円高・円安とは|覚え方やメリット・デメリット、取引方法、影響について解説
円高とは、円の価値が外貨に比べて高く、円1単位で交換できる外貨の単位数が相対的に多い状態です。
逆に円安とは、円の価値が外貨に比べて低く、円1単位で交換できる他通貨の単位数が相対的に少ない状態を指します。
本記事では、円高・円安に関する基本から、メリット・デメリット、取引方法、よくある疑問について詳しく解説していきます。
目次
- 1.円高・円安とは?
- 2.円高・円安の影響とメリット・デメリット
- 3.為替取引に関する円高・円安
- 4.円高・円安に関するQ&A
- 5.【まとめ】円高・円安とは|覚え方やメリットデメリット・取引方法や影響について解説め
円高・円安とは?
円高とは日本円の価値が外貨に比べて高い状態、円安とは日本円の価値が外貨に比べて低い状態を指します。
ここでは円高・円安に関して、以下3点について解説していきます。
- ・円高とは?
- ・円安とは?
- ・円高・円安の覚え方
円高とは?
日本円の価値が、外貨と比べて相対的に高くなる状態を「円高」と呼びます。例えば、1ドル=100円だったレートが、1ドル=80円に変動すると、円高です。
これは1ドルと両替するのに100円必要だったのが、80円で両替できるようになった(20円分安くなった)ことを意味します。
例えば、日本から米国へ海外旅行する際に、1万円を米ドルに両替したとします。
1ドル=100円の時に両替すると、100ドル(1万円÷100円=100ドル)手に入ります。
これに対して、1ドル=80円の時に両替すると、125ドル(1万円÷80円=125ドル)手に入ります。
このように、円高は円の価値が高くなるので、同じ金額でもより多くの米ドルに両替できます。
円安とは?
日本円の価値が、外貨と比べて相対的に低くなる状態を「円安」と呼びます。例えば、1ドル=100円だったレートが、1ドル=125円に変動すると、円安です。
これは1ドルと両替するのに100円必要だったのが、125円必要になった(25円分高くなった)ことを意味します。
例えば、日本から米国へ海外旅行する際に、1万円を米ドルに両替したとします。
1ドル=100円の時に両替すると、手に入るのは100ドル(1万円÷100円=100ドル)です。
これに対して、1ドル=125円の時に両替すると、80ドル(1万円÷125円=80ドル)しか手に入りません。
このように、円安は円の価値が低くなるので、同じ金額でも両替できる米ドルが少なくなってしまいます。
円高・円安の覚え方
1ドル100円が80円になったら円高、1ドル100円が120円になったら円安と、慣れないうちは覚えるのに戸惑う方も多いでしょう。
為替(通貨ペア)は基軸通貨である米ドルを中心に考え、米ドル/円は「1ドルが何円で両替できるか」を表します。
つまり、1ドルとの両替に必要な円の数字が低くなったらドル安(円高)、円の数字が高くなったらドル高(円安)と、覚えると良いでしょう。
米ドル/円やクロス円の場合、円高は下降チャート、円安は上昇チャートとなります。
クロス円についてはこちらの記事で詳しく解説しています。円高・円安の影響とメリット・デメリット
円高・円安は、金融市場や社会に大きな影響を与えます。
ここでは、それぞれのメリット・デメリットについて解説していきます。
- ・円高のメリット・デメリット
- ・円安のメリット・デメリット
円高のメリット・デメリット
円高になると、日本円の価値が外貨に比べて上がるため、原油や天然ガスを輸入する企業は仕入れコストが下がり、業績が向上します。
また、同じ金額でより多くの外貨に両替できるので、海外旅行に行きやすくなります。
一方で、自動車や半導体などを輸出する企業は、売上が減少し業績が悪化します。
また、外貨を日本円に交換すると、同じ金額でもより少なくなってしまうため、海外からの観光客も減少します。
日本は輸出大国であるため、円高は経済に打撃を与え、株価が下落する可能性もあります。
円安のメリット・デメリット
円安になると、日本円の価値が外貨に比べて下がるため、輸出企業は売上が増加し、業績が向上します。
また、同じ金額でもより多くの日本円に両替できるため、海外からの観光客が増えるメリットもあります。
一方で、輸入企業にとっては仕入れコストが上がり、業績が悪化します。
また、海外旅行者にとっては、同じ金額でも少ない外貨と交換になるため、費用が高くなり行きづらくなるというデメリットもあります。
為替取引に関する円高・円安
外国為替市場では、円高・円安への値動きを利用して、為替差益を得ることができます。
ここでは、FX取引における円高・円安のポイントについて解説します。
- ・円高・円安を利用した為替取引
- ・円高に変動する要因
- ・円安に変動する要因
円高・円安を利用した為替取引
為替差益と為替差損について、以下のイメージ図を使って解説します。
為替差益とは、為替相場が円高や円安に変動したときに生じる利益のことです。
例えば、1ドル=100円で米ドルを購入し、後に為替相場が円安に動いて1ドル101円になったときに売却すれば、1円の利益が発生します。
逆に、為替相場の変動によって生じる損失のことを為替差損と呼びます。
1ドル=100円で米ドルを購入し、後に為替相場が円高に動いて1ドル99円になったときに売却すれば、1円の損失が発生します。
円高に変動する要因
為替は経済、国際関係、政治など、さまざまな要因によって変動します。
その中でも円高に変動しやすい要因として「金利の上昇」「貿易黒字」「リスクオフ」等が挙げられます。
一般的に、ある国の通貨の金利が上昇した場合は、高い利回りを求めて買われやすくなります。
日本の利上げは、円買いの動きを呼ぶものと考えられます。
また、輸出や輸入する企業は、円と外貨を両替する必要があります。
貿易黒字とは、輸出額が輸入額を上回る状況を指します。
輸出額が多い場合は、輸出企業が多くの外貨を獲得し、その利益を日本に持ち帰るため、外貨を円に交換することで、円高になりやすい傾向にあります。
なお、日本円は世界的に安全通貨という位置付けがなされています。
経済や政治に不安が広がりリスクオフが進んだ時に避難通貨として買われ、円高が進みやすい傾向がありました。
ただし、近年はその傾向も薄れつつあります。
円安に変動する要因
円安に変動しやすい要因として「金利の低下」「貿易赤字」「リスクオン」等が挙げられます。
一般的に、ある国の通貨の金利が低下した場合は、その通貨は売られやすくなります。
日本は長らく低金利であったため、円売り外貨買いのトレンドが続いていました。
また、輸出や輸入する企業は、円と外貨を両替する必要があります。
貿易赤字とは、輸入額が輸出額を上回る状況を指します。
輸入額が多い場合は、輸入企業が海外に対する支払い用に円を売って外貨を準備するため、円安が進みやすいです。
なお、日本円はリスクオフが進んだ時に避難通貨として買われることがありますが、リスクオフが後退しリスクオンとなった場合は買われた円が売り戻され、円安が進みやすい傾向にあります。
円高・円安に関するQ&A
円高・円安に関してよくある疑問について詳しく解説していきます。
- ・円高と円安はどちらが良いですか?
- ・今は円高と円安どちらですか?
- ・円高・円安の最高値と最安値は?
円高と円安はどちらが良いですか?
円高と円安は、それぞれメリット・デメリットがあり、立場によって円高が良いのか、円安が良いのか変わります。
円高 | 円安 | |
---|---|---|
輸出企業・海外からの旅行 | ✖ | 〇 |
輸入企業・海外への旅行 | 〇 | ✖ |
円高の場合、輸入企業や海外旅行する人にとっては嬉しいことですが、輸出企業や海外からの旅行者にとっては厳しい状況となります。
これに対して、円安の場合は、逆の関係になります。
今は円高と円安どちらですか?
今が円高か円安かについては、どのタイミングと比較するかによって異なります。
1985年9月、ドル高を是正することを目的としたプラザ合意が発表されると、円高ドル安が進みました。
プラザ合意前が1ドル約240円であったところから、1986年4月には1ドル約180円になりました。
この時点と比べると、2024年3月現在の1ドル150円付近は円高水準と言えます。
一方、最も円高が進んだ2011年10月には、1ドル75円台を記録しています。
この時点と比べると、2024年3月現在の1ドル150円付近は円安水準と言えます。
出典:Trading View
円高・円安の最高値と最安値は?
最も円安が進んでいたのは、戦後の固定相場制の時期で、1ドル360円で固定されていました。
その後、1973年に変動相場制に移行し、1985年のプラザ合意を経て円高が進行。2011年10月31日に1ドル75円台を記録し、最も円高が進んだ日となりました。
【まとめ】円高・円安とは|覚え方やメリットデメリット・取引方法や影響について解説
円高とは日本円の価値が外貨に比べて高い状態、円安とは日本円の価値が外貨に比べて低い状態を指します。
基本的に、円高の場合は輸入企業や海外旅行へ行く人にとってはメリットに、輸出企業や海外からの旅行者にとってはデメリットになります。
一方、円安の場合は、その関係が逆になります。
円高・円安は、各国の経済、政治、国際関係など、さまざまな要因によって変動するため、それらを総合的に考慮して、相場分析を行う必要があります。
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