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「米国債利回りの推移」の活用方法|ゴールドとの関係性について詳しく解説


ゴールドは究極の安全資産


ゴールドのマーケットにとって米国債利回り、特に10年物国債、すなわち米国10年長期金利が非常に重要な相場変動要因です。米国の長期国債とゴールドはともにいわゆる「安全資産」と考えられます。

ゴールドは株や債券と言った「発行体のリスクを持つ」一般的な金融商品と違って、そのものの価値で取引される商品の代表です。他の金融商品が、その発行者(企業や地方共同体、国など)が紙切れとなるリスクを持っているのに対して、ゴールドは紙切れとなるリスクはありません。

いつどんなことが起こってもゴールドはゴールドです。究極の安全資産と言えるでしょう。阪神大震災の時、金庫に入っていた札束は灰になってしまっていたのが、ゴールドは溶けてもそのまま残っており、ゴールドとしての価値は変わりません。それがテレビのニュースで報道され、その後ゴールドが飛ぶように売れたことがあります。


ゴールドをも上回る最強の安全資産が米国国債


その安全資産と認められているゴールドですが、市場規模からゴールドより圧倒的に安全資産とみなされているのが米国債です。

米国が発行する国債ですから当然米国の破綻というリスクが伴いますが、米国は世界一の経済大国であり、その通貨である米ドルは世界の基軸通貨であるということを考えると金融商品でこれ以上の信頼をおけるものは他にないと言っていいでしょう。

ゴールドのコモディティとしての独立性を持ってしても、米国債の持つ何物にも代えがたいその「流動性」を考えれば、世界一の安全資産はやはり米国債です。

市場規模が圧倒的にゴールドとは違い、いつ何時でも大量に取引ができるマーケットであるというこの流動性が米国債を安全資産ダントツの1位にしています。

そして、長期金利とはこの長期国債の利回りであり、国債の価格が上昇すれば、金利は下がり、価格が下がれば金利が上がるという関係にあります。つまり安全資産として国債が買われると価格が上昇、その結果利回りは下がります。

ゴールドも米国債も安全資産として買われる時は一緒に買われます。つまり金利が下がるとゴールドが上がり、金利が上がればゴールドが下がるマーケットメカニズムです。


ゴールドは金利がつかないという誤解


ゴールドは一般的に金利を生まないと言われており、資産として考えたとき金利が上昇すると、相対的にゴールドを保有することが不利です。金利を稼げないゴールドを持つより、持っているだけで金利を稼げる債券の方が有利です。

そのため、ここ数年(2022年1月時点)続いてきたゼロ金利、マイナス金利の世界は、相対的にゴールドにとっては有利な世界でした。実はゴールドが金利を生まないというのは誤った理解であり、外国為替と全く同じ仕組みで取引されているゴールドには先物も取引されており、当然スポットと先物の値差を決めるのは金利であるので、ゴールドにも「金利」(ゴールドでは金利とは呼ばず、リースレートと呼ばれますが)は存在します。

ただ通貨の金利にくらべてゴールドの金利は歴史的に低いので、「金利を生まない」と言われてきたのです。しかしゼロ金利になってしまうと、たとえゴールドが0.5%の金利でも相対的に高金利なのです。しかし、2021年後半からFRBが金融緩和の終わりを考慮し始めると金利は上昇していきました。2022年3月には金利上げがほぼ確実視されるにいたってゴールドは下降傾向を強めています。


米国債利回りとゴールドの価格は逆比例の関係


このようにゴールドは金利の動向に逆比例する傾向があります。OANDAの米国債利回りの推移では、各年数の米国債利回りとその他の資産の価格推移を比較して時系列で見ることができます。以下のグラフは米国10年国債利回りとゴールド価格の動きを過去5年で並べたものですが、逆比例の関係が見て取れます。

OANDAの米国債利回りの推移

特に米国の長期金利とは逆相関関係が強いので、今後金利の上昇が期待される時には、ゴールドはその価値が下落する可能性が高く、金利が下げ基調にあるときは、ゴールドの価格は上昇する可能性が高いです。米長期金利の動きは米ドルとともに、ゴールドにとっては最も重要な指標です。

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※この記事は2022年1月28日に書かれました。


本記事の監修者・Bruce Ikemizu / 池水雄一


1986年上智大学外国語学部英語学科卒業後、住友商事株式会社。1990年クレディ・スイス銀行、1992年三井物産株式会社で貴金属チームを率いる。2006年スタンダードバンクに移籍、2009年同東京支店支店長就任。2019年9月日本貴金属マーケット協会代表理事。

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