暗号資産(仮想通貨)の基礎

ブロックチェーンの鎖(くさり)の構造について解説【仮想通貨(ビットコイン)の基礎】


本連載の第五回の記事で「トランザクション形式」について解説しました。
トランザクションは送金1回毎のデータを記録する情報です。
ブロックチェーンのシステムではトランザクションを多く集めて「ブロック」というデータ構造の中に格納し、そのブロックを以前のブロックの後ろに追加して鎖がつながっていくかのような構造を作ります。
この構造を作るので「ブロックチェーン」と呼んでいるのです。
今回はブロックと鎖の構造を解説します。

トランザクションは誰に送られるのか

ビットコインを誰かに送金したい人は自分のパソコンでトランザクションを作成します。
そのトランザクションをマイナー(miner)と呼ぶブロックチェーン処理を実行するサーバに送ります。
マイナーのサーバは世界中に多くあり、中央の管理者という人はいません。
それぞれのマイナーが独自に責任を持ってブロックチェーンの計算処理を実行します。
初めて仮想通貨を手に入れるときは現実の通貨と仮想通貨を交換するのに交換所を使わなければならないので、自分で仮想通貨を送金したり受け取ったりする必要はありません。

しかし、そこで手に入れた自分の仮想通貨については自分のパソコンの上で送金処理ができます。
パソコンに「ウォレット」と呼ぶ仮想通貨用の財布プログラムを使って自分のパソコンからマイナーにトランザクションを送信できるのです。
ブロックチェーンの処理を実行するサーバはどのような仕事をしているのでしょうか。
1台のブロックチェーン処理サーバの動きを見ることによってブロックチェーンの構造を理解しましょう。

ブロックチェーン処理サーバはブロックの鎖を作る

プロックチェーン処理サーバにはトランザクションを多く受信して1個のブロックに格納するソフトウェアが動作しており、多くのブロックを記憶しておくハードディスクがあります。

ブロックチェーンの記憶構造

仮想通貨を送金したい人が作成したトランザクション(図中の「TX」)はインターネットを通してブロックチェーン処理サーバに送信されてきます。

ブロックチェーン処理ソフトウェアはそのトランザクションを受信して、通信エラーや悪意の改ざんなど、トランザクションに誤りが無いかを確認し、正しければ一定量のトランザクションを受信するまで次の処理を待っています。
インターネットから多くのトランザクションが到着して十分な数のトランザクションが集まるとブロックを作ります。
ブロックはいろいろな制御情報を格納するブロックヘッダと呼ぶ部分と、多くのトランザクションを記録するブロック本体と呼ぶ部分に分かれます。

トランザクションはマークルツリー構造というデータ形式でブロック本体に記録します。
この構造によりブロックの誤りや改ざんが効率よく検出できます。
トランザクションの記録が完了したブロックは、処理時点での最終ブロックの次にチェーン(鎖でつなぐようなイメージ)します。
具体的にはブロックヘッダの中に最終ブロックのブロック番号を格納して「自分のブロックの順番はこのブロックの次だぞ」と主張する構造になるのです。

ブロックチェーン処理サーバ内部の処理は上記の通りですが、1台のサーバの中で作成した新しいブロックは他の何千、何万台もいる他のサーバが作っているブロックと同じ内容にはなりません。
世界中で一つのブロックチェーンに統一するために、プルーフオブワークという処理を実行することにより、多くのブロックチェーン処理サーバ間を調整します。

次回からはブロックの構造についてもう少し詳しく解説していきます。

Provided by
上野 仁(Hitoshi Ueno)

1984年山梨大学大学院修士課程(計算機科学専攻)修了後、株式会社日立製作所入社。
システム開発研究所、エンタープライズサーバ事業部などで主としてコンピュータアーキテクチャおよび基本ソフトウェアの研究開発に従事。
2015年より第一工科大学東京上野キャンパス情報電子システム工学科教授に就任。
2023年より東京情報デザイン専門職大学教授。
生体信号処理に関するプログラム開発や種々の先端ソフトウェアついての調査研究に興味を持つ。
技術士(情報工学)。
博士(工学)。

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