用語解説

日銀短観とは|注目される項目の見方などをわかりやすく解説


日銀短観(全国企業短期経済観測調査)は、日本銀行(日銀)が全国の企業に行うアンケート調査であり、その集計結果をまとめた統計資料のことです。

全国の企業動向を把握して、金融政策の策定に生かすことを目的としています。

本記事では、日銀短観の計算方法や、DI(業況判断指数)などについて詳しく解説します。

日銀短観とは

日銀短観(全国企業短期経済観測調査)は日本銀行(日銀)が行うアンケート調査・統計資料のことで、企業の経済活動水準を把握することを目的としています。

1957年以来継続している統計調査で、各企業へのアンケート調査をもとに集計・公表されます。

  • ・調査目的・項目
  • ・特徴
  • ・調査対象企業

調査目的・項目

日銀短観の調査目的は、全国の企業動向を的確に把握して、金融政策の適切な運営に役立てることです。

調査項目の例は以下の通りです。

  • ・業況等の現状・先行きに関する判断
  • ・事業計画に関する実績・予測
  • ・物価の見通し
  • ・海外での売上など

特徴

日銀短観の特徴として、以下の諸点が挙げられます。

  • ・調査対象企業数が多いこと
  • ・調査から公開までの期間が短く、速報性が高いこと
  • ・日銀が金融政策決定にあたって参考にしていること
  • ・国内外からの注目度が高いこと

調査対象企業数が多く速報性が高いため、日本経済の現状を把握するのに適していると考えられます。

また、日銀が金融政策の策定にあたって参考にしているとされ、日銀の次の一手を知りたい市場参加者の注目を集めています。

調査対象企業

調査対象の企業は、資本金2,000万円以上の民間企業(約21万社)から、業種別・規模別の区分ごとに一定の基準を満たすように抽出された約9,000社です。

企業の実体経済を把握する目的のため、金融機関などを除くのが特徴です。

なお、業種は31種類(製造業17業種・非製造業14業種)、規模は3種類(大企業・中堅企業・中小企業)に分けられ、集計区分は合計で93種類に上ります。

また、日銀短観における大企業・中堅企業・中小企業の定義は以下の通りです。

企業の分類 資本金
大企業

10億円以上

中堅企業

1億円以上10億円未満

中小企業

2,000万円以上1億円未満

金融機関については、日銀短観を補完する調査として金融機関調査が実施されています。

日銀短観のDI(業況判断指数)

日銀短観で特に注目を集めるのはDI(ディフュージョン・インデックス)で、業況判断指数と呼ばれることもあります。

DIを見ると、日本の景気の現状や先行きについて把握しやすくなります。

  • ・計算方法
  • ・DIの見方
  • ・特に注目を集めるDI

計算方法

DIの値は、企業の回答を集計した上で、簡単な計算式で求められます。

業況や販売価格などを問う質問では、各社は3つの選択肢(1.良い、2.さほど良くない、3.悪い)から選択します。

それぞれの選択肢について全体に占める割合を算出し、「良い」の割合から「悪い」の割合を引いてDIを求めます。

DIは定性調査(数値化できない情報の調査)に基づくものであり、絶対値ではなく相対的な景況感の変化を捉える指標です。

例えば、集計結果が以下の表の場合、DIは10%ポイントになります(単位は「%ポイント」で示されることが多いですが、表やグラフなどでは省略されることもあります)。

選択肢 回答社数 割合
1.良い 30 30%
2.さほど良くない 50 50%
3.悪い 20 20%
合計 100社 100%
  • DIの計算式:
  • 30%-20%=10%ポイント

DIの見方

DIの見方として、最新の値と前回の値の差を比較する方法があります。

また、DIは各調査項目の長期的な推移の把握に向いており、グラフ化して傾向を分析可能です。

下のグラフは、大企業製造業業況判断(DI)と景気基準日付の関係を示したものです。

薄紫部分は景気後退期であり、DIの推移と景気の間に関連性を確認できます。

DIの見方_20250422

データ引用元:日本銀行

特に注目を集めるDI

DIは業種別・企業規模別に公表されており、特に注目を集めるのは大企業製造業業況判断(DI)です。

特に大企業製造業は輸出や設備投資との関連が強く、日本経済全体の先行きを占う上で代表的な指標とされています。

上のグラフを見ると、大企業製造業業況判断(DI)と景気の間に一定の関連性があることがわかります。

  • ・DIが上昇に転じる時期と景気拡大開始時期がおおむね一致
  • ・景気後退に先んじてDIが低下に転じる傾向

大企業製造業業況判断(DI)を分析することで、景気拡大期と後退期を正確に判断しやすくなると考えられます。

日銀短観に関するQ&A

日銀短観に関してよくある質問は、以下の通りです。

  • ・日銀短観はいつ発表されますか?
  • ・日銀短観は何社を調査していますか?
  • ・日銀短観とさくらレポートの違いは何ですか?

日銀短観はいつ発表されますか?

日銀短観の発表時期は、4月上旬(3月調査)、7月上旬(6月調査)、10月上旬(9月調査)そして12月中旬(12月調査)の年4回で、公表時刻は午前8時50分です。

調査時点と公表時期が一致するのは12月のみで、他は翌月上旬に発表されます。

なお、6月末と12月末に、向こう12か月分の公表日が事前発表されます。

日銀短観は何社を調査していますか?

2024年3月時点で、およそ9,100社が調査対象です。

資本金2,000万円以上の全国の民間企業の中から、業種別・規模別に一定の基準を満たすように抽出されています。

ただし、金融機関や経営コンサルタント業など一部の業種は対象外です。

日銀短観とさくらレポートの違いは何ですか?

いずれも3か月に1回公開され、日本経済の状況を示すという類似点がある一方、調査方法が異なります。

日銀短観は統計調査で、企業の経営環境や売上高などについて企業から得た回答を集計・公表しています。

最近の状況に加えて、先行きの予測についても集計している点が特徴的です。

さくらレポート(地域経済報告)は、日本の各地域の経済動向を分析した報告書です。

日銀の全国の本支店や事務所の担当者等が、全国各地域の企業からヒアリングなどで情報を収集し、その分析結果が掲載されています。

【まとめ】日銀短観とは|注目される項目の見方などをわかりやすく解説

日銀短観(全国企業短期経済観測調査)は、日銀が全国の企業に実施するアンケート調査であり、その集計結果をまとめた統計資料のことです。

日銀短観は日銀の金融政策決定に影響を与えるとされ、注目度の高い経済指標の1つです。

また、DIは業種別・企業規模別に公表されており、特に注目を集めるのは大企業製造業業況判断(DI)です。

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