日本時間9月4日(金)21時30分に、米労働省労働統計局(BLS)から2026年8月の米雇用統計が発表されます。
前回7月分では、非農業部門雇用者数(NFP)が前月比2.3万人減と、市場予想(8.0万人増)に反して5カ月ぶりの減少となりました。発表直後にはドル円(USD/JPY)が158円台から156円台まで急落するなど、為替市場も大きく反応しました。
今回のNFPは5.8万人増前後への持ち直しが予想されています。9月15~16日のFOMCを控えるなか、今回の雇用統計は、FRBの利上げをめぐる市場の見方を左右する重要な材料となりそうです。さらに今回は、日銀の利上げ観測を背景とした円高が急速に進むなかでの発表となるため、日米の金融政策観測が同時に意識され、ドル円の反応が大きくなりやすい点も特徴です。
発表の概要
| 指標名 | 米雇用統計(2026年8月分) |
|---|---|
| 発表日時 | 2026年9月4日(金)日本時間21時30分 |
| 発表機関 | 米労働省労働統計局(BLS) |
| 前回結果 | NFP▲2.3万人/失業率4.1%/平均時給 前年比+3.2% |
| 今回の市場予想 | NFP+5.8万人前後/失業率4.1%/平均時給 前年比+3.0% |
前回までのデータ


雇用の減速傾向が鮮明になっています。NFPは3月の+21.4万人をピークに、4月+14.8万人、5月+6.3万人、6月+2.0万人と伸びが縮小し、7月はついに▲2.3万人と減少に転じました。7月の減少は地方政府の教育部門が5万人近く減ったことが響いており、民間部門だけを見ればかろうじてプラスを維持しています。一方、失業率は4.1%と前月(4.2%)から低下しており、雇用者数と失業率で異なる姿を示している点が判断を難しくしています。平均時給は前年比+3.2%と伸びが鈍化しています。
先行指標の動向
| 先行指標 | 結果 | 評価 |
|---|---|---|
| ADP雇用統計(8月分、9/2発表) | +3.8万人(予想+4.7万人、7月+4.6万人) | 弱い(1月以来の低い伸び) |
| ADP週次データ(〜8/8の4週平均) | 週+1.2万人ペースへ持ち直し | やや強い |
| ISM製造業・雇用指数(8月) | 51.2(前月52.8から低下、50は維持) | 中立〜やや弱い |
| JOLTS求人件数(7月) | 727.1万件 | 中立 |
先行指標では、注目度の高いADPが+3.8万人と市場予想(+4.7万人)を下回り、今年1月以来の低い伸びにとどまりました。一方で、ADP週次データの持ち直しやISM雇用指数の50超えなど、7月のような「雇用の急減」を示唆する材料は限られています。市場予想並みの小幅プラスがメインシナリオとして意識されるものの、ADPの下振れを受けて、弱い結果への警戒も高まりやすい状況です。
前回発表時の市場の反応
前回(8月7日発表の7月分)は、NFPが予想+8.0万人に対して▲2.3万人と大幅に下振れたことを受けてドルが大きく売られました。弱い結果→利上げ観測後退→ドル売り、という素直な反応となりました。
先月のドル円(USD/JPY)の発表直後の動き

先月のゴールド(XAU/USD)の発表直後の動き

- 金利観測:9月FOMCでの利上げ織り込みが55%付近から44%付近へ低下※
※参照元:CME FedWatchツール
今回の結果によるシナリオ別の市場への影響
現在のドル円(USD/JPY)は一時156円台前半まで急落し、足元では157円付近で推移しています。昨日までは160円台前半で推移していましたが、高田日銀審議委員のタカ派発言を受けて「日銀が9月会合で0.5%の利上げに踏み切る」との観測が浮上したことに加え、ADP雇用統計の下振れで米労働市場の減速が意識され、円買い・ドル売りが加速しました。前回の雇用統計後に付けた安値(156.66円)を割り込み、約1ヶ月ぶりの円高水準で雇用統計を迎えます。
一方、ゴールド(XAU/USD)は8月下旬の高値からの調整が続いていましたが、ADPの下振れを受けた米金利低下とドル安を支えに4,400ドル台前半へ持ち直しています。金利を生まない資産であるゴールドは、今回の結果を受けた米金利と為替の方向に反応しやすく、中東情勢の緊迫が意識される局面では安全資産として買いが入りやすい面もあります。
| シナリオ | USD/JPY | XAU/USD |
|---|---|---|
| 予想を大きく上回る(+10万人超) | 9月利上げ観測が高まり、ドル買いが強まりやすい | 米金利上昇が重しとなり上値が抑えられやすい |
| 市場予想並み(+5万人前後) | 限定的な反応にとどまりやすいが、失業率・平均時給に反応が移る | 限定的な反応にとどまりやすい |
| 予想を下回る・2ヶ月連続の減少 | 利上げ観測が大きく後退しドル売り・円買いが加速しやすい | 金利低下・ドル安を受けて高値圏を試す展開になりやすい |
なお、ヘッドラインのNFPだけでなく、前回・前々回分の改定値と平均時給で初動が反転するケースが多い点には注意が必要です。また、今回は9月FOMC直前の雇用統計であり、通常より反応が大きくなる可能性があります。加えて、日銀の利上げ観測による円買い圧力が強いなかでの発表となるため、強い結果でドルが買われても円高圧力が上値を抑えやすい一方、弱い結果の場合は日米双方の材料が円高方向に重なり、下方向の反応が増幅されやすい点にも注意が必要です。
OANDAのオーダーブックから見る市場参加者の動向
9月3日16時50分時点のOANDAのオーダーブックを見ると、未約定注文は買いが58.1%、売りが41.9%と買い注文が優勢です。急落を受けて、現在値(157.2円近辺)の下では156円台前半や155円ちょうど近辺に厚い押し目買いの指値注文が並んでいます。一方、現在値の上では157円台後半から159円にかけて戻り売りの指値注文が幅広く積み上がっており、雇用統計後に反発する場合でも戻りを抑えやすい状況です。下値では156円台前半〜155円に逆指値の売り注文も一定量あり、弱い結果で155円台へ下落する場合は損切りを巻き込んだ下げの加速に注意が必要です。
オープンポジションの売買比率はロング56.2%、ショート43.8%とロングが優勢です。急落の過程で逆張りの押し目買いが入った一方、下落前の158円〜159円台で買ったロングが含み損を抱えたまま大量に残っています。このため、強い結果で反発する場合でも、建値に近づいた含み損ロングの「やれやれ売り」が戻りを抑えやすく、逆に弱い結果で一段安となる場合は、これらのロングの損切りが下げ幅を広げやすい点に注意が必要です。
総じて「下は厚い押し目買い、上は戻り売りと含み損ロングの壁」というオーダー分布です。155円ちょうど近辺の大口の買い指値が下値の目安として、157円台後半〜159円が戻りの上限として意識されやすいとみられます。

OANDAの通貨強弱チャートから見る直近1週間の相場環境
直近1週間のOANDAの通貨強弱チャートを見ると、高田日銀審議委員の発言を受けた日銀の利上げ観測の高まりを背景に、円が主要通貨のなかで突出した最強となっています。週半ばまで最強だった米ドルは、ADP雇用統計の下振れを受けて急速に失速し、ほぼ中立圏まで後退しました。この「円独歩高・ドル失速」の組み合わせで、ドル円は一時156円台前半まで急落しています。明日の雇用統計が弱い結果となれば円全面高が一段と進みやすい一方、強い結果となれば、急ピッチな円高の反動を伴った大きめの巻き戻しも想定されます。なお、NZドルはニュージーランド準備銀行(RBNZ)がインフレ率予想を引き下げたことを背景に、引き続き最弱圏で推移しています。

まとめ
- ✓前回7月分はNFP▲2.3万人と予想外の減少、ドル円は約1.6円急落
- ✓今回8月分の市場予想は+5.8万人と小幅な持ち直しを想定
- ✓9月FOMC(9/15〜16)直前のため、結果次第で利上げ観測が大きく振れる可能性
- ✓ドル円は日銀の利上げ観測を背景に一時156円台前半へ急落。下は155円近辺の厚い買い注文、上は157円台後半〜159円の売り注文が意識され、ゴールドは4,400ドル台で結果を待つ展開
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OANDA Lab編集部
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