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【MT5 API入門①】MT5 APIとPythonを接続したシステムトレードの基礎知識


メタクォーツ公式からPythonとMT5を統合するための機能としてMetaTrader5モジュール(以下MT5 API)が提供されています。

この記事は、「MT5 APIではじめるPythonシステムトレード入門」シリーズの第1回として、MT5 APIを使用したPythonによるシステムトレードの概要をまとめています。

※この記事はAPIトレードに関する知識を提供することを目的としています。
技術的なお問い合わせは受け付けておりません。技術的な課題はお客様ご自身で解決をお願いいたします。

MT5 APIの役割

まずはMT5 APIが果たす役割について解説します。

システムトレードの開発について

システムトレードとは、あらかじめ決めたルールや機械学習モデルによるシグナルに基づいて、自動的にトレードを行うことを指します。

様々な工程を経て、システムトレードは開発と運用を実現しますが、一般的な開発の流れを大まかに示すと次のようになります。

  • 1. 過去データの取得
  • 2. 戦略の構築
  • 3. バックテストと戦略の評価
  • 4. リアルタイムデータの取得
  • 5. 戦略に基づいて注文

システムトレードを実施するまでの流れの中で、「戦略に基づいて注文」を実施する際に、MT5 APIが利用できます。

MT5 APIとは

MT5 APIは、主にMT5で行う取引に関する操作を、Pythonによって実行するためのインターフェースです。

MT5API_1_01

MT5 APIは、あらかじめPCにインストールしたMT5と同じPCで動作するPythonプログラムを接続する役割を担います。

PythonプログラムからMT5を操作して、ブローカーへと注文を出すことで、システムトレードを行うことができます。

MT5 APIの機能

具体的にMT5 APIでできる内容をまとめます。

  • ● 同PC上で動作しているMT5に接続する
  • ● MT5で表示できる通貨ペアやCFD銘柄の情報を取得する
  • ● 通貨ペアやCFD銘柄の過去データを取得する
  • ● MT5での口座情報を取得する
  • ● MT5での保有ポジション情報や注文情報を取得する
  • ● 取引履歴を取得する
  • ● 注文を出す

これらMT5での操作を、Pythonプログラム上で実行することができます。

より詳細な情報はMQL5.comの公式ページ にて確認が可能です。

EAとの違い

FXのシステムトレードというと、代表的な選択肢としてEAがあります。

EAはMT5(またはMT4)のアプリケーション内部で稼働するシステムであるのに対して、PythonはMT5アプリケーションの外部で稼働するシステムを構築することができます。

MT5API_1_02

これによって、EAでは実装が難しいシステムも容易に構築できるなど、Pythonならではの恩恵を多く受けられます。

Pythonを用いるメリット

ここからは、システムトレードにおいてPythonを用いるメリットを3つの視点で紹介します。

データ分析

Pythonには、インターネット上に公開され自由に利用できるライブラリが豊富に存在します。

トレードに役立つライブラリを利用することで、統計学や機械学習の技術を用いた高度なデータ分析が可能となり、FX相場の分析や戦略のバックテスト・評価も行えます。

具体的にどのようなライブラリがあるのか、ここでは例としてその一部を表にまとめています。

MT5API_1_03

この表は、Pythonで扱えるトレードに関わるライブラリのごく一部です。

これらを駆使していくことで、システムトレードの戦略を開発することができます。

データ収集

EAによるシステムトレードでは、価格の四本値(始値、高値、安値、終値)などのMT5内で取得可能なデータを使用して戦略開発を行うことが一般的ですが、Pythonでは広大な外部情報源にアクセスして戦略開発を行えます。

具体的には、次のような情報を活用できます。

  • ● 各国の金利情報
  • ● 各国のインフレ情報
  • ● 通貨供給量
  • ● S&P500、日経225など各国の株価指数
  • ● ドルインデックス、VIXなどの指数
  • ● 貴金属、原油、穀物などの商品価格
  • ● 雇用統計などの経済指標
  • ● オプション市場の情報

この他にも、ネットワーク上で公開されているものであれば収集が可能です。

また、ニュースなどのテキストデータからの感情分析もトレードに利用されることがあります。
価格の四本値や日時情報に関するアノマリーなどを利用する従来のEAのようなスタイルだけでは見つけることが困難な多市場からの情報やオルタナティブなデータを追求することで、新たな相場のエッジを見つけることができるかもしれません。

このように手に入る情報であれば、何でも利用できることがPythonの利点の1つです。

開発難易度

Pythonはシステムトレードに限らず、データ分析やWeb開発、業務自動化など非常に幅広い分野で活用されており、ネット上でも盛んに情報交換が行われています。

このため、ネット検索などを利用すれば、プログラミングでの疑問点も比較的容易に解決できます。

最近では生成AIによるプログラミングが活かせることもPythonの強みといえます。

人気のあるプログラミング言語であるからこそ生成AIが作るPythonコードの精度も高く、開発の一部を任せたり、エラーの解決に役立てることができます。

生成AIにPythonコードを出力させたあと自分で確認と修正を行う、という流れで開発することで、全て自分でコードを書くよりも格段に開発の速度が向上します。

シリーズ第1回となった本記事では、MT5 APIの概要とPythonの魅力についてまとめました。

第2回では、実際に接続を行う方法を、Pythonコードを確認しながら解説します。

本記事の執筆者:藍崎@システムトレーダー

               
本記事の執筆者:藍崎@システムトレーダー 経歴
藍崎@システムトレーダー個人投資家としてEA開発&システムトレード。
トレードに活かすためのデータサイエンス / 統計学 / 数理ファイナンス / 客観的なデータに基づくテクニカル分析 / 機械学習 / MQL5 / Python

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