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FX、CFD用資産シミュレーションツールを使って資金管理について考える


FX、CFD用資産シミュレーションツールとは?


OANDAでは、FX、CFD取引において口座資産がどのように変化するかを簡易的にシミュレーションすることができるツール「FX、CFD用資産シミュレーションツール」をウェブ上で提供しています。

このツールでは、取引開始時の口座資産、1回のトレードで想定している損失、利益のほか、勝率等を入力すると、その情報を元に、一定件数のトレードを行った場合の資産の推移をグラフでチェックすることができます。

具体的なシミュレーションの方法は、指定した勝率を元にランダムに抽選を行い、勝敗結果を算出し、その結果を元に想定する利益額、損失額を口座資産に増減しています。

このため、シミュレーションでは勝率50%と設定した場合、結果的に勝率50%になるとは限りません。

また、口座資産の指定した水準まで資産が減少した場合を破産とみなし、シミュレーションを停止する機能も装備されており、設定したトレード内容でトレードを続けた際に破産水準まで到達する確率、最短で破産に到達するトレード件数をチェックすることができます。

 

【シミュレーション結果詳細の表示例】

このシミュレーションは、シンプルな計算上の数字ですが、①リスクリワード比率と勝率1回のトレードで想定する口座資産に対するリスクという点に注目すると、収益改善に向けたヒントになるかもしれません。

 

リスクリワード比率と勝率


リスクリワード比率と勝率とは?

リスクリワード比率とは、平均利益÷平均損失で算出した数値です。

リスクリワード比率が1であれば平均利益と平均損失が同じ値、1を超えると、平均利益の方が大きく、1を割り込むと平均損失の方が大きいということを示しています。

このシミュレーションツールでは、固定損益で計算した場合は1回のトレードで想定している利益÷1回のトレードで想定している利益でリスクリワード比率を算出しています。(変動損益の場合は口座残高により損益が変動するため、固定したリスクリワード比率にはならないので、ここでは、基本的な固定損益で計算した場合を使用してご案内します。)

勝率は勝ちトレード÷全トレード数で導かれる一般的な勝率です。

FXやCFDのトレードにおいては、このリスクリワード比率と勝率の組み合わせが、安定した収益を狙うことができるかの分かれ道となります。

まずは、損益の分かれ目となりそうな、リスクリワード比率が1(平均利益と平均損失が同じ)、勝率が50%でシミュレーションした結果を見てみましょう。

この条件でシミュレーションした場合は、平均的には横ばいとなり、勝敗の偏りにより、上下に結果が振れる結果となりました。負けが増えた場合には口座資産が半分になってしまうケースも見られます。

 

【リスク1%、利益(リターン)1%、勝率:50%、破産水準:50%、固定損益の場合の例】

次に、リスクリワード比率を1.2、勝率50%とリスクリワード比率を少し上げた場合のシミュレーション結果を見て見ましょう。

この場合、平均的には右肩上がりとなり、利益が出る可能性が高いことを示しています。このように同じ勝率でもリスクリワード比率を少しでも上げることができれば、利益が出る可能性を高めることができます。

【リスク1%、利益(リターン)1.2%、勝率:50%、破産水準:50%、固定損益の場合の例】

これに対し、リスクリワード比率を0.8と少し下げた場合のシミュレーション結果を見ると、右肩下がりとなり、全てのケースで口座資産が50%を割り込む結果となりました。

この結果からは、リスクリワード比率が少し下がると、勝率50%では利益を上げるのが難しく資産を大きく減らしてしまう可能性が高いという結果になりました。

【リスク1%、利益(リターン)0.8%、勝率:50%、破産水準:50%、固定損益の場合の例】

リスクリワード比率を下げた状態で、利益を出すためには、勝率を上げるしかありません。

次のシミュレーション結果はリスクリワード比率を0.8のまま、勝率を60%まで上げた場合のシミュレーション結果です。この場合緩やかな右肩上がりの結果となりました。

この結果から、リスクリワード比率が0.8の戦略であれば、60%以上の勝率であれば、利益を出すことができる可能性が高いようです。

【リスク1%、利益(リターン)0.8%、勝率:60%、破産水準:50%、固定損益の場合の例】

さらにリスクリワード比率を下げた場合はどうでしょうか?

次のシミュレーション結果はリスクリワードレシオを0.5まで下げ、勝率60%の場合のシミュレーション結果です。

この場合、ほとんどのケースで口座資産が半分を割り込む結果となりました。

リスクリワード比率を0.5まで下げる場合は、勝率が60%でも利益を出すのは難しいということになります。

【リスク1%、利益(リターン)0.5%、勝率:60%、破産水準:50%、固定損益の場合の例】

リスクリワード比率を0.5、勝率を70%でシミュレーションすると、緩やかな右肩上がりの結果となり、緩やかな右肩上がりのグラフとなります。

このように、リスクリワード比率を0.5まで下げるのであれば、70%以上の勝率でないと利益を上げるのは難しいようです。

【リスク1%、利益(リターン)0.5%、勝率:70%、破産水準:50%、固定損益の場合の例】

続いて、リスクリワード比率を高くした場合も見てみましょう。

次のシミュレーションはリスクリワード比率を1.5、勝率を45%に設定した場合のシミュレーションです。リスクリワード比率を1.5まで引き上げると、勝率が5割を割り込んでも利益を出すことができそうです。

【リスク1%、利益(リターン)1.5%、勝率:45%、破産水準:50%、固定損益の場合の例】

さらにリスクリワード比率を上げ、2.0とすると、勝率を40%まで下げても緩やかな右肩上がりとなり、ほとんどのケースで利益が出ています。

【リスク1%、利益(リターン)2.0%、勝率:40%、破産水準:50%、固定損益の場合の例】

 

リスクリワード比率と勝率の関係性

これまで見たように、リスクリワード比率が高い場合は、勝率が低くても利益を上げることができるのに対し、リスクリワード比率が低い場合は、利益を上げるためには高い勝率が必要になるという関係です。

また、トレーダーが、リスクリワード比率を上げようとすると、勝率が下がりやすく、リスクリワード比率を下げると勝率が改善する可能性が高くなるという関係でもあります。

つまり、より大きな利益を狙ったトレードを行うと、基本的には難易度が高まるので、勝率は低下しやすく、リスクリワード比率を下げ、1回のトレードにおいて狙う利益を下げれば、基本的には難易度は下がり、勝率は上昇しやすいということです。

安定的に利益を上げるためには、このリスクリワード比率と勝率のバランスが大事になりますが、リスクリワード比率と勝率のうち、トレーダーがコントロールしやすいのは、リスクリワード比率の方です。損切り注文と利益確定注文をしっかりと入れることで、リスクリワード比率をコントロールできます。

どのようなトレードを行うかはトレーダーの裁量ですが、このリスクリワード比率と勝率をしっかりと意識しながらトレード戦略を考えることができれば、安定した収益が近づいてくるかもしれません。


1回のトレードで想定する口座資産に対するリスク


リスクリワード比率と勝率の組み合わせにより、損益がどのように変化するかをご紹介してきましたが、もう一つ重要なのが1回のトレードにおけるリスクです。

トレードでは、同じリスクリワード比率、勝率であっても1回のリスクをどの程度までとるかで破産リスクが大きく変化します。

次のシミュレーション結果はリスクを1%、利益(リターン)を1.2%、勝率が50%と設定したものを、変動損益でシミュレーションしたものです。

変動損益の場合は、1回のトレードにおけるリスクをトレード毎に口座残高対して1%、利益(リターン)を1.2%になるように計算してシミュレーションを行うので、口座資産が増えたら、リスク・利益(リターン)を共に増やし、口座資産が減ったら、リスク・利益(リターン)の金額を減らしてトレードを続ける方法です。

この場合、平均は緩やかな右肩上がりとなり、破産回数は0となりました。

 

【リスク:1%、利益(リターン):1.2%、勝率:50%、破産水準:50%、変動損益の場合の例】

次に、1回のトレードにおけるリスクを2倍の2%、利益(リターン)も2倍の2.4%、勝率は同じ50%にした場合の結果を見てみましょう。

リスクに併せてリターンも2倍に増やしたため、全体的に利益も増加しています。ただし、1回のトレードにおけるリスクを少し増やしたために、破産リスクも僅かですが、増えています。

投資の世界で1回のトレードのリスクを2%以内に抑えることで破産リスクを大きく下げることができるという「2%ルール」という言葉がありますが、今回のシミュレーションで口座資産が半分になったのは50回のうち1回のみでした。

1回のトレードリスクを2%までに抑えておけば、リスクはゼロではありませんが、ある程度破産リスクを軽減できそうです。

   

【リスク:2%、利益(リターン):2.4%、勝率:50%、破産水準:50%、変動損益の場合の例】

リスクを3%まで増やした場合は次の通りです。リスクにあわせて利益(リターン)比率も増やしたため、全体的に利益金額も増加していますが、破産回数も3回と増えています。

 

【リスク3%、利益(リターン):3.6%、勝率:50%、破産水準:50%、変動損益の場合の例】

それでは、リスクを5%まで増やした場合はどうでしょうか。同様にリスクにあわせて利益(リターン)比率も増やしたため、全体的に利益金額も増加していますが、破産回数も50回中11件まで増えています。

 

【リスク5%、利益(リターン):6%、勝率:50%、破産水準:50%、変動損益の場合の例】

このうように1回のトレードにおけるリスクを増やすと破産する可能性が増えていきます。

これは、良い売買ロジックを持っていたとしても、1回のリスクの比率が高いと、連敗が続くなど、運が悪く勝率が悪化したときに、資産を大きく減らしてしまい、回復が難しくなってしまう可能性があるということを示しています。

つまり、結果が出る前に資産が減ってしまい、回復が難しくなってしまうということです。

1回のトレードにおいて、どの程度のリスクをとるかは投資戦略にもよりますが、安定した収益のためにはポジションサイズを調整するなどして、1回のトレードリスクを減らした方が、安定した収益を狙いやすくなるようです。


まとめ


このように損益の比率や1回のトレードリスクに注目しながら資産のシミュレーションを行うと、FXやCFDの取引において口座資産に対してどの程度のリスクをとり、どの程度の利益、勝率を狙うべきかがイメージしやすいと思います。

普段のご自身のトレード内容と比較して、改善できる点がないかをじっくりと探ってみてはいかがでしょうか?

※シミュレーションの結果は勝率を元にランダムに主計しているので毎回結果は異なります。必ずこの結果になるというものではありません。

 
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