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【速報】8月米CPIはコア前月比が予想上振れ 結果の内訳と今後のドル円・ゴールドの見通し

マーケットレポート

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日本時間9月11日(金)21時30分に発表された2026年8月の米消費者物価指数(CPI)は、総合が前年比+3.4%と市場予想通りだった一方、注目のコアCPI(食品・エネルギーを除く)の前月比が+0.3%と市場予想(+0.2%)を上回りました。本記事では結果の内訳をチャートで整理し、発表後の値動きを踏まえた今後のドル円(USD/JPY)ゴールド(XAU/USD)の見通しを解説します。

結果ハイライト

総合CPI 前年比
+3.4%
予想+3.4%/前回+3.4%
総合CPI 前月比
+0.4%
予想+0.4%/前回+0.1%
コアCPI 前年比
+2.4%
予想+2.4%/前回+2.5%
コアCPI 前月比
+0.3%
予想+0.2%を上回る/前回+0.2%

発表直後の市場の反応

  • ドル円(USD/JPY):発表前154円ちょうど近辺 → 一時154.47円近辺へ急伸した後に急反落(発表15分後:153円台半ば)
  • ゴールド(XAU/USD):発表前4,330ドル近辺 → 一時4,290ドル台へ急落した後に切り返し(発表15分後:発表前を上回る4,360ドル台)

発表直後のドル円(USD/JPY)1分足の値動き

発表直後のドル円(USD/JPY)1分足の値動き
発表直後のドル円(USD/JPY)1分足の値動き(9月11日21時30分前後)

発表直後のゴールド(XAU/USD)1分足の値動き

発表直後のゴールド(XAU/USD)の1分足の値動き
発表直後のゴールド(XAU/USD)1分足の値動き(9月11日21時30分前後)

8月米CPIの結果の詳細

総合CPIの前年比は+3.4%と7月から横ばいで、市場予想通りの結果でした。前月比では+0.4%と7月(+0.1%)から加速し、ガソリン(前月比+3.9%)だけで総合の上昇の3分の1超を占めています。一方、コアCPIの前年比は+2.4%と前年の反動(ベース効果)で小幅に鈍化しましたが、前月比は+0.3%と市場予想(+0.2%)を上回りました。ヘッドラインの落ち着きとは裏腹に、基調的なインフレの粘り強さを示す内容です。

米・消費者物価指数(CPI)の前年比推移 総合CPI(前年比)コアCPI(除く食品・エネルギー) 01234FRB目標 2%総合 +3.4%コア +2.4%24/1025/125/425/725/1026/126/426/7 出所: 米労働省(BLS) ※前年比は原数値。25/10分は政府閉鎖の影響で未公表

コア前月比の中身:市場が見た小数第2位

米・コアCPIの前月比と3ヶ月移動平均 コアCPI前月比3ヶ月移動平均 0.00.10.20.30.40.50.6未公表未公表+0.20+0.38+0.21-0.02+0.22+0.29年率2%ペース(月+0.17%)24/1025/125/425/725/1026/126/426/7 出所: 米労働省(BLS) ※季節調整済み。最新月をオレンジで強調。25/10分は政府閉鎖の影響で未公表

市場が最も注目したコアCPIの前月比は+0.3%(詳細値+0.29%)と、市場予想(+0.2%)を上回りました。年率2%目標と整合的なペース(月+0.17%程度)を大きく上回る伸びで、6月に一度ゼロ近辺まで落ちた3ヶ月移動平均も再び上向いています。発表直後の市場は上振れに素直に反応してドル買いが先行しましたが、その持続時間は15分足らずでした。

項目別の動き:何が上げ、何が下げたか

米CPI・主要項目の前月比(2026年8月) -0.5+0.0+0.5+1.0+1.5+2.0医療サービス-0.25衣料+0.02食品+0.12新車+0.25住居費+0.26コアCPI(参考)+0.29中古車+0.37総合CPI(参考)+0.40輸送サービス+0.45エネルギー+2.10 出所: 米労働省(BLS) ※季節調整済み、%

項目別では、ガソリン(前月比+3.9%)を中心にエネルギーが+2.1%と総合を押し上げました。コアの内訳では、通信、宿泊、航空運賃、教育、中古車(+0.4%)が上昇した一方、医療と自動車保険は低下しています。そしてプレビューで最大の注目点とした住居費は+0.3%と、7月(+0.1%)から再加速しました。コアの上振れの主因はこの住居費であり、「鈍化が続くか」という事前の問いに対する答えは、いったん足踏み、でした。

インフレの質:住居費とサービスの粘着性

物価の中身は、大きく「財(モノ)」と「サービス」に分けられます。家電や衣料、自動車といった財の価格は、輸入品の値段や生産コストの影響で上がったり下がったりしやすい項目です。一方、外食や医療、家賃といったサービスの価格は人件費や住居費と結びついているため、一度上がるとなかなか下がりません。この下がりにくさは「価格の粘着性」と呼ばれ、FRBがインフレの先行きを判断する際に、財よりもサービスの動きを重視する理由となっています。つまり、同じ物価上昇でも「財が主導なら一時的で収まりやすく、サービスが主導なら長引きやすい」というのが、インフレの質を見るときの基本的な考え方です。

米CPI・コア財とコアサービスの前年比 コアサービスうち住居費コア財 -2-1012345コアサービス +3.0%住居費 +3.0%コア財 +0.7%24/1025/125/425/725/1026/126/426/7 出所: 米労働省(BLS) ※前年比は原数値。25/10分は政府閉鎖の影響で未公表

コア財の前年比は+0.7%と落ち着きが続く一方、住居費を含むコアサービスは+3.0%と高止まりしています。インフレ低下シナリオの前提だった住居費の鈍化が足踏みしている点は、「基調インフレはまだ2%への道筋に乗っていない」というタカ派の主張を補強しやすく、来週のFOMCを前に利上げの根拠を強める材料と受け止められます。

住居費の中身:家賃と帰属家賃の減速は続いているか

住居費はCPI全体の3分の1超を占める最大の項目で、米国のインフレの行方は住居費次第と言われるほど影響力があります。内訳は、借家に住む人が払う「家賃」と、持ち家に住む人が「自分の家を借りるとしたらいくら払うか」を家賃に換算した「帰属家賃」に分かれ、ウエートの大半は帰属家賃です。もうひとつ知っておきたいのが反映の遅れです。CPIの家賃は新規契約だけでなく既存の契約も含めた平均のため、いま市場で起きている家賃の変化が統計に表れるまで1年前後かかるとされます。チャートで見える減速は、少し前から続く市場家賃の落ち着きを遅れて映したものであり、この流れが今後も続くかどうかがコアサービス、ひいてはインフレ全体の見通しを左右します。

米CPI・家賃と帰属家賃の伸び(前月比・3ヶ月平均) 住居費全体家賃帰属家賃 0.00.10.20.30.4住居費全体 +0.17%家賃 +0.19%帰属家賃 +0.23%24/1025/125/425/725/1026/126/426/7 出所: 米労働省(BLS) ※季節調整済み。政府閉鎖(25/10未公表)前後は平均を計算できず線が途切れる

住居費全体は前月比+0.3%と、7月(+0.1%)から再加速しました。ただし中身を見ると、家賃(+0.19%)と帰属家賃(+0.23%)の3ヶ月平均はいずれも減速傾向を保っており、単月の再加速は宿泊費など家賃以外の項目が主導しています。家賃系の鈍化がなお生きている点は数少ない安心材料ですが、住居費はコアサービスの約6割を占めるだけに、全体の再加速が続くようだと、コアCPIが2%と整合的なペースへ戻る道筋は遠のきます。

川上の物価圧力:PPIとの乖離

米・生産者物価(PPI)と消費者物価(CPI)の前年比 PPI(最終需要)総合CPI 0123456PPI(最終需要) +5.4%総合CPI +3.4%24/1025/125/425/725/1026/126/426/7 出所: 米労働省(BLS) ※前年比は原数値。25/10分は政府閉鎖の影響で未公表

前日に発表された8月の生産者物価指数(PPI)は前年比+5.4%と市場予想(+5.3%)を上回り、消費者物価(+3.4%)を大きく上回る伸びが続いています。川上のコスト上昇がどこまで川下の消費者価格へ転嫁されるかは今後のCPIの上振れリスクです。今回の内訳では、コア財の前月比は+0.1%と目立った転嫁はまだ確認できませんが、ガソリン経由の押し上げはすでに総合に表れており、PPIとの乖離が大きいままである分、上振れリスクは残り続けます。

金融政策への影響

今回の結果を受けて、9月FOMC(9月15〜16日)での0.25%利上げの織り込みは発表前の71.5%から85.6%へ上昇しました(※参照元:CME FedWatchツール、9月11日22時時点)。FOMCまで残る主要指標は16日(水)の米小売売上高のみとなり、利上げはほぼ既定路線です。市場の焦点は利上げの有無そのものから、声明とウォーシュ議長の会見が示す「その先のペース」へ移りつつあり、とりわけ今回再加速した住居費をFRBがどう評価するかが注目されます。

今後のドル円(USD/JPY)の見通し

発表直後のドル円は、コア前月比の上振れを受けたドル買いで発表前の154円ちょうど近辺から一時154.47円近辺まで急伸しました。しかしドル買いは長続きせず、その後わずか15分ほどで153円台半ばまで反落する「行って来い」の展開となりました。利上げ観測を後押しする結果にもかかわらず上値を維持できなかったことは、日銀会合(9月17〜18日)での利上げをほぼ織り込んだ円買い圧力の強さを裏付けています。執筆時点では153.6円台で推移し、1時間足ではボリンジャーバンドのミッドバンドを再び下抜けています。

USD/JPY 1時間足チャート
USD/JPY 1時間足(ボリンジャーバンド±2σ、9月11日発表前後〜執筆時点)

9月11日21時45分時点のオーダーブックを見ると、オープンオーダー(未約定注文)は買いが52.06%、売りが47.94%と発表前(買い51.37%)から大きな変化はありません。現在値(153.62円近辺)の上は154円台後半から155円にかけて戻り売りの指値が厚く、特に155円ちょうど近辺のまとまった売りが引き続き上値の壁です。下は153円ちょうどと152円ちょうどに大きめの買い指値が控えています。一方、オープンポジションの売買比率はロング67.39%、ショート32.61%と発表前からほぼ横ばいですが、発表後の下落によって153円台後半から154円台で買ったロングの多くが含み損に転じました。戻り局面ではこれらの買い方の戻り売りが上値を抑えやすい構図です。

USD/JPYオープンオーダーとオープンポジション(発表後)
USD/JPYのオープンオーダー(左)とオープンポジション(右)(9月11日21時45分時点)

最新のOANDAのオーダーブックの状況はこちら

直近1週間の通貨強弱チャートを見ると、発表後も円の独歩高がむしろ加速しています。上振れのCPIを受けてもドルは小幅高にとどまり、円は週間で最強の座を一段と固めました。「米国のタカ派材料より日銀の利上げ観測」という円主導の構図が発表をまたいで維持されており、来週のFOMC(9月15〜16日)と日銀会合(9月17〜18日)を前に、この流れを覆すにはFOMC側のサプライズが必要な情勢です。

直近1週間の通貨強弱チャート
直近1週間の通貨強弱(9月11日21時45分時点)

最新のOANDAの通貨強弱チャートはこちら

USD/JPY 日足チャート
USD/JPY 日足(SMA21・75・200、RSI14)

日足では21日・75日・200日移動平均線をすべて下回り、9月に入ってからの円高トレンドが継続しています。上値は154円台半ばから155円にかけての戻り売りゾーン(オーダーブックの売り注文帯)、下値は大きめの買い指値が並ぶ153円ちょうど、その先は152円ちょうどが意識されやすい水準です。来週はFOMCと日銀会合が連続します。米利上げと日銀利上げがともに実現すれば方向感は出にくい一方、どちらかが市場の織り込みを裏切った場合は、153円〜155円のレンジを抜ける大きな動きに警戒が必要です。

今後のゴールド(XAU/USD)の見通し

発表後のゴールドは、金利上昇を嫌気した売りで一時4,290ドル台へ急落したものの、ドル買いが失速するとすぐに切り返し、発表前を上回る4,360ドル台へ上昇しました。「上振れCPI=金利上昇=ゴールド売り」という教科書通りの反応が続かなかったのは、ドルの上値の重さに加えて、FOMCを前にした持ち高調整の買いがゴールドを支えているためとみられます。利上げが織り込み通り実施されても、材料出尽くしでゴールドが買い戻される展開には注意が必要です。

XAU/USD 日足チャート
XAU/USD 日足(SMA21・75・200、RSI14)

日足では8月下旬の戻り高値4,690ドル近辺から調整が続き、足元は21日移動平均線(4,450ドル近辺)が上値の目安です。下値は75日移動平均線が通る4,250〜4,300ドル近辺が支えとなりやすく、FOMCを通過するまでは4,300〜4,450ドルを中心としたレンジを想定します。

まとめ

  • 8月米CPIは総合+3.4%と予想通りの一方、注目のコア前月比は+0.3%と予想(+0.2%)を上回った
  • 内訳はガソリンが総合を押し上げ、住居費が+0.3%と再加速。サービスの粘着性を再確認する内容
  • 9月FOMCの利上げ織り込みは71.5%→85.6%へ上昇し、利上げはほぼ既定路線に。来週はFOMC(9/15〜16)→日銀会合(9/17〜18)の連戦
  • ドル円は急伸後に反落する「行って来い」。上値154円台半ば〜155円・下値153円〜152円が目安。ゴールドは4,300〜4,450ドルのレンジを想定

▶ 発表前の注目点・市場予想の解説はこちら:米CPI(2026年8月)予想と注目点

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