貴金属の基礎

金(ゴールド)マーケットの仕組み|先物市場とは?Comexを例に解説

ゴールドマーケットの中心はLoco London marketだと前回書きましたが、それはOTC(Over the Counter : 相対取引)のスポット取引(二営業日後に決済)で、外国為替市場と同じ仕組みでした。ドル建てゴールドの価格は「1オンス当たりのゴールドと米ドルの為替(exchange rate)」だと言い換えることができます。

このスポットのOTC取引に対して、取引所で定型化された「先物取引」が貴金属には存在します。

外国為替にもIMMという先物取引がシカゴに存在しますが、為替マーケット全体におけるウェイトはほぼ無視できるほど小さなものです。しかし貴金属マーケットでは、先物取引、特に米国のCME(Chicago Mercantile Exchange)に属するComex (Commodity Exchange – Gold & silver)そして Nymex (New York Mercantile Exchange- Platinum and palladium)という二つの米国の先物取引がLoco London spot とほぼほぼ同じ規模で取引しており、マーケットに対する影響力は為替の市場での先物取引の比ではないほど重要なものです。

↓の表でみるとわかりますが、ゴールドの取引の大部分はLBMA(Loco London spot)とComexが占めているのがよくわかります。この二つのマーケットでの取引が世界のゴールドの取引をまさに二分していると言っていいでしょう。

(LBMA(Loco London spot)と先物市場の取引高比較)

LBMA(Loco London spot)と先物市場の取引高比較


先物取引(Futures)とは


OTCがトレーダー間の相対取引であるのに対して、先物取引は取引所で定型化された将来の決められた期日での決済をする取引です。

Comexを例として、先物取引とはどういうものか説明しましょう。

 
Comex Gold Futures
1 contract = 100toz のドル建て1オンス当たりの価格である。(建値はLoco London gold と同じ)
未来の決まった期日決済(たとえば2021年12月(Dec) contractは12月29日が決済日)条件の価格。(Spotは二営業日後決済の価格)
先物取引の最大の特徴は、商品価格のおよそ10分の1以下の証拠金(margin money)を収めることで取引ができるということ。つまり少ない資金で大きな取引ができることになり「梃子の原理(leverage)」を活用することで、資金を効率よく運用することができる。もちろんその反面ではハイリスクハイリターンの取引となる。
先物取引のポジションは決済日が来る前に基本的には反対売買で差金決済される。しかし、実際にゴールドを受け渡しを行うことも可能。その場合買い手は総商品代を取引所に払う。
取引所取引の利点は、OTCでは取引相手に対する与信が発生するのに対して、取引所取引では売買の相手はクリアリングハウス(清算機構)であること。ひとつひとつの取引相手に対する与信は発生せず、クリアリングハウスという財務基盤のしっかりした巨大組織になるので与信リスクはほとんど発生しない。
多くの市場インタレストが同じ取引所に集中するため、流動性があり競争的そしてフェアな価格で取引することができる。

現在、このComex/Nymexはほぼ24時間取引しています。

一週間の始まりは東京時間の月曜日の午前8時(米国夏時間は午前7時から)、一週間の終わりは土曜日の午前7時です。平日は朝7時から8時まで取引がストップしているので、一日23時間の取引をしていることになります。

このComex gold futuresが現在のゴールドの価格を決めているといって過言ではないでしょう。筆者が最前線でゴールドのトレーディングをやっていたころ(30-20年くらい前)はまずLoco London goldありきだったのですが、今ではその地位は完全に逆転、トレーダーたちの最終ヘッジのマーケットはComexです。

Loco Londonの価格をquote (提示)するマーケットメーカーもComexのActive month(ほとんどの取引が集中するコントラクト。Dec-Feb-Aprという風に時期によって変わっていきます。)の価格からEFP(Exchange for Physicals;Comex Active monthとLoco Londonのswap rate)を使ってLoco Londonの価格を出しています。つまり、現在、すべてのゴールド価格の根源はComexにあると言っていいでしょう。

これを読んでいるであろう個人投資家の皆さんのみているCFDの価格も、その源泉はComexにある場合がほとんどです。細かくいうとCFDのサービスプロバイダーによって変わりますが、ずばりそのままComexの価格である場合と、それを参照にしたスポットの価格である場合があり、すべてはComexにその元をたどることができます。

現在、ゴールドのいわゆる「price finding 価格発見」メカニズムはComexにあります。

Comexが23時間をカバーしていることから、世界のマーケットはこれを中心に回っています。

Loco London spotはComexと同時進行ですが、ほぼほぼComexのミラーマーケット、そしてOSE(旧Tocom)も裁定取引業者が常に同時刻のComexやLoco Londonとの裁定取引を行っており、同じ時間のComex / Loco London / OSEは少し形は違いますが、ゴールド純分の価値に引き直すとほぼ同価値になります。

いずれかが割高になったり割安になったりすると、すぐに裁定が入り価値は標準化されます。


世界の先物市場


Comexが世界の先物市場のみならず、ゴールド市場の中心であると説明しましたが、世界にはまだほかにも先物市場があります。

その代表的なものは日本のOSE(元Tocom)、中国のSHFE(上海期貨交易所;Shanghai Futures Exchange)、厳密な意味では先物取引所ではなく現物の先渡し取引であるSGE(上海黄金交易所:Shanghai Gold Exchange)、そしてインドのMCX(Multi Exchange)などがあります。

世界各地でゴールドの先物取引は上場が試みられてきましたが、Comexが先行者で成功したために、ほかの先物取引所はことごとく鳴かず飛ばずとなりました。ドル建ての先物取引はComexで十分なのです。

その中での日本や中国そしてインドの取引所は独自のローカルなインタレストを背景にComex以外では例外的に成功しているゴールドの取引所取引です。


本記事の監修者・Bruce Ikemizu / 池水雄一


1986年上智大学外国語学部英語学科卒業後、住友商事株式会社。1990年クレディ・スイス銀行、1992年三井物産株式会社で貴金属チームを率いる。2006年スタンダードバンクに移籍、2009年同東京支店支店長就任。2019年9月日本貴金属マーケット協会代表理事。

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