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米国雇用統計の見方

米国雇用統計の見方

 

米国の雇用統計は発表後にFX市場に大きなインパクトを与える経済指標の一つであるため、FXトレーダーが注目する経済指標の一つですが、結果に関しては各種ニュースなどで耳にする程度で、実際に発表されたデータを見たことがあるという方は少ないと思います。

ニュースで報道されている雇用統計のデータは少ないですが、実際の米国雇用統計で発表されるデータは膨大なデータとなります。このデータを細かくチェックしてみると、米国の労働市場の変化に人より早く気づくことができるかもしれません。

今回はこの米国雇用統計を発表している米国労働省のウェブサイトで、実際に発表されるデータの見方をご案内いたします。

 

【米国雇用統計発表後のドル円の値動き(2019年1月4日)】

米国雇用統計直後のドル円の値動きのチャート画像

 

米国雇用統計は膨大なデータ


米国の雇用統計のデータで主に報道されるのは、非農業部門雇用者数変化や失業率、平均時給変化率や労働参加率等です。

これらの数値は、米国の労働市場を把握するための主要なデータとなりますが、米国雇用統計では、これらのデータの他にも、労働市場に関する膨大なデータが公開されています。

FX取引のためのファンダメンタルズ分析を行う上で、これらのデータを全てチェックする必要はないかと思いますが、普段より一段掘り下げてチェックすると、米国の労働市場の状況をより深く理解できるようになると思いますのでご興味のある方は是非、細かくチェックしてみましょう。

ちなみに、毎月発表される米国の雇用統計は失業率や労働参加率に関する一般家庭に向けた調査(Household data)と非農業部門雇用者数変化や平均時給などに関する事業所に向けて行った調査(Establishment data)の2種類の調査で構成されています。

 

家計調査のデータ


家計調査のデータは主に家計に向けて行われた調査であるため、失業率や労働参加率などが主要な項目です。

失業率は年齢別、人種別、学歴別など細かく分けられているほか、失業期間の長さのデータなども用意されているほか、失業やパートタイムとして働いている理由などのデータも発表されます。

 

家計調査のデータの注目点

◼️失業率と労働参加率

失業率は簡単に言えば、働く気がある人のうち、失業している人の比率を示した数値です。

米国の雇用統計では失業率は失業者の定義に応じてU-1からU-6までの6段階に分けられて発表されます。

ニュース等で報道される失業率は中間的で一般的なU-3のデータが用いられます。

U-1から順番に失業者の定義が広くなっており、失業率が徐々に広くなって行きます。U-6に関しては、一応、働いているが希望しているフルタイムで働けていない人も失業者とするなど、失業率をより広く定義しているという特徴があります。

U-1からU-6の失業率の定義は次の通りです。


◼️失業率の定義


U-1:15週以上の失業状態が続いている人の割合

U-2:解雇と一時的な仕事を終えたの人の割合

U-3:一般的な失業者の割合

U-4:U-3+職探しを完全に諦めた人の割合

U-5:U-4+現在は働けないが働く用意はある人の割合

U-6:U-5+本来はフルタイムとして働きたいがパートタイムとしての労働を余儀なくされている人の割合


 

【米国の失業率のデータ例】

米国の雇用統計の失業率のデータ

出所:BLS

 

市場では、基本的にはU-3の失業率が注目され、労働参加率と併せて評価されます。

労働参加率は働く意思がある人の割合です。

失業率が低下すると失業者の割合が減っているので基本的には労働市場が改善された状況であり景気が上向いている状況と言えます。

ただし、労働参加率も併せて低下している場合の判断は難しくなります。

労働参加率が低下するということは自分の希望する求人がなく、職探しを諦めてしまった人が増えている可能性を示しており、注意が必要な状況と言えます。他の情報と併せて、景気減速の兆しが出てきていないかを入念に探る必要がありそうです。

失業率が減っても、労働参加率が低下し、職探しを諦めてしまった人が多い状況という場合は、失業者自体が減ったのではなく、失業率の計算に用いられる人数が減っているだけで、少しも景気は良くなっていないことになります。

一方で、景気後退期から回復に向かう場面で多く見られる、失業率が上昇しても労働参加率も併せて上昇しているような場合であれば、求人が少なく働く意欲を無くしていた労働者が職探しを始めた可能性も考えられ、労働市場の状況が好転している可能性を見出すことができます。

このように、失業率を見るときは労働参加率も併せてチェックした方が、より深く労働市場の状況を分析することができます。

 

◼️U-6の失業率

U-3以外の失業率で注目されることがあるのが、U-6の失業率です。

U-6の失業率は失業者を一番広く捉えている失業率です。

フルタイムを希望しているにも関わらず、希望の仕事に付けないためにパートタイムで働いている労働者を失業者として算出しています。

このU-6のデータはかつてFRBが景気後退局面から景気回復局面に注目していたデータの一つで、通常の失業率では見えてこない質も含めた本当の失業率を確認することができるという特徴があります。

景気後退局面に大きく上昇する傾向があり、その後、どの程度低下したかに注目が集まります。

 

事業所調査分


事業所調査のデータは雇用者数や賃金、労働時間に関するデータが中心となります。

民間部門と政府部門に分けられるほか、細かい業種に分けられた雇用者数の変化のデータを入手することができます。

 

事業所調査の注目点

◼️民間部門の雇用者数の変化

雇用統計の発表直後は農業部門以外のトータルの雇用者数の増減である非農業部門雇用者数変化の数値に注目が集まります。

概要を把握するだけであれば、この数字のみをチェックしておけば良いのですが、一歩踏み込むのであれば、もう少し細かく見ると状況を把握しやすくなると思います。

景気後退時期などは特に、雇用者数の増減が民間部門のものであるかどうかもしっかりとチェックする必要があります。政府部門の一時的な雇用増加(例えば、国勢調査など)で雇用者数が増えたとしても一時的なものとなり、景気回復の兆しとはならないことがあるためです。

また、民間部門のなかでも、業種ごとの雇用者数の増減に注目してみると面白いと思います。例えば、特定の業種の結果に偏りがある場合は、その理由が明確で一過性なもの(天候によるもの等)によるものなのか、他の業種に派生する可能性があるものなのかを掘り下げて調べてみるということができます。

一過性のものであれば、それが原因で市場が動いたとしても、長続きしない可能性が高いと考えることができます。

◼️平均時給、平均労働時間

平均時給や平均労働時間をチェックすることでも労働市場の状況を把握することができます。

平均時給の上昇率が高い推移が続くときは、労働者を確保するために、給料を高く設定する必要があったり、物価上昇を反映していたりといった理由が考えられます。また、逆に賃金の上昇が物価上昇圧力となると考えることもできます。

平均労働時間は労働者の稼働率と言い換えることができます。

景気後退局面から徐々に回復し、需要の増加に合わせ仕事が増えたときには、経営者は、この状況が続くかどうかの判断は難しいため、まずは、従業員の労働時間を増やして対応します。

つまり、新たな従業員を雇う前に、現在の従業員に頑張ってもらうということです。

そして、景気回復基調が続き、需要がさらに増え、現在、働いている従業員だけで本格的に回らなくなってくると、新たな従業員を雇い入れ、業務の拡大を狙うという流れになります。

景気後退期には、この平均労働時間に注目していると、景気回復の兆しを探ることができます。労働時間が徐々に増えてきているという状況になると、人を雇い入れるまではいかないものの、仕事の受注が増え、忙しくなっている可能性があるといえます。

つまり、景気回復の兆しが出てきている状況と言えます。

逆に、平均労働時間の減少が続く場合は人が余っており、人員削減の可能性を疑うことができます。その他のデータと併せ、景気後退の兆しが増えているようであれば、注意が必要です。

 

統計データへのアクセス方法


米国雇用統計のデータは米国労働省のウェブサイトでチェックすることができます。

メニューの「Economic Releases」の「EMPLOYMENT & UNEMPLOYMENT」の「Monthly」の部分の「HTML」の部分をクリックします。

雇用統計のデータへのアクセス方法

 

続いて、「Employment Situation」の横の「HTML」をクリックします。

ちなみに、「PDF」はPDF形式のレポートが表示されます。英語に明るく、じっくりと統計データをチェックしたいという方はこのPDFでレポートを読んでみるというのもいいかもしれません。

「Chart」は雇用統計の主要なデータをグラフ表示することができるツールです。

雇用統計のデータへのアクセス方法の画像2

 

「HTML」をクリックすると、雇用統計の各データへのリンクページへ移行します。

米国雇用統計のデータは大きくAグループ(家計調査分)とBグループ(事業所調査分)の2つの別れます。

一番上が全体のサマリー、次にAグループとBグループに分けたサマリー、雇用統計に関する説明と続きます。

その下にAグループ、Bグループの詳細データ、さらにこれらの過去のデータ、HTMLバージョンのレポートが続きます。

雇用統計のデータへのアクセス方法の画像3

 

ちなみに、AグループとBグループのデータの詳細はつぎのように分類されています。

 

Aグループ

A-1:性別、年齢ごとのデータ
A-2:人種別、性別、年齢ごとのデータ
A-3:ヒスパニック、ラテン系の性別、年齢ごとのデータ
A-4:25歳以上の学歴別のデータ
A-5:18歳以上の退役軍人の地位及び勤務期間、性別ごとのデータ
A-6:障害者の有無、性別ごとのデータ
A-7:出生地、性別ごとのデータ
A-8:就業形態とパートタイム労働者の詳細データ
A-9:労働者の年齢、性別、結婚、雇用形態等ごとの人数の分布
A-10:失業者の年齢、性別、結婚、雇用形態等ごとの人数の分布
A-11:失業理由ごとの失業者の分布
A-12:失業者の失業期間
A-13:職種ごとの就業者、失業者数
A-14:業種ごとの失業者数、失業率
A-15:失業率(U1-U6)
A-16:労働力に算入されない者、複数の従事者のデータ

 

Bグループ

B-1:産業部門ごとの非農業部門の雇用者数のデータ
B-2:産業別、平均労働時間、残業時間
B-3:産業部門ごとの平均時給と平均週給
B-4:産業部門別の給与インデックス
B-5:産業部門別の女性の雇用状況
B-6:作業員、非スーパーバイザー職の雇用者数
B-7:作業員、非スーパーバイザー職の労働時間、残業時間
B-8:作業員、非スーパーバイザー職の平均時給、週給
B-9:作業員、非スーパーバイザー職の給与インデックス

 

まとめ


このように、米国の雇用統計は膨大なデータから構成されています。

ニュースなどで報じられるのがこの中の数個の主要なデータのみです。

概要を抑えるだけであれば、この主要な数字のみチェックしておけば、大きな問題はありませんし、この膨大な雇用統計のデータを全て細かくチェックしたからといって相場に勝てるというものでもありません。

ただし、普段より少し踏み入れてチェックを行うと、より深く米国の労働市場の状況を把握することができ、大きな状況の変化にいち早く気づくことができるかもしれません。

興味のある方は、お時間のあるときにじっくりとチェックしてみましょう。


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