日本時間10月30日8時30分に総務省が発表した2026年10月の東京都区部消費者物価指数(CPI)(中旬速報値)は、生鮮食品を除く総合(コアCPI)が前年比+2.6%と、市場予想(+2.6%)と一致しました。9月(+2.7%)からの鈍化は0.1%ポイントにとどまりました。9月にあった水道料の押し上げ(総合への寄与度で0.24%ポイント)が消えた一方、電気代と都市ガス代の前年比がプラスに転じ、エネルギーが伸びを押し上げたためです。エネルギーを含まない生鮮食品及びエネルギーを除く総合(コアコアCPI)は+2.6%と9月の+2.9%から鈍り、米類の値下がりで食料(生鮮食品を除く)の伸びも縮みました。総合は+2.8%です。同時に発表された9月の完全失業率は2.4%、有効求人倍率は1.19倍と、いずれも市場予想より強い結果でした。本記事では結果の内訳と発表直後の市場の反応を整理したうえで、昼の日銀金融政策決定会合の結果を控えたドル円(USD/JPY)と日経225(JP225)の見通しを解説します。
結果ハイライト
結果一覧
東京都区部CPI(10月分)と雇用指標(9月分)の結果は以下の通りです。
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| 項目 | 結果 | 市場予想 | 前回 |
|---|---|---|---|
| 東京都区部CPI 総合(前年比) | +2.8% | − | +2.7% |
| 東京都区部CPI コア(生鮮食品を除く、前年比) | +2.6%(予想と一致) | +2.6% | +2.7% |
| 東京都区部CPI コアコア(生鮮食品及びエネルギーを除く、前年比) | +2.6% | − | +2.9% |
| コア(季節調整済み前月比) | +0.3% | − | +0.9% |
| 食料(生鮮食品を除く、前年比) | +3.0% | − | +3.6% |
| エネルギー(前年比) | +2.2% | − | ▲1.9% |
| 水道料(前年比・寄与度) | 0.0%(0.00pt) | − | +65.6%(+0.24pt) |
| 保育所保育料(寄与度) | ▲0.21pt | − | ▲0.21pt |
| 完全失業率(9月、季節調整値) | 2.4% | 2.5% | 2.5% |
| 有効求人倍率(9月、季節調整値) | 1.19倍 | 1.18倍 | 1.18倍 |
8時50分に発表された9月の鉱工業生産(速報)の結果は以下の通りです。
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| 項目 | 結果 | 市場予想 | 前回(8月) |
|---|---|---|---|
| 鉱工業生産(速報、前月比) | +2.2% | +1.2% | ▲2.4% |
| 鉱工業生産(速報、前年比) | +1.9% | +1.5% | +2.7% |
鉱工業生産は前月比+2.2%と市場予想(+1.2%)を上回り、8月の落ち込み(▲2.4%)をほぼ取り戻しました。自動車工業や生産用機械工業が伸び、経済産業省は基調判断を「一進一退」としています。製造工業生産予測では、10月・11月ともに上昇が見込まれています。
発表直後の市場の反応
- ドル円(USD/JPY):発表前157.72円近辺 → 発表後は157.71〜157.83円の狭い範囲で推移し、方向感は出ませんでした(8時56分時点:157.82円近辺)
- 日経225(JP225):発表前63,780円近辺 → 発表後は63,630〜63,980円の範囲で上下しました(8時56分時点:63,830円近辺)
発表直後のドル円(USD/JPY)1分足の値動き
ドル円は東京都区部CPIの発表前に157.72円近辺で推移していました。コアが予想通りだったことから、発表後の値幅は12銭程度にとどまり、8時50分の鉱工業生産の上振れにも目立った反応はありませんでした。前夜の米GDP速報値の発表後から157円台後半での推移が続いており、市場の関心は昼の日銀会合に移っています。
発表直後の日経225(JP225)1分足の値動き
日経225(JP225)は、発表前の63,780円近辺から、発表後は63,630〜63,980円の範囲で上下しました。現物市場の取引が始まる9時より前の時点で、指標そのものへの反応は限られています。
結果の内訳
コアCPIは前年比+2.6%と、9月の+2.7%から0.1%ポイント縮小しました。総合は+2.8%(9月+2.7%)、コアコアは+2.6%(同+2.9%)でした。季節調整済みの前月比はコアが+0.3%、コアコアが+0.2%、総合が+0.5%です。水道料の影響で+0.9%と大きく伸びた9月のコアの前月比からは落ち着き、2026年1〜8月の範囲(0.0〜+0.3%)の上限と同じ水準でした。コアコアの+0.2%も、1〜8月の平均(約+0.15%)と大きく変わりません。
制度要因:水道料の押し上げが消え、保育料の押し下げは続く
水道料は前年比0.0%(寄与度0.00%ポイント、9月は+65.6%・+0.24%ポイント)でした。夏の水道基本料金の無償化が2025年・2026年ともに終わり、通常料金どうしの比較に戻ったことで、9月にあった押し上げがなくなりました。保育所保育料の寄与度は▲0.21%ポイント(9月▲0.21%ポイント)で、押し下げは2027年3月分まで続きます。2つの制度要因を合わせると、コアの前年比を9月から約0.24%ポイント押し下げた計算です(当社試算)。一方、エネルギーが約0.17%ポイント押し上げたため、コアの鈍化は0.1%ポイントにとどまりました。エネルギーと制度要因を除いた「その他」の変化は約▲0.03%ポイントで、食料やサービスなどの伸びが強まったわけではありません。
エネルギーと食料・サービス
エネルギーは前年比+2.2%(9月▲1.9%)とプラスに転じました。電気代は+1.7%(9月▲2.6%)、都市ガス代は+4.9%(同▲0.5%)、ガソリンは▲2.3%です。10月分の電気代には、補助単価が1kWhあたり3.5円(前年2.0円)の9月使用分の料金が反映されました。総務省の試算では、政策効果がエネルギー全体で総合の前年比を0.35%ポイント押し下げています(9月は0.36%ポイント)。補助は今回の10月分までで、11月分以降はエネルギーが前年比を押し上げる方向に変わります。
食料(生鮮食品を除く)は+3.0%(9月+3.6%)、総合への寄与度は0.71%ポイント(9月0.83%ポイント)でした。10月は飲食料品の値上げが3,153品目と9月に次ぐ多さで、外食は+4.6%、調理食品は+3.8%(弁当+28.1%)、菓子類は+3.7%と値上げの動きは続きました。一方、穀類は▲7.2%で、米類が▲31.3%(9月▲19.8%)と下げ幅を広げ、食料全体の伸びを縮めました。宿泊料は+6.7%(9月+4.6%)と伸びが高まり、家庭用耐久財は+5.7%(同+5.9%)、教養娯楽用耐久財は+7.1%(同+6.3%)、家事用消耗品は+10.4%(同+10.6%)でした。家賃は+1.9%です。
雇用指標の結果:失業率2.4%、有効求人倍率1.19倍
完全失業率
9月の完全失業率(季節調整値)は2.4%と、市場予想(2.5%)を下回り、8月から0.1%ポイント低下しました。完全失業者数は169万人(前年同月比15万人減)、就業者数は6,896万人(同33万人増)です。雇用者数は6,265万人と前年同月から64万人増え、自発的な離職(自己都合)による失業者は前年同月から9万人減りました(いずれも原数値)。
有効求人倍率
9月の有効求人倍率(季節調整値)は1.19倍と、市場予想(1.18倍)を上回り、8月から0.01ポイント上昇しました。新規求人倍率は2.19倍(8月2.06倍)、正社員の有効求人倍率は1.01倍です。新規求人(原数値)は前年同月比0.4%減で、産業別では製造業(8.2%増)や情報通信業(5.9%増)で増えた一方、生活関連サービス業・娯楽業(6.7%減)、卸売業・小売業(6.3%減)、宿泊業・飲食サービス業(6.3%減)などで減りました。失業率の低下と求人倍率の持ち直しから、人手不足の状態は続いているとみられます。
日銀の金融政策への影響:昼の会合結果と12月利上げ
日銀は9月18日の会合で政策金利を1.25%へ引き上げました。本日10月30日の昼ごろには今回の会合の結果と展望レポートが公表され、15時30分から植田総裁が会見します。今回の会合では据え置きが見込まれており、金利スワップ(OIS)市場が織り込む利上げ確率は、10月会合で2%程度、12月会合までで7割台半ばでした(10月29日夕方時点)。
今回の東京都区部CPIは、コアが予想通りで、制度要因とエネルギーを除いた伸びにも加速は見られませんでした。コアコアは+2.6%と9月から鈍ったものの2%を上回る伸びが続いており、12月の利上げを見込む見方を強める材料にも弱める材料にもなりにくい結果です。一方、失業率の低下と求人倍率の上昇は、賃上げが続く前提となる労働需給の引き締まりを示しています。今回の会合の判断を左右する指標ではありませんが、植田総裁が会見で物価の基調や12月以降の利上げにどう触れるかを受け止めるうえでの前提になります。
▶ 日銀会合(10月)の注目点はこちら:日銀会合(2026年10月)の予想と注目点
今後のドル円(USD/JPY)の見通し
前日29日は、未明のFOMCで政策金利が3.75~4.00%に据え置かれ、2人の委員が利上げを主張して反対しました。夜の米7-9月期GDP速報値は前期比年率+3.4%と市場予想(+3.2%)を上回り、9月のコアPCEデフレーターは前年比+3.1%と予想通りでした。12月のFOMCでの利上げの織り込みは8割台を保っています。30日朝のドル円は157.8円前後で推移し、東京都区部CPIの発表後も大きな動きはありませんでした。
1時間足では、ボリンジャーバンドの中心線(157.86円)付近で推移しています。上限は158.08円、下限は157.64円とバンドの幅が狭く、昼の日銀会合を前に値動きが小さくなっています。表示期間の高値は158.35円、安値は156.08円です。
発表後の8時55分時点のOANDAのオーダーブックを見ると、オープンオーダー(未約定注文)は買いが58.4%、売りが41.6%です。現在値の上では158.35円や158.50円に売り指値が厚く、158.00〜158.10円には買い逆指値(買いストップ)がまとまっています。下では157.20円や157.00円に買い指値があり、157.50円近辺には売り逆指値(売りストップ)が集まっています。
オープンポジションはロング48.4%、ショート51.6%とほぼ拮抗しています。現在値より上には含み損のロングが30.5%、下には含み損のショートが24.3%あります。日銀会合の結果を受けて158.10円を上抜けると買いが、157.50円を下抜けると売りが加速する可能性があります。
直近1週間のOANDAの通貨強弱チャートを見ると、米ドルは8通貨中3位と強い一方、円は7位と弱い状態が続いています。米ドルと円の差は10月29日未明(FOMCの結果発表前)に最も大きく開き、その後はやや縮まりました。東京都区部CPIの発表は8時台のため、このチャートにはまだ反映されていません。
日足では、ドル円は21日移動平均線(157.91円)をわずかに下回り、75日線(158.34円)と200日線(158.52円)の下にあります。RSIは51.0と中立圏です。上値の目安は158.10円の買いストップと158.35円の売り指値、下値の目安は157.50円の売りストップと157.20円の買い指値です。昼の日銀会合の結果と15時30分の植田総裁の会見で、値動きが大きくなる可能性があります。
今後の日経225(JP225)の見通し
日経225(JP225)は、東京都区部CPIの発表後も63,800円前後で推移しています。予想通りの結果で日銀の利上げ観測に大きな変化はなく、円相場も157円台後半で落ち着いているため、指標を受けた動きは限られています。
1時間足では、ボリンジャーバンドの下限(63,834円)付近にあります。中心線は64,486円、上限は65,137円です。下限に沿って推移すると下げが続きやすく、戻る場合は中心線の64,500円近辺が上値の目安です。
日足では、21日移動平均線(66,072円)と75日線(65,708円)を下回り、200日線(62,469円)の上にあります。RSIは42.9とやや弱めです。下値の目安は200日線の62,500円近辺、上値の目安は75日線の65,700円近辺です。日銀会合の結果で円相場が動いた場合、日経225にも影響が及ぶ可能性があります。
まとめ
- ✓10月東京都区部CPIはコア+2.6%(予想+2.6%)、総合+2.8%、コアコア+2.6%。コアは予想通り9月の+2.7%から小幅に鈍化した
- ✓9月にあった水道料の押し上げ(約0.24pt)は10月分で消え、保育料の押し下げ(約0.2pt)は来年3月分まで続く。エネルギーの押し上げ(約0.17pt)が水道料の剥落をほぼ埋め、それ以外の伸びはほぼ横ばい(当社試算)
- ✓エネルギーは電気代・都市ガス代の前年比がプラスに転じて+2.2%。電気・ガス補助は10月分までで、11月分以降は押し上げ方向に変わる
- ✓9月の失業率は2.4%、有効求人倍率は1.19倍と、いずれも予想より強い。人手不足の状態は続いているとみられる
- ✓きょう昼に日銀会合の結果と展望レポート、15:30に植田総裁の会見。ドル円は上値158.10円・158.35円、下値157.50円・157.20円が目安
▶ 前夜の米GDP速報値の解説はこちら:米GDP速報値(7-9月期)の結果とドル円・ゴールドの見通し
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OANDA Lab編集部
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