日本時間11月6日(金)22時30分に、米労働省労働統計局(BLS)から2026年10月の米雇用統計が発表されます。米国が11月1日に夏時間から冬時間へ切り替わったため、発表時刻は前回までの21時30分から1時間遅くなっています。10月27〜28日のFOMCで政策金利が3.75〜4.00%に据え置かれた後、最初に発表される雇用統計です。
前回9月分では、非農業部門雇用者数(NFP)が前月比+2.9万人と、市場予想(+8.8万人)を大きく下回りました。7月・8月分も合計6.0万人下方修正され、失業率は4.2%に上昇、平均時給の伸びも前月比+0.1%にとどまりました。発表直後にはドル円(USD/JPY)が157.5円台から一時156.95円まで下落し、10月会合での追加利上げの織り込みは26.0%から14.9%へ低下しました。
今回10月分の市場予想は+6.5万人と、前回からやや持ち直すものの、10万人を下回る低い伸びが続く見込みです。10月のFOMCでは2人の委員が利上げを主張して反対し、ウォーシュFRB議長は12月の利上げを約束せず、今後得られる情報を見て判断する姿勢を示しました。次回12月会合(12月8〜9日)での利上げの織り込みは68.4%(11月6日朝時点)と、前日の82.7%から低下しました。今回の雇用統計は、11月10日の10月の米消費者物価指数(CPI)とあわせて、12月の判断を占う材料として注目されます。
発表の概要
| 指標名 | 米雇用統計(2026年10月分) |
|---|---|
| 発表日時 | 2026年11月6日(金)日本時間22時30分(米国の冬時間) |
| 発表機関 | 米労働省労働統計局(BLS) |
| 前回結果 | NFP+2.9万人/失業率4.2%/平均時給 前月比+0.1%・前年比+3.0% |
| 今回の市場予想 | NFP+6.5万人/失業率4.2%/平均時給 前月比+0.3%・前年比+2.9% |
▶ その他の重要指標の発表スケジュールはOANDA経済指標カレンダーでご確認いただけます。
前回までのデータ
NFPは今年3月の+21.4万人、4月の+14.8万人の後、伸びが縮小しています。7月は▲1.0万人と減少に転じ、8月は+13.3万人と持ち直したものの、9月は+2.9万人にとどまりました(いずれも改定後)。月ごとの振れをならした3ヶ月移動平均は+5.1万人です。今回の市場予想(+6.5万人)は、3ヶ月移動平均をやや上回る程度の低い伸びが続くという見立てです。
9月の内訳:民間の伸びが鈍化、政府部門は減少
9月は民間部門が+4.6万人、政府部門が▲1.7万人でした。業種別では、教育・医療(+2.0万人)、建設(+1.1万人)が増加した一方、情報(▲1.0万人)、専門・ビジネスサービス(▲0.9万人)、金融(▲0.7万人)は減少し、雇用増の広がりは乏しい内容でした。8月に全体をけん引した娯楽・宿泊(外食を含む)は+6.2万人から+1.0万人へ伸びが縮小しています。連邦政府は9月も▲0.1万人と小幅ながら減少が続いており、2025年1月からの累計では約33万人減っています。今回も、民間部門の伸びがどこまで戻るかが焦点です。
失業率と賃金:失業率は4.2%に上昇、賃金の伸びは3%近辺
失業率は昨年11月の4.5%をピークに低下し、7月・8月は4.1%でしたが、9月は4.2%(丸める前は4.18%)に上昇しました。ただし9月は、労働参加率が61.6%から61.8%へ上昇するなかでの上昇で、労働市場に戻って職を探す人が増えたことが失業率を押し上げた面があります。広義の失業率(U-6)は7.6%と小幅に低下しており、悪化をやや割り引いて見る材料でした。今回も失業率は参加率とセットで確認する必要があります。
平均時給は前年比+3.0%と伸びの鈍化傾向が続いています。今回の市場予想は前年比+2.9%と一段の鈍化ですが、これは前年10月の伸び(前月比+0.4%程度)が大きかったことによるベース効果が大きく、前月比が予想通り+0.3%でも前年比は2.9%前後に下がります。前年比の低下だけを見て「賃金の伸びの急減速」と受け止めるのは早計で、前月比の小数第2位まで確認することが重要です。前月比は9月に+0.13%と低い伸びだったため、反動で+0.3%台に戻るかが焦点です。
先行指標の動向
※ 表は横にスクロールできます →
| 先行指標 | 結果 | 評価 |
|---|---|---|
| ISM製造業景況指数(10月、11/2発表) | 55.5(予想54.6、前回54.5) | 市場予想を上回り、製造業の景況感が改善 |
| JOLTS求人件数(9月、11/3発表) | 752.3万件(予想716.2万件、前回719.0万件) | 市場予想を大きく上回り、企業の求人意欲の持ち直しを示す |
| ADP雇用統計(10月、11/4発表) | +8.6万人(予想+6.6万人、前回は+9.0万人から+8.6万人に改定) | 市場予想を上回り、民間雇用は前月並みの伸びを維持 |
| ISM非製造業景況指数(10月、11/4発表) | 54.5(予想54.8、前回54.9) | 市場予想をやや下回ったものの、景況感の目安の50を大きく上回る水準を維持 |
| 新規失業保険申請件数(11/5発表) | 18.9万件(予想19.6万件、前回19.5万件)/継続受給者数171.8万人(前回169.5万人) | 新規申請は低水準で解雇の増加は見られない一方、継続受給者数はやや増加 |
| 単位労働コスト(7-9月期速報、11/5発表) | 前期比年率▲0.7%(予想+0.5%、前回+1.9%) | 労働生産性が+3.6%と高い伸びとなり、人件費からの物価上昇圧力は弱まった |
今週の先行指標は、ここまでのところ雇用の持ち直しを示す内容が目立ちます。11月2日のISM製造業景況指数は55.5と市場予想(54.6)を上回り、3日のJOLTS求人件数も752.3万件と予想(716.2万件)を大きく上回りました。4日のADP雇用統計は+8.6万人と予想(+6.6万人)を上回り、5日の新規失業保険申請件数も18.9万件と予想(19.6万件)より少なく、解雇の増加は見られません。一方、ISM非製造業景況指数は54.5と予想(54.8)をやや下回り、失業保険の継続受給者数は171.8万人と前週から増えており、職を失った人が次の仕事を見つけるまでに時間がかかっている面もうかがえます。同じ5日に発表された7-9月期の単位労働コストは前期比年率▲0.7%と減少しており、賃金の面からの物価上昇圧力は落ち着いています。
物価面では、10月29日に発表された9月の個人消費支出(PCE)デフレーターが、コアの前月比+0.3%・前年比+3.1%と市場予想通りでした。同日の7-9月期GDP速報値は前期比年率+3.4%と予想(+3.2%)を上回り、景気の底堅さが確認されています。景気と物価が底堅いなかで、雇用の伸びが鈍っていることが、12月の利上げ判断を難しくしている構図です。
前回発表時の市場の反応
前回(10月2日発表の9月分)は、NFPが+2.9万人と市場予想(+8.8万人)を大きく下回り、過去2ヶ月分も合計6.0万人下方修正されたことを受けて、発表直後はドル売りが強まりました。ドル円は発表直前の157.53円から21時32分台に一時156.95円まで58銭下落し、ゴールド(XAU/USD)は米金利の低下を受けて4,185ドル近辺から一時4,226ドルまで上昇しました。ドル円は157円を割り込んだ水準では買い戻しが入り、22時すぎからは戻りが進んで、22時15分には157.4円台まで値を戻しました。ゴールドは22時すぎから押し戻されています。
前回のドル円(USD/JPY)の発表直後の動き
前回のゴールド(XAU/USD)の発表直後の動き
- 金利観測:前回発表後、10月会合での追加利上げの織り込みは26.0%から14.9%へ低下し、10月27〜28日のFOMCでは政策金利が据え置かれました。ただし2人の委員が利上げを主張して反対しており、12月会合(12月8〜9日)での利上げの織り込みは68.4%(11月6日朝時点)と、前日の82.7%からは低下したものの、利上げを見込む向きがなお多数です※
※参照元:CME FedWatchツール
今回の結果によるシナリオ別の市場への影響
足元の相場状況
ドル円は157.64円近辺(11月6日7時13分時点)で推移しています。10月29日のFOMCと米GDPの発表後は157.9〜158.0円台で推移し、30日の日銀会合後には一時156.96円まで下落しました。11月3日の米中間選挙では、報道によると民主党が上下両院で多数派を確保する見通しとなり(上院はアラスカ州とミシシッピ州が未確定)、開票が進んだ4日にかけてドル円は158.76円まで上昇しました。その後は一時157.3円台まで下げる場面もありながら、158円台前半を中心にもみ合いましたが、5日の米国市場ではAI関連株を中心に株価が大きく下落し、ドル円も158.4円台から157.6円台へ下げています。同じ5日には、12月の利上げの織り込みも82.7%から68.4%へ低下しました。
1時間足では、ボリンジャーバンドの中心線(157.99円)を下回り、−2σ(157.47円)に近い位置にあります。158円台を回復できるかが、目先の方向感を見るうえでの目安です。
ゴールドは4,083ドル近辺(11月6日7時13分時点)で推移しています。FOMC後も4,000ドル台前半で上値の重い動きが続き、10月30日から31日にかけては一時3,869ドルまで下落しました。11月4日からは買い戻しが進み、5日には4,146ドルまで上昇しましたが、その後は4,080ドル台へ押し戻されています。1時間足ではボリンジャーバンドの−2σ(4,082ドル)付近まで下げてきており、4,000ドルを維持できるかが焦点です。
シナリオは以下の通りです。
※ 表は横にスクロールできます →
| シナリオ | USD/JPY | XAU/USD |
|---|---|---|
| 予想を上回る(+12万人超・失業率4.1%以下) | 12月の利上げ観測が一段と強まり、ドル買いが進みやすい。158.50円・159.00円の売り指値が上値の目安 | 米金利上昇が重しとなり、4,000ドル近辺の下値を試しやすい |
| 市場予想並み(+2万〜12万人・失業率4.2%) | 反応は限定的となりやすく、平均時給の前月比と改定値に焦点が移る | 限定的な反応にとどまりやすい |
| 予想を下回る(+2万人未満・失業率4.3%以上) | 12月の利上げ観測が後退し、ドル売りが強まりやすい。157.50円の買い指値、156.90円付近の売り逆指値が下値の目安 | 金利低下・ドル安を追い風に反発しやすい |
雇用統計は、ヘッドラインのNFPだけでなく、前回・前々回分の改定値、失業率、平均時給の方向が食い違うと初動が往復しやすい指標です。今回は平均時給の前年比がベース効果で下がりやすいため、前年比の鈍化だけで賃金の弱さと受け止めず、前月比で判断されやすい点に注意が必要です。また、12月会合での利上げの織り込みは68.4%と、前日から下がったとはいえ、なお利上げを見込む向きが多数です。予想を下回る結果となれば、織り込みが一段と低下する余地が大きく、ドル売りの反応が大きくなる可能性があります。上振れの場合は、前日の水準(82.7%)まで織り込みが戻るかが目安になります。11月10日には10月の米CPIの発表も控えており、雇用統計の結果だけで12月の判断が固まるわけではない点にも留意が必要です。
OANDAのオーダーブックから見る市場参加者の動向
オープンオーダー(指値注文の分布)
11月6日7時時点のOANDAのオーダーブックのうち、オープンオーダー(未約定注文)を見ると、全体では買いが57.34%、売りが42.66%です。現在値(157.65円近辺)より上では、159.00円と158.50円に売り指値が厚く並び、158.60円には買いの逆指値(損切りの買い)がまとまっています。下では157.50円と156.00円に買い指値が厚く、156.90〜156.95円には売りの逆指値(損切りの売り)が集まっています。予想を下回って156.90円を割り込むと、損切りの売りを巻き込んで下げが加速する可能性があります。
オープンポジション(売買比率)
オープンポジションの売買比率はロング51.6%、ショート48.4%と、ほぼ拮抗しています。ただし、現在値より上に含み損を抱えたロング(買いポジション)が38.89%と多く、157.70〜157.80円にロングが厚く積み上がっています。158円台へ戻る局面では、買い値近くで手放す売りが出やすい点に注意が必要です。
OANDAの通貨強弱チャートから見る直近1週間の相場環境
直近1週間(10月30日6時〜11月6日6時)のOANDAの通貨強弱を見ると、スイスフランが最も強く、英ポンド、ユーロが続きました。最も弱かったのは豪ドルで、NZドルも下位です。米ドル(4位)と円(5位)はほぼ横並びですが、円は米国株が大きく下げた5日夜から6日未明にかけての6時間で大きく上昇しました。
まとめ
- ✓前回9月分はNFP+2.9万人と予想を大きく下回り、過去2ヶ月分も合計6.0万人の下方修正。失業率は4.2%に上昇
- ✓今回10月分の市場予想はNFP+6.5万人・失業率4.2%・平均時給 前年比+2.9%。前年比の低下はベース効果が大きく、前月比で賃金の勢いを確認
- ✓FOMC据え置き後初の雇用統計。12月会合での利上げの織り込みは68.4%(前日82.7%)。予想を下回ると織り込みの低下でドル売りが大きくなる可能性
- ✓ドル円は157.6円台。オーダーブックでは158.50〜159.00円が上値、157.50円と156.90円付近が下値の目安。ゴールドは4,080ドル台で、4,000ドルの維持が焦点
▶ 前回(9月分)の結果はこちら:9月米雇用統計の結果とドル円・金の見通し/10月FOMCの結果:10月FOMCの結果とドル円・金の見通し
Published by
OANDA Lab編集部
OANDA証券株式会社が運営する「OANDAラボ」は、FX/CFDを統計学的側面で科学するメディアです。外国為替(FX)や世界の株価指数、金や原油などの商品市場に関するマーケット情報やデータ、ニュースを提供しています。
会社名:OANDA証券株式会社
所在地:東京都千代田区平河町1-3-13 CIRCLES平河町 10階
加入協会:一般社団法人金融先物取引業協会 / 日本証券業協会 / 日本商品先物取引業協会
登録番号:第一種 金融商品取引業 関東財務局長 (金商) 第2137号
問い合わせ先:お問い合わせフォームから
本ホームページに掲載されている事項は、投資判断の参考となる情報の提供を目的としたものであり、投資の勧誘を目的としたものではありません。投資方針、投資タイミング等は、ご自身の責任において判断してください。本サービスの情報に基づいて行った取引のいかなる損失についても、当社は一切の責を負いかねますのでご了承ください。また、当社は、当該情報の正確性および完全性を保証または約束するものでなく、今後、予告なしに内容を変更または廃止する場合があります。なお、当該情報の欠落・誤謬等につきましてもその責を負いかねますのでご了承ください。
