農産物商品の基礎

砂糖の歴史や生産方法、商品特性などの基礎知識を詳しく解説


歴史


砂糖の歴史は古く、紀元前5世紀には既に「甘しゃ」の原産地であるインドで甘しゃの茎から砂糖を採ったという記録があり、これが甘しゃ糖使用の始まりとされています。この砂糖は、アレキサンダー大王のインド遠征(紀元前327~325年)によって欧州にもたらされ、その後に中近東諸国、ペルシャ、中国(唐)などでも栽培されるようになったといわれています。

また、1493年ごろ、コロンブスが第二回渡航の際、カナリヤ諸島から甘しゃの苗を西インド諸島へ移植したと伝えられています。これが現在のキューバおよびハワイにおける砂糖生産の由来です。

日本に砂糖が伝来したのは、753年(天平勝宝5年)孝謙天皇の時代で、唐の僧鑑真が朝廷への献上品として黒砂糖を持参したのが始まりといわれています。国内で初めて栽培されたのは慶長年間(1596~1614年)といわれ、琉球・奄美大島などで黒糖(黒砂糖のこと)が盛んに生産されました。栽培が盛んに行われるようになったのは江戸時代中期以降で、幕府の保護奨励により製造法もいろいろと研究され、四国、九州、本州でも生産されるようになりました。これらは「和糖」と呼ばれ、幕末には1万5,000トン以上にも達していたようです。

明治維新以後は外国からの輸入が盛んになり、琉球や奄美大島で生産される黒糖を除き、国内での砂糖生産はほとんど壊滅してしまいましたが、1894年の日清戦争の結果、台湾を領有することにより台湾に製糖業が興されて近代糖業が始まりました。その後、1938~1939年ごろには130万トンの生産を記録しています。

しかし、1945年の第二次世界大戦の敗北により、台湾を含めて一切の海外領土を失ったため、戦後は自給自足体制が崩れて大部分を輸入に依存することになりました。

以上が甘しゃ糖の歴史ですが、ビート(てん菜)糖はドイツが原産地と伝えられています。18世紀末の英仏戦争によって植民地貿易が大打撃を受け、ナポレオンがブドウ糖やてん菜糖の製造を奨励した結果、ビート栽培が現在のように発達したといわれています。


商品特性


砂糖は、甘しゃ(砂糖きび)とビート(てん菜)から生産されます。砂糖の原料となる甘しゃは収穫された後、圧搾し糖汁を取り出します。糖汁を煮詰めて結晶化させたものが砂糖です。砂糖は、茶色または黄色ですが、不純物を含んでいるため精糖工場で精製し、精製糖に加工されます。

甘しゃは、高温多湿を好む亜熱帯植物で、インドなどの南アジアからタイ、フィリピンにかけての東南アジアとブラジル、キューバにかけての中南米地域が主要な生産地です。ビ-トは、温帯の中部から北部にかけての比較的涼しい地域で作られます。


本記事の監修者・佐藤りゅうじ


1968年生まれ。1993年米大卒業後、1995年2月株式会社ゼネックス入社。アナリストとしてマクロ経済分析をはじめ、原油、天然ゴム、小麦などの商品市場、また為替市場、株式市場のアナリストリポートの執筆、トレードに携わる。2010年1月エイチスクエア株式会社を設立。

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