用語解説

公開日:2019年2月15日 16時13分
最終更新日:2023年6月19日 12時18分

円高・円安とは?株価や社会に与える影響、為替相場が変動する要因を解説


円高(えんだか)とは、日本円の価値が外貨と比べて相対的に高い状態を指します。
逆に円安(えんやす)とは、日本円の価値が外貨と比べて相対的に低い状態です。

為替相場(2ヵ国間の通貨を両替する際の価格)は、需要と供給のバランスによって常に上がったり下がったりします。
たとえば日本円よりも米ドルを買いたい人が増えれば、米ドルの価値は上がり価格は上昇、つまり円安ドル高に推移します。
反対に日本円よりも米ドルを買いたい人が減れば、米ドルの価値は下がり価格は下落、つまり円高ドル安に推移します。

この円高・円安を上手く利用することで、FX(外国為替証拠金取引)で為替差益(為替相場の変動により生じる利益)を狙えます。
為替相場が円高・円安に変動する要因は、政治や経済、国際関係など様々な要因が絡み合い、複雑な仕組みが存在します。
しかしこれらの変動要因をしっかりと抑えておくことで、FX取引に役立ちます。

本記事では、円高・円安の意味やそれらが株価や社会に与える影響、為替相場の変動要因などについて詳しく解説します。

1.円高とは?

円高とは?

円高とは、日本円の価値が外貨と比べて相対的に高い状態を指します。
たとえば1ドル=100円の場合、1ドル=80円に変動すれば円高です。

一見すると円の価値が下がったようにも見えますが、これは1ドルへ両替するのに100円必要だったのが、20円安い80円で両替できるという意味なので、円の価値が高い、つまり円高と表します。

海外旅行をイメージすると、より分かりやすいです。
たとえば日本からアメリカへ海外旅行へ行く際に、1万円を米ドルに両替します。
1ドル=100円の時に両替をすれば、100ドル(1万÷100=100)です。
しかし1ドル=80円の時なら、125ドル(1万÷80=125)に両替できます。
このように円高は円の価値が高くなるので、同じお金でより多くの米ドルに両替を行えます

続いて、円安について見ていきましょう。

2.円安とは?

円安とは?

円安とは、日本円の価値が外貨と比べて相対的に低い状態を指します。
たとえば1ドル=100円の場合、1ドル=125円に変動すれば円安です。

一見すると円の価値が上がったようにも見えますが、これは1ドルへ両替するのに100円必要だったのが、25円高い125円必要になったことから、円の価値が安い、つまり円安と表します。

こちらも円高と同様に、海外旅行をイメージしてみましょう。
たとえば日本からアメリカへ海外旅行へ行く際に、1万円を米ドルに両替します。
1ドル=100円の時に両替をすれば、100ドル(1万÷100=100)です。
しかし1ドル=125円の時なら、80ドル(1万÷125=80)しか両替できません。
このように円安は円の価値が低くなるので、同じお金で米ドルに両替しても受け取るお金は少なくなってしまいます。


以上、円高・円安について解説しました。

円高のほうがより多く両替をできるので、円高のほうが良いと思う方も多いかもしれません。
しかし、一概には円高のほうが良いとも言えず、円安のほうが良いとも言えません。
円高・円安のそれぞれのメリット・デメリットは「円高・円安が株価や社会に与える影響」で詳しく解説します。

また1ドル100円が90円になったら円高、1ドル100円が110円になったら円安と、慣れないうちは覚えるのに少し戸惑う方も多いかもしれません。
そんな方は、円の数字が低くなったら円高、円の数字が高くなったら円安と覚えると良いでしょう。

円高 円安の覚え方

では、2023年5月現在の為替相場は、円高・円安どちらに推移しているのか、以下で詳しく見ていきましょう。

今(2023年5月時点)は円高・円安どっち?

以下は、2023年5月時点での米ドル/日本円(USD/JPY)月足チャートです。

今(2023年5月時点)は円高・円安どっち?

出典:TradingView(トレーディングビュー)

20年前の2003年は約124円台で推移しており、そこを基準とすると、2023年5月は約134円付近で推移しており、円安と言えます。

しかし「いくらから円高・円安」といった明確な基準はなく、その基準によって円高・円安のどちらかが異なります
たとえば1970年代では、1ドル=300円台で推移しており、そこを基準と考えると今(2023年5月時点)は超円高といえます。
つまりどこからどこまでの期間を基準にするかで、今(2023年5月時点)は円高・円安のどちらなのかが変わってきます。
一般的には、数ヵ月前の期間を基準としている傾向があるようです。

なお「米ドル/日本円は今後円高・円安のどちらに進むのか?」今後の見通しについては、本記事の最後に解説している「6.円高・円安?米ドル/日本円の今後の見通し」から御覧下さい。

続いて、為替相場が円高・円安に変動すると株価や社会にどのような影響を与えるのか、以下で詳しく見ていきましょう。

3.円高・円安が株価や社会に与える影響

日本は世界有数の貿易大国であり、為替相場が円高・円安に変動することで、株価や社会に大きな影響を与えます。
日本の主な貿易(輸入・輸出)は、以下の通りです。

 
輸入 輸出
原油・天然ガス・衣類・食料など 自動車・半導体電子部品・鉄鋼など

日本は資源が貧しく、原油や天然ガスなどのエネルギー、食料などは海外から輸入しています。
一方、自動車や半導体電子部品などを多くの国に輸出しており、日本の経済成長を支える重要な要素の一つです。

これらを把握したうえで、円高が株価や社会にどのような影響を与えるのか、そのメリット・デメリットから見ていきましょう。

円高のメリット・デメリット

円高のメリット・デメリット

円高は、日本円の価値が外貨に比べて高くなるので、原油や天然ガスなどを扱う輸入企業は仕入れコストが減り、業績アップに繋がります。
同じお金でより多くの外貨に両替できるので、海外旅行に行きやすいというのもメリットの一つです。

一方、自動車や半導体などを扱っている輸出企業は、売上が減り業績がダウンしてしまいます。
外貨を日本円に両替すると、同じお金でもより少なくなってしまうので、海外からの観光客も減ってしまうというデメリットもあります。

日本は、輸出大国という一面もあります。
円高は日本の経済に打撃を与え、株価が下がってしまう可能性もあります。

続いて、円安が株価や社会にどのような影響を与えるのか、そのメリット・デメリットから見ていきましょう。

円安のメリット・デメリット

円安のメリット・デメリット

円安は、日本円の価値が外貨に比べて安くなるので、自動車や半導体などを扱っている輸出企業は、仕入れコストが減り業績アップに繋がります。
外貨を日本円に両替すると、同じお金でより多くの日本円に両替できるので、海外からの観光客が増えるというのもメリットの一つです。

また上記でも述べたように、日本は輸出大国という一面もあります。
円安は日本の景気を上げ、株価が上昇する要因とも言えます。

一方、原油や天然ガスなどを扱う輸入企業は、売上が減り業績ダウンしてしまいます。
日本円を外貨に両替すると、同じお金でもより少なくなってしまうので、海外旅行へ行きにくくなるというデメリットもあります。


以上、円高・円安が株価や社会に与える影響について解説しました。

為替相場は、需要と供給のバランスによって、円高・円安に日々変動しています。
FXでは、この円高・円安を利用することで、為替差益を狙うことが可能です。
(損失の際は「為替差損(かわせさそん)と呼ぶ」)

以下で、為替差益や為替差損について詳しく解説します。

4.円高・円安を利用すればFXで為替差益を狙える

為替差益とは、為替相場が円高・円安に変動した際に発生する利益のことです。
たとえば、1ドル100円の時にドルを購入し、その後為替相場が円安に動き1ドル101円となった場合、購入していたドルを日本円に替えれば1円の利益です。

逆に、1ドル100円の時にドルを購入し、その後為替相場が円高に動き1ドル99円となった場合、購入していたドルを日本円に替えれば1円の損失が発生します。
為替相場が円高や円安に変動した際に発生する損失のことを、為替差損と呼びます。

以下は、為替差益と為替差損のイメージ画像です。

為替差益と為替差損のイメージ画像

FXは、円高や円安を利用して利益を狙うことも可能ですが、取引に失敗すれば損失が発生する可能性もあります。
初心者の方は、少額から取引を始めて、まずはFXに慣れることから始めてみましょう。

なおOANDA証券では、少額から取引を始められるコースを提供しています。

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    必要書類や口座開設のやり方については、以下の記事を参考にしてください。
    >FXの口座開設のやり方【図解付き】|必要書類や審査基準も徹底解説

また変動要因をしっかりと抑えておくことで、FX取引に役立てることが可能です。

以下で、為替相場が円高・円安に変動する要因について詳しく見ていきましょう。

5.円高・円安に為替相場が変動する要因

為替相場は需要と供給のバランスによって、円高や円安に日々変動します。
欲しい人が多ければ価値は上がり、欲しい人が少なければ価値は下がるのと同じ仕組みです。

需要と供給を決める要因は、政治や経済、国際関係など様々で、複雑な仕組みが存在します。
すべて把握するのは難しいので、まずは代表的な金利差について見ていきましょう。

【為替相場の主な変動要因】金利差

一般的に経済が安定しているときは、金利の高い通貨は安い通貨に比べて、買われやすい傾向があります。
なぜならば、金利の高い通貨に投資をしたほうが、より大きなリターンを狙えるからです。

単純に、外貨預金をする例で見てみましょう。

 
米ドル 日本円
金利 3.0% 0%
100万円を1年間運用すると 103万円 100万円

(上記例では、単純にするため、為替相場や税金などは考慮していません。)

たとえば、米ドルで預金をすると金利が3%、日本円で預金すると金利が0%の場合、100万円を1年間運用したとすると、米ドルは1年後に103万円、日本円は1年後に100万円のままです。

どちらの通貨で運用したいと聞かれた場合、おそらく、多くの方が米ドルと答えるのではないでしょうか。
「日本円よりも米ドルで資産を運用したい」と言う人が増え、投資資金が米ドルに流入します。

さらに日本円の金利が変わらないまま、米ドルの金利が上昇を続ければどうなるでしょうか。
高い利回りを求めて、さらに米ドルで資産を運用したい人が増え、より米ドルに投資資金が流入することを想定できます。
このように、金利が高い通貨のほうが安い通貨に比べて、買われやすい傾向があります。

ただし、経済状態が安定しているときの話であり、景気が悪かったり市場が不安定だったりするときは、金利が高くても売られる場合があるので注意しましょう。

    ・金利はどこで決定される?

    金利は、各国の中央銀行が開催する会合で決定されます。
    米国であればFRS(FRB)が開催するFOMC、日本なら日本銀行が開催する「日銀金融政策決定会合」、欧州はECBが開催する「ECB理事会」です。

    なお、以下のページでは、各国の会合後に開かれるFRB議長や日銀総裁、ECB総裁による記者会見をリアルタイムで視聴できます。
    興味がある方は、ブックマークをしてリアルタイムで視聴してみて下さい。
    >FRB議長、ECB総裁、日銀総裁の記者会見動画

上記では、具体例として金利差を解説しましたが、為替相場の変動要因は金利差だけではありません。
各国の政治や経済、国際関係など様々な要因を総合的に考慮して、相場分析を行う必要があります。

またFX初心者の方は、いきなり情報収集や相場分析から始めてしまうと、少し難しく感じてしまうかもしれません。
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6.円高・円安?米ドル/日本円の今後の見通し

為替相場は日々変動しており、将来の値動きを正確に予測することは難しいです。
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7.円高・円安を動画で解説

以下動画では、円高・円安について詳しく解説しています。
動画をクリックすると、円高・円安の解説から始まります。

まとめ

最後に、本記事で解説した円高・円安についてまとめます。

  • 1. 円高とは、日本円の価値が外貨と比べて相対的に高い状態
  • 2. 円安とは、日本円の価値が外貨と比べて相対的に低い状態
  • 3. 日本は輸出大国であり、円高は経済的に大打撃を受けてしまう可能性があり、円安のほうが景気アップに繋がりやすい
  • 4. FXは、円高・円安を利用し為替差益を狙える
  • 5. 円高・円安は経済動向によって日々変動しており、常に最新の情報を取得する必要がある

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