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損益分岐点(そんえきぶんきてん)とは|意味・計算方法などをわかりやすく解説


損益分岐点(そんえきぶんきてん)とは、費用と売上(収益)が等しく、利益も損失も出ていないゼロの状態を指します。

ビジネスや投資において、「どの段階から利益が出始めるのか」を把握するために活用されます。

本記事では、損益分岐点の意味や計算方法などをわかりやすく解説します。

損益分岐点とは

はじめに、損益分岐点の基本的な意味と、一般的なビジネス、FXや投資における特徴について解説します。

  • ・損益分岐点の定義
  • ・一般的なビジネスでの意味
  • ・FXや投資における損益分岐点の特徴

損益分岐点の定義

損益分岐点とは、ビジネスや投資において費用と売上(収益)が等しく、利益も損失も出ていないゼロの状態を指します。

利益と損失が分岐するポイントという意味を持ち、これを上回ると黒字(利益が出る)、下回ると赤字(損失が出る)になります。

英語では「Break Even Point(ブレイクイーブンポイント)」と呼ばれます。

一般的なビジネスでの意味

ビジネスにおいて、損益分岐点は「費用(固定費、変動費)」と「売上高(収益)」が等しくなる売上水準を指します。

ビジネスでかかる費用には以下の種類があり、これを上回る売上高があれば利益となります。

費用の種類 内容
固定費 売上に関係なく発生する費用 家賃、人件費、設備費など
変動費 売上に比例して変動する費用 材料費、販売手数料など

下図のように、損益分岐点売上高が費用(固定費+変動費)を上回れば利益、下回れば損失となります。

損益分岐点_ビジネスの意味_20250623

損益分岐点を把握することで、最低限どれだけの売上を確保すれば赤字にならないかが明確になり、経営の安定化や効率的な資源配分に役立てることができます。

FXや投資における損益分岐点の特徴

FXや投資においては、購入価格に取引コスト(スプレッド、手数料、信託報酬など)を加えた価格水準が、実質的な損益分岐点となります。

利益を得るには、この損益分岐点を上回る価格変動が必要です。

損益分岐点を把握することは、許容する損失の範囲や目標とすべき利益水準を考える材料となり、エントリーや決済のポイントを戦略的に設定しやすくなります。

取引戦略の構築やリスク管理に欠かせない要素であると考えられます。

損益分岐点の計算式

ここでは、ビジネス分野とFX分野における損益分岐点の計算式(考え方)について解説します。

  • ・ビジネスでの考え方
  • ・FXでの考え方

ビジネスでの考え方

ビジネス分野における、基本的な計算式は以下の通りです。

損益分岐点の計算式_ビジネスでの考え方_20250623

なお、変動費率とは売上高に比例して増減する費用の割合、限界利益率とは売上高に占める限界利益(売上高から変動費を差し引いた利益)の割合です。

FXでの考え方

FX取引では、実質的な取引コストとなるスプレッドが存在するため、エントリー価格にスプレッド分を加味した価格が、損益がプラスマイナスゼロになる損益分岐点となります。

損益分岐点を求める計算式は、買いエントリーロングポジション)と売りエントリー(ショートポジション)で異なります。

具体的な計算式は以下の通りです。

損益分岐点の計算式_FXでの考え方_20250623

FXでは、為替レートがスプレッド以上に有利な方向に動かなければ、損益はプラスにならないことを意味します。

なお、複数ポジションを保有している場合は、各ポジションの取得価格と取引数量を加味した「加重平均価格(平均取得価格)+ スプレッド」で求めます。

FXにおける損益分岐点の重要性

ここでは、FXにおける損益分岐点の重要性を3つの観点から解説します。

  • ・スプレッドとの関係
  • ・リスク管理との関係
  • ・建値ストップの活用法

スプレッドとの関係

FXでは、スプレッドが損益分岐点に大きく影響します。

スプレッドが広いほど、買いでも売りでも取引開始時点でその分だけ不利な価格からスタートするため、利益が出るまでに必要な値幅が大きくなります。

一方、スプレッドが狭いほど損益分岐点までの値幅は小さくなり、わずかな値動きでも利益を確保しやすくなります。

このため、FX取引ではスプレッドの狭い通貨ペアや時間帯を選ぶことが大切です。

特に、スキャルピングのような短期トレードほど、スプレッドの影響が大きくなります。

リスク管理との関係

損益分岐点は、リスク管理にも深く関係します。

例えば、損益分岐点までの値幅が広い場合、利益が出るまでに価格が大きく動く必要があり、その間に損失が膨らむリスクも高まります。

反対に、損益分岐点までの値幅が狭ければ、比較的小さな価格変動でも利益が出やすくなり、損失の拡大を抑えやすくなります。

また、複数ポジションを保有する場合、ポジションを通算した損益分岐点や損益を把握することで、その後のポジション追加や部分決済、追加入金などの判断材料になります。

損益分岐点を意識することで、必要以上に大きなポジションを取ってしまうリスクや、想定外の値動きによる損失を回避しやすくなります。

建値ストップの活用法

エントリー後に、価格が思惑通り変動して含み益が出ているときに、ポジションを建てた価格+スプレッドを上回る水準に損切り注文を設定すれば、以降の損失を回避できることを意味します。

これを建値ストップ(建値決済)と呼びます。

損益分岐点を把握しておくことで、この建値ストップが実行できます。

複数ポジション保有時の部分決済後、残りのポジションに適用するなどの場面で活用できます。

リスクリワード比率と損益分岐点の関係

FXのトレードを管理する考え方において、リスクリワード比率(損益比率)と損益分岐点は重要な要素です。

ここでは、その関係性について解説します。

  • ・リスクリワード比率とは
  • ・リスクリワード比率と勝率の関係

リスクリワード比率とは

リスクリワード比率は、受け入れるリスク(損切り値幅)に対して、どれくらいのリワード(利益値幅)を追求するかを表す指標です。

リスクとリワードの比率が等しい場合、リスクリワード比率は「1」で、勝率が50%ならば利益も損失も出ない(損益分岐点)計算となります。

リスクリワードに関しては、「FXのリスクリワードとは|意味・計算式や目安について解説」で詳しく解説しています。

リスクリワード比率と勝率の関係

リスクリワード比率の値が決まっている場合、損益分岐点となる勝率を計算できます。

リスクリワード比率と勝率の関係_20250623

前述の通り、リスクリワード比率「1」の損益分岐点は、勝率50%です。

リスクリワード比率が「1」を上回るほど必要勝率は低くなり、一方「1」を下回るほど必要勝率が高くなります。

下図は、リスクリワード比率と勝率の関係を表したものです。

リスクリワード比率と勝率の関係2_20250623

取引スタイルに応じて「高勝率・低リスクリワード戦略」か「低勝率・高リスクリワード戦略」を考えることが推奨されます。

損益分岐点を引き下げるナンピン戦略

ナンピンとは、ポジション保有後に価格が逆行した際、追加で同方向のポジションを建てることです。

これにより平均取得単価(損益分岐点)が引き下がる効果を得られます。

そのため、最初のポジション保有時よりも少ない値幅の戻りで、含み損を解消できる期待ができます。

ただし、ナンピンには「さらに価格が逆行すると損失が拡大する」「より多くの資金が拘束される」などのリスクがあるので、慎重な判断が求められます。

ハイリスクな手法であることを理解し、事前に計画を立てたうえで慎重に実践することが大切です。

ナンピンに関しては、「ナンピン(難平)とは|ナンピン買い・ナンピン売りの意味や注意点を解説」で詳しく解説しています。

【まとめ】損益分岐点(そんえきぶんきてん)とは|意味・計算方法などをわかりやすく解説

損益分岐点(そんえきぶんきてん)とは、ビジネスや投資において費用と売上(収益)が等しく、利益も損失も出ていないゼロの状態を指します。

この水準を把握することで、どれくらいの売上や価格変動があれば利益が生まれるのかがわかり、経営判断や投資戦略に役立つ重要な指標となります。

FX取引の損益分岐点を意識することは、資金管理をより効果的に行ううえで重要です。

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