農産物商品の基礎

大豆の需給相場期|圧搾や輸出、期末在庫の見方などを解説


圧搾


大豆の収穫が始まり、これが市場に出回るようになると、輸出向け需要も拡大し「需給相場期」(10月~3月)に移行します。この期間は、二大需要としての圧搾と輸出のペースが注目されますが、輸出は圧搾よりも価格弾力性が大きく、年によって増減幅が相対的に大きいのが特徴です。

圧搾とは、大豆(原料)をつぶして製品の大豆油と大豆ミールを生産することで、搾油とも呼びます。大豆油は代表的な食用油の主原料、大豆ミールは高タンパク飼料となります。圧搾は、一般には大豆油よりも大豆ミール生産の色彩が強いため、大豆ミールの消費が伸びれば圧搾量も増える傾向があります。

圧搾については、全米油糧種子加工業者協会(NOPA)から月間の統計データが発表されます。なお、NOPAは全米の大豆圧搾量の大部分を占める民間業者が結成した協会であり、その統計データは重要な指標です。


輸出


米国大豆の輸出量は、生産量やそれに伴う相場水準、アジアを中心とする消費動向、さらには南米産の生産動向などに大きく影響されます。季節的には、収穫後の新穀出回り期(10月~12月)に輸出のピークを形成し、南米産の出回りが本格化してくる4月から夏場の端境期(はざかいき)にかけてはペースが徐々に落ち込んできます。

輸出の統計データで最も注目されるのは、週間の「輸出検証高」と「輸出成約高」です。検証高は輸出検査されて船積みされた数量で、木曜日集計の翌月曜日に発表され、成約高は成約(買い付け)された量で、木曜日集計の翌木曜日に発表されます。成約は契約ベースの統計であるため、キャンセルが新規成約を上回れば、ネット(差引)でマイナスの数値になることもあります。

米国大豆需給統計

※大豆図表_米国大豆需給統計


期末在庫


米農務省(USDA)が発表するさまざまな統計の中で、重要な統計の一つが米国大豆の需給統計です。これは年間を通じて毎月発表され、大豆のファンダメンタルズ(需給の基礎的要因)を分析する上で、最も基本となるデータです。総供給から総需要を差し引いたのが、期末在庫です。米国大豆の市場年度は9月~翌年8月であるため、期末在庫は8月31日現在の在庫量となります。

期末在庫を総需要で割った比率を、期末在庫率または在庫率と呼びます。この在庫率は需給のひっ迫や緩和の判断の指標となり、米国大豆の場合、一般的に10~15%が適正レンジ、10%を下回ればひっ迫、15%を上回れば過剰とされています。

米国大豆在庫率

※大豆図表_米国大豆在庫率


四半期在庫


USDAは3月、6月、9月、12月の年4回、それぞれ1日現在の全米総在庫を発表します。3月から9月まではその月の月末発表ですが、12月のみは翌年1月中旬に最終生産高報告と同時に発表されます。

四半期在庫の数字が市場の予想より大幅に食い違うことがあると、前年の生産量が過大(または過小)に見積もられていることになり、その場合は後日、生産量の修正が行われます。9月1日在庫の数字は、旧年度の期末在庫の確定値になり、同時に新年度の期初在庫(繰越在庫)にもなります。


本記事の監修者・佐藤りゅうじ


1968年生まれ。1993年米大卒業後、1995年2月株式会社ゼネックス入社。アナリストとしてマクロ経済分析をはじめ、原油、天然ゴム、小麦などの商品市場、また為替市場、株式市場のアナリストリポートの執筆、トレードに携わる。2010年1月エイチスクエア株式会社を設立。

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