口先介入(くちさきかいにゅう)とは|意味・事例・よくある質問を解説
口先介入とは、政府や中央銀行等の関係者が実際の通貨の売買はせず、発言によって市場に影響を与えようとすることです。
自国通貨の価格を、通貨安または通貨高に誘導する目的で行われますが、効果は限定的になりやすい傾向があります。
本記事では、口先介入の意味や、過去の事例について詳しく解説します。
口先介入とは
ここでは、口先介入の一般的な意味と、FX市場での意味について詳しく解説します。
- ・一般的な意味
- ・FX市場での意味
一般的な意味
口先介入は、一般的に「政府や中央銀行等の関係者が実際に通貨の売買はせず、発言によって市場に影響を与えようとすること」を意味します。
自国通貨の相場に関するコメントで警戒感を示したり、市場介入を示唆したりすることで、市場を牽制し、通貨誘導します。
FX市場での意味
FX市場では、「外国為替相場の行き過ぎを是正するため、発言によって市場を牽制したり、通貨誘導したりすること」を意味します。
例えば、日本では円安水準が高まった際に政府が口先介入を実施し、円安の進行を抑えようとします。
口先介入によるメッセージには強弱があり、「安定的に推移するのが望ましい」「急激な変動は望ましくない」「必要であれば適切な措置を講じる」「あらゆる措置を排除せず必要な対応を取る」(後者ほど強いメッセージになる)などがあります。
口先介入の事例
口先介入の事例について詳しく見ていきましょう。
- ・2024年4月11日の鈴木財務相の発言
- ・2024年4月15日の神田財務官の発言
2024年4月11日の鈴木財務相の発言
円安が進行する2024年4月11日、鈴木財務相による口先介入が行われました。
内容は、為替介入の実務を指揮する神田財務官と「頻繁に連絡を取り合っている」というものでした。
これにより米ドル/円は円高で反応し、152円台後半まで下落しました。
しかし、効果は一時的で数時間後には元の水準まで回復しています。
出典:TradingView
2024年4月15日の神田財務官の発言
円安が継続する2024年4月15日、米ドル/円は1ドル=153円を突破しました。
これを受けて財務省の神田財務官は、円安進行のけん制を目的とした口先介入を行いました。
発言内容は「各国中央銀行と頻繁に連絡を取り合っている」というもので、これを受けて市場は一時的に円高に推移しました。
ただし、円高の動きは限定的で、その後に相場は回復しさらに円安が進行しました。
出典:TradingView
口先介入に関するQ&A
口先介入に関して、よく見られる疑問点は以下のようなものです。
- ・口先介入は意味があるんですか?
- ・市場介入(為替介入)との違いは何ですか?
口先介入は意味があるんですか?
口先介入に市場参加者が反応し、一時的に相場の流れが変わることがあります。
ただし、実際に大規模な金額で売買を行う市場介入と比べると、効果は限定的です。
前述の通り、2024年4月に口先介入が行われていますが、一時的に円高で反応しているものの、円安の大きな流れは変わりませんでした。
また、口先介入が頻繁に行われると、効果が薄れていく傾向にあります。
市場介入(為替介入)との違いは何ですか?
口先介入は発言のみですが、市場介入は各国の政府や中央銀行等が実際に市場に資金の投入を行います。
また、市場介入には1つの国が行う単独介入と、複数の国が協力して行う協調介入があり、大規模な資金が動く協調介入では相場に長期的な影響を与えやすい傾向にあります。
【まとめ】口先介入(くちさきかいにゅう)とは|意味・事例・よくある質問を解説
口先介入とは、政府や中央銀行等の関係者が実際の通貨の売買はせず、発言によって市場に影響を与えようとすることです。
自国通貨の相場に関するコメントで警戒感を示したり、市場介入を示唆したりすることで、市場を牽制し、通貨誘導します。
しかし、実際に売買を行う市場介入に比べると、効果が限定的になりやすい傾向があります。
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