:来週の会合と展望レポートに向けて
日銀は9月18日の会合で政策金利を1.25%へ引き上げ、植田総裁は10月16日のあいさつで「今後も利上げを進めていく」との姿勢を示しています。21日には氷見野副総裁が国会で「基調物価は2%にかなり近づいている」と述べました。市場では10月29〜30日の会合での連続利上げを見込む向きは少なく、10月18日時点の報道では、金利スワップ(OIS)市場が織り込む10月の追加利上げの確率は4%程度、12月会合までの利上げは8割程度でした。
今回は、コアが予想通り2%台へ戻り、基調を映すコアコアも+2.4%と予想を上回りました。物価の上昇圧力が制度要因以外の品目にも広がっていることを示す内容で、12月の利上げの見方を補強する材料と言えます。10月の会合での連続利上げを見込む向きは少ないものの、30日に公表される展望レポートで物価見通しがどう修正されるか、植田総裁が会見で12月をにらんだ発信に踏み込むかが次の焦点です。9月会合の声明では「2026年度後半以降2%をはっきりと上回る」との見方が示されており、今回の結果はこの見通しに沿った動きとなっています。
▶ 発表前の注目点・市場予想の解説はこちら:全国CPI(2026年9月)予想と注目点
今後のドル円(USD/JPY)の見通し
発表直後のドル円は、156.63円近辺から156.51円近辺まで約10銭の円買いとなりました。コアは予想通りでしたが、コアコアが予想を上回ったことが円買いの材料として意識されたとみられます。ただし値幅は小さく、前日からの円高の流れの延長線上の動きです。前日(22日)は、米テスラの設備投資目標の引き下げをきっかけとした世界的な株安と中東情勢への警戒からリスクを避ける円買いが強まり、ドル円は東京時間の158.2円台から一時156.685円まで下落し、NY市場は156.757円で取引を終えました。23日の東京時間に入っても円買いは続き、156.5円台前半と前日の安値を下回って推移しています。
1時間足のボリンジャーバンドを見ると、前日の急落を受けてバンドは下向きに大きく広がり、足元の156.5円近辺は下限(156.42円近辺)のすぐ上にあります。中心線は157.03円近辺、上限は157.64円近辺です。下限に沿って下げる「バンドウォーク」が続けば円高の流れが強い状態ですが、急ピッチの下げの反動で中心線(157円近辺)へ買い戻される展開にも注意が必要です。
8時35分時点のOANDAのオーダーブックを見ると、オープンオーダー(未約定注文)は買いが55.4%、売りが44.6%です。現在値の上では、157.5円と158.0円を中心に売り指値(戻り売り)が厚く並び、上値を抑える壁になっています。156.75〜156.8円と157.35円近辺には買い逆指値もまとまっており、ここを上抜けると買い戻しが加速しやすい水準です。下側では156.5円と156.0円、155.0円に買い指値(押し目買い)がまとまっていますが、156.25〜156.3円と156.0円近辺には売り逆指値も重なっており、156.3円を割り込むと損切りの売りを巻き込んで下げが速まりやすい配置です。オープンポジションはロング59.4%、ショート40.6%と、前日夕方(ロング56.3%)からロングの比率が高まっています。下落局面での押し目買いが増えた一方、現在値より上には157.7円や158.1〜158.15円に加え、156.8円近辺にも含み損のロングが積み上がっています。円高が一段と進めば、これらのロングの損切りが下げを増幅しやすい状態で、戻り局面でも156.8円近辺や157.7円近辺では「やれやれ売り」が出やすいと言えます。
直近1週間のOANDAの通貨強弱チャートを見ると、米ドルが主要8通貨のなかで最も弱く、円は22日の東京時間の急速な買い戻しで6位まで浮上しています。米ドルと円の強弱の差は23日の早朝に1週間で最も円に有利な水準まで広がっており、ドル円の下落は「円高」と「ドル安」が同時に進んだ結果です。足元の円買いは、日銀の利上げ時期をめぐる見方の変化というより、株安を受けたリスク回避の色合いが濃い状態です。今回のCPIでコアコアが予想を上回ったことは円独自の買い材料になり得ますが、円が他の通貨に対しても買われ続けるかは、株式市場の落ち着きと来週の日銀会合の内容次第と言えます。
日足では、前日の急落で21日移動平均線(157.83円近辺)を下抜け、200日移動平均線(158.51円近辺)と75日移動平均線(158.64円近辺)からも大きく下に離れました。RSI(14)は39台へ低下しています。上値は21日移動平均線と、オーダーブックで売り指値が厚い157.5〜158.0円近辺が目安です。下値は9月30日の安値(156.38円)と、買い指値と売り逆指値が重なる156.0〜156.3円近辺が意識されやすく、ここを割り込むと155円台が視野に入ります。今夜(23日)は22時45分に米10月PMI速報値、来週は29日3時にFOMCの結果、30日に日銀会合の結果と展望レポートが続くため、イベントごとに値幅が出やすい点に注意が必要です。
今後の日経225(JP225)の見通し
日経225(JP225)は、発表後に62,030円近辺まで約200円下げた後、62,100円近辺へ小幅に戻しています(8時38分時点)。前日(22日)の現物の日経平均株価は、米テスラの設備投資目標の引き下げをきっかけとしたハイテク株安と中東情勢への警戒から、前日比1,713円安と大幅に下落しました。今回のCPIは、コアコアが予想を上回り日銀の利上げ観測を後押ししやすい内容で、金利上昇と円高の両面で株式市場には重しになりやすい結果です。9時の現物市場の寄り付き後は、前日の急落の反動による買い戻しが入るか、売りが続くかが焦点です。
1時間足では、バンドの下限(62,020円近辺)に沿った下落が続いています。上値は中心線の62,910円近辺と上限の63,800円近辺、下値は下限の62,020円近辺が目安です。日足では、21日移動平均線(66,750円近辺)を大きく下回り、上向きの200日移動平均線(62,200円近辺)もわずかに割り込みました。RSI(14)は34台と売られすぎの水準に近づいており、200日移動平均線を早期に回復できるかが、下げ止まりを見極めるポイントになります。
まとめ
- ✓9月全国CPIはコア+2.1%(予想+2.1%)、総合+2.1%(同+2.1%)、コアコア+2.4%(同+2.3%)。コアは予想通り9ヶ月ぶりの2%台、基調を映すコアコアは予想を上回る
- ✓食料(生鮮食品を除く)は+2.9%へ再加速。エネルギーは▲0.6%と8月並みで、政策効果は総合を0.82pt押し下げ。電気・ガス補助は10月分CPIまでで、11月分以降は押し上げ方向
- ✓宿泊料(+4.6%)、家庭用耐久財(+6.2%)、家事用消耗品(+12.4%)など、東京都区部で目立った制度要因以外の値上がりは全国でも広がる
- ✓ドル円は約10銭、日経225は約200円の下落と初動は小さい。12月利上げの見方を補強する内容で、10月会合での連続利上げを見込む向きは少ないものの、30日の展望レポートと総裁会見が焦点
- ✓ドル円は上値が157.5〜158.0円の売り指値、下値が156.0〜156.3円の買い指値と売り逆指値の帯が節目。今夜の米PMI、来週のFOMC(29日3時)と日銀会合・展望レポート(30日)まで値幅を想定しておきたい
▶ 発表前の注目点・市場予想の解説はこちら:全国CPI(2026年9月)予想と注目点
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