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ナンピン(難平)とは|言葉の意味・取引タイミングや注意点を解説


ナンピン(難平)とは、保有している通貨の価格が買ったときより下がった場合に、買い増しして平均取得単価(平均コスト)を下げる取引方法です。

平均取得単価を下げることで、相場が予想通りの動きに戻った際に、利益を大きくすることができます。

しかし、相場が逆行し続ける場合は、損失が拡大してしまうリスクがあり、FX初心者は十分な注意が必要です。

本記事では、ナンピンとはどのような手法なのか、メリットやデメリット、注意点などと合わせて解説していきます。

ナンピン(難平)とは

まず、ナンピン(難平)の意味や由来について解説していきます。

  • ・意味
  • ・由来

意味

FX取引の代表的な手法の1つに「ナンピン」があります。

ナンピンは、保有しているポジションに対し、相場が逆に動いた場合に、ポジションを追加して平均取得単価を下げる取引手法です。

平均取得単価を下げることで、相場が予想通りの動きに戻った際に、利益を大きくすることができます。

しかし、相場が逆行し続ける場合は、損失が拡大してしまうリスクがあり、FX初心者の方は十分な注意が必要です。

由来

ナンピンは、漢字で書くと「難平」です。

難とは損を意味し、「損を平均化すること」をいいます。

江戸時代の米相場で使われていた、歴史のある古い言葉とされていますが、現在では漢字ではなく、カタカナで表記されることがほとんどです。

実際の取引においては、損を平均化するだけなく、利益を期待して行う手法として利用されます。

ナンピン(難平)における平均取得単価の計算方法

ナンピンはポジションの平均取得単価を下げる取引手法ですが、どのように下がるのかを計算してみましょう。

ナンピンの計算方法は、以下の通りです。

    平均取得単価=取引をした価格÷合計Lot(ロット)数

例えば、1ドル110円の時に買いポジションを1Lot保有したとします。

そして、1ドル100円まで下落したところで、さらに追加で買いポジションを1Lot保有しました。

これを上記の計算式に当てはめると、(110+100)÷2Lot=105です。

この場合、平均取得単価は105円です。

平均取得単価105円

最初に110円で買いポジションを保有していますが、100円でナンピン買いを行ったことにより、105円で買いポジションを保有している状態となるのです。

この場合、105円以上の価格になれば利益を得ることができます。

ナンピン(難平)のメリット

ナンピンを行うメリットは以下の3点です。

  • ・平均取得単価を下げられる
  • ・損失を抑えられる可能性が高まる
  • ・利益が大きくなる

平均取得単価を下げられる

前述の通り、ナンピンを行うと平均取得単価が下がります。

平均の単価が下がれば「ここまで価格が戻れば損失がなくなる」というラインも下がります。

このため、チャート分析などによって相場が反発することを予想できていれば、有効な手法です。

損失を抑えられる可能性が高まる

ナンピンでは平均取得単価が下がるため、損失を抑えられる可能性が高まります。

前述の平均取得単価の計算方法で提示した例で見ると、ナンピンをしなければ最初のポジション1ドル110円に相場が戻るまでは含み損は解消されません。

しかし、ナンピンを行えば105円まで相場が戻った時点で含み損を抜け出せるため、利益が出る水準が下がります。

相場が回復するのを待つ期間が短くなることも、メリットといえるでしょう。

利益が大きくなる

ナンピンを行うと平均取得単価が下がるうえに、当初よりも多くのポジションを持つことになります。

安く大量に仕入れているということは、相場が上昇すればナンピンを行わない状態(高く少量を仕入れていた状態)よりも、大きな利益を期待できます。

例えば、AさんとBさんが110円で1Lot(1,000通貨)の買いポジションを保有したとします。

価格が100円まで下落してきた時に、Aさんのみ1Lotの買いポジションを追加し、価格が115円で2人とも決済をしました。

ナンピンのメリット

この時の最終的な2人の利益は、Aさんが20,000円、Bさんが5,000円です。

このように、ナンピンは成功すれば大きな利益を狙えます。

ナンピン(難平)のデメリット

ナンピンを行うデメリットは以下の3点です。

  • ・損失が大きくなる
  • ・証拠金維持率低下によるロスカットリスクがある
  • ・心理的負荷が大きくなる

損失が大きくなる

ナンピンはより大きな利益につながることがありますが、取引に失敗すれば大きな損失になるリスクが高い取引手法です。

例えば、AさんとBさんが110円で1Lot(1,000通貨)の買いポジションを保有します。価格が100円まで下落してきた時に、Aさんのみ1Lotの買いポジションを追加し、価格が95円で2人とも決済をしました。

この時の最終的な2人の損失は、Aさんが20,000円、Bさんが15,000円です。

ナンピンのデメリット

1回ナンピンを行ったAさんが、5,000円多くの損失を出しており、割合でいうと「Bさんより33%多い損失」です。

このように、ナンピンの取引に失敗すれば、より大きな損失となります。

証拠金維持率低下によるロスカットリスクがある

ナンピンによるポジション追加や、価格の逆行が続くと、証拠金維持率が低くなります

証拠金維持率が低い状態では、さらに大きな逆行が発生した場合に強制ロスカットになってしまう可能性があります。

ナンピンを行う際は、慎重な資金管理が求められ、仮に証拠金維持率が低下している場合は追加証拠金の準備が必要です。

心理的負荷が大きくなる

ナンピンは「損をしている方向にポジションを増していく」というリスクの高い手法です。

相場が反転するまでは、ポジションを増やした分だけ損失が拡大しやすくなります。

そうした含み損を抱えている状況は、心理的負荷が大きくなりやすいです。

このような負荷は、トレード以外の私生活などに悪影響を及ぼす可能性があるため、ナンピンは慎重に行う必要があります。

ナンピン(難平)が有効的とされる取引タイミング

ここでは、ナンピン(難平)が有効的とされる取引タイミングについて解説します。

  • ・予想と反した値動きが一時的だと判断できる場合
  • ・含み損を早めに回収したい場合

予想と反した値動きが一時的だと判断できる場合

ナンピンは、予想と反した値動きが一時的だと判断できる場合に有効的です。

長期足が上昇トレンドである場合、短期足は上下の動きを繰り返しながら上昇する傾向にあります。

そのため、価格が一度押し目をつけて上昇していくと判断できる場面では、ナンピンが有効に機能すると考えられます。

例えば、長期足が上昇トレンドのときに105円で1Lot買った後に、95円まで押し目をつけた場合を考えてみましょう。

95円に値下がりした時点で再度1Lot買い注文を入れることで、平均取得単価は100円となります。

それから相場が長期トレンドの方向へ戻り、100円以上に上昇してから利益確定をすると、収益がプラスになります。

ナンピンの成功事例

このように、一時的に相場が下がっているときに買いポジションを増やすことで、相場が上がったときに利益の拡大を期待できます。

ナンピンが有効な場面については、下降トレンドに転換する要素(各国の経済指標発表や要人の発言等)がないか、重要なラインを下に抜けていないか、またはテクニカル分析を活用して判断すると良いでしょう。

含み損を早めに回収したい場合

また、ナンピンは含み損を早めに回収したい場合にも有効な手法です。

ナンピンを行わなければ、最初に保有したポジションの取得水準まで、相場が回復するのを待つ必要があります。

含み損を抱えた状態が長く続くと、経験値の高いトレーダーでも少なからずストレスを感じるものです。

しかし、ナンピンを行うことで平均取得単価が下がるため、含み損が早く解消されることに期待できます。

ナンピン(難平)する際の注意点

ナンピンは、リスクを伴う取引手法です。ここでは、ナンピンを使う際の注意点について詳しく紹介します。

ナンピンを使う際の注意点は、以下の通りです。

  • ・資金管理を必ず行う
  • ・戦略的にナンピンを利用する
  • ・許容できる損失を超えたらすぐに損切りを行う

資金管理を必ず行う

ナンピンを行う際には、証拠金余力や証拠金維持率を管理する必要があります。

証拠金に余裕があり、資金管理のもとで計画的にポジションを増やしているならば、強制ロスカットのリスクは低減できます。

ただし、含み損を抱えている間の資金拘束は免れないので、一長一短の戦略だといえます。

戦略的にナンピンを利用する

「どうなったらナンピンするか」「どうなったら損切りするか」という計画を立て、戦略的にナンピンするのなら問題ありません。

撤退のシナリオがあるため、含み損や損切りを受け入れる精神状態があり、強制ロスカットの可能性を防げているからです。

また、戦略的なナンピンを行うには、チャート分析によるトレンドの予測ができていることが重要な要素となります。

許容できる損失を超えたらすぐに損切りを行う

ナンピンでは、許容できる損失を超えたら、すぐに損切りを行うことも重要です。

資金を守るために、あらかじめ損切りのルールを決めておくようにしましょう。

例えば、よく利用される方法に以下の2つがあります。

  • ・損失額で決める方法:「〇〇円の損失が出たら損切り」
  • ・値幅で決める方法:「〇〇pips逆行したら損切り」

含み損を抱えた状態で相場が戻ると期待してポジションを増やし、損失を拡大させてしまうことには注意が必要です。

FXで安定して利益を上げていくためには「損小利大」の考えが重要です。

上手く損切りをして、損失を小さく抑えるようにしましょう。

ナンピン(難平)に関するQ&A

ナンピンに関してよく見られる疑問点は、以下のようなものです。

  • ・ナンピン買いの逆は何といいますか?
  • ・初心者にナンピンはおすすめですか?
  • ・ナンピンに向いてる人の特徴はなんですか?

ナンピン買いの逆は何といいますか?

ナンピン買いの逆は「ナンピン売り」です。

ナンピン買いが下がるたびに「買い増し」するのに対して、ナンピン売りは上がるたびに「売り増し」する取引方法です。

なお、ナンピン売りの場合は平均取得単価が上がります。

チャートの動きの違いを比べると、以下の通りです。

ナンピン買いとナンピン売り

あるいは、売り買いという意味の逆ではなく、「損失を確定させる」という意味の場合では「損切り」が対義語ともいえます。

損切りについて解説している記事もあるので、詳しく知りたい人はこの記事と合わせて読んでみましょう。

初心者にナンピンはおすすめですか?

初心者が安易にナンピンを行うことは推奨されません。

どうしても行う場合には、「いくらまで下がったら(上がったら)止める」「買い増し(売り増し)は何回までにする」といったルールを定めると良いでしょう。

ナンピンに向いてる人の特徴はなんですか?

ナンピンに向いてる人の特徴は、主に以下の2つが挙げられます。

  • ・資金管理のルールを守れる人
  • ・十分にFXの知識や経験がある人

計画的にトレードを行い、損切りや資金管理などのルールを守れる人には、ナンピンは向いているでしょう。

一方「相場が回復するかもしれない」と損切りをためらってしまうような人は、大きな損失を出してしまうリスクがあります。

取引経験の浅いうちは、心理的負担を感じやすく、冷静な判断ができなくなりやすいので、十分に知識や経験が身についてから活用することが推奨されます。

【まとめ】ナンピン(難平)とは|言葉の意味・取引タイミングや注意点を解説

ナンピンは、ポジション保有時に相場が逆行した際に、ポジションを追加する取引手法のことです。

ナンピン買いなら平均取得単価が下がり、ナンピン売りなら平均取得単価が上がり、含み損を解消しやすくなるメリットがあります。

ただし、相場の逆行が続いた場合には損失が拡大するため、大きなリスクがあります。

無計画にナンピンを繰り返すと、強制ロスカットのリスクが高まるので注意が必要です。

ナンピンを安全に行うには、資金管理や取引シナリオが重要です。


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